なんかやばい物とか生きものとか集めてる秘密結社に拉致られたんだが 作:テンページ
1
「ハロルドさん、クロステストです、私が迎えに行くので準備していてください。」
収容室に入る前に事前に渡されていた端末にグラス博士から連絡が入る。
「わかりました、今から準備します。」
前回はとても大きい爬虫類のアノマリーだった、報告書なるものがあるらしいのだが僕は閲覧出来ていないし、彼らは見せる素振りを見せない。
僕は知能を持つアノマリーに好かれる特性がある、財団は僕を使って危険なアノマリーを制御したいのだろう。
全く、人をなんだと思っているのか。
グラス博士が来たらしく重厚な収容室の扉が開き彼と武装した職員2人が後ろの方に控えていた。
「準備できたかな?」
「はい」
無機質で長い廊下を進み、サイト██のとあるアノマリーの収容房の前にたどり着く。
自分の収容房より厳重な鉄の扉で隣にある表示はSCP―076―2と表示されていた。
「今回のクロステストのアノマリーは高専的なやつだから、でも君なら大丈夫だと思う。」
「……根拠はあるんですか?」
「前回、クロステストしたアノマリーが財団の中でもトップクラスに危険だった、でも君はそれと対話して最小限設備で収容できるようにしたからさ」
「そんな事だろうとおもいましたよ。」
「そろそろ時間だ検討を祈ります。」
厳重な扉が開き、更にその向こうの分厚い扉が現れる、俺はインカムの指示に従って扉の向こうへと足を進めた。
2
いくら死を繰り返しても安らかな死は遠いまま、長い時を狂気に苛まれたままだった。
俺はいつものようにクソッタレなアセムの野郎が俺を閉じ込めた黒曜石の墓から抜け出し、逃げ惑う人間たちを次から次へと殺す為に虚空から件を取り出し、怒りのまま剣を振り下ろす。
そしていつものように強い戦士を求めて歩き出すのだ。
だがその日は違った、最低限の警備すらおらず中はがらんとしていた、気配はほとんど感じずその残り少ない気配もこちらに近いてくる、1人だ、たった一人かと思ったが余程強い戦士を見つけてこちらに寄越して来たかと分かった。
「やあアベル、久しぶり」
……なんだ奴か、と落胆する。
やつは俺に永遠に勝負のつかない勝負をしたり、なんか変な食べ物を食べさせたりと中々変な人間だった。
まぁいい殺そう。
「おっとそうはいかないよ」
奴は手に持っていた紙をこちらにかざした瞬間、心臓を撃ち抜かれる感覚を覚えた。
紙に描かれていたのは見たこともない男の顔だった、だか何故か目を惹き付けられる。
まるでかつて昔に無くした何かが燃え上がるように身体中を駆け巡ったのだった。
3
「聞いてくれグラッシー、面白いことが起きたんだ!!」
「はぁ……」
めんどくさい奴が来た、とグラス博士は思った、なぜならこういう時はろくな事がないからだ
彼はジャック・ブライト博士、彼は中々優秀な博士なのだがいかんせんやらかし待っていて財団の上位層からブライト博士のしてはいけないリストなんてものが作られている。
そんな彼がいい事と言ったことは大抵ろくな事にしかならない。
「今回はどんなことをやらかしてくれたんですかね……」
「酷いこと言うなぁ……今回はやらかしてなんか無いさ、むしろ私は偉業を達成したと言えると思うがね。」
「偉業?」
ますます胃が痛くなってきた。
ここまで言うのは前例がない、嫌な予感が駆け巡る。
「簡潔に言うと、アベルの制御に成功した。」
「アベルって……え、は?!」
ガチの偉業だったので純粋に驚いた、まさか制御の効かない殺戮マシーンを制御出来るなんてて……とそこで嫌な予感がした。
「どうやって制御したんですか?」
「簡単だよグラッシー、彼の証明写真を見せたんだ。」
「彼って、まさか」
「ハロルドの証明写真だよ、682との実験のあと違和感があってね、ミーム部門に調べて貰った所、彼はある種のミーム体質である事が分かった。」
「ミームって私たちには何の影響も無いですよ?」
「まぁそう焦らないでくれグラッシー、彼のミームの異常性は少々特殊なんだ、ミームの発動条件は人間以外の存在が彼を認識した時だ、このミームはかなり強力でね、君の知っての通りあの682もミームの餌食になるらしい。」
「そういうことですか、彼女も効いたんですね、彼のミーム。」
「そういう事だ、でこれからの話なんんだけど076と彼をクロステストさせよう、076は確かに大人しくなったけどそれは時間制限付きだ、彼女が彼の写真を見せたあと彼に合わせるという条件付きで大人しくしてるんだが……少々おもしろくてね。」
