三人称視点
「……今から稽古を始める。誠斗、木刀を持て」
誠斗に修行をすることが決まった日から2日、紅魔館の敷地内広場に無月と誠斗が向かい合っていた。
近くではセリアとコア、美鈴が見守っている。
「まずはどれくらい出来るかを見る。相手はこの絡繰人形、
怪我はしないようにするが、万が一の時は止めに入るぞ」
無月の隣に立っていた木製人形が動き出す。
彼が趣味で作っている模擬戦用の絡繰人形だ。
誠斗は木刀を握り、構える。
その動作はとても素人には見えなかった。
「………では、始め」
無月の声と共に、絡繰人形が木刀を振りかぶる。
誠斗はその攻撃を受け流した。
受け流しは体や武器を使い、相手の力を利用して攻撃を逸らす防御方法だ。
言うのは簡単だが、実際に実行するには様々な技術が必要だ。
素人が簡単に出来るようなものではないだろう。
その後も、誠斗は絡繰人形の攻撃をいなしつつ、隙を見て頭に一撃を入れる。
一撃を受けた絡繰人形は、頭にヒビが入り、一瞬ふらつく。
その一瞬を逃さず、誠斗は渾身の一撃を叩き込んだ。
その一撃は、既にヒビ割れていた頭部を粉砕した。
「…………」
「「「嘘でしょ………」」」
無月は黙ってそれを見届け、他3人は唖然としていた。
戦えない子どもと思っていた子が、こんなにあっさり勝ったら、当然唖然とする。
「えっと……終わりました」
「………よくあんな動きが出来たな」
「えっと、なんか体が覚えてるって言うか、自然にこうすれば良いって頭に浮かぶって言うか」
「なるほど、もしかすると元々剣術を習っていたのかもな。
そうなると、メニューを作り直す必要があるか」
無月は初心者用の修行内容を考えていた。
だが、あの動きなら基礎は流しで良いと感じた。
だから、内容を見直すことにした。
「3人とも、俺は修行内容を練り直すから、先にファングのとこに行ってこい」
「「は、はい!」」
「誠斗くん凄いね!」
「セリアさん、ありがとうございます」
無月の言葉に、未だフリーズしていたコアと美鈴が慌てて返事する。
一方セリアは、誠斗を褒めながら頭を撫でていた。
誠斗達は、ファングが使っている射撃場にきていた。
そこではファングが銃を見繕いながら待っていた。
「おっ、きたな。割と早く終わったな、ガイダンスだけだったか?」
「いいえ、誠斗くんが凄すぎてメニューの見直しをするみたいよ」
「なんであんたが誇らしげなんだ?」
セリアからムフーという擬音が聞こえて来そうだった。
それくらい誠斗の事を誇らしげにしているという事なのだが……
因みに美鈴は門番の仕事に戻っている。
さっきは外でやっていたので見に来れただけだ。
なので、この場には誠斗、セリア、コア、ファングの4人だけである。
「さてと、あたしが教えるのは銃器の扱いだな。
誠斗、教える前に銃を決めろ、ここに一式揃えた」
そう言ってファングは机の上を見せる。
そこにはファングが普段射撃訓練で使っている銃器が揃っていた。
彼女が愛用するSMGの他に、AR*1、MG*2、HG*3、RPG*4」まである。
「……この中から選べば良いの?」
「おう、そうだ」
「ねえファング、明らかに初心者に持たせて良い代物じゃない物ばかりに見えるんだけど」
「まあ確かにRPGは初心者には無理か」
「そうじゃなくてね、マシンガンとか初心者にしかも子どもにどうやって使わせるつもりだったの?」
「そこはコアの魔法でチョチョイと」
「私任せだったんですか!?」
コアが抗議の声を上げる。
3人がギャアギャア言っている間も、誠斗は銃を選んでいた。
「……これが良い」
「おっ、ハンドガンか」
「良かった、まだあの中じゃマシね」
(ホッ)
「ねえ、これなんて名前?」
「そいつはトカレフだな。ソ連製のハンドガンだ」
「撃ってもいい?」
「まあ待て、まずは反動の抑え方を教えるから」
そうして抑え方を教わった誠斗は、早速試射をする。
「よーく狙えよ。まあ、初心者だから的に当たる事hドォーン……マジか」
誠斗の放った弾丸は、的に命中していた。
「驚いた、初めてで的に当てるとは」
「しかも真ん中とは言いませんが、割と中心寄りですね」
「凄い誠斗くん!」
「あんたは母親か?」
「もう母親みたいなものでは?」
セリアはもう誠斗のお母さんポジションだった。
こちらも基礎は流しで教わることになった。
最後に美鈴の所へ誠斗達は来ていた。
彼女からは霊力の扱いを学ぶ予定だ。
「それじゃあ始めますか。と言っても、私が教えれるのは霊力で気を使う方法ですが……」
「大丈夫です」
「そうですか、では始めましょう」
そうして修行が始まった。
これまでは初心者とは思えない才能を見せた誠斗だったが、流石に霊力関係は本当に素人だったようで、
マトモに修行になっていた。
覚えが早いのか発勁を1日で出来るようになっていたが。