ワールドトリガー/四方隊   作:匿名C級隊員

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新田義実

四方友春は三回の個人戦を終えて、127号室の室内にあるベッドに座り、休憩していた。

──もう来たりしないかな〜、入隊希望者。

──いや早すぎか。

自分でチームメンバーを集め、上を目指すのは一つの目標でもあったため、いつにもなく内心でワクワクしている四方。

しかし四方には、「元A級部隊所属」や「個人ポイント上位」などの実績があるわけでもなく、すぐにはチームメンバーが集まるとは考えていなかった。

だが、そんな四方の考えを裏切るように、室内にノック音が響く。

 

「隊員募集の張り紙を見たんだけどー」

 

扉越しに青年の声が聞こえる。

──え?もう一人目来たの?早くない?

嬉しさよりも困惑が勝った四方だったが、とりあえず扉を開ける。

 

「お、初めましてだな。オレは新田義実だ。気軽に新田とかで良い。ま、よろしく」

「初めまして新田さん。四方友春です」

 

軽い挨拶を終えた二人は、室内に入った。

四方は「初めまして」と言ったが、「新田義実」という名前は聞いたことがあった。

太刀川さんや二宮さんなどの個人ランク上位勢との会話で「面白いフリーの隊員」と言われていた。

多くの隊員から、特に戦闘面での強さを話題にされていた。

個人ランク一位の太刀川さんからは、「俺と同じくらい個人ランク戦を毎日のようにやっている」と言われていた……のだが、個人ランク戦のブースにそこそこ通っている四方は、新田を今日までブースで見かけたことはなかった。

──……タイミングが悪かったのかな。

そんなことを四方が考えていると、面白いフリーの男──新田は興味深そうに四方へ質問を投げかける。

 

「ちなみに四方さんいくつ?20歳超えてる?」

「16歳だよ?」

「え?オレと同い年か……歌川さんといい、案外雰囲気じゃわからないもんだなー」

 

驚いたように言う新田。

相手が同い年と知って気が楽になった二人は、会話を続ける。

 

「四方はいつ頃ボーダー加入したの?」

「俺は一年くらい前だね。新田くんは?」

「オレは一年半くらい前だったかな?ま、鋼さんとかと同じスカウト組だ」

 

四方はスカウト組という単語に反応した。

その理由として、まずボーダー隊員は基本的に三門市出身だ。

しかし、他県でのスカウト活動も行われており、そのスカウト先でスカウトされた有望な隊員を、隊員たちは「スカウト組」と呼んでいる。

──新田はスカウト組なのか。

四方が内心でそう考えていると、新田は少し真剣な表情になり四方へ語りかける。

 

「四方は個人ポイント、どれくらい?……てか、オレと一戦やらない?」

 

四方は理解した。

今、自分は新田から試されていると。

やはり、部隊を組むのにチームメイトの実力は知っておきたいのが普通だ。

新田はスカウト組というだけあって、実力は高いのだろう。

ならば、チームメイトに求める実力も高い方が良いはずだ。

 

「……良いよ。新田さんとしてはチームメイトの実力は高いに越したことはないもんね」

「そういうこと。やるからには、上を目指したいからな……まあでも安心しな、四方が弱いからってチームを組まない、というわけじゃないさ」

 

そう言った新田は去り際に「じゃ、オレは適当に空いてる部屋入ってくるからー」と言って部屋を去る新田。

部屋に残った四方は、新田からの連絡を待つ。

しばらくして、室内に通話の通知が来た──新田からの連絡だ。

四方は通話を許可し、新田と連絡を取る。

 

「お、繋がった。そんじゃ、オレは203号室入ったから、選んでくれー」

 

そんな軽い連絡を受けて、四方は室内にあるタッチパネルのような画面──操作パネルに表示されている対戦相手の一覧から203号室を探す。

 

この操作パネルに表示される情報は、対戦相手の、「部屋番号」「ポイント」「武器」。

ポイントは武器ごとに与えられるが、この操作パネルに表示されるのは、その隊員の手持ちポイントで最も高い武器のポイントだ。

 

そして、四方が見つけたのは──「203 9981 孤月」という文字列だった。

──個人ポイント9981pt……!

