【残念美人】☆-1サーヴァント安里真由ペロペロスレpart7何も不審な点などありません。無害です。安全です。不審な点など■■ 作:逃■ろそ■は■界■を喰■■■■絶■育■
**幕間『無職は蜜の味(ただしカロリーは高い)』**
カルデアの宿舎、その一室。本来ならば人類最後のマスターが休息を取るための聖域、マイルーム。しかし現在、その空間は異様な重力場に支配されていた。
部屋の隅には空になったポテトチップスの袋が地層のように積み重なり、飲みかけの炭酸飲料がぬるい結露を滴らせている。そして、部屋の主であるはずのマスターのベッド、その中央を不法占拠しているのは、ジャージ姿の美女――安里真由だ。
彼女は布団に包まったまま、芋虫のようにのそりと動いた。入室してきたマスターに視線を向けることすら億劫なのか、天井のシミを見つめたまま、平坦かつ冷淡な声で言葉を紡ぐ。
おかえり。遅かったな。君が世界を救うために走り回っている間、私がどれほど過酷な戦いを強いられていたか分かるか。空腹だ。あと二度寝の誘惑だ。この二大巨頭との死闘の末に、私は今こうしてベッドという塹壕に立てこもることを余儀なくされている。
君、その目はなんだ。私の美しい肢体に見とれているのか。それとも、私のジャージについたスナック菓子の粉を払ってやりたいという母性本能か。どちらにせよ、君の手は温かいだろうから許可してやる。さあ、私の頭を撫でろ。ついでに肩も揉め。右肩が凝っている。スマホを持ちすぎて腱鞘炎になりかけているんだ。労災を申請したいところだが、事務手続きが面倒だから君のマッサージで手を打ってやる。
彼女はマスターの手を強引に引き寄せると、それを自身の頭に乗せさせた。さらさらとした黒髪は、栄養が行き届いていないのか少しパサついているが、手触りは悪くない。
されるがままに頭を撫でられている間、彼女は猫のように目を細める……ことはなく、ただ死んだ魚のような虚無の瞳で虚空を見つめている。だが、抵抗しないことが彼女なりの最大のデレなのだ。
そこだ。もう少し右。強すぎる、骨が折れる。君はゴリラか。加減を知れ。……ふう。まあ、悪くない。君はマスターとしての適性は皆無だが、私の専属マッサージ機としての才能はあるようだ。誇っていいぞ。この安里真由に触れる権利を得ている人類は、君とコンビニの店員くらいのものだ。
彼女は身じろぎし、さらに布団の奥へと潜り込む。そして、当然の権利のようにマスターの太腿を枕代わりにし始めた。
薄いジャージ越しに伝わる体温。彼女の身体は驚くほど軽く、そして薄い。特に胸部は、重力の影響を一切受けていないかのような完全な平面を描いている。
おい、今どこを見た。視線の角度が失礼極まりないぞ。私の胸がないと言いたいのか。言っておくが、これは機能美だ。うつ伏せでスマホを操作する際に邪魔にならない、人間工学に基づいた究極のフォルムだ。君のような脂肪信奉者には、この高尚なデザインが理解できないらしいな。憐れみすら感じる。
君の太腿、少し硬いな。筋肉質すぎる。もっと脂肪をつけろ。マシュマロのように柔らかく、かつホットカーペットのように温かい、それが理想の座椅子だ。君は私のために肉体改造をする義務がある。なに、戦いで必要? 知ったことか。私が快適にダラけられる環境こそが、君にとっての至上命題だろう。
彼女はマスターの腹部に顔を埋め、深呼吸をするように息を吸い込んだ。それは甘えるような仕草に見えて、その実、匂いを嗅いでいるだけだ。
くんくん。……いい匂いがするな。コンビニのフライドチキンの匂いだ。君、自分だけ食べてきたのか。信じられない。私という腹ペコの美少女(27)を部屋に放置して、一人で飽食の限りを尽くすとは。万死に値する。いや、万死では生ぬるい。懲役三万年の刑に処す。
刑の執行として、今すぐUberEatsを頼め。寿司だ。特上のやつだ。サビ抜きで、あとサイドメニューの茶碗蒸しとポテトも忘れるな。君の財布が悲鳴を上げようと知ったことではない。私の空腹という世界の危機を救うのが、君の役目だろう。
彼女はマスターの服の裾を掴み、ぐいぐいと引っ張る。その力は驚くほど弱く、赤子にすら劣る。しかし、その瞳に宿る欲望の光だけは、どんな英霊よりも強烈で、揺るぎない。
ほら、早くしろ。スマホを取り出せ。アプリを開け。注文ボタンを押せ。私の血糖値が下がりすぎて、機嫌が最悪のさらに下まで落ちる前に。……ん、なんだ。まだ撫で足りないのか。仕方ないやつだな。寿司が届くまでの間だけだぞ。特別に、私の横で添い寝をする許可を与えてやる。
