2月中旬くらいから更新ペース戻せると思うので待ってて!
アンケート協力ありがとうございました!オリ主プロフールを今週くらいに出す予定なのでそこにでも貼っ付けておきます。……期待しないでね?
雄英体育祭 本番当日
「男の子なのに体柔らかいね~」グイー
「それほどでも~」ノビー
ガチャ(扉の開いた音)
「皆、準備出来てるか!? もうじき入場だ!!」
1-A用の控室で待っている間、ヒマつぶしとして柔軟仲間の葉隠さんに前屈中の背中押しをしてもらっていると天哉くんが私たちを呼びに来てくれた。
殊勝な働きをしている天哉くんには日頃の感謝の印として毎日机の中へ飴玉をプレゼントしているのですが、今はまだ気づかれた様子はありません。食堂や訓練の時にオレンジジュースばかり飲んでいることを見ているのでちゃんと全部オレンジ味。イキナハカライというヤツです。
「緑谷」
「轟くん……何?」
ケチャマヨ頭の轟くんが絶賛緊張中の緑谷くんに話しかけた。
珍しい組み合わせ……というより、轟くんが誰かと一緒にいるところをあまり見ません。
クラスの皆から無視されているワケではありませんが、圧倒的な実力があるので遠い目で見られているような状態ですね。
あ! もちろんそれでも私の方が(ry
「客観的に見ても実力は俺の方が上だと思う」
「へっ!? うっ、うん……」
「おまえオールマイトに目ぇかけられてるよな。別に詮索するつもりはねえが……おまえには勝つぞ」
「おお!? クラス最強が宣戦布告!!?」
「急にケンカ腰でどうした!? 直前にやめろって……」
「仲良しごっこじゃねえんだ。何だって良いだろ」
一方、部屋の隅──
「轟くん、怖い顔してます……!」アワワ
「イケメンだから余計迫力あるよね……!」ハワワ
「轟くんが何を思って僕に勝つって言ってんのか──は、わかんないけど、そりゃ君の方が上だよ……実力なんて大半の人に敵わないと思う。客観的に見ても……」
「緑谷もそーゆーネガティブな事言わねえ方が……」
「でも……!! 皆、他の科の人も本気でトップを狙ってるんだ。僕だって遅れを取るわけにはいかないんだ。僕も本気で獲りに行く!」
「……おお」
(いいなぁ……
「────さあ皆、ゲートへ向かうぞ!!」
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《雄英体育祭!! ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!! どうせてめーらアレだろコイツらだろ!!? 敵の襲撃を受けたにも拘わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!! ヒーロー科1年!! A組だろぉぉ!!?》
プレゼント・マイクお膳立ての紹介と共に入場すると、力あふれる歓声が私たちを出迎える。
あっちを見てもこっちを見てもヒーローが1、ヒーローが2、ヒーローが3、ヒーローがえ〜っと……いっぱい!
なんとなくだが、雄英の教師陣クラスのヒーローは少数なのだろう。【TETH】のような方も混じっているのでヒーロー=強いという考えは改めた方が良いかもしれない。
そんなヒーロー界に颯爽と現れる正義のさいきょーヒーローの私!
絶対に人々から一目置かれて誰もが頭を悩ます難題解決をお願いされることでしょう素晴らしい! わはは!