新田の個人ポイントに驚く四方に、新田は軽い調子で話しかける。

 

「お、四方のポイント8079ptか。マスタークラスじゃん」

 

マスタークラス。

それは、個人ポイントが8000ptを超えた隊員が呼ばれるもの。

その武器を使いこなし、一定の実力を持つとされるマスタークラスに到達しているかどうかは、隊員の中でもわかりやすい線引きになっている。

そして、そのマスタークラスから2000ptの差をつけた、1万pt超えとなると、ボーダーでもトップクラスの実力者ということになる。

 

──新田くんは、1万越えに到達しようとしているのか……。

四方は覚悟を決め、対戦相手を選択した。

これから戦う強敵に挑むために。

そして、未来のチームメイトを失望させないようにするために。

 

 

 

── ── ──

 

 

 

 

場所は市街地、時刻は昼。

 

市街地の中でも開けた場所で四方と新田は向かい合って立っていた。

この市街地は実際に存在するものではなく、「トリオン」という物質で作られている── いうなれば、「仮想空間」だ。

 

トリオンとは、人間のある器官から生み出される生体エネルギーのことだ。

 

そのトリオンを生み出すある器官を── 「トリオン器官」と呼ぶ。

人間なら誰にでもある心臓の隣に位置している見えない臓器。

その性能はは筋力や運動神経と同様に個人差が大きい。

この性能の差は「トリガー」と呼ばれる、簡単に言えば武器、の出力に大きく関係する。

あるA級隊員はこれを、「MP(マジックポイント)みたいなもんなんだよ〜」と語った。

トリオン器官の性能──ボーダー隊員はこれをトリオン能力と言う──が高ければ、攻撃力は高くなるし、魔法を多く使える。

つまり、基本的にトリオン量が高いほど有利と言える。

このトリオン量を数字で表す場合、ボーダー全体に平均は4だ。

そして、一般的には7を超えればトリオン量が高いと言えるだろう。

──少し前にトリオン2の隊員が戦闘員として、入隊したという情報があったが、これはかなり珍しい。

──この場合、平均の半分のトリオン量しか持たないその隊員は、基本的に平均的な隊員の数倍、戦闘で常に不利を強いられることになるだろう。

 

──ならば、今相対しているこの二人は?

日本刀見た目をしたトリガー──「孤月」、その柄に右手を手をかけている新田。

孤月はまだ鞘に収まった状態だ。

そんな新田のトリオン量は、6。

高トリオン量に一歩届かない、といったところ。

一方、鞘から抜かれた状態の孤月を右手に持っている四方。

そんな四方のトリオン量は、7。

新田より数値が一つ高く、高トリオン量と呼ばれる値だ。

 

「さてと。確認し忘れてたけど、何本勝負にする?決めていいよー」

「五本勝負にしようかな」

「五本ねオッケー。そんじゃ、解散。十秒後に開戦てことで。開始の合図はオレが出すわ」

 

四方は重心を移動させ、すぐに移動できるように準備する。

一方の新田はいまだに軽い調子で、余裕といった感じだ。

 

「……始め!」

 

新田の掛け声と同時に、四方は地面を蹴る。

今、二人の戦闘が開始した。




あるA級隊員とB級隊員の会話。

白鳥「トリオン量……ってなんですか?」
国近「トリオン量ってのはね〜。簡単に言えばMPみたいなもんなんだよ〜」
白鳥「MP?」
国近「そうそう〜。このトリオン量が高いと、いっぱい弾を撃てるし、その弾一発一発の威力が高くなるのだよ〜」
白鳥(そうなんだ)
国近「あ、そうだ〜。白鳥ちゃんって格闘ゲームってできる〜?」



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