三人称視点
「Ghost4とGhost6が脱落しましたか……少々早すぎやしませんかね?」
Ghost5は空から見た後輩2人の早すぎる敗北に皮肉を言うことすら出来なかった。
割と呆れているのである。
「取り敢えず、2人を倒した方々の脅威を上方修正しましょう。
それに副隊長とGhost3にも舐めてかかるなと伝えておきますか。
特にGhost3は自分の勘を過信しすぎのきらいがある」
Ghost5はまだ下で戦闘を行っている2人に通信を繋ごうとする。
だが、それは叶わなかった。
通信を取ろうとした瞬間、耳元に着けていた通信機が木っ端微塵になったのだ。
さらに同時に光学迷彩も粉砕された。
「おやおや、これは……貴方がたの仕業ですねお嬢さん?」
Ghost5が後ろを向くとそこには霊夢とフランがいた。
「初めましてお二人さん。私の道具を壊したのは、そちらの吸血鬼のお嬢さんでしょうか?」
「?、何でわかるの?」
「いえ、出身が欧州の方でしてね。昔いた孤児院の方から聞いたのですよ、ある吸血鬼の伝承を」
「………」
「その吸血鬼は……そこそこ大きな町を一晩で滅ぼしたのだとか、特徴は確か……
黄色い髪に、普通とは違う八つの結晶のついた枝のような翼。
そして、かの吸血鬼はまるで破壊と殺戮を楽しんでいたとも伝えられています」
「……それは本当の話なのフラン?」
「…………本当だよ、私が初めて暴走して犯したこと」
「ほう、ご本人と出会えるとは光栄ですね。まるでアドルフ・ヒトラーと対面した気分です」
「それって要は虐殺者と会った気分ってことだよね?」
「さて、どうでしょう」
Ghost5は答えをはぐらかすが、それは答えを言っているようなものだった。
だがフランは力強く答えた。
「でも、私はもうあんなことを起こさないよ、起こす気もない。
お兄ちゃんに言われたんだ。自分の狂気に呑まれるなって」
「フラン………」
フランの言葉に霊夢は変わったなと思う。
彼女がフランと初めて会った時はまさに狂気に呑まれていた。
だが、それから狂気を制御できるように努力しているのは霊夢も知っている。
時には狂気に関する能力を持っている鈴仙の力も借りていた。
それだけ努力できたのは一重に誠斗の言葉があったからだろう。
「さてGhost5、だったかしら。投降しなさい。命までは奪うつもりはないわよ」
「そうですか……残念ですが応じれませんね。他の仲間が戦っているというのに自分だけサボれませんよ」
「そう………行くわよフラン」
「わかったよ霊夢!」
そうして3つの影がぶつかった。
開幕はは霊夢の弾幕だった。
「夢想封印・集!」
弾幕はGhost5に集中する。
だが彼はそれを巧みな飛行で回避する。
これだけ自在に動けるのは、彼の飛行魔法の練度の高さを物語っている。
「掠るくらいはしてほしいわね」
「おや、貴方は当たってあげるのですね。お優しいことです」
「そりゃどうも、ぜっんぜん嬉しくないけど、ね!」
霊夢は肉薄して蹴りを入れる。
Ghost5はそれを腕で防御する。
そして、拡張領域から愛銃のショットガンを取り出した。
「しまっ……」
「こちらも暇ではないのですよ」
「霊夢!カゴメカゴメ!」
撃たれそうになった霊夢をフランが弾幕で援護する。
Ghost5は霊夢への攻撃をやめ、回避に専念する。
霊夢は結界でフレンドリーファイヤを防いでいた。
「ありがとフラン。私ごと撃ったのは気にしないでおいてあげる。
それはそれとして、やるわねあんた。もう倒された2人とは大違い」
「おやおや、あの2人も役に立っていますよ。第二次大戦の時のフランスみたいに」
「……フラン、どういう意味?」
「わかんない、お姉さまからヒトラーってやつがやったことは聞かされたけど……」
「そう」
2人は深く考えるのを辞めた。
今は目の前の敵を倒すことだ。
Ghost5はショットガンを拡張領域にしまい、代わりに二丁のSMGを取り出す。
「さて、続きを始めましょう」
「霊夢援護お願い!フォーオブアカインド!」
フランは4人に分身し、一斉にGhost5に突撃する。
霊夢はそれを援護する。
Ghost5はSMGの乱射で迎撃する。
フランを弾幕が襲うが、霊夢が結界を張ることで防ぎ、弾幕なんぞお構いなしに突っ込み続ける。
Ghost5はそれも冷静に対処するが、霊夢の弾幕がその冷静さを徐々に奪っていく。
だがGhost5もタダじゃ終わらない。
結界を破壊し、1人分身を撃破する。
霊夢の結界は全部で5つ展開されていた。
フランと分身4人、そして霊夢本人の分だ。
おまけにフランの援護のための弾幕も撃たなきゃいけず、結果として結界へリソースを割けずに
いつもより脆くなってしまっていた。
Ghost5は当然勘付く。
(どうやら、そこまでの硬度はなさそうですね)
(気づかれたわね、となるとあの策か)
「……フラン!」
「わかった!」
霊夢の叫びを聞き、フランと分身達はレーヴァテインを展開する。
「何をするつもりか知りませんが、させませんよ」
Ghost5はSMGをリロードし、フランに銃撃を放つ。
今度は1人1人結界を破壊して各個撃破するつもりだ。
巧みな飛行をしながら1人、また1人と撃破し、最後に残った本体にに銃口を向ける。
「チェックメイトです」
「貴方がね!霊夢!」
「!?」
「OK!二重弾幕結界!」
次の瞬間、Ghost5は結界に覆われた。
結界の内側は夥しい弾幕が覆っていた。
(………これは、私の敗北ですね)
(少しは頑張りましたかね、今の気分はさながら桶狭間の今川義元ですが)
そう考えながら、Ghost5は弾幕を喰らい意識を失う。
霊夢は結界を解き、落ちてきた彼をキャッチする。
「霊夢〜勝ったね!」
「ええ、そうね。取り敢えずこいつ連れて戻りましょうか」
「うん!」
その後、2人は他愛のない会話をしながら、紅魔館へ飛んで行った。