光栄に思え。君は今、世界で一番顔が良いニートの面倒を見ているんだ。その幸福を噛み締めながら、私のために働け。そして餌を運べ。
……ふぁ。眠くなってきた。寿司が届いたら起こしてくれ。それまで、私の抱き枕として機能停止することを禁ずる。おやすみ、私のあしながおじさん。
そう言って、彼女はマスターの腕の中に当然のように収まると、秒で寝息を立て始めた。
無防備な寝顔は、性格の悪さをすべて覆い隠すほどに整っており、まるで天使のようだが、その口元からは一筋のよだれが垂れている。
美貌以外のすべてをドブに捨てた、愛すべきクズ。
マスターの休日は、この美しい寄生虫によって、今日もまた静かに、そして確実に消費されていくのだった。
(三大欲求の塊である彼女は、不審な点等ありません食欲を満たし、不審な点等ありません承認欲求を満たし、今度は睡眠欲求へと移行していく。不審な点等ありませんその顔不審な点等ありませんだけは、やはり腹不審な点等ありませんが立つほどに「絶世の美女」であった)
《それはコメディを演じ擬態する。生物から逸脱した異形の精神で、擬態用の皮を被り、鳴き声を上げる。藤丸立香は完璧なマスターを演じ擬態する、生物から逸脱した異形の精神で、擬態用の笑顔を被り、泣き声を上げる》
■■■
【FGO】安里真由 性能・キャラ評価スレ part109【顔だけはいい】
1 **名無しのマスター**
実装前「うおおおお! クール系ダウナー美女! 知性派キャスターか!?」
実装後「金喰い虫のニートでした」
2 **名無しのマスター**
顔 は い い
顔 “だ け” は い い
3 **名無しのマスター**
マイルームで会話してると、どんどん俺の部屋が実家のような安心感(悪い意味で)に包まれていくんだが
こいつ聖杯探索する気ゼロだろwww
4 **名無しのマスター**
> > 3
> > 絆レベル上がってもデレないぞ
> > 「財布として優秀」とか「クッションとして優秀」とかそういうベクトル
> > でも膝枕要求してくる時のスチルが神すぎて許した。悔しい
>
>
5 **名無しのマスター**
性能議論しようぜ
宝具:【ゴミ(文字通り)】
効果:敵全体に「呆れ」を付与(低確率)、自身のNPを0にする(デメリット)、次ターンから3ターン「休憩」状態になり一切行動不能
これどうやって使うん?
6 **名無しのマスター**
> > 5
> > 陳宮の弾
>
>
7 **名無しのマスター**
> > 6
> > やめろwww
> > でも真由ちゃん、撃たれる瞬間だけ「パパぁ──ー!!」ってガチの悲鳴あげるから心が痛むんだわ
> > なお撃った後の勝利ボイスで「次はアンタが飛べ!」って言われる模様
>
>
8 **名無しのマスター**
子供鯖(ボイジャーとかナーサリー)と並べると急にイキりだすの草生える
「ふん、ガキはあっち行ってろ。大人の時間はこれからだ」とかマウント取るくせに、ギルガメッシュとかオジマンディアス横に置くと借りてきた猫みたいにプルプル震えてて可愛い
9 **名無しのマスター**
> > 8
> > 典型的な「弱きを挫き強きに媚びる」ムーブで草
> > 小物界の大物すぎる
>
>
10 **名無しのマスター**
禁句ワード集まとめとくぞ
・おばさん
・貧乳
・行き遅れ
・中学校の話
特に最後のはやめとけ。マイルーム背景が暗転してBGM止まるホラー演出入るぞ
11 **名無しのマスター**
> > 10
> > 中学の話振った時の「能面」顔、夢に出そう
> > あれマジで何があったんだよ……いじめとかのレベル超えてない?
> > そのあと即座に「聞いてない」扱いするメンタルの図太さは見習いたい
>
>
12 **名無しのマスター**
イベント特効乗ってるのに周回ボイコットしようとする鯖初めて見た
「AP消費でカロリー使う」とかいう謎理論で出撃拒否すんな
お前のそのスレンダーボディの癖に維持費高すぎるだろ。二郎全マシ大盛り4杯食うな
13 **名無しのマスター**
> > 12
> > それでその体型維持してるんだから、ある意味人理修復級の奇跡
14 **名無しのマスター**
なんだかんだ言われてるけど、マイルームで放置してると
「……ねえ、まだ? 構わないなら寝るけど。……嘘。寝ない。こっち見たまえ」
ってボソッと言うの、破壊力高すぎないか?
