誠斗視点
現在、紅魔館のエントランスでGhostが全員縛られて座っていた。
落ち着いた様子のGhost1とGhost2、Ghost5。
少し不安そうにしているGhost4とGhost6。
何を考えているかわからないGhost3。
幻想郷側は、今回の戦闘に参加したメンバーと紫、藍がその場にいた。
最初に紫が口を開く。
「さて、まずは貴方達名前を聞きましょうか。
コールサインでは呼びにくいでしょう」
「………リュウスケ」
最初に答えたのはGhost1だった。
あいつの素顔を見たことがなかったが、名前からして同郷か。
次に答えたのはGhost2だった。
「ユウだよ〜。リュウくんとは幼馴染だよ〜」
「最後の情報いるか?」
「自己紹介の時は必ず言うんだ」
こいつも苦労してそうだな。
まあ、幼馴染って情報は普通の自己紹介では必要っぽいが。
その後、Ghost全員がコールサイン順に答えて行った。
「
「……アカネ」
「イザークと言います」
「れ、レンっす」
全員の自己紹介が終わった。
終わったタイミングで霊夢が疑問を口にした。
「あんた達、苗字は?」
「あ〜、俺達全員孤児でな。
連邦が運営してる孤児院で育ったんだ。
最初から裏の仕事に就かせるつもりだったのか、名前しかないんだよ」
成る程な、捨てられた子どもや親を亡くした子どもを兵士してたのか。
「………つまり、最初から道具として使う前提で?」
「まあそうだな。
ただ、そう言った連中は数年前の内部粛清で大体死んだがな」
「まあ、僕達みたいな兵士はもう増えないと思うよ〜」
Ghost2……ユウがそう言うと、霊夢は納得したような表情を見せた。
改めて、こいつらの処遇を決めるために、紫が口を開いた。
「さて、貴方達の処遇を決める前に前提を話すわ。
こちら側に貴方達を殺すつもりはないわ。
命の保証はしてあげる」
「……いいのか?」
「構わないわ。貴方達に、もう誠斗を害するつもりはないみたいだしね」
「感謝する」
紫は殺さないことに決めたらしい。
リュウスケもホッとしていた。
Ghostの中でも特に若い2人が露骨に安堵している。
「では、私達は無事に元の世界に帰れるという認識でよろしいので?」
「そうもいかないのよ。
まず、貴方達に司令を出していた幹部は、貴方達を切り捨てる気満々だったわよ」
「「「!?」」」
「やっぱりか」
「予想通りって言うか〜」
「まあ、彼は責任を押し付けることはとてもお上手ですし」
若い組が驚愕しているのが伝わる。
一方で年長者組は予想通りと言わんばかりの反応だ。
「貴方達は外の世界へ戻ったとしても、もう連邦には戻れないわ」
「予想はしていた。
だから管理者殿、恥を偲んで頼みたい。
俺達を
リュウスケは土下座をしながら紫に頼み込んだ。
それはもう綺麗な土下座を。
「………」
「頼む。最悪はこいつらだけでも」
「だ〜か〜ら〜、それはカッコ悪いって言ってるでしょ」
「隊長、流石にそれは」
「ダメですねえ」
「「うんうん」」
イザークのやつが皮肉を忘れる程、Ghostの面々はリュウスケの自己犠牲に呆れていた。
まあ、残当なんだが。
「落ち着きなさい。こちらとしては、貴方達が元の世界に戻らないと言うのなら、ここで受け入れるつもりだったわ」
「……良いのか?」
「さっきも同じ質問をされたわ。
答えは一緒よ、“構わない“」
紫は最初から、こいつらが選ぶなら幻想郷で住めるように手配するつもりだったらしい。
「話は纏まった?」
「ええ、彼等はこれから幻想郷で暮らす。
貴方達もそう決めたのでしょう?」
「ああ、そうだ」
「まあ、ぶっちゃけ帰るところないしね〜」
「自分も問題ありません」
「私もですね」
「「俺(私)達も」」
その後はトントン拍子に話が進んで行き、
最終的に、6人は人里に住むことになった。
しばらくは人里の上白沢慧音という人が面倒を見るらしい。
そうして、俺達のドタバタした2日が終わった。
事後処理が終わった後、俺は永遠亭に担ぎ込まれた。
銃創くらい、回復魔法で充分って言ったら、みんなに強制的に引っ張られた。
過保護すぎやしないか。
まだこの時、俺はおろか、この幻想郷の住民全員が、外の世界のイザコザに幻想郷が巻き込まれようとはこの時は
誰も知らなかった。
同日:FIA本部
「連絡がないということは、奴らは失敗したというのか。クソが!」
FIAの本部で1人の幹部が悪態をついていた。
紫に見られていた幹部だ。
