正義の未熟者「私」   作:春萌枯らし

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 部屋の大掃除してたら思わぬ黒歴史が這い出て来てSAN値が削られました。

 評価バー(←であってる?)が彩を持ちました!
 これからも頑張られていただきます!

 今回ちょい短いですがお許しを……

 


第10話 思惑と赤い目と誰か

 倒壊ゾーン

 

「ふんふんふ~ん♪」

 

 誰もいないボロボロのアスファルトの道を鼻歌を口ずさみながら駆けていく。

 先手を取られても自分だけなら問題なく対処できるだろうと考え【伐採斧】はすでに解除してある。

 この施設はいくつかのゾーンがあったので皆、自分と同じように飛ばされているはずと推測し、今は同じゾーンに飛ばされた人がいないか目や耳に力を入れて探し回っている。

 ──ちなみに、上機嫌になっているのは、はぐれた(ヴィラン)を見つけたら誰にも気付かれぬようにボコボコにしようと画策しているからである。

 

 しばらく一人かけっこに勤しんでいるとビルの1つから破裂音が漏れたのを聴き取る。

 

「(破裂音……爆発……(ヴィラン)に容赦なさそうな人)……爆豪くんですね!」

 

 枝瑠職は目的地を設定し、そこへ一直線に向かっていった。

 

────────────────

 

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────

 

 爆豪と切島は枝瑠職と同じ倒壊ゾーンの無数にあるビルの1つに飛ばされたが、転送先で複数の敵に待ち構えられていたため戦闘を余儀なくされた。

 しかし、双方ともに戦闘に優れた〝個性〟と十分な能力を持っていたため、チンピラ程度の(ヴィラン)らを問題なく処理することが出来た。

 切島は自分たちが13号の邪魔をしたことの責任を感じており、戦闘能力の低い生徒を心配してそちらに援護しに行くことを提案したが、爆豪はそれを蹴り『ワープゲート』を倒しに行くことを宣言した。

 

「この期に及んでそんなガキみてぇな……。それにアイツに攻撃は……」

「その話はすんじゃねぇ……! (てき)の出入り口だぞ。いざって時逃げ出さねぇよう元を締めとくんだよ! モヤの対策もねぇわけじゃねぇ……!」

 

 爆豪は自分より早く動いた枝瑠職の事を思い出したくないらしい。

 自分より下だと思っていた相手が戦闘訓練で自分と似たような動きをとったのにも関わらず、より優れていたのは枝瑠職だった。

 少し遡って個性把握テストでは(手段は置いておくとして)まるでこちらを慰めるような行動をしていたのにも腹が立つ。

 この3つの件は爆豪の自尊心に僅かながらに爪痕を残している。

 

「クソッ!!!」

「何いきなりキレてんだよ! 俺なんかしたか!?」

 

 ──2人が会話で油断していると踏んで擬態能力を備えた異形型の〝個性〟を持つ(ヴィラン)がナイフ片手に背後から爆豪へ襲い掛かろうとしていた。

 

「(ペチャクチャダベりやがって! その油断が……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────Bang!

 

「ガァッ……!」

 

 何処からか放たれた銃弾は真っ直ぐに、擬態中の(ヴィラン)の腹部に命中した。

 感じたことのない痛みと衝撃に(ヴィラン)の男は思わずうめき声を発する。

 しかし、そこから赤い血液は流れ出てこない。

 その代わりに、男の身体(からだ)に異常が出始める。

 

「なんだ……これ……! 〝個性〟が……!」

 

 周りの風景に同化していた自身の身体が部分的に元の色に戻ってはまた同化を繰り返す。

 それはほんの1秒にも届かない程度の現象だったが、彼の前で充分な時間狼狽えてしまった罪は重い。

 

 BoooM!

 

 流石と言える反応速度を持った爆豪は振り向きざまに強烈な爆発を喰らわせ、有無を言わせず気絶させてしまった。

 切島はその反射神経に驚いていると正面の爆豪が今いる部屋の出入り口へ視線を向けていたのに気づき、無意識的に自身も同じ場所に目を向ける。

 

「おい出てこい。そこにいんだろ」ギロリ

「──援護のつもりでしたが必要なかったようですね!」ヒョコッ

「その声は……枝瑠職! おめぇ無事だったのか! ……ってどうしたそのツラ!?」ドンビキ

 

 ヒョコッという効果音ともに現れたのは、顔に白目を剝き口角を吊り上げた覆面を付けている枝瑠職だった。

 仮に枝瑠職が声を出さなかったなら切島も爆豪も襲いかかってしまうほどの、ヒーローより(ヴィラン)と言われた方が納得出来る犯罪級の怪しさ。

 

