誠斗視点
「おらあ!」
「ちい!」
Ghost1のナイフを紙一重で回避する。
俺は避けた反動で刀を振るが……
Ghost1の首に当たりそうになり咄嗟に狙いをずらす。
相手も回避しようとしたみたいだが、俺が直前に狙いをずらしたせいで腕を斬られていた。
「はあはあ、リーパー。貴様手を抜いているのか?」
「?」
「さっきか全ての攻撃は急所を狙っている。
だが貴様はそれをわざと外すようにしている」
「………」
「手を抜いているのなら俺は貴様を一生恨むぞ。
俺は全力のお前とやり合いたいんだよ!」
「手は抜いていない。だが……」
「だが、何だよ」
「もう、無用な殺しをしたくないんだ」
「………………」
俺はGhost1に心情を吐露する。
”もうこの力に振り回されたくない“
それが俺の本音なんだろう。
”これ“に助けられたことは幾度もあった。
……紫の言った通りなんだろうな。
あの時、初めて人を殺してから俺の心は磨耗し続けた。
これまで殺して来たのは、全員何の思い入れもない赤の他人だった。
だけど、目の前にいるのは、俺を敵視しているとはいえ顔見知り。
幻想郷を追放されてから再び戻ってくるまでの6年間の俺の存在証明をすることができる1人。
「殺したくない?何人も殺しておいて今更か?」
「確かに、今更かもしれない。
でも俺は……」
刹那、銃声がなると同時に俺の肩に鋭い痛みが走った。
撃ったのはGhost1だった。
「殺したくない?大いに結構。
だが、俺の知るお前はそんな軟弱な男じゃあない」
「………体がそうするんだ。無意識に」
「見てみぬ振りをしているだけだ。
そういうのは向き合って解決するものなんだ!」
「お前………
敵に塩を送ってどうする?」
「何だと!折角アドバイスをしてやったというのに!
それに、その状態の貴様と決着を着けてもスッキリしないんだよ!」
Ghost1が叫んだ。それはもう甲高く。
にしても、向き合えか……
確かにこれまでは忌避するだけで、向き合おうとしなかったな。
だがどう向き合えばいい……
「………ああもう!わからん!」
「わからんのか!」
「わからんわ!普通の才能ならまだしも、俺のは人殺しの才能だぞ!」
まじでどう向き合えばいいんだ。
なんだ、深層心理に語りかけろと?
俺にはそんなことできません。
段々とイライラして来た俺は、取り敢えずGhost1に鬱憤をぶつけることにした。
「うお!いきなりか!」
「今イライラしてんだ、鬱憤晴らしに付き合え!」
「逆ギレか!」
俺は刀を思いっきりGhost1に振り下ろした。
頭目掛けて思いっきり。
当然避けられる。
Ghost1は驚いているようだった。
まあさっきまで殺したくないなんて言っていた奴が急にそんなの知らんと言わんばかりに攻撃してきたんだ。
そりゃ驚く。
俺は更に追撃をかける。
Ghost1は普通に回避した。
だが俺は違和感を感じた。
今狙ったのは肩だった。
これまでは頭や首みたいな急所を無意識に狙っていた筈だ。
なぜ?
これまでと今で違うのは何だ?……
「貴様から再開したのだ!ボーッとするなあ!」
Ghost1の銃撃を能力を使って回避する。
時の流れが遅くなった状態、俺だけの世界。
そこで思考を続ける。
今と今までで何が違う。
ひたすら考える。
(これまでは忌避するだけ)
(見てみぬ振りをしているだけだ!)