彼は保身の為にGhostを切る準備をする。
証拠の捏造だ。これまでもそうやって切り抜けて来た。
だが今回はそうはいかなかった。
「何をやっているのかな?」
「!?」
幹部が声がした方を見ると、そこには欧州系の顔立ちをした女性が立っていた。
「リリス……!一体何のようだ!私は忙しいんだ!」
「いやあ、私は貴方に用事があるのよ。
……貴方、Ghostを動かしたでしょう?」
「!?……何の話だ!私は知らん!」
「顔に出過ぎよ。もうちょっと腹芸ができるようになって貰わないと。
まあ、そんな機会2度と訪れないけど」
女性……リリスが幹部に拳銃を向ける。
当然彼は動揺する。
「ま、待て、まさか私を殺すつもりか。
良いのか?私はこれまでどれだけ連邦に貢献して来たのか知っているだろう?」
「貢献?確かにして来たけれど……それは今回の件の帳消しには使えないわよ」
「だから!それはGhostの独断だ!リーパーの件なんぞ私は知らん!」
彼は必死に弁明するが、リリスはそれを冷めた目で見つめた。
そこからは呆れが読み取れる。
「私は一言もリーパーの事なんて言ってないわよ」
「な!さっき貴様はGhostの件だと言ったはずだ!」
「Ghostを動かした話よ。目的までは言っていない。語るに落ちたとはこの事ね」
幹部は必死に考える。この状況を打開する方法を。
「……何が望みだ?金か?地位か?欲しければ何でもくれてやる!」
「そうね……じゃあ貴方の命でも貰いましょうか」
賄賂すらも通用しない。
幹部は観念したのか逆に開き直る。
「ふふ、確かに今回Ghostを動かしたのは私だ。
だが元はと云えば貴様が発端だろう!」
「………」
「貴様がリーパーが殺し屋を辞めるのを認めたから!
だから私が代わりに機密を守ろうとしまでだ!責任があるのは貴様だ!」
「ここまでくると、呆れを通り越して何の感情も湧いてこないのね。
それに、リーパーのことは幹部会で決まったことよ。私の能力で制限もかけた。
これは私の独断ではなく、FIA全体の判断よ」
「なっ!そんなの私は知らないぞ!」
「当たり前でしょ。貴方は会議に参加していなかった。
でも議題と結論は全て送られている筈よ」
幹部は焦る。確かに会議内容は見たし、結論も知っていた。
ただ気に食わない。道具風情が一丁前に人間らしく生きようとしたのが彼にとっては気に食わなかった。
「ふ、ふん!あの道具に情でも湧いたのか?そんな甘い判断で本当に秩序が守れるのか!」
「思ってもいないことをペラペラと、そこだけは尊敬できるわね。
一つだけ言っておくわ。連邦は変わったの。もう貴方達の時代は終わった」
「ホザけ若造!」
幹部は懐から銃を抜く。
しかし、横から1発の銃弾が彼の右手に命中した。
「ぐっ。な、なんだ?」
「最期にいいことを教えてあげる」
「き、さま!」
「これは私による私刑じゃない、統括の判断よ」
「え?」
パアンと乾いた銃声が室内に響き渡った。
幹部は額から血を流しながらその場に倒れた。
その瞬間、暗闇から1人の特殊部隊員が出て来た。
「ありがとうトドメはささせてくれて」
「礼など良い。そう言うオーダーだ」
「……Ghostの穴は貴方達が埋めることになるわ。
補充が入るまで頼んだわよ、Shadow1」
「
そうして2人は、死体処理を要請してから部屋を出た。
キャラ紹介
リリス
種族:人間
年齢:不詳
能力:
地球連邦情報局、通称FIAの幹部である女性。
誠斗の依頼担当者。彼が殺し屋を辞めたいと申し出た際に自身の能力で機密漏洩をしないように縛り、辞めることを認めた。
能力の絶対遵守は相手と縛りを結び、それは遵守させる。縛られた相手は、縛りを破ろうとするとペナルティをくらい
程度によっては死に至る。能力効果自体は強力だが、縛りは相手の合意もあって初めて効果を発揮する為、
使い勝手が悪い。
幹部
FIAの幹部。男性。保身しか考えていない典型的なクズ。特殊部隊や殺し屋達のことを道具としか見ていなかった。
今回の件が要因となり処分が決定、リリスに粛清された。
世界観設定
数年前の内部粛清
本編開始の数年前に発生した連邦内の大粛清。
発端はこれよりも更に十数年前の当時の科学部門統括の失脚が起因しており、連邦内で多数派だった過激派の一掃を図ったもの。主だった過激派幹部が粛清されることになったが、当時は一般職員だった過激派が現在は幹部に上り詰めている例もあり、未だに火種を抱えている状態。