正義の未熟者「私」   作:春萌枯らし

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 2週間ぶり、久しぶりです。

 オリ主の絵を描いてみたのですが、絵が下手+マウスで描いた+時間かけてないでひどい有様です。それでもいいよ!って方はアンケート設置しておくのでそこに投票してください。

 ほな本編どうぞ!


第12話 こどもは感情豊かな大人

「雄英体育祭が迫ってる!」

「クソ学校っぽいの来たあああ!!」

 

 USJの騒動から臨時休校を挟んでの登校。教室に入ってきた包帯で全身ぐるぐる巻きになっている相澤の一言でクラスの空気が沸く。

 

「待って待って! 敵に侵入されたばっかなのに大丈夫なんですか!?」

「逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示す──って考えらしい。警備は例年の五倍に強化するそうだ。何より雄英(ウチ)の体育祭は……最大のチャンス。敵ごときで中止していい催しじゃねえ」

「いやそこは中止しよ……」

 

 心配の声を上げたのは葡萄頭の峰田。彼の倫理観や価値観は良くも悪くも年相応のため言い分は尤もなのだが、覚悟が決まりすぎている者が大半の1-A(この)教室の中では彼の発言は逆に異端に見えてしまう不思議な現象が起きる。

 そんな彼にいつも通りテンション高めな枝瑠職が野次を入れる。

 

「ややぁ? もしや峰田くんは恐怖しているのですか!」

「そうじゃなくてさあ……普通あんなことあったら大人しくするもんだろ!? むしろオイラが以外がビビんなすぎなんだよ!」

「あんなもの無視すればいいのでは? 所詮はあれですよ、路傍の()()ですよ! ──たくさんの方からスカウトして頂けるか、もうドキドキしてきましたよ私!! あぁぁ……胸が躍りそうです!」

「ブレねーなおめぇ」

 

 瀬呂がツッコむが脳内がすでにお花畑のため聞こえていないようだ。両手で頬杖をついて「むふふー」と幸せそうな笑顔を浮かべて妄想を止めそうにない。

 

 話が逸れ始めたので相澤が軌道修正して説明に戻る。もちろん枝瑠職が真面目聞けているわけなく、相澤はすべての説明が終わった後そちらを一睨みして一つ告げる。

 

「枝瑠職。職員室に少し顔出せ」

「ピッ……しょ、承知しました!」

「んなわけでHR終わり」

 

 

 

 

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 HR後、職員室の戸を叩いて枝瑠職が入室し、相澤の元までそそくさと近づく。

 

「怪我は大丈夫ですか! お目目(めめ)の骨が折れたと聞きました!」

「婆さんら曰くしばらくは後遺症で本調子にはいかないが時間と共にそれはある程度回復するらしい」

 

 一拍置き、包帯の隙間から枝瑠職と目を合わせて感謝を告げる

 

「こんだけで済んだのは、おまえのおかげだ。ありがとう」

「うふふ……! むふー! お安い御用です!」

 

 頬を赤らめて分かりやすく照れている。

 少し幼く見える行動に、相澤は特段リアクションをしない。

 

「それといくつか訊いておきたいことがある」

「……? なんでしょう!」

 

「おれは直接見てないんで報告でしか把握してないが、おまえのUSJでの身体の変貌と障害物を無視できる狙撃……これからの教育課程(カリキュラム)教師陣(コチラ)がおまえの〝個性〟をキッチリ把握しておく為にも、入試時に提出された個性届では非合理的だと判断した。後日雄英から書類が転送されるから追記修正したものを提出してくれ」

「承知しました! あの……期限はいつまで……」

「忙しいとは思うが、遅くとも体育祭までに提出しに来い」

「それなら大丈夫です! ありがとうございます!」ペコリ

 

 資料をまとめるのが苦手な枝瑠職は期限を延ばしてもらえて内心ホッとしている。

 

 前世で枝瑠職が請け負っていた任は懲戒チームという施設一の武闘派の部門。そこのチーフ兼、鎮圧専門職員として時に幻想体、時に職員を処分するため広大な施設を四方八方と移動していたので書類仕事は部下、後輩に任せきりだったのである。