《話題性には劣るがこちらも実力者揃い!! ヒーロー科B組!! 続いて普通科C、D、E組!! さらにその後ろ────》
無数の人間の視線に晒され期待されている状況。
その中に混じる品定めの気配。
自然と身体の芯がブルリと震えてしまう。
「ふふ……! ああぁ……楽しみです!!」
「あ、あんな……あんなの見ちゃっ……だ、ダメですっ!」
会場の真ん中には壇上があり、その前に全ての1年生が集まっているのだが今年の1年生の主審は“18禁ヒーロー”ミッドナイトであり、その名に恥じない放送コードにギリギリ引っかかってそうな扇情的なコスチュームをしている。
極薄タイツで誤魔化しているが遠目から見れば乳房はもろに出ている。
それが壇上に上がっているため嫌でも目についてしまう。
枝瑠職はそれを直視しないよう両手で目を覆っている。
しかし時折、指を僅かに開けてできた隙間からコッソリと覗いている。本人はそれを悪い事だと思っているのにどうしてか目を閉じようとしない。
その近くにわざわざ来た峰田は……
「むっつりスケベがよお」
「ちっ、ちが……! きょっ、こっ、公序……りょっ良俗に、はっ、反しているのではないか……と……」
否定するため呂律の回らない弁明に合わせて両手を左右に振っている。そのせいで茹で蛸のような赤い顔が露わになっているのに気付いていない。
枝瑠職三鳥は
高い位置にいるミッドナイトはその光景に満足そうにしつつ、進行を始めていく。
「選手代表!! 1ーA爆豪勝己!!」
呼ばれた爆豪は壇上へと登っていく。
ミッドナイトの隣に立ったので、手で視界を遮りつつその勇姿を見続ける。
──そうだ。勝己くんって呼んでもいいか後で訊いてみよう。
そんな場違いなことを考えていると爆豪くんが口を開く。
「せんせー。俺が一位になる」
「絶対やると思った!!」
「調子のんなよA組オラァ!」
「何故品位を貶めるようなことをするんだ!!」
「ヘドロヤロー!」
ブーイングの嵐が起こる。事を引き起こした張本人は首を掻っ切るような仕草で「せめて跳ねの良い踏み台になってくれ」と挑発行為をする。
雰囲気を気にしなければ場はかなり盛り上がった。盛り上げ上手の勝己くんですね。
「さーてそれじゃあ早速第一種目行きましょう。いわゆる予選よ! 毎年ここで多くの者がティアドリンク!!」
さすがは雄英の教師と言うべきかミッドナイトは生徒の様子を気にせず進行を続けていく。
空中に映し出されたディスプレイが目まぐるしくルーレットのように変わっていっているらしい。
「さて運命の第一種目!! 今年は……コレ!!!」
「なんて出ましたか?」
「なんで目塞いでんの……障害物競走だってさ」
「ありがとうございます!」
映像がエッ!な人の隣にあるせいで直接見れないので近くにいた耳たぶコードの耳郎さんに教えてもらう。
「計11クラスでの総当たりレースよ! コースはこのスタジアムの外周約4
ルール説明が終わると一部の壁が変形してゲートが出現したのでみんなと一緒にその前へ移動する。
──周りの人が走り出す準備を始めている中、私はある事に注目した。
「(少し狭いような……?)
(……? 枝瑠職のヤツ何処行くんだ?)
ゲートに近い前側の位置に自然と立っていたが、スタートゲートとその先の通路を見てこの後起こりそうなことを予想し最後尾に移動しようと集団から一人、身を抜かす。
切島はそれを見ていたが、それぞれ考えていることもあるのだろうと疑問を呑み込みカウントダウンに集中する。
──私が後退している間にもカウントは進んでいき、目的の位置に着いた頃には……
「スタート!!」
競技開始の合図が出された。
それと同時に全員が一斉にゲートを
「ってスタートゲート狭すぎだろ!!」
あっという間に人で満たされる。自由に前へ進むことすらままならない。
だから私は……
「肩すみません! あなたもっ、すみません頭上失礼します!」
──自分の体格や体重、総合的なフィジカル要素に自信がない故の行動。
人が敷き詰められて圧迫した通路を人の背中や肩を足場にし、時に壁を蹴って前へ前へと跳び進んでいくと通路の終わりが見えてくる。
最初先頭にいた生徒はすでに出口まで到着したようだが、彼らの足元はどういうわけか氷漬けになっておりその場から動けないようになっていた。
「(氷……)轟くんですね!」
前後左右へ目を向けてA組の皆さんが周囲にチラホラといるのに気付いて一安心。どうやら遅れは取り戻せたようだ。
そのことを確認したのち、私は〝個性〟を使い始める。
「【今日の表情】*1」
轟の〝個性〟による妨害工作によってコース初めの通路を出てすぐの地面表層には氷が張ら巡らされていた。
手の中に現れた拳銃で足の踏み場としたい箇所へ【黒属性】の弾丸を撃ち込み、氷が無くなった地面へと足を置くことで氷上の
「(
《さぁいきなり障害物だ!! まずは手始め……第一関門ロボ・インフェルノ!!》
「入試ん時の0P敵じゃねえか!!!」
「マジか! ヒーロー科あんなんと戦ったの!?」
「多すぎて通れねえ!!」
前方に立ち塞がるは実技入試に使われた
「【決死の一生】*2【匹夫の勇・青】!!」
入試の時の記憶がフラッシュバックし思わず集団から飛び出てしまう。
左腰に差された黒刀に手を掛け、幾つ破壊してしまおうかとしばし悩んでから武器を抜く。
心拍数が上がる。
(一体二体では治らない……さあ! あの時の雪辱を今晴らすとき!)