 【今日の表情】*1────灰シャツ白タイ茶色のスーツの上に様々な面持ちをした顔の表面が張り付いた不気味極まる防具。

 右手には同じく顔の皮膚で全体をデコレーションされた拳銃が握られている。

 枝瑠職は【今日の笑顔】が引かれたことに気付き、2人からの好感度を気にして元のコスチュームに戻しながら2人の元に駆け寄る。

 

「お2人はご一緒だったのですね! 私は1人、空中にほっぽり出されてしまいました!」

「マジか! 向こうもエグイことしてくんな……!」

「なりふり構わない分、敵として説明力がありますね! ところで……爆豪くんはあの黒い霧を倒しに行くつもりですか!」

「だったら(なん)だ」

「オイけんか腰止めろって……」

「私もご一緒させてください! ……と言いたかったのですが、今の私ではフツーに無駄死にするはずなので他にお願いしたいことがあります!」

 

 枝瑠職の言葉に切島は思わず驚いて目を見開いてしまう。

 戦闘訓練での枝瑠職の活躍を知っている切島からすれば、クラスでの実力は上位とも言える人間があっさり「自分では勝てない」と言っているように聞こえたからだ。

 反応は薄いが爆豪もその事に少なからず衝撃を受けている。

 

「……で? てめーは何がしてぇんだ。さっさと本題に入れ」

「はい! それはですね────」

 

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────

 

「じゃあ枝瑠職も気ぃ付けろよー!」

「お2人もお気を付けて! 切島くん! お願いしますよー!」

「おう! 任せとけ!!」

 

 黒い霧を捕らえに行く爆豪くんと結局彼に付いていくことにした切島くんを見送る。

 切島くんがこちらに手を振りながら歩いて行ったので、私も彼の後ろ姿が見えなくなるまで大きく手を振り返し続ける。

 そのうち、2人の姿が見えなくなると独り言が思わず出てくる。

 

「……無理にでも止めた方がよかったですかねぇ」

 

 でも、爆豪くんは一度決めたら絶対にやり遂げる強情な人だから、私が何を言っても意味なかったかもしれない。

 “脳味噌丸出し”に勝てる戦力が──オールマイト級のヒーローがこの場にいない以上、彼はこの後無惨に死んでしまうかもしれない。

 まあ、もしかしたら把握できていないだけで、すでに何人か死んでいる可能性もある。

 そうだとしたらすごく悲しい。

 

 命は一つ一つ()()()使()()()()()()

 少なくとも私はそう思っている。

 もし、()()なってしまった時は花を手向(たむ)けに行こう。

 ここでは死体が残り、個人を静かに緩やかに送ることが出来るから。

 

「──さて、私もそろそろ()()しますか!」

 

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────

 

 

「無理をするなよイレイザーヘッド」

「──っ!(枝瑠職の〝個性〟ごと、肘が崩れた!)」

 

 枝瑠職たちが別れた時から少し遡り、中央広場。

 

 大量の“手”を体に付けた(ヴィラン)の手に触れたイレイザーヘッドの肘は、まず初めに枝瑠職の防具【赤い目】*2、元々のコスチューム、そして肉体の順に崩れた。

 敵の頭をメイスで打ち、【赤い目】の特殊能力──戦闘時に僅かに移動速度を上げる効果によって即座に後方へ下がったため、肉体へのダメージは骨や筋肉にまでは到達しなかった。

 しかし、後方には未だ(ヴィラン)が残っており、危険度の高い“手”の(ヴィラン)の相手が出来ない。

 

「(いつもより()()()()()か? ……まぁ、いいや)その〝個性〟じゃ集団との長期決戦は向いてなくないか? 変な武器と服着て誤魔化してるけど君が得意なのってあくまで“奇襲からの短期決戦”じゃないか? それでも真正面から飛び込んできたのは生徒に安心を与える為か?」

 

 イレイザーヘッドの捕縛武器は繊細な技術が求められるため集団戦闘では脳のリソースを多く消費する。

 “個性”に直接的な攻撃能力がないイレイザーにとって鍔迫り合いになる状況は不得手。

 枝瑠職から受け取ったメイスはそれらの弱点を支える扱いやすい火力原となっていた。

 そのおかげで体力の消費は思っているほど激しい訳では無く、このまま順当にいけば全員制圧できる。

 

「かっこいいなあ、かっこいいなあ……。

 

 しかし今回は──

 

「──ところでヒーロー、本命は俺じゃない」

 

 イレギュラーがいた。

 

(たい)平和の象徴、改人“脳無(のうむ)”」

 

 ガシッギギィ……バキッ

 

────────────────

 

────────

 

────

 

緑谷(みどりや)ダメだ……さすがに考え改めただろ……?」

「ケロ……」

「──……!」

 