………そういう事か。
俺の中で合点が行った。
これまではこの才能という呪いを忌避するだけだった。
でも今は……
これが向き合うってやつか。
忌み嫌うんじゃなくて、利用してやる気持ちでやれば良いのか。
さっきGhost1を攻撃した時は忌避なんて感情はなく、
逆に使ってやろうという感情だった気がする。
・
・
・
これの扱い方がわかった気がする。
俺は能力を解除し、Ghost1に向き合う。
「ほう、良い目になったじゃないか」
「お前はどういう目線で言ってるんだ」
「そんなことはどうでも良い。
向き合えたみたいだな」
「ああ、そうだな。
さて、改めてやろうか」
「ふっ、行くぞ!」
Ghost1はナイフを片手に突撃してくる。
俺は刀を構えて向き合う。
目を閉じ、集中する。
そして、ナイフが振り下ろされようとした瞬間、刀を振り上げ、ナイフを弾き飛ばした。
「!?」
「まさか、目を瞑ったのを”諦めた“なんて思ったわけじゃないだろうな?」
「抜かせ!」
Ghost1は腰のラックから拳銃を取り出す。
連邦軍で正式採用されている兵器開発部門製のハンドガン。
銃弾が発射される。
俺はそれを切り落とす。
その後も、発砲をGhost1は続ける。
俺はそれを全て避けるか弾くかした。
不意にカチカチと音が鳴る。
弾切れだ。当然、Ghost1はリロードをする。
プロらしく無駄のないリロード、無理に攻撃すれば痛い目を見るのはこっちだ。
あのハンドガンの装填数は10発。
次のリロードを狙う。
Ghost1が発砲する。
俺が回避すると読んでか、発射は2発。
俺の回避の癖に勘付いたか。
俺は回避の際に右に避けやすい。
だが避けやすいというだけで当然左にも避けられる。
それを見越してかすぐに3発目が発射された。
それを刀で弾く。
後7発。
俺は懐から銃を取り出す。
「ほう、撃ち合いか。
その方が俺好みだな!」
「………」
俺は発射された銃弾をよく見る。
タイミングを合わせて発砲する。
俺の銃弾と相手の銃弾、2つが空中で激突した。
「!?」
Ghost1は驚愕した。
銃弾同士の激突なんて、激しい銃撃戦でもなきゃ発生しない。
意図的に起こすなんて常人には不可能の領域だ。
俺だってかなりの集中をしても、殆ど成功しない。
今回は上手くいった、あと6発。
「ええい!面倒な!」
「面倒で悪かったな」
言葉を交わしながらも銃弾が飛んでくる。
相手も焦って来たのか狙いが適当だ。
今ので3発。あと3発。
だが特殊部隊の隊長がそれで終わるわけない。
「ぐっ」
「どうだリーパー!」
肩に被弾した。
相手が焦っていると思って油断していた。
これまでの適当撃ちは布石かよ。
痛みで呻くが戦闘不能になるレベルじゃない。
「この!」
「なっ!グハッ」
俺はお返しに発砲、銃弾は左手に命中した。
だがあいつが銃を握っているのは右手だ。
「お返しだ!」
Ghost1の銃撃。
俺は冷静に刀で防ぐ。
肩の痛みで上手く刀を振るえない。
銃も無理だろう。
となると。
「これで終わりだリーパー!」
「いいや、終わるのはお前だ!」
俺は最後に発射された銃弾を避けながら懐からナイフを取り出す。
「なっ!?」
もう遅い。
俺はGhost1の右手をナイフで切り付ける。
もう弾切れのハンドガンじゃ何もできない。
ナイフもさっき弾いた。
「終わりだ」
俺はGhost1の足の腱を切った。
足を切られたことでGhost1は倒れる。
チェックメイトだ。
Ghost1視点
俺は今痛みに耐えながらリーパーを見ていた。
銃は蹴り飛ばされ、ナイフもない。詰みだ。
「ははは、結局お前には勝てなかったか。
なあリーパー、」
「誠斗だ」
「あ?」
「十六夜誠斗。それが俺の名前だ」
「そうか、誠斗。部下の命は助けてくれないか。俺はどんな責め苦でも受ける。
だからあいつらだけは」
「それを決めるのは俺じゃない。ここの管理者だ」
「はは、じゃあ連れてってくれ」
「言われずとも」
リーパー……誠斗は俺の武器を拾った後に俺を担いでこいつの拠点と思わしき館に連れて行った。
館は物凄く紅かった。