「──おいッ!!」
──競技関係なしに単なる自己満足に支配された頭が背後から掛けられた声で正気に戻る。返事をしてはいけないけれど、思わず足を止めて後ろに目を向ける。
するとそこには──すでに私の足元にまで這い上がってきている氷結の波があった。
「ヤヤあぁぁ……!!??」カチーン
瞬く間に周囲の0P敵と共に氷の像へ成り果ててしまった。
《轟意図せず横から飛び出した枝瑠職を巻き込んだあああ!!》
《あのアホ……》
「
「……」カチコチ
轟は氷像と化した枝瑠職の隣を通り過ぎるときにそう伝えたが当然返事はない。
──実際この発言は枝瑠職の実力をなまじ信用しているからこそ出たものだがこの場では本人には届かずに終わる。
「あいつが止めたぞ!! あの隙間だ! 通れる!」
「やめとけ。不安定な体勢ん時に凍らせたから……倒れるぞ」
CRAASSHH!!!!
宣言通り0P敵はその巨体を徐々に傾けていき、凍った枝瑠職とその周りの生徒を押しつぶした。
《1-A 轟!! 攻略と妨害を一度に!! こいつぁシヴィー!!! すげえな一抜けだ!! アレだな!! なんかもう……ズリィな!!》
観戦者全員が思っていることを代弁したプレゼント・マイクの実況とは打って変わりレース上では何やら悲鳴らしきものが複数の生徒──主に普通科の生徒からあがっていた。
「お、おい……誰か下敷きになったぞ!!」
「死んだんじゃねえか!?死ぬのか、この体育祭!!?」
彼らは目の前で枝瑠職と他数名が0P敵の下敷きになるところを其の目で見ていた。
直前まで第一種目唯一の全身氷漬け、かつカワイイ子が──となれば大抵の生徒の目線は自然と枝瑠職に集まる。
下手すれば女子より華奢な体をしている枝瑠職が大量の金属の下敷きに現在進行形でなっているということに不安を隠しきれない。
「死ぬかぁー!!」
《1-A 切島潰されてたー!!》
「A組のヤロウは本当に嫌な奴ばかりだな……! 俺じゃなかったら死んでたぞ!!」
《B組 鉄哲も潰されてたー!! ウケる!!》
体を硬くする切島と、体を金属のようにする鉄哲がロボの瓦礫をモグラのように突き破った。
「〝個性〟ダダ被りかよ!! ただでさえ枝瑠職の方が便利そうなのに!!」
「ああ!? ──そうだ! 枝瑠職無事か!!」
──「生は死を恐れぬ者にのみ与えられる。」
SLAASH!!
切島と鉄哲の間を縫うように放たれた鉄をいとも容易く切り裂く斬撃。その切断面から、全身が黒い日本鎧に包まれた者が現れた。
深く被った兜の奥では左目と思しき場所に一つだけ蒼い光が浮かんでいる。
左手は鍔のない黒刀を強く握りしめ、右腕は肘から先が無くなっているが、そこから赤い血は流れ落ちてこない。
異様────体育祭の空気と交わる様子の無い気配。
《イレイザーヘッド……ありゃあ……》
《……いや問題無え》
USJでの一件から、プレゼント・マイクは枝瑠職が姿形を大きく変えることを知っているのでそこは問題ない。しかし、片腕が欠損しているただ事ではなさそうな状況に継続の判断をイレイザーヘッドに委ねる。
隣に座る相方の反応も確認して実況を続けることにする。
《突然現れた落ち武者!! 生徒にあんな奴いたか!!? その正体は何だー!!》
「(頭が戦意と殺意で満ちていく……これ以上はダメだな……)解除……」
鎧が泥のように溶けていき、五体満足の枝瑠職へと姿が戻る。
周囲の目線を集めていることも知らずに頬を染め、両手を左胸に添えている。
「怖かったなぁ……! 私怖がりなんですよ轟くん……!」
一瞬でも軟弱者を嫌う
しかし、一杯食わされたという想いは、胸の奥でしこりとして残っている。
それは尊敬と屈辱が混ざった言葉では表すことのできない感情。
「ふふ……あははは!! ……轟くん……今そこへ行きますから!!!」
