東方葬想録   作:KUS

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第2章 誠斗と紅魔館
誠斗の過去


霊夢視点

 

私は今紅魔館に来ていた。

目的は誠斗の事だ。

紫があいつを気にかけている理由を本人に聞きたかったが、

あいにく未だに後処理に奔走している。

各勢力のトップを集めて会議をやってるらしい。

永遠亭に行って入院中の誠斗にも聞いてみたが、

「知らね」と言われてしまった。

じゃああとは誰に聞くかと言ってら、レミリア達紅魔館のメンバーくらいだろう。

レミリアは事件の当事者だが、説明は紫が全部やるってなったから館にいる筈だ。

 

今は咲夜と凌牙は買い物で不在だった。

だからか美鈴に案内されてレミリアの所へ行くことになった。

レミリアはテラスでパチュリーとお茶を飲んでいる真っ最中だった。

いわゆるティータイムというやつだろう。

 

「あら霊夢、来たのね」

「レミリア、あんたに聞きたいことがあるんだけど」

「スキマ妖怪が誠斗のことを気にかけてる理由でしょ?

 残念だけど、私は知らないわ」

「そう……」

「それにしても、自分に関係ない事をそんなに気にするなんて……

 貴方も入れ込んでるわね、あの子に」

「……何が言いたいの?」

「別に〜?」

 

ほんとに何を言いたいんだこいつは?

まあそれはそれとして、

 

「邪魔して悪かったわね。知らないならしょうがないわ」

「ああ、待ちなさい。あの子のことを知れば、もしかしたら推測できるかもしれないわよ」

「……レミィ、言っても良いの?

 凌牙や剣はおろか、咲夜にすら言ってないのよ」

「何、あいつの事は禁忌か何かなの?」

「そうではないんですけど……何というか、あまり人に言いふらして良いのかどうか……」

 

美鈴が歯切れ悪く答えた。

一体何があるって言うのよ。

それに咲夜達にも言ってないなんて。

 

「霊夢、これは咲夜達には言わないでおいてあげ欲しいのだけど」

「どうして、親友や妹に話しちゃいけない何かがあるの?」

「………今から話すのは、あの子が紅魔館に初めて来た時の話よ。

 話さないで欲しい理由は……その内わかると思うわ」

 

「あれは今から10年前のことね」

 

私はレミリアの話を聞き始める。

それは誠斗の過去、今のあいつの原点と言ってもいいものだった。

 

 

三人称視点

 

10年前:欧州のとある人里離れた地

 

「美鈴、急いで!ずぶ濡れになるわよ!」

「ま、待って下さいよセリアさん!」

 

雨が降る中、2人の人物が袋を抱えながら走っていた。

1人は美鈴だ。もう1人は格好からメイドだと分かる。

彼女はセリア・グレイス、紅魔館のメイド長だ。

2人は近くの村へ買い出しに出ていた。

その帰りに雨が降り始め、段々と強くなっている。

このままだと自分はおろか、買った物までずぶ濡れになる。

なので2人は紅魔館へ向かって猛ダッシュをしていた。

 

「セリアさん、そこで雨宿りしましょう」

「ええ、雨も強くなっちゃったし」

 

しかし、雨が想定よりも早く強くなってしまった為、

2人は近くにあった木々の下でやり過ごすことにした。

 

「はあ、帰ってシャワーを浴びたい」

「にしても凄い雨ですね」

「全くね、ここら辺はこんな大雨なんて滅多に降らないのに」

「これ、暫くは止みませんよね?」

「多分ね………待って美鈴、あそこに誰か倒れてない?」

 

セリアの目線の先には確かに倒れている人影があった。

歳は大体10歳辺りのの少年だ。

セリアが近寄ると、その少年が傷だらけであることが分かった。

 

「ちょっと美鈴!この子怪我してる!」

「え、うわ!ホントだ。血も流してる」

「急いでこの子運ぶわよ!」

「運ぶって何処に?」

「紅魔館に決まってるでしょ!ほら私がこの子運ぶから荷物持って!」

「は、はい!」

 

セリアが少年を抱え、荷物は全て美鈴が持ち、2人は再び屋敷に向かって猛ダッシュを始めた。

 

15分後、2人は紅魔館に到着し、少年の手当てをしていた。

 

「全く、2人とも珍しいものを拾って来たわね」

「すいませんパチュリー様、回復魔法を使ってもらって」

「良いわよこのくらい、それはそれとして、レミィにどう報告するの?」

「………ありのままを報告します。

 パチュリー様にはこの子に関する事を調べてもらっても良いですか?」

「分かったわ。美鈴、この子が倒れてた場所へ案内して」

「分かりました」

 

美鈴とパチュリーの2人はそう言って部屋から出た。

セリアは引き続き看病を続けた。

 

数時間後、少年がゆっくりと目を開けた。

 

「………ここ、は?」

「起きたのね、良かった」

「お姉さん、誰?」

「私?私はセリアよ。セリア・グレイス。貴方は?」

「………十六夜、誠斗」

「誠斗くんね。じゃあ誠斗くん、貴方は何処から来て、何であそこに倒れていたの?」

 

セリアは少年……誠斗に質問をした。

彼の素性を知るために。

しかし、彼から返ってきたのは想定外の言葉だった。

 

「何処、から?………何処だっけ?

 あれ、僕は誰だっけ?」

「えっ………?」

 

誠斗は、自分の名前以外の事を覚えていなかった。

 

「で、それが事の顛末かしら?」

「はい、お嬢様」

 

セリアは今、自分の主であるレミリアに誠斗の事を報告していた。

 

「お嬢様、彼をここで面倒を見ても良いでしょうか」

「……理由を聞かせてくれるかしら」

「あの子の年齢は、おおよそ10歳前後、しかも記憶喪失です。

 それに、ここら辺はモンスターの出没が多い。子どもを1人で放逐するのは流石に……」

「……はあ、分かったわ。その人間の居住を認めるわ。

 但し、面倒はセリア、貴方が見なさい。良いわね?」

「は、はい!ありがとうございます!」

 

セリアはその言葉を聞いて、顔を輝かせた。

早速、彼女は誠斗の生活スペースを作りにいった。

 

当然、1人にするのは不安なので、自室に作ることになった。




キャラ紹介
セリア・グレイス
種族:人間
年齢:18歳
10年前に紅魔館でメイド長をしていた人間の女性。
記憶喪失だった誠斗を美鈴と保護して看病をした。誠斗が紅魔館に住めるようにレミリアにも取り計らっている。
戦闘能力はそれなりにあるが、美鈴やコアに比べると弱い。
ただ体力はあったらしく、美鈴が一緒に走ると彼女が疲れる中、息切れすらしていなかったらしい。
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