ブライトが僕のスマホにとある動画を送ってきた。
「なんですかこれ」
「ソワソワしている076の盗撮映像」
そこに映るアベルはまさに初めてボーイフレンドとデートする少女みたいな印象を受けた。
「まるでエージェント・ディオゲネスに会う君みたいだね。」
「うるさい」
4
何故か自分より身長の大きい褐色美女と腕相撲する事になりました。
なぜこうなったかというと数分前に遡る。
収容室に入った時、ベットに腰かける褐色の美女がいた、全体的に整った顔に黒い長髪、財団支給のオレンジの長袖のジャージを来ていた。
『来たか』
立ち上がると自分の身長より十センチも高く、赤い眼差しでこちらを見つめる
「どうも……」
『待っていたぞ、強き者よ。』
「·····」
『まぁ座れ、君の顔を見た時から一度話したいと思っていた。』
わざわざ椅子を用意してくれた、なんか予想と違った反応があって少し戸惑っている。
『俺のことは奴らからなんと聞いている?』
たどたどしい英語で彼女から聞いてきた、なんか癖のある話し方からもしかしてとシュメール語で喋ってみる
「かなり危険としか聞いてませんね」
『俺がシュメール語を喋るってなぜ分かった。』
「癖の強い喋り方だったので」
『すまないが敬語はよしてくれないか……嫌なヤツをおもいだすから』
「わかった」
その後色々喋って行くのだが色々性格が滲み出ていた、例えば戦いは好きか……とか、剣は好きかとか、恐らく身体能力が凄く高い人なんだろうなと察せられる。
「そろそろ時間だ」
インカムからグラス博士のクロステスト終了を告げる声が聞こえる。
『すまないが最後に一つ勝負しないか?』
「いいよ、腕相撲とかどう?」
こうして最後の最後に彼女と腕相撲対決を行ったが……惨敗だった。
予想通り彼女はめちゃくちゃ力が強く、俺が全力を出しても真ん中から全く動かなかった。
徐々に押されていき、結局力で押し負けたのだった。
『最後に名前を聞いていいか?』
「ハロルド、ハロルド・バウマンだ、貴女の名前は」
『アベル、ただのアベルだ』
と彼女との硬い握手でこのクロステストは終了した。
5
彼と話して分かったことは、彼は知的で、あのクソ姉貴を思い出す性格をしている事だ、ただやつとは違いかなりこちらに合わせてくれる気遣いが出来る人だった。
しかし少し焦りすぎてこちらの欲望が出すぎたと反省した。
こんな感情初めてだ、誰かを好きになるなんて……
しかし彼は他の人間と根本的に違うと感じた、最後のときウデズモウとやらをやったとき、他の人間の数十倍は力は出ていたと思う。
それにあの目は完全に戦士の目だった。
すくなくとも自分より格上と分かって警戒していたのだ、何たる精神力だろうか。
「いい……凄く良い……」
そう考えると益々彼のことが好ましく感じた。
今この瞬間にもこの鉄のドアを切り裂いて会いに行きたい。
「待ちきれないなぁ……」
そうして俺は一人寝床で夜が明けるまで彼のことを考え続けるのだった。
タイトル: ブライト博士の人事ファイル
原語版タイトル: Personnel Director Bright's Personnel File
訳者: Dr Devan
原語版作者: AdminBright
ソース: http://scp-jp.wikidot.com/dr-bright-s-personnel-file
原語版ソース: http://scp-wiki.wikidot.com/dr-bright-s-personnel-file
ライセンス: CC BY-SA 3.0
タイトル: グラス博士の人事ファイル
原語版タイトル: Dr Glass' Personnel File
訳者: Ikr_4185
原語版作者: Pair Of Ducks
ソース: http://scp-jp.wikidot.com/dr-glass-personnel-file
原語版ソース: http://scp-wiki.wikidot.com/dr-glass-personnel-file
ライセンス: CC BY-SA 3.0
タイトル: SCP-076 - "アベル"
原語版タイトル: SCP-076 - "Able"
訳者: 訳者不明
原語版作者: Kain Pathos Crow, DrClef(改稿者)
ソース: http://scp-jp.wikidot.com/scp-076
原語版ソース: http://scp-wiki.wikidot.com/scp-076
ライセンス: CC BY-SA 3.0