 緑谷、蛙吹(あすい)峰田(みねた)の3名は水辺に隠れて広場の様子を窺っていた。

 緑谷は当初、自分たちで先生の負担を少しでも減らせればと目論んでいた。

 水難ゾーンに飛ばされた3人は〝個性〟をフル活用し、水中戦に有利な多数の(ヴィラン)を一網打尽にすることに()()()()()()()()ため、自分たちの〝個性(ちから)〟に増長していた。

 

 3人の視線の向こうでは“脳無”の下敷きになり、両腕を折られ、頭を掴まれ何度も地面に叩きつけられている自分たちの担任の姿がある。

 最悪な形で理解した。

 自分たちがあそこへ飛び込んだとしても、ただ殺されるだけだと。

 

死柄木(しがらき)(とむら)

 

 黒いモヤが“手”の(ヴィラン)────死柄木弔の背後に現れ話しかける。

 

黒霧(くろぎり)、13号はやったのか」

「行動不能には出来たものの散らし損ねた生徒がおりまして……一名逃げられました」

「…………は?」

 

 空気が変わる。

 苛立ちを抑えられない様子で自分の(くび)をガリガリガリガリと掻きむしり、長いため息を突きながら愚痴をこぼす。

 

「黒霧おまえ……おまえがワープゲートじゃなかったら粉々にしてたよ……。さすがに何十人ものプロ相手じゃ敵わない。ゲームオーバーだ、あーあ……今回はゲームオーバーだ。──帰ろっか」

 

「……? 帰る……? カエルっつったのか今??」

「そう聞こえたわ」

「やっ、やったあ、助かるんだ俺たち!」

「ええ、でも……」

 

 感極まった様子で涙を流し蛙吹に抱き着いた峰田はだが、どさくさに紛れて蛙吹の胸を触った罰として頭まで水中に沈められる。

 最近は同性のクラスメイトにもTPOをわきまえないMr.スケベ。

 そんな蛙吹は彼への対処を何事も無いようにしながら緑谷へ敵に抱いた内心を率直に呟き始める。

 

「気味が悪いわ、緑谷ちゃん」

「うん……これだけのことをしといて……あっさり引き下がるなんて……」

 

「けどもその前に平和の象徴としての矜持を少しでも──」

 

 単純な身体能力による意表を突いた急接近。

 標的にされた3人は誰も反応することはできなかった。

 ようやく事態に気付いたのは……。

 

「──へし折って帰ろう!」

 

 敵の手が蛙吹梅雨の顔に触れてからだった。

 緑谷の脳内では先程の相澤先生の右腕を崩した光景がフラッシュバックのように蘇る。

 しかし、顔の崩壊は一向に始まる気配がない。

 

「本っ当にかっこいいぜ──イレイザーヘッド」

 

 イレイザーヘッドの〝個性〟『抹消』は一瞬でも見た者の〝個性〟を次に瞬きするまでの(あいだ)消すことが出来る。

 頭を上げられ地面に叩きつけられる一瞬のスキに死柄木を“見た”。

 

 そしてその時、イレイザーヘッドの身体に起きたことに気付いた者は誰一人としていなかった。

 “生徒を守る”──強い決意を抱く彼へ【赤い目】が応えるように、統一の無いサイズの赤い目の模様が首から本来の右目まで広がり、その全てが視線だけで(ヴィラン)を射ぬかんとしている。

 

 再び頭を地面に打ち付けられ、意識が朦朧(もうろう)としている中で相澤が最後に確認できたのは3つ。

 1つ目は、知らない誰かの声。

 

 誰も彼の遺体を持ち帰ることを願い出ませんでした。

 

 2つ目は、聞き覚えあるが、それより少し大人びている中性的な声。

 

『ありゃりゃ~、頑張りすぎだよ。ったく……どいつもこいつも……一旦休みなよなぁ』

 その言葉と共に赤い目は全て閉じ、【E.G.O】はガラスのように砕けて空中に溶けていった。

 

 3つ目は、USJの扉を吹き飛ばし現着したNo,1ヒーローの己の不甲斐なさと憤慨が宿った言葉。

 

「もう大丈夫、私が来た」

「あー……コンティニューだ」

*1
赤0.7 白0.6 黒1.5 青2.0──今日は恥ずかしがり屋

*2
赤0.8 白0.8 黒0.8 青2.0──母なるクモ




 オリ主の個性は母親のものが色濃く出ているが、オリ主は本来の使い方から逸脱しているので異なる点が多い。それでもルーツは一緒。【E.G.O】が破損したのはそーゆー理由があります。
 と言っても2人の個性名すら登場していないので早いとこ言わせるつもりです。ちょっとまっててね!

 次回でようやく色ごとの設定を出します。IQ53万の読者様方でしたらもう察しがついてそうですが……。

 それでは皆様よいお年を!!

オリ主のイメージ像欲しい?(絵下手な奴がマウスで描いた)

  • 寄越せ
  • いらん
  • どけ!私が描こう
  • 自己補填できてるので大丈夫です
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