正義の未熟者「私」   作:春萌枯らし

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 私にとって1週間は久しぶりに当たります。

 最近になってダウンを押し入れから引っ張り出してきました。一段と冷え込むことが増えてきたので皆さん感染症にはくれぐれもお気を付けください。


第5話 お絵描きコスチューム

 

 翌日:雄英

 

『んじゃ次の英文のうち間違っているのは? おらエヴィバディヘンズアップ盛り上がれー!!!』

((普通だ))

(くそつまんね)

(関係詞の場所が違うから……4番!)

「はい!」

『それじゃあ枝瑠職ィ! イッテミヨー!!』

「4番です!」

『ンーズァァッツライト!! この調子で盛り上がってけー!!!』

 

 個性把握テストから日を置き、私たちは普通の授業を受けていた。今のはプレゼント・マイク先生による英語の授業だ。ヒーロー科に在籍しているからと言って常に訓練を受ける訳ではなく、私たちはあくまで高校生として授業を受けている。午前の内容は普通科の授業と対して変わらない。

 

 ──話は変わるが、今日登校してからというもの、なぜか女子には慈母のごとき笑みを向けられ、何というかほんわかとした空気になる。何人かの男子には頭を撫でられそうになる。私の身長は通常時、164cmなのでA組の男子の中では低い方だ。ちょうどいいサイズということでしょうか……。

 嫌な空気ではない。しかし、何というか……自分がその中心になっているのがその……もにょもにょと言い表すのが難しい感情になるのだ。

 

 こうなった原因に心当たりがないので休み時間に天哉くんへそのことを聞きに行ったら、「それはだな……」くらいのタイミングで颯爽と現れた茶髪の女の子に口を塞がれていた。周りの生徒も「グッジョブ!」と親指を立てている。どうやらいつの間に仲良くなったらしい。

 名前は麗日お茶子というそうで話してみると、思ったことを割とズバッと言える気持ちのいい、明るい性格だった。指の腹にある肉球がカワイイのでぜひ今後とも仲良くしたい。もっとおしゃべりしたかったので昼食に誘ったら心良くOKを出してくれた。

 あ、そうだ──

 

「天哉くんも宜しければご一緒にどうですか!?」

「ああ、俺もちょうど枝瑠職くんを誘おうとしていたところだ」

「麗日さんもそれで大丈夫ですか!?」

「元気ダネー、私は大丈夫だよ! そうだ、私も1人誘ってきていい?」

「はい! いいですよ!」

 

 先に食堂で席を取っておくことを伝え、麗日さんと一時的に別れて天哉くんと共に食堂へと向かった。

 

 

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 食堂では同じく昼食を摂りに来た多くの生徒でごった返していた。「白米に落ち着くよね、最終的に!!」でお馴染みクックヒーロー“ランチラッシュ”のご飯は安価で、栄養満点で、何より美味しいのでとても人気なのだ。

 4人座れる席を見つけて私は席取り係、天哉くんには先にご飯を取りに行ってもらう。1人で待っている間になんとなくポニーテールにしてあった髪を下ろして足をプラプラさせながら待っていると、ちらちらとこちらを見てくる人が多いことに気付く。

 

「見てあの子、すごく綺麗じゃない……!」

「わぁ、ほんとだ! 女の子……だよね?」

「1人っぽいぞ。一緒に食おうか誘ってみようかな」

「一目惚れした……カワイイ!」

 

 普段の奇行で忘れがちになるのでもう一度言うが枝瑠職三鳥という人間はかわいい寄りの超がたくさん付くタイプの美人である。大きな目、神秘的な髪、細くしなやかな肢体、どれを取っても人間離れしていて、そんな存在がアンニュイ顔で黙っていれば何十人もの人間が集まってくるのは必然と言える。ある意味騙されているので被害者とも……。

 ──そう言う訳で今、枝瑠職の周りには人で造られた壁の様なものが形成されている。なお、当の本人は飯田の到着にしか興味がない。

 

「天哉くんたち、まだですかねぇ……」

 

 ──結局、飯田たちは枝瑠職を探すためかなりの時間が掛かってしまい、ろくに話すこともできず昼食の時間が終わってしまった。飯田は枝瑠職の美貌の恐ろしさを知った。ちなみに麗日が連れて来たのは緑谷であり、枝瑠職とは軽い挨拶しか出来なかった。──緑谷はかなりどもっていた。