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《オイオイ第一関門チョロイってよ!! んじゃ第二はどうさ!? 落ちればアウト!! それが嫌なら這いずりな!! ザ・フォール!!!》
奈落に思えてくるほどの深い穴と、いくつもの岩の柱。
柱と柱にはそれぞれがロープが繋がっており、それを使って向こう岸に行く仕掛けのようだ。
バランス感覚に自信のある私にとっては……
《……ってオイ!! なんで全速力で綱渡り出来てんだアァ!!? しかも何気にキュートな衣装に衣替え!!》
《(長銃で前方の轟を牽制しながら……俺も出来なくはないが……)器用だな》
「【レティシア】*3」
リボンと左右に二つの鈴が付いた赤いボンネット。
黒タイ黒スーツと白い毛糸で留められた赤いベスト。
フリルやリボンが所々にあしらわれた赤いドレスを加工したようなコートに赤い二つのロングブーツ。
僅かに縮んだ身体に合う大きさの【黒属性】の弾を放つ赤い長銃。
「轟さーん!! 待って下さいよー!!」
「ちっ……やっぱマークされたか」
轟は立ち止まり後ろから飛来してくる銃弾を氷の壁によって防いでいるが、当たった個所とその周囲を侵食するように容易く破壊されてしまう。
背後にあるロープで第二関門は突破出来るものの、渡っている最中に大きな氷塊を作れば重さでロープが千切れかねない。
かと言って轟が今立っている場所は他の足場と比べて面積が小さく、あまりに分厚い氷塊を作れば自身の立つ足場を減らしかねない。
進行の足を一度止め、こちらに向かってくる枝瑠職を一度対処しなければと思考を巡らす。
──轟は枝瑠職の〝個性〟を概要の触り部分しか知らない。
実際のところ、【黒属性】の弾は〝個性〟と〝個性由来の物体〟に対して特攻性を持つが、仮に身体に命中しても一定の衝撃や痛みしか与えられない為、我慢さえしていれば身体に受けながらでも渡り切ることは可能である。
それを知らない轟は“通常より威力の高い弾丸”と誤認してしまっている。
「また止まってもらうぞ……!」
「一位は譲ってもらいますよ轟くん!」
あちらへ繋がるロープをもうすぐ渡り切ろうとしていたとき。
「オラァア!!」
《ここで爆豪、上位二名の争いに追いついたァアア!!》
爆発を利用した機動力で空を行き、最短距離で接近してくる。
爆豪勝己はスロースターター。時間が経てば経つほど身体が温まって掌の汗腺が開き爆破の威力が上がっていき本領を発揮し始める。
現在の状況を冷静に確認し、爆豪、轟は思考する。
(轟は枝瑠職の弾防ぐんでしばらくは動けねえ。俺があの弾に当たって推進力落としゃあ良くて三位止まり、最悪着地ミスってワンチャン脱落……なら)
(いくら俺をマークしてるとはいえ、後ろから来ている爆豪を無視出来ねえはず……あの銃は厄介だが今んとこ一丁しか持ってねぇ……だったら)
「ややッ! 来ましたか!」
((まずは
爆豪と轟の両名は奇しくも同じ考えに至る。
「(私の足では一度でも勝己くんに抜かれれば追いつくの至難……)ここは通しません!!」
先程まで轟へと向けられていた銃口が爆豪へ向かうとしている時、爆豪は小爆破を短いスパンで繰り返し枝瑠職と自分の間に爆煙による
構わずBang!Bang!と当てずっぽうで撃たれた数発は爆豪の体操服にかすれど身体には当たらない。
轟は自分への注意が外れている間に枝瑠職が立っているロープを這うような繊細なコントロールで冷気を伸ばし、枝瑠職の足をロープに固定しようとするが……
「ややっ!」
同じ手にそう何度も掛かるわけにはいかないとロープ上でバックステップして氷結を避けようとする────
枝瑠職が再びロープに着地する瞬間、爆豪は煙幕を突き破り、枝瑠職のすぐ隣へ空中移動して両の掌を向ける。
「吹き飛べや!!」
「【ノイズ】*4!」
FABOOOM!!
