誠斗視点
魔理沙が侵入してから2時間後、紅魔館で俺達の歓迎会が始まった。
大食堂に料理がズラッと並べられ、多くの人で賑わっている。
いるのは大体人外だが。
「すいませ〜ん。貴方が今回の主役ですか?」
その人外の1人が話しかけてきた。
そいつは黒髪のセミロングで赤い山伏風の帽子を被っていて、その手にはカメラが握られていた。
背中には黒い羽根、幻想郷最速の種族“鴉天狗”だ。
「初めまして、清く正しい
よければ取材?よろしいでしょうか」
「取材?あんた記者か」
「はい!
それで取材よろしいでしょうか」
「ああ、構わない」
聞かれて困ることもないしな。
それに清く正しいを自称してるんだからマスコミよりは信用できると踏んだ。
「まず、お名前を伺っても?」
「十六夜誠斗だ。幻想入りは今日だな」
「ハードスケジュールですね」
「まったくだ」
思えばここに来たのが深夜の3時くらいか?
そこから日の出頃に博麗神社に着いて、昼頃には白玉楼だ。
そこで剣と一戦やって、その後すぐに紅魔館に行って……
紅魔館で話した後に昼飯食って、大図書館で魔理沙が本を盗もうとしたのが午後の4時頃。
歓迎会の開始がそれから大体2時間後の午後6時。
思えば今日は色々ありすぎたな。
「では次の質問ですね。紅魔館のメイド長の咲夜さんと苗字が一緒ですが、どのような関係で?」
「兄妹だ、実のな。咲夜は俺の3つ下だ」
「なるほど、そのようなご関係が。それではこれから幻想郷で何をしようと考えていますか?」
「できるかわからないが……普通の生活を送りたいな」
「なるほど……ありがとうございました。では早速記事にさせて貰いますね!」
そう言って文は次は剣と凌牙の方へすっ飛んで行った。
俺は手近な料理を皿に盛って食べる。
美味いな。これは咲夜が作ったのか……母さんの味がする。
「なーに感慨深そうな顔してんのよ」
「霊夢か。少し昔を思い出してな」
「そう。歓迎会、楽しんでる?」
「ああ、楽しませて貰ってるよ」
実際、楽しんでいる。
こんな大人数で食事会なんて初めてだからな。
それはそれとして
「霊夢、その手に持っているのは酒か?」
「そうだけど、何か?」
「いや、お前幾つだ」
「あ〜、早苗もそんなこと言ってたわね。
誠斗一つ教えてあげる。幻想郷では常識に囚われてはいけないのよ」
そう言って霊夢は酒瓶をグイッと飲んだ。
豪快だな〜。
「それはそうと、レミリアが呼んでいたわよ」
「そうなのか、すまない。伝えくれてありがとう」
「どういたしまして。ほら、レミリア達はあっちよ」
そう言い霊夢が指した先には美鈴と一緒に料理を食べているレミリア様の姿があった。
俺はそっちへ向かう。
近付くと、レミリア様はこっちに気づいてコッチコッチと手を振った。
「すいません、ご用件はなんでしょうか?」
「ふふ。誠斗、楽しんでる?」
「さっき霊夢にも聞かれましたが……楽しんでますよ」
「そう良かった。ねえ誠斗、良ければ私のこと様じゃなくて普通にレミリアと呼んでくれない?」
「えっ、良いのですか?」
「良いのよ。それに、貴方に敬語は似合わなさそうだし」
パチュリーさんもタメ口で良いって言ってたが俺はそんなに敬語が似合わない男だろうか」
「似合わないと思いますよ。私も誠斗くんが敬語で話してきたと思ったら」
「声に出てたのか……」
「バッチリ出てたわよ」
美鈴は腕を抱いてブルブルしている。
俺のことを何だと思ってるんだ?
「ねえ、誠斗」
「どうした、レミリア?」
「やっぱりそっちの方が貴方らしいわね。じゃなくて、笑顔増えたわね」
「………」
レミリアが言っているのは昔の俺のことだろう。
確かに笑うことは増えた気がするな。
ただ、外にいた時は社交辞令的な笑顔が多かったから、本心で笑ったのは今日が多分久しぶりだ。
「ねえ、誠斗。これからもよろしくね」
「りょう、かい」
俺とレミリアはその会話を最後にそれぞれ会場を回った。
時刻が大体10時を回った頃、俺はテラスに出ていた。
会場に居た初対面の面々に挨拶回りをし、鬼に絡み酒をされ、妖精にイタズラされかけ………
色々あったな。
会場の熱はまだ冷めそうにもない。
「よう誠斗、こんなところにいたのか」
「剣か……凌牙はどうしたんだ」
「勇儀さんと飲み比べしたんだよこいつ」
「どうして鬼とやったんだ。あいつら幻想郷屈指の酒豪だぞ」
俺は冷静にツッコむ。
凌牙はある程度酔いが覚めてきたのか、受け答えはしっかりとしていた。
こいつも大概酒豪だな?