 

 

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 昼休みが終わり、教室で午後の授業のヒーロー基礎学が始まるのを今か今かと皆で待っている。全員が楽しみなのを抑えきれず体がソワソワしているのを感じる。かくいう私も上体を左右に揺らして軽く机をリズムよく叩いている。何故なら、この教科の担当教員は……

 

「わーたーしーがー!! 普通にドアから来たー!!!」

 

 HAHAHAと笑いながら前髪が2本の触角の様に聳え立つ筋骨隆々の男が図体に合わないコミカルな感じに教室へ入って来た。

 

「オールマイトだ……! すげえや、本当に先生やってるんだな……!!!」

「銀時代のコスチュームだ……! 画風違いすぎて鳥肌が……」

「わあぁ、すごいですねぇ! 本物ですねぇ!! あぁ……正義のヒーロー……」

 

 No.1ヒーローであるオールマイトその人である。合格通知であらかじめ知っていたとはいえ国内外老若男女問わず人気のヒーローの授業を受けられるなんて全員夢にも思っていなかった。

 

「ヒーロー基礎学! ヒーローの素地をつくる為、様々な訓練を行う課目だ!!! 単位数も最も多いぞ。──早速だが今日はコレ!! 戦闘訓練!!!」

 

 オールマイトがこちらに向けて力強く突き出した手には『BATTLE』と書かれたプラカードがあった。

 

「戦闘……訓練……!」

「そしてそれに伴って……こちら!!」

 

 オールマイトがリモコンのスイッチを押すと教室の左側の壁に隠されたガラス扉のロッカーがせり出てきて、そこに1から20の数字が刻印されたアタッシュケースが収納されているのが見える。

 

「入学前に送ってもらった“個性届”と“要望”に沿ってあつらえた戦闘服!!!」

「「おおお!!!!」」

「着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ!!」

「「はーい!!!」」

「楽しみですねぇ! あ、届かないので誰か肩車してください」

 

 ──しっかり要望通りになっているかちょっと心配である。というのも私は絵を描くのが昔から得意ではないのだ。中学のときの理科のテストではスケッチのところで毎回ペケをもらって100点を逃すことが多々あった。採点基準が甘いと評判の先生だったのに。クレヨンで描くことの何が悪いのだ!

 

 

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 グラウンド・βは市街地を模して造られた場所だ。入試会場にも使われたので随分と見覚えがある。

 男子更衣室では私が1番に着替え終わったので、てっきりここに来るのも私が最初だと思っていたが何もない場所に手袋とブーツが浮いていたのでどうやら私は2着のようだ。オールマイトは向こうで授業に使うであろう物をいそいそと準備している。

 ──そうだ、あの透明ガールにこのコスチュームの意見を貰いに行こう。

 

「そこの透明な方! いきなりですみませんが私のこのコスチューム、率直にどう思いますか!?」

「わわっ、枝瑠職くんじゃーん、グイグイ来るね! そのロングコートすごい似合ってるよ! かっこかわいいって感じ!」

「かっこ、かわいい……!? でも、不格好に見えなくてよかったです……」

 

 枝瑠職のコスチュームは上が赤いネクタイとプリーフシャツ、レザーコルセットで締められたウエストの曲線が女性らしく見える。下は体に沿うようなビジネスパンツ。重さを感じる分厚い黒のレザーロングコートに、背中には赤い線で“生命の樹”が描かれている。左の上腕には濃い灰色で縁取られた赤い腕章、薄い黄色の月にかぶる様に少し大きいエメラルドグリーンのイニシャル“L”がデザインされている。右の腰には緑色の警棒が吊るされ、今はコートで見えないが腰にいくつかポーチが付いていて通信機やメモ帳、ライト等他、便利そうなものが色々入っている。

 ──かなり高品質な出来である。だが枝瑠職には納得いかない点がいくつもあった。シャツが勝手にプリーフシャツにされ何故かコルセットも付属されているし、望んでいたのはジャケットだったがロングコートに変更されている。しかも、すべてレディースである。

 ここまで変更点が多いのには理由がある。まず、枝瑠職の描いたデザインが幼稚園児レベルで、デザイン会社は大雑把な形と色しか認識できなかった。辛うじてスーツである事は判ってくれたようだが、枝瑠職の描いたジャケットは前開きになっていたのでコートだと受け取られてしまった。