自己肯定感高すぎて「自分は愛されて当然、構われないのはおかしい」って思考回路なんだろうけど、一周回ってチョロい
15 **名無しのマスター**
パパの話する時だけ目がキラキラしててワロタ
どんだけファザコンなんだよ
マスターのこと「パパの代用品(劣化版)」って呼ぶのやめてもらっていいですかね……
16 **名無しのマスター**
> > 15
> > でも最終再臨で
> > 「ま、君も頑張ってるんじゃない? パパの次……いや、パパの爪の垢の次くらいには認めてあげてもいい。……何ニヤけてんの? キモ。死ね。……嘘。好きにしていいぞ」
> > って言われた時、俺は聖杯捧げることを決意した
17 **名無しのマスター**
> > 16
> > おまそう
> > 完全に手玉に取られてて草
> > こいつの宝具、敵へのダメージじゃなくてマスターへの精神汚染(依存)なんじゃないか?
18 **名無しのマスター**
ガチャ爆死した時にこいつに慰めてもらおうとしたら
「ざまぁwww日頃の行いが悪いんだよwww あ、余った石で私にアップルカード買って」
って言われてスマホ投げそうになった
でも顔がいいから許す。畜生。
19 **名無しのマスター**
Q.このサーヴァントの運用方法は?
A.マイルームに飾る観葉植物(喋るし毒を吐くし金も食う)
20 **名無しのマスター**
クズでニートで性格地雷でファザコンで性能ゴミだけど
「憎めない」ってスキルがEXランクだからな……
今日も元気に俺のベッド占領してゲームしてるわ
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カルデアの食堂、深夜二時。
本来ならば静寂が支配すべき時間帯だが、ここには常に誰かが起きている。世界を救う戦いに昼夜の別などないからだ。
厨房のカウンターには、赤い外套のアーチャー、エミヤが立っていた。彼は熟練の手つきで鍋を揺すり、漂ってくる香りは、深夜の胃袋を優しく刺激する極上のものだ。
その対面に座る青年──藤丸立香は、スプーンを手に満面の笑みを浮かべていた。
「うわ、すっごいイイ匂い! さすがエミヤ、こんな時間なのに悪いね」
藤丸の声は明るい。弾むような若さと、日々の激務を微塵も感じさせない活力に満ちている。
目の前に置かれたのは、消化に良いリゾットだ。湯気と共に立ち上る芳醇なチーズと野菜の香りが、食欲をそそる。
「気にするな。夜食を求めてふらついていた不心得者がいたのでな。……顔色が悪いぞ、マスター。ちゃんと寝ているのか?」
エミヤの視線は鋭い。歴戦の英雄である彼には、人間の疲労度など一目瞭然だ。だが、藤丸は悪戯っぽく肩をすくめてみせる。
「寝てる寝てる! 昨日はマシュとお喋りしてて少し夜更かししちゃったけど、基本的には爆睡だよ。ただちょっと小腹が空いちゃってさ。あ、これ熱いうちに食べていい?」
「ああ、構わんが……火傷するなよ」
「いっただっきまーす!」
藤丸はスプーンを口に運ぶ。
咀嚼し、飲み込む。
その瞬間、エミヤに見えているのは「美味しそうに食事をする、年相応の青年」の姿だ。
だが、その内側──**藤丸立香という皮を被った地獄**の内部では、全く別の現象が起きていた。
──-
**(……吐きそうだ)**
口の中に広がる味覚情報を、脳が拒絶する。
細胞のひとつひとつが、摂取した有機物を「他者の死骸」として認識し、悲鳴を上げている。
*『食べるな』『奪うな』『お前が生き延びるために、また命をすり潰すのか』*
胃袋に落ちたリゾットは、焼けた鉛のように重く、熱い。
これは野菜の命だ。小麦の命だ。家畜の命だ。
生きるということは、他者を殺して取り込むこと。そんな当たり前の生物の理(ことわり)を、今の藤丸立香の魂は許容できない。
異聞帯(ロストベルト)。
剪定事象。
彼はあまりにも多くの世界を、文化を、愛すべき人々を、自らの選択で「無」に帰してきた。
彼らは悪ではなかった。懸命に生きていた。パン・ヒューマン・ヒストリーの住民と何ら変わらぬ、尊い命だった。
それを、「最大多数の最大幸福」という数の論理で切り捨てた。
殺した。殺した。殺した。
自分が無能だから。自分が弱く、彼らを救う他の手段(ルート)を見つけられなかったから。
本来なら共存できる道を探すべきだったのに、自分には殺すことしかできなかった。
だから、自分には生きる資格などない。
幸福を感じる器官など、とうの昔に壊死している。