爆発を受けるギリギリの瀬戸際、枝瑠職は【E.G.O】を変更。
足場が細いロープ上で2人に挟まれ同時に相手取るのは分が悪いと判断。
意図的に【赤弱点】を着用して爆発のノックバックを被弾覚悟で増幅しつつ元来の軽い身体を活かし、遠い位置にあった別のロープへと飛び掴まる。
「ぃ……ッたいですよ勝己くん!!」
「次はてめェだ!! 半分ヤロォオオ!!」
(ここだッ!)
爆豪が攻撃に爆破を利用し、一時的に速度が落ちたスキに背後のロープに移りながら元いた岩柱に巨大な氷塊を形成。爆豪の進行を少しでも遠回りさせることでトップスピードになるまでの時間を稼ぐ妨害。
「チィィッ!! 待てやコラァ!!!」
「(渡り切られてしまった!)置いて行かないでください!」
《三者三様実力派揃いの三つ巴!!! アツい乱戦を一抜けしたのは轟焦斗!!! そのあとを追う爆豪!! さらにそれを追う枝瑠職!!》
《利害の一致とはいえ同時に狙われたのは痛いな》
「1位の奴、圧倒的じゃんか」
「そうか? さっき大分追い詰められし、3位の子が割って入ってこなかったら負けてたかもよ」
「それは無いな。あの子“フレイムヒーロー”エンデヴァーの息子さんだよ」
「道理で! オールマイトに次ぐトップ2の血か」
「2位3位もなかなかじゃない? 特に3位の子! 超カワイイし!」
「今年のサイドキック争奪戦は盛り上がるぞー!!」
《そして早くも最終関門!! かくしてその実態は、一面地雷原!!! 怒りのアフガンだ!! 地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ!! 目と脚酷使しろ!!》
《人によるだろ》
《そしてまたしても!! 全速力で互いを引っ張り合う先頭2人へとグングン距離を縮めていくA組 枝瑠職!! お前アレか!! 地面から足浮いてんだろ!!》
《どこの猫型ロボットだ》
「お二人とも!!」
「枝瑠職ッ!!」
「こっちも来やがったか……!」
「【氷のかけら】*5!」
深い青色のスーツに白タイ。
雪原を彷彿とさせる白いコート。襟元は雪のような見た目のファーが付いていてとても暖かそう。
右手には刀身が氷で作られた青い柄の槍。
身体の方も大きく変わり、身長が170cm代にまで高くなって胸部が僅かに膨らんでいるが相対している2人にはそれを深く気にしている余裕はない。
地雷原の中で爆豪と戦うなら本来避けるべきの【赤弱点】。
しかし、その高い【白耐性】はちょっとやそっとのことでは物怖じすることを知らない。
「せいっ! せいせいせいせい!!」
気の抜ける掛け声とは裏腹に高速で繰り出され続ける乱れ突き。
成長した手足で扱われる槍は長いリーチを遺憾なく発揮し、2人の体を掠めていく。
(この槍……斬られても傷もつかねぇってことは【白】か! 当たったとこが冷えやがる!)
【白属性】────肉体へ直接的なダメージを一切負わすことができないが、対象の精神へ一時的に何らかの異常をもたらせる。
不快感、罪悪感、孤独への恐怖、単純な痛み、複雑な感情──薄毛が進行して
【氷のかけら】は斬り付けた箇所が凍えているよう相手に
(今当たったよな……何かは知らんが俺には効かなかったみてぇだ)
【色】への耐性以前の話──枝瑠職の認識によって変質した【E.G.O】と個人、あるいは〝個性〟が深く繋がる相性。
詳しい説明は今は省くとするが、今回で言えば【氷のかけら】の影響は轟焦斗には意味がないようだ。
《────後続もスパートかけてきた!!! だが引っ張り合いながらも先頭3人がリードかあ!!!?》
無理に先頭に行けば他2人から妨害されてしまうが故、進む足は遅い。
まさに千日手──膠着状態から脱しようと爆豪、轟、枝瑠職の3名は一か八か己の〝個性〟の最大出力の札を切ろうとしていた時……
BOOOOOMMM!!!!