 あとは担当したデザイナーの趣味である。だが、腐ってもプロのコスチュームデザイナー。“身体情報”そして“個性届け”を元に作られているので間違いなく性能は良い。

 以上が枝瑠職’sコスチュームの誕生秘話である。

 

「(今の私では“会社”のスーツを着るにはまだ早い──ということにしておきましょう)──そういえば、貴女のコスチュームはどういう仕組みになって……」

「? 普通に手袋とブーツだよ」

「やや? それだけですか?」

「うん」

「……??」コテン

「?」コテン

 

 

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「始めようか有精卵共!!! 戦闘訓練のお時間だ!!!」

 

 しばらく透明ガール──葉隠(はがくれ)(とおる)とおしゃべりしている内に他の人たちも各々のコスに着替え終わって全員集まったようだ。その中でも三奈さんのは奇抜ですね! 私の【E.G.O】の見た目の受け入れ適性が高そうです。──全員のコスを観賞する時間は無く、もうじき授業が始まりそうなので透さんとは一旦バイバイした。

 

「いいじゃないか皆、カッコイイぜ!!」

「先生! ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」

「いいや! もう2歩先に踏み込む! 屋内での対人戦闘訓練さ!! ──(ヴィラン)退治は主に屋外で見られるが統計で言えば屋内のほうが凶悪敵出現率は高いんだ」

「目立つ敵退治の影に隠れて悪だくみ、ということですか!」

「その通り! 監禁、軟禁、裏商売etc……このヒーロー飽和社会(ゲフン)真に賢しい敵は屋内(やみ)にひそむ!!」

 

 私が敵なら下水道を使いますね。最近のヒーローは見た目商売で外見を気にする者が多い──所謂、ブランディングというヤツです。あ、でも相澤先生はそういうの気にしなさそうですよね。……もしかして相澤先生が普段ちょっと汚れているのはそういうワケが……これ以上はやめておきましょうか!

 

「君らにはこれから“敵側”と“ヒーロー側”に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう!!」

「基礎訓練もなしに?」

「その基礎を知る為の実践さ! ただし今度はブッ壊せばOKなロボじゃないのがミソだ」

 

 ──【緑の試練】のような無機物相手は考えることが少ないため私の得意分野なのですが、ヒーローとなる以上ブッ殺せばOUTの人との戦闘は避けられませんしね。デクくんは今のままだと自らをも破壊する人間ミンチマシーンですから是非とも頑張っていただきたい。

 

「勝敗のシステムはどうなります?」

「ブッ飛ばしてもいいんスか」

「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか……?」

「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか」

「このマント、ヤバくない?」

「総当たりですか!?」

「んんん〜聖徳太子ィィ!!! いいかい!? 状況設定は“敵”がアジトに“核兵器”を隠していて“ヒーロー”はそれを処理しようとしている! ヒーローは制限時間内に敵を捕まえるか核兵器を回収する事。敵は制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえること」

 

 あ、物理的にボコボコにするのはやめておいた方が良さそうですね。わざわざ「捕まえる」って言いましたし。心身ともに無力化するのは難しいんですよねぇ。

 

「コンビ及び対戦相手はクジだ!」

「適当なのですか!?」

「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップする事が多いし、そういう事じゃないかな……」

「クラスの個性相性を汲んで公平に組むと成長に繋がりませんしね!」

「そうか……! 先を見据えた計らい……失礼致しました!」

「いいよ!! 早くやろ!! それと今回は時間との兼ね合いで1チームにつき1試合のみだ!」

 

 むう、そうなんですか。好きなモノは最初に食べる派なので残念です……。

 

 

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 全員がクジを引き終わり、チームメイトと軽く顔合わせをしている。私は“F”なのですがまだ集まれていない。「Fの方あぁー! 私がチームです! Fの方ー!」と呼んでみると、おずおずと手を挙げて恥ずかしそうにこちらへと近づいて来る方が1人──初めましての人だ。

 

「初めましてですね! 枝瑠職三鳥です! 一緒に頑張りましょう!」

「……!」コクコク

 

 石頭……悪口ですねこれ。岩のような頭をしている彼は確か……口田くんでしたかね。身長差すごいですね、これ。良好な反応はあれど、先ほどから喋らないのは無視しているのではなくