セリア視点
誠斗くんが紅魔館に来て半年、もう大分慣れたみたい。
最初は不安そうにしていて、私とコア以外に心を開いてなかったんだけど、
今は普通に話す程度になっていた。
最初に警戒心が薄れたのは美鈴だった。
まあ、これは予想通り、美鈴は愛想が良い方だからね。
意外にも、次に懐いたのはファングだった。
ファングは人間を見下してる節はあるし、初対面の相手にはキツイけど、なんだかんだで面倒見は良い。
館の中で迷子になってた誠斗を案内したり、お菓子をあげてる内に懐かれたみたい。
鬱陶しそうにしてるけど、本気で嫌がってない辺り、本人も満更じゃないんだろう。
その次に懐いたのはパチュリー様。
半月くらい経った頃から、誠斗くんは大図書館で本を読むようになった。
その時に本の場所を教えてもらったり、魔法を見せてもらったりしてたらしい。
……一番遅かったのが無月。
無月は愛想が良いとは言えないし、基本的にお嬢様の傍にいるから、交流の機会が少なかったんだろう。
まあ、無月も面倒見が良い方だ。何度かお話をしてたら懐かれたって言ってた。
今日も誠斗くんは大図書館に来て本を読んでいる。
私はその付き添い。
そんな中、誠斗くんがブツブツと何かを唱えた。
すると、誠斗くんの指からバチバチと光が出た。
「えっ!?今のって魔法?」
「わあ、凄いですね、まだ小さいとは云え、雷を出すなんて」
今の光は雷だったらしい。
一緒にいたコアも驚いている。
そんな時、パチュリー様が誠斗くんの方へ向かって来た。
「……今の魔法ね。独学?」
「……本の通りにやったらできた」
「凄いわね、素人がこんなにあっさり」
どうやら今の出来事はパチュリー様から見ても凄い事らしい。
「………ねえ誠斗、良ければ魔法を教えてあげましょうか?」
「……良いんですか?
…………教わりたいです」
「そう、セリアもそれで良い?」
「私は特に異論はありません。
それに自衛が出来るようになれば、外へ連れて行けますし」
私はもちろん賛成だ。
護身が出来るようになれば、一緒に外へ行けるようになる。
それに、パチュリー様が教えるなら危険はないだろう。
「それじゃあ魔力測定と適正診断からやるわね。
少し待ってて、準備してくる。コア、来なさい」
そう言って、パチュリー様はコアを伴って奥へ消えていった。
数分後、色々魔導所をコアが抱えながら戻って来た。
パチュリー様も数冊抱えている。
そして、測定が始まった。
測定は思いの外早く終わった。
さて、結果はどうかな?
「………驚いたわね」
「パチュリー様、何かあったんですか?」
「いえ………この子、魔力と霊力の両方を持っているわね」
「え、そうなんですか!?」
「普通は人間はどっちか一つしか持てない筈、どう言う事なの?」
「基本がそれであって、両方持ちは割といるわよ。と言っても数億に一人の割合だし、バランスが保てなければ、
母親の胎内から出る前に死亡するのが殆ど。
誠斗は数百年に一人の割合でいる、奇跡的に魔力と霊力のバランスが保たれている人間よ」
まさか誠斗くんがそんな特別な人間だとは……
今日は色々驚いてばかりね。
「適正は雷ね。ただ攻撃魔法に適正がない。
さっき雷属性の初級攻撃魔法が静電気レベルでしかなかったのもこれが原因ね」
「じゃあ、魔法で直接戦闘は出来ないんですね」
「見たい……一緒に外に行けると思ったのに……」
「あの……ごめんなさい」
「ああ、ごめん、誠斗くんの事を責めてるわけじゃないよ」
誠斗くんが凄く申し訳なさそうに謝って来たので急いで訂正した。
そうこうしている内にパチュリー様が続きを話し始めた。
「安心して、攻撃魔法は無理だけど、付与魔法には適正があるわ。そっちを教えるわね」
「あれ?でも付与魔法って武器がなきゃ意味がなかった筈では?」
「…………そうだったわね」
「じゃあ、覚えても宝の持ち腐れじゃないですか」
結局、魔法を覚えても意味がなさそうだった。
私がガックリと項垂れていると、誠斗くんが頭を撫でてくれた。
年下に慰められる私って一体?
少し惨めな気持ちになっていると、パチュリー様がある提案をして来た。
「なら、無月とファングに武器の扱いと技術を学んだらどうかしら?」
「良いですね!序でに美鈴さんにも霊力の使い方を教えて貰うのはどうでしょう?」
「いや待ってください!美鈴は兎も角、他二人は絶対手加減ができませんよね!?」
「大丈夫よ、多分」
「今多分って言いましたよね!?パチュリー様!?」
私がパチュリー様に抗議していると、誠斗くんが真剣な顔でこちらを向いた。
「……僕、教わりたいです」
「ッ……!?大丈夫なの?あの二人は……」
「大丈夫だよセリアさん。それに……
いつまでもお世話になりっぱなしは嫌なんだ」
誠斗くんの覚悟を聞いた私は、それに反対出来なかった。
流石に過保護が過ぎたのかもしれない。
「………決まりね。無月とレミィには私から話を通しておくから、貴方達はファングと美鈴に話を通しなさい。
私も魔法を教える準備とかしておくかrゲッホゲッホ」
「「「パチュリー様(さん)!?」」」
私達はパチュリー様を寝室に運んだ後に、ファングと美鈴の所へ行った。
美鈴は快諾、ファングも予想に反してあっさり頷いた。
もっと嫌がると思ってたけど。
……まあ嫌な顔したら私が圧をかければ良いんだけど