三人称視点
「と言うわけで、今日から一緒に暮らす誠斗くんです。
じゃあ、自己紹介しよっか」
「い、十六夜誠斗です。よ、よろしきお願いします」
「は〜い、よろしくね。ほーら、みんなも」
「いや“ほーら”じゃねえよ!いつの間にそんなの決まったよ!」
「さっきお嬢様には許可は貰ったわ。これで文句なしよね“ファング“?」
「お、お嬢様が!?」
紅魔館の食堂に複数人の人影が集まっていた。
全員この館の住人だ。
セリアと話していたのは、彼女の部下のメイド、ファング・ヴェアヴォルフ。人狼だ。
「お嬢様が許可を出したのなら、俺からは異論はない」
「私も、レミィが良いなら私も特に異論はないわ」
次に答えたのはパチュリーと袴を来た男性だ。
彼は夜中無月、レミリアの護衛の妖怪だ。
「初めまして、紅美鈴って言います。よろしくお願いしますね」
「私は小悪魔。パチュリー様の使い魔です。コアって呼んでください」
美鈴とコアは普通に自己紹介をした。
それを見てセリアは目を輝かせながら他の3人の方を向く。
「美鈴とコアは自己紹介しましたよ。さあ3人も」
「はあ、パチュリー・ノーレッジよ」
「夜中無月」
「ちっ、ファング・ヴェアヴォルフだ」
「はあいファング、その舌打ちは何かな〜?」
「ひえ」
セリアがファングに圧を掛けている間、無月はパチュリーと美鈴に調査結果を聞いていた。
コア?まだ不安そうな誠斗を紅魔館に慣れさせるために一緒に部屋を出たよ。
「それでパチュリー様、あいつは何処から来たんだ?」
「美鈴に案内してもらって行ったあの子が倒れていた場所、そこから時空間の乱れの跡が見つかったわ」
「成程飛ばされたのか。元は?」
「分からないわね、あの子の顔立ちは日系だけど……」
「日系人なんて世界中にいるだろ」
「世界中って事はないと思いますけど……アメリカとか豪州とかにもいますしね、特定は出来そうにないですか」
「時間を掛ければ特定できない事はないけど……」
3人は思案する。
その時、魂が抜けたファングを文字通り引っ張ってセリアが来た。
どうやら相当絞られたらしい。
「あの、誠斗くんは何処へ?」
「さっきコアが連れてったわよ。案内するって言ってたわ」
「それは私の役割……」
「ファングに構わなければ良かっただけだろ」
「それはそうなんだけど……」
「まあ、コアなら悪いようにはしないと思いますし、
取り敢えず、あの子の事を考えましょうか」
美鈴のその提案にその場の全員が頷き、大図書館に移動した。
一方、誠斗を連れたコアは紅魔館のエントランスへ来ていた。
「ここがエントランスです。広いでしょ」
「うん、広い」
「地下の大図書館を除けば、多分ここが一番広いですね」
「そうなんだ」
「次は大図書館に行きましょうか」
既に殆どの部屋を回っており、あと残っていたのは大図書館だった。
誠斗はコアにすっかり懐いているようだった。
あの場にいた、セリア以外の面々に対して出ていた警戒心が薄れている。
「誠斗くん、何か思い出せそうですか?」
「うーん……」
記憶喪失は時間経過で回復する事が可能だ。
だが、
「わかんない」
「そうですか……」
それには当然個人差がある。
更に、原因によっては時間経過ではどうにもならない事もあるのだ。
「取り敢えず、大図書館に行ってみましょうか。
あそこはたくさん本があるので、もしかしたら記憶を戻す方法があるかもしれません」
「……うん!」
そうして2人は、大図書館に向かって歩き出した。
一方、大図書館に着いたセリア達5人は、改めて誠斗の今後の事を話し合っていた。
「まず、あの子は私の自室で世話をします。異論はありませんね?」
「それは良いけどよぉ、問題はあいつの記憶が戻った後だろ?」
「そうね、レミィに記憶が戻るまでって言ってしまった以上、
それ以上は面倒は見れないと思うわね」
「記憶喪失の原因が分かればいいんですけど……」
「記憶喪失の原因は多種多様。頭を打っただけな事もあれば、精神的な要因の可能性もある」
「あの子の事を知らなければ何もできないってことかなぁ」
「そこはこれからの交流で知っていくしかないわね」
ひとまず、方針は決まった。
パチュリーは引き続き時空間の乱れで、誠斗が倒れていた場所と何処が繋がったのかの調査。
基本的に世話はセリアが担当する。
外に出すのは不安がある為、外出は制限。
最後に関してはセリアが苦い顔をしていたが、理屈では分かっているのか、渋々と頷いた。
その後、大図書館に来たコアに、今決めた方針を伝え、誠斗は、もう夜も遅いのでセリアと部屋に戻った。
キャラ紹介
ファング・ヴェアヴォルフ
種族:人狼
年齢:不詳
紅魔館でメイドとして仕えている人狼の女性。
性格は荒々しく男勝り、ただ面倒見は良い姉御肌な人物。人間の事を下に見ている節がある。
ただ上司のセリアには頭が上がらない。
戦闘では二丁のサブマシンガンを愛用。ただ蹴りなどのインファイトも得意。
人類らしく狼に変身できる。眷属の狼が多数いる。
夜中無月
種族:妖怪
年齢:不詳
レミリアの護衛を務めている妖怪の男性。
袴姿で腰に帯刀をしている。レミリアの言葉には原則従う。性格は冷静で物静か。
名前から分かるように日本出身。戦闘では剣を使った接近戦を行う。斬撃を飛ばしたり、畝らせたりと多芸。
全部技量でやっている。