美味しいと感じてはいけない。温かいと感じてはいけない。
この食事は、栄養補給ではない。**罪の上塗り**だ。
それでも、藤丸立香は笑う。
完璧に。筋肉の微細な動き一つまで制御し、幸福な少年の仮面を貼り付ける。
「んー! やっぱりエミヤの料理は最高だなぁ。身体に染み渡るよ」
「……そうか。なら良かった」
エミヤの表情がわずかに緩む。
騙せた。
彼を心配させずに済んだ。彼に「マスターは食事を楽しんでいる」という充足感を与えることができた。
これが、今の自分にできる唯一の贖罪。
自分の精神が腐り落ち、内臓が拒絶反応で痙攣していようとも、周囲のサーヴァント(愛してくれる人々)を悲しませないこと。それが絶対のルール。
──-
エミヤは洗い物をしながら、背中で語りかける。
「マスター。お前はよくやっている。だが、背負い込みすぎるな。……正義の味方というものは、時に非情な決断を迫られる。お前が心を痛めていることは分かっているつもりだ」
エミヤは知っている。理想と現実の乖離を。少数を切り捨て多数を救うことの摩耗を。
だからこそ、彼は藤丸を案じている。
だが、彼は決定的な誤解をしている。
藤丸立香は、エミヤが想像するような「葛藤する英雄」ではない。
もっとおぞましい、**壊れた計算機**だ。
藤丸は心の中で、冷徹に、しかし血の涙を流しながら叫ぶ。
*(違うんだ、エミヤ。僕は君みたいに立派じゃない。僕は心を痛めてなんていない、ただ『最大多数の最大幸福』というプロンプトを実行する虐殺装置だ)*
睡眠?
とんでもない。眠っている時間があるなら、誰かの資料を読み、誰かの悩みを聞き、世界を救う確率を0.0001%でも上げるべきだ。
寝ている間に失われる命があるかもしれない。そう考えると、瞼を閉じることさえ「殺人」と同義に思える。
今の藤丸立香にとって、睡眠は休息ではなく「救済の放棄」という罪だ。
性欲?
吐き気がする。誰かを愛し、快楽を得る?
何億もの命を踏みつけにして生き残った自分が?
そんな権利があるわけがない。自分が幸せになる分だけ、宇宙のどこかで誰かが不幸になる気がする。
だから、藤丸立香という個体は、藤丸立香の幸福の総量計算から常に除外される。
だが、口から出る言葉は、あくまで朗らかな青年のそれだ。
「ありがとう、エミヤ。でも大丈夫だよ。僕には君たちがいるし、マシュもいる。辛い時はちゃんと相談するって決めてるからさ。……あ、そうだ。この後、少しシミュレーター室に行ってもいいかな? ちょっと運動したくて」
「……ほどほどにな。倒れられては困る」
「了解! ごちそうさまでした!」
藤丸は空になった皿を下げ、屈託のない笑顔で手を振って食堂を出ていく。
その背中は、誰から見ても「希望に満ちた若きマスター」そのものだった。
──-
誰もいない廊下に出た瞬間、藤丸の歩調が変わることはない。表情も変わらない。
監視カメラがあるからだ。
ダ・ヴィンチちゃんが見ているかもしれない。ゴルドルフ新所長が見ているかもしれない。
だから、擬態は解かない。
だが、その内面は、鼓膜が破れんばかりの絶叫で満たされている。
『死にたい、消えたい、許されてはいけない、殺されていい命等どこにも無かった』
『僕が殺した、パツシィ、ゲルダ、アーシャ、アデーレ、マカリオス、テペウみんな、みんな』
『僕を殺してくれ。誰か、僕を裁いてくれ』
彼の精神年齢は、幸福な子供時代のまま止まっている。
ただ、世界を救いたいと願った優しい子供。
その子供が、血まみれのナイフを持たされ、泣き叫びながら、それでも正確無比に急所を突き続けている。
**「最大多数の最大幸福」**
その呪いだけが、彼を突き動かす。
もし今、自分が壊れて立ち止まれば、これまで殺してきた数多の命が無駄になる。それだけは許されない。
だから、壊れた心臓を無理やり動かす。
狂いそうな罪悪感を「燃料」にくべて、藤丸立香は走り続ける。
自己否定の極致。
自分用の金など一銭もいらない。名誉もいらない。
ただ、全ての生命が幸福であってほしい。
自分というノイズを除いた、完璧に美しい世界であってほしい。
心には無数の墓標が立っている。
殺した一人一人の顔を、名前を、最期の言葉を、彼は決して忘れない。
それは誠実さではない。自分への拷問だ。
忘れるという救いすら、彼は自分に禁じているのだ。
これは正義の味方の慣れの果ての更にその先、理想を抱いて溺死した死体がなお笑顔を浮かべ蠢く物語