「あら、3人ともここに居たんですね」
そうこうしていると咲夜も来た。
この場に昔のいつもの4人が揃った形になった。
「なんか、この4人で集まるの久しぶりだな」
「最後に集まったのが誠斗が行方不明になる前だから10年前、それから4年後に咲夜ちゃんも居なくなったんだよな」
「その節は心配をかけてごめんなさい」
「大丈夫大丈夫」
その後もお互いに軽口を言い合う。
本当に昔に戻った気分だった。
そんな感傷に浸っていると凌牙が酒を持ってきた。
まだ飲む気なのかこいつ。
「お前、まだ飲むのか?」
「大丈夫だって剣。これ一本、ここの4人で飲むんだから」
4人で飲むのか……
「咲夜、お前酒は?」
「大丈夫、強い方だから」
咲夜に確認を取っていると、凌牙が酒瓶を開けた。
そして4人分のコップに注ぐ。
注ぎ終わり全員に配ると凌牙が音頭をとる。
「じゃあ、俺達の再会、そしてこれからを祝って」
「「「「乾杯」」」」」
俺達は酒を飲みその後は昔話の花を咲かせた。
???視点
「司令部、こちらGhost1。リーパーの痕跡は発見した。だが途切れていて足取りが掴めない」
『そんなわけはない!必ず何処かにいるはずだ!探し出せ!」
「
司令部は大分焦っているな。
まあ我々の存在を知っているものが野に放たれたんだ。焦るのもわかる。
「Ghost5、そっちはどうだ」
『隊長の予想通り、時空間の歪みが見つかった。しかも人為的な』
なるほどリーパーは連れ去られたか、それとも着いて行ったのか、いずれにせよ。
「司令部に報告しろ。対応は上が決める。Ghost撤収だ」
「「『『『
そして俺達はその場から撤収した。
三人称視点
その男は焦っていた。
特殊部隊を動かしてまで足取りを追っていた男の行方が判明した。
報告によると、人為的な時空間の歪みが観測されたらしい。
時空間の乱れによる行方不明に者が多数出たことから、科学部門は時空間の歪みについての研究を進めた。
そして判明した事実は、時空間の乱れはそれぞれ別の地点同士が歪みによって接続され、その場にいた動物を反対側に転移させる。というものだった。
原理が解析できたなら、後はこっちのもんだと言わんばかりに科学部門は歪みによって何処と接続したのか辿れる機器を完成させた。
今回もそれを使った。
リーパーが転移したのは日本のとある地点の山奥。
そこは昔から神隠しで有名な場所だ。
男は決断する。
「Ghost1、聞こえるか」
『こちらGhost1。聞こえるぞ、任務の追加か?』
「ああそうだ、リーパーが転移した座標に向かい、奴を始末しろ」
『…………
Ghost1が通信を切る。
男・・・連邦情報局の幹部は自分達から離れた殺し屋リーパーの命を狙っていた。
リーパーの担当が独断で彼の辞職を許可したのだ。
なのに他の幹部もそれに異を唱えない。
糾弾したのは男だけだった。
そしてリーパーを始末するために無断でGhostを投入した。
一方、任務を受諾したGhostは隊員達が準備をしていた。
「隊長〜、本気でリーパーを殺るんですか〜?」
軽い口調で隊長・・・Ghost1に話しかけたのは副隊長のGhost2だ。
「リーパーの抹殺ですか。我々には荷が重いのでは?」
偵察兼サポーターのGhost5がそう言う。
「だがやらなきゃいけない、俺達の仕事はそう言うものだ」
そう言うのはポイントマンのGhost3だ。
「でも面倒っすよね。隊長が一回負けたら相手なんでしょ」
「おい、あまり黒歴史を掘ってやるな」
隊長にストレートなことを言うのは隊の最年少Ghost6。
それをフォローになっていないフォローで諌めるのは紅一点のGhost4だ。
「面倒と言うな、俺達は歯車だ。この連邦という巨大装置のな。命令は確実に遂行する」
Ghost1は特に感情を見せずに言う。
そして手元にあるリーパーの写真を見る。
「待っていろよリーパー。その首、俺が獲ってやる」
リーパー・・・誠斗の写真を見ながらGhost1は呟いた。
キャラ紹介
射命丸文
種族:鴉天狗
年齢:不詳(少なくとも1000歳以上)
能力:風を操る程度の能力
幻想郷の妖怪の山に住む鴉天狗で幻想郷最速の妖怪。
文々。新聞と言う新聞を書いている記者でもある。
自称「清く正しい射命丸」
その自称通り、記事の情報は正確なことが多い。