東方葬想録   作:KUS

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科学に似たオカルト

三人称視点

 

Ghost達が幻想郷側に各個撃破されている中、誠斗とGhost1の戦闘は膠着状態にあった。

2人の実力は誠斗に軍配は上がる。

それでも膠着状態に陥っているのは一重にGhost1の経験と

誠斗が相手を殺さないように立ち回っているからだった。

おまけに、無意識的に急所を狙って攻撃してしまう都合上、満足に攻撃も出来ていなかった。

その時、誠斗に魔力回路で連絡が届いた。

留守を任されていたコアからだ。

 

『誠斗さん、皆さんが4人撃破しました!

 後は誠斗さんが対峙している方とパチュリー様達が対峙している方です』

『ありがとうコア』

「どうしたリーパー?」

「他のGhostが撃破されたって報告だ。

 後はお前とGhost2だけだ」

「……降伏する気はないぞ」

「するとは思っちゃいねえよ。

 まあ、してくれた方が楽なんだが」

「抜かせ!」

 

2人の戦いはまだ続く。

一方、パチュリー・アリス・魔理沙とGhost2の戦闘も膠着していた。

空気さえあればどんなことだって出来るGhost2の異能を前に3人は苦戦していた。

 

「本当に、厄介な能力ね」

空気操作(アトモスフィア)、空気の爆弾や銃弾は空気を圧縮して作っている。

 誠斗の言っていた真空空間は、空気の流れを堰き止めているみたいね」

「ん〜、紫髪の人って〜頭良いんだね〜」

 

Ghost2はパチュリーのことを褒めた。

実際、専門は魔法ながら科学にも精通している人物は、世界中探しても中々見つからないだろう。

パチュリーは大図書館にある本で科学の知識を頭に叩き込んでいる。

だが、文明レベルが日本の江戸時代以前の幻想郷では、科学に触れる機会が本当に少ない。

幻想郷で科学に精通しているのは永遠亭の月出身の住人か、妖怪の山の河童くらいだ。

 

「なあ、あいつに攻撃を当てる隙が全然ないんだが」

「空気をバリアのようにしてるみたいだけど……どういう原理なのかしら」

「おそらく空気に圧力をかけて固体化しているのでしょうけど……

 それだと2人が見た透明の壁の説明が付かない」

 

パチュリーは思考を巡らせる。

どうすればあれを攻略出来るのか……

すると魔理沙が頭を掻きむしりながら言った。

 

「なあパチュリー。誠斗が持ってた拡張腕輪?ってやつは科学の産物なんだろ?」

「ええ、そうね。だから原理を知りたかったんだけど……」

「でもあいつのは異能だぜ?そんな難しい理論なんてないんじゃないか?」

 

パチュリーとアリスはは魔理沙の言葉に一瞬固まる。

そうだ、異能はオカルトに分類される。

つまりは科学的な証明が不可能だと云うこと。

パチュリー達はそこは盲点だったと思った。

何せGhost2の能力は周りのようにいかにもオカルトといった感じの能力ではなく、

空気という科学的に証明が可能な物を操るものだ。

科学的証明ということに目がいってしまっていて、異能はオカルトという点を忘れてしまっていた。

 

「魔理沙、ありがと。お陰で余計なことを考えなくて済む」

「魔理沙、流石ね」

「そ、そうか?へへ」

「さて、第二ラウンドを始めましょうか」

「ん〜、撹乱失敗かあ〜」

 

どうやらGhost2はわざと科学的に証明可能だと思わせようとしていたらしい。

パチュリーを褒めたのもその一環だろう。

嘘は付かずに相手を術中に嵌める、詐欺師などが使う騙し方だ。

「火符“アグニシャイン”!」

「操符“乙女文楽”!」

 

パチュリーとアリスが弾幕を展開する。

魔理沙は再び、隙を待つ為に箒で飛んだ。

Ghost2は弾幕の嵐を空気障壁(エアバリア)で防ぐ。

ただ、

 

「金符“シルバードラゴン”!」

「白符“白亜の露西亜人形”!」

 

2人は再び弾幕を放つ。

全ては魔理沙の為に隙を作るため。

 

「鬱陶しいなあ〜、くらえ〜空気爆弾(エアボム)〜!」

 

Ghost2が空気爆弾をパチュリー達に向ける。

魔理沙は援護しようとGhost2にダメ元で攻撃した。

その瞬間だった。

Ghost2が爆弾を消したのだ。

そして魔理沙の攻撃はバリアに阻まれる。

パチュリーは何かに気づいた。

 

「まさか……」

「パチュリー?」

「アリス、ちょっと耳を貸しなさい」

「え、ええ」

 

パチュリーはアリスに何かを耳打ちする。

その間も魔理沙はGhost2に弾幕を放ち続けていた。

しかし、全てバリアに防がれる。

 

「くっそ!」

「いい加減、諦めたら〜?」

「はっ!やなこった!」

「そっか〜」

 

Ghost2が再び空気爆弾を作る。

そしてそれを発射しようとした瞬間。

 

「今よアリス!」

「ええ!」

 

アリスがGhost2の腕を糸で縛る。

交差されていた腕が縛られて後ろに組まれる。

そして能力が解除され、爆弾が消える。

 

「!?」

「魔理沙!」

「わかってるぜ、全力全開!恋符“マスタースパーク”!」

 

魔理沙が自身の残りの魔力を全て注いだマスタースパークを放つ。

能力を行使できないGhost2にはなす術がなかった。

 

(ありゃ〜、僕の負けか〜。

 にしても、僕の能力の弱点に気づくなんて凄いなあ〜)

 

そう思いながら、Ghost2は光に包まれた。

 

光が収まると、そこには気絶したGhost2が倒れていた。

 

「はは、やってやったぜ」

「お疲れ魔理沙」

「なあアリス、どうやってあいつの腕を縛ったんだ?

 バリアがあったろ?」

「それに着いては私が説明するわね。

 あいつは私達に爆弾を向けた時があったでしょ?」

「ああ、あったな」

「その時、魔理沙の攻撃にあいつは反応した。

 あなたに意識を向けた瞬間、爆弾が消えたのよ」

「つまり、どういうことだぜ?」

「つまり、あいつは同時に複数の用途で空気を操れないということ。

 アリスが腕を縛れたのも、あいつが爆弾を出したからよ」

「成程納得」

「2人とも、取り敢えず拘束しましょう?」

 

アリスの言葉に2人とも頷き、Ghost2を拘束した。

これで残りは、誠斗とGhost1の戦いを残すのみとなった。

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