突然の後方での大爆発。地雷の1つや2つでは到底起こり得ない威力。
爆風を受け、煙を引いて先頭へと向かってくる影が1つ。
《後方で大爆発!!? 何だあの威力!? 偶然か故意かーーーA組 緑谷爆風で猛追ーーー……っつーか!!! 抜いたあああー!!!》
「デクぁ!!!! 俺の前を行くんじゃねえ!!!」
「後ろ気にしてる場合じゃねぇ……!」
爆豪は轟と枝瑠職を無視して緑谷を追う。
轟は前方の地面に氷を張り、地雷を気にする必要なく走る。
枝瑠職も空中で失速し始めた緑谷目掛けて走り始める。
(緑谷くんに空中移動は無い。地に足をつければ私が有利。気にしなくていい……本当に?)
(緑谷くんは先の爆発をどうやって起こした? 彼の〝個性〟は体が耐えられないほどのパワーの筈。聡い彼が一時の一位のために使うとは思えない。そもそも身体が壊れている様子すら……)
宙で上下逆さまの緑谷くんと目が合った。
轟くんと勝己くんに追い抜かされそうだというのにまだ諦めていない。
何かある。そう思わせられる。心臓が高鳴る。
「(あぁ……! 是非見たい! あなたがこれから何をするのか! でも忖度はいけませんので────)せいっ!」
私は右手に持っていた槍を刃に近い部分の柄で逆手待ちし、緑谷くんの顔面目掛けて振り下ろす。
突然のことにギョッとした表情になった緑谷くんは慌てて上体を起こして自分を追い抜こうとしていた横二人の背中を足場にし、鉄板を力いっぱい地面に叩きつけた──地雷だらけの場所で。
BOOOM!!!
案の定の爆発。4人の中で1番後ろにいた枝瑠職は1人後方へと飛ばされる。
《緑谷間髪入れず後続妨害!! なんと地雷原即クリア!! イレイザーヘッドおまえのクラスすげえな!! どういう教育してんだ!》
《俺は何もしてねえよ。奴らが勝手に火ィ付け合ってんだろう》
《さァさァ序盤の展開から誰が予想できた!?》
《無視か》
《今一番にスタジアムへ還ってきたその男──緑谷出久の存在を!!》
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「緑谷くぅん……!」
吹き飛ばされている最中金属でできた備中鍬を地面に突き刺して固定。
それに捕まることで水切りのように着地→爆発→着地→爆破の負の連鎖が起きないようにした。
【収穫】*6
藁で出来たベスト。袖口がほつれ、手首の部分が藁で縛ってある赤と白のチェック柄の袖。下には薄茶色のシャツに白タイ。
青いオーバーオールは上ベルトを留めずだらしなく履いている。
そして鍬にも服にも所々に赤黒いシミがあるため否が応でも事件性を感じさせられる。
首元にある白い水玉模様の大きなオレンジ色のリボンが唯一のチャームポイント。
「……解除して【赤耐性】……直撃を防ぐのは間に合いませんでしたねぇ……痛かったなぁ……置いて行かれたなぁ……やってくれましたね緑谷くん!!! 管理人がマッチちゃんの自爆を利用して他の方々を鎮圧したときを思い出しました!! あの大爆発は大量の地雷を一箇所に集めて起こしたものですか!? なんて賢い頭をお持ちのようで!! 勉強になりますねぇあはははは!!」
ひとしきり考えて喋って笑って満足したのか「……あ! まだレース中でした!」と言ってゴールゲートへ向かった。
結果は11位となりました。ションボリ。
雄英体育祭は始まったばかり──
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他の人がゴールするのを待っている間、勝己くんの方へ背中側から近づくと向こうも勘付いたのか私の方へと顔を向けてきてくれた。
「"勝己くん"って呼んでもいいですか!」
「……」
「じゃあ私も"かっちゃん"って呼びま「やめろ」──では"勝己くん"ということで! お飲み物貰ってきます!」トテトテトテ
「……」
「お! いたいた! おーい
「~~~~ッッ!!!」イライライラァ!!
(やっぱやめとこ……)
なんか白属性の説明が要りそうな予感……一応この小説では、ゲーム上での恐怖ダメージみたいな要素は白属性くんの管轄になっております。
お気に入り件数が100を超えたことを報告します。感謝!
ご感想待ってます! それではまた次回!
オリ主のイメージ像欲しい?(絵下手な奴がマウスで描いた)
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寄越せ
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いらん
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どけ!私が描こう
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自己補填できてるので大丈夫です