 ──当人の能力は高いが苦手と言い切って毛嫌いしている節もある。

 

 

「最後に……おれがUSJで気を失う一瞬の間に、二つの声が頭で響いた。内一つはおまえの声に似ていたように感じた。何か心当たりはあるか?」

「…………わかりませんね!」

「そうか……要件はこれで以上だ」

「わかりました! では失礼します!」

 

 ピシャッ、と扉が閉じてから相澤は「……アイツ隠し事が下手だな」と独り言をつぶやく。

 

 相澤が知っている枝瑠職の性格上、自分の優秀な点はひけらかすハズ。それをしないということはよっぽどこの話題がグレーゾーンという事。

 触れたくないあるいは触れてはならない何かがあるのが分かった。

 

「(その年で一体いくつ腹の中に抱えてるかは知らんが)……いずれ向き合わないといけないんだぞ……枝瑠職」

『ミイラマーン今ひま!? 体育祭の解説役の件なんだけどよ!!』

「……はぁ」

 

 

 

 

 

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 4限目国語終わり……

 

「そういえば、元に戻ってるよね」

 

 誰かが呟いた一言。もちろん枝瑠職三鳥のことだ。

 20代ほどの大人の姿になっていた面影と落ち着いた雰囲気の声は何処へやら。今はいつも通りの小動物的な愛くるしさを醸し出し、ニコニコとカワイイ笑顔を浮かべている。

 ちなみに、本人に直接「カワイイ」と言うと照れて顔が真っ赤になるがそれと同時にめちゃくちゃ落ち込むので余程の事が無い限り皆言わないようにしている。

 

「半ば事故みたい知れたけど枝瑠職の〝個性〟って出来ること多すぎだよなあ! 武器と服を作るもんだと思ってたらまさかの変身能力まであるとはよ!」

 

 切島に褒められたと認識してそのまま有頂天になったテンションのまま自分の机の上で腕を広げて演説を始めるかのように口を開ける。

 

「私の〝個性〟『抽出』!! ()()記憶、感情、想い! それらをひっくるめた心を現実へと実体化させる力! すっごく凄いでしょう!!!?」

「説明だけ聞くと最近のコミックみてぇな概念が絡む感じかぁ?」

「読んだ事ないので判りませんが、その認識でも構いませんよ!」

「あの時の枝瑠職くんカッコよかったよね。歴年のスナイパーみたいで」

「闇夜に紛れし一線の蒼き雷」

「か、カッコいい……! えへへへへへへぇぇ。フヘヘェ〜!!」

「照れ方気持ち悪いわよ、枝瑠職ちゃん」

 

 本来、机の上に立つなんて行為は委員長である飯田に止められるのだが彼はタイミング悪く教室を後にしたのでこの事態を収束させる方法はない。

 最終的に枝瑠職が机を降りたのは昼食を食べ終わって教室に戻ってきた飯田に叱られてからだった。

 

 

 

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 放課後

 

「何ごとだあ!!?」

 

 1-A教室前が多くの人でごった返して下校できないようになっていた。集団の一人一人にそのような意図はないが他の生徒の通路妨害になっているのは明白である。

 統率された様子はないので、これは同じ目的を持っているだけの他人同士がほとんどなのだろう。

 その様子に峰田が「出れねーじゃん! 何しに来たんだよ」と苦言を呈していると、その脇から爆豪が前に出る。

 

「敵情視察だろザコ。(ヴィラン)の襲撃を耐え抜いた連中だもんな。体育祭(たたかい)の前に見ときてえんだろ。意味ねェからどけモブ共」

「知らない人の事とりあえずモブって言うのやめなよ!!」

「──どんなもんかと見に来たが、ずいぶん偉そうだなぁ……ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」

「ああ!?」

 

 爆豪くんのいつもの暴挙を天哉くんが注意してると、逆立つ紫色の癖毛の男子生徒が人混みを分けて前に出てきた。ややッ、彼隈がすごいですね。私と一緒であまり寝れないのでしょうか?

 

「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ。普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴、けっこういるんだ、知ってた?」

 

「そうなんですか? 八百万さん」

 

 近くにいた八百万さんに質問してみる。

 

「雄英は併願受験が認められていますから」

「へぇー……あっ、そういえば私、経営科併願していました……!」

「そ、そうなのですね……」

 

 ……呆れられてしまった。私の株価が上がってもいつの間にか下がってしまうのをどうにかしたい……です。はい。

 

 ──こっちを余所に向こうは話を続けている。

 

「体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ」

 

 その言葉にクラスの数人が冷や汗をかく。折角入れたヒーロー科から追い出せれるかもしれないと脳裏によぎったからだ。

 

「敵情視察? 少なくとも普通科(おれ)調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しに来たつもり」

 

 彼の言葉に続き、今度は暑苦しい声が聞こえてくる。

 

「隣のB組のモンだけどよぅ!! (ヴィラン)と戦ったっつうから話聞こうと思ってたんだがよぅ!! エラく調子づいちゃってんなオイ!!! 本番で恥ずかしい事んなっぞ!!」

 

 ややっ? この声は……

 

「鉄哲くんですか! お久しぶりです!」

「んお!? 枝瑠職か! あん時勝手にいなくなんなよな! あの後フツーにトイレ(ぢゅう)探し回ってたんだぞ!」

「はっ! すみませんでした!!」

 

 「知り合い?」と尾白くんが訪ねてきたので「トイレの仲です」と答えると「ごめん……わかんない」と戸惑い混じりに返された。私の説明能力低いですかね?

 

 ──そうだ、今日は爆豪くんと友好を深めようと思っていたのでした。鉄哲さんやクラスメイトの皆さんにお別れを言って、今にも人の垣根を退かそうとしていた爆豪くんに近づいて彼の背中に飛び込み、首を囲むように腕を回してこう誘う。

 

「爆豪くん、ご一緒に食事に行きませんか!」

「耳元でうるせえ! 離れろ!」

「気になっていた中華料理屋があるので案内しますね!」

「話聞けや!!」

「切島くんもどうですか! 私のお年玉貯金が残っている今ならご馳走しますよ!」

「そんな健気な(もん)じゃ美味い物食っても味しねぇよ……自分の分は自分で出すからよ。じゃあ行こうぜ」

「話進めんなや!! テメェはいつまで乗ってんだ!! 降りろ!!」

「それでは皆さんお元気で!」

 

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 彼らが去った後…………

 

「……まぁなんだ……あんたら苦労してんだな」

((おっしゃる通りです))

 

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 中華料理屋

 

 

 枝瑠職、切島の両名に半ば引きずられるように連れてこられた爆豪は机に頬杖をついて不機嫌そうにしている。二つの椅子には枝瑠職と切島が。切島の対面のソファーには爆豪が座っている。

 注文する品は決めて、机に設置されたベルを鳴らしてしばらく待っていると、いかにもバイトっぽい店員が電子パットを片手に遣ってきた。

 

「ご注文おねがいします」

「餃子二つと小籠包も二つ。あとパラパラ炒飯をお願いします。おめぇらは?」

「麻婆豆腐とライス大」

「激辛担々麺をお願いします!」

「ご注文繰り返させていただきまーす。────で、よろしいでしょーか」

「大丈夫ッス。あ、あと取り皿も人数分お願いします」

「オッケーでーす。少々お待ちをー」

 

 段々と口調が崩れていった店員を見送ってから高校生らしく喋り出す。

 

「枝瑠職、辛いの得意なの意外だな」

「お母さんは辛い物が好きじゃないので外でしか食べられないんですよ! ところで爆豪くんも辛い物好きですか? お揃いですね!」ニコーッ

「ケッ」

「なはは。そういや二人は体育祭まで何するか決めてっか?」

「私は武器の制限時間を伸ばしたいのと……変身の方を少しでも慣らす予定です!」

「あれなー! 正にとっておきだよなぁ~しかも派手! 爆豪は?」

「あ? 誰が手の内晒すかよ」

「つれねぇなぁ……あ、そうだ枝瑠職よぉ、ちょっとオレに体術とか教えてくんねえか? ダメなら組み手とかでもいいからさ」

「切島くんの頼みなら喜んで!」

 

「──オイ」

「……?」

「それ俺も呼べや」

「お! やっぱ爆豪も枝瑠職の動き知りてぇよな」

「違ェ! 俺の勝利のために利用するだけだ……!」

「みんなでしますか! いいですねぇいいですねぇ! 楽しみです!!」

「お待たせしましたー。こちらご注文の────になりまーす。こちらで全てでよろしかったでしょーか」

「はい! ありがとうございます!」

「(かわいい……)こちら伝票でーす。ごゆるりとどうぞ」

 

 注文していた料理が届き、机に置かれたトレイから食器を取り出して一様に食べ始める。

 しかし、枝瑠職は一向に自分の皿に手をつける様子を見せず、代わりに二人の食事シーンを観察している。

 

「……人が食っとるとこジロジロ見んなや!」イライラ

「え、あ……すみません!」

「食わねえのか?」

 

 切島は、やっぱ辛いの無理でも俺は得意じゃねぇから食えねぇぞ、と忠告すると予想外で的外れな答えが返ってくる。

 

「私……友達と出かけるの初めてで……今日はすごく嬉しいです!」

 

「…………なんだてめぇボッチだったのか」

 

「人間関係で少々失敗しまして!」

 

 少し、切島は意外に感じた。

 枝瑠職は空気の読めていない場面が多々あるが、だからと言って近づきたくない嫌なヤツではない。

 本人の容姿も自分が今まで会った人間の中で(本人には言わないが)一番だと正直に言える。

 

 

 それに、あまり良い話でもないが、“強個性”と揶揄されるものを持っている者は一定のイニシアチブを約束される事が多い。例を挙げるとすれば爆豪もその一人だ。

 この超人社会で一個人を測る要素として〝個性〟というものは、良くも悪くもその比重が大きくなっている。

 

 枝瑠職がポツポツと言葉をこぼし始める。

 

「中学の時は色々頑張ってみたんですが、結局失敗して……友達と呼べるような対等な関係は消え去ってしまっていて……周りの人に色々と陰口とか、あとすれ違いざまに肩をぶつけられたりとか、お水を掛けられたりとか……全員が全員って訳では無いですが、学校全体が妙な感じになってしまいまして……」

 

 全員の食指は止まっている。

 爆豪の暴言も、切島の気の利かせた言葉も、何もない(Nothing There)

 

「でも──」

 

「否定、痛み、存在の抑圧。わざわざ私に時間をとってくれるなら、それらは甘美なご馳走のようで、満たされるようで、認められるようで……一等嬉しかったんです……!!!」

 

 

 枝瑠職のエメラルドグリーンの瞳が普段より一層深く、ドロリと粘度の高い液体のように艶めいて見えた。

 その表情は、己の存在意義を果たしているかのような達成感と幸福に満たされていて、そのために己のすべてを捧げるような危うさを孕んでいる。

 時間が経って喧騒としてきた中華屋とは隔絶したその独特な雰囲気に、あまつさえ自分たちの身体が絡めとられて吸い込まれるような感覚すら覚えた。

 

 

 

「………………麺、伸びるだろ。早よ食えや」

 

「あっ! そういえばそうですね! いただきます!」

 

 時が止まったかのように思えた無言の空間は爆豪の一言で再度動き出し、枝瑠職はいつもの調子で麺を美味しそうに啜っている。

 とても幸せそうなその表情も、先の表情には遠く及ばないように感じた。

 

 ────その後、帰路で枝瑠職と別れた二人は異様に感じたナニカを忘れる事が出来なかった。

 

 

 

 ──2週間後

 

『雄英体育祭が始まディエビバディアァユウレディ!!??』

 

 雄英体育祭が始まる……!!

 

 




 早い展開をすることによって体育祭にすぐ辿り着ける手法。嘘です。私の実力不足です。

 活動報告の使い方を知ったので偶に覗くとなんかあるかもしれません。見て。

 それではチャオ! 受験シーズンの学生さん頑張ってください!

オリ主のイメージ像欲しい?(絵下手な奴がマウスで描いた)

  • 寄越せ
  • いらん
  • どけ!私が描こう
  • 自己補填できてるので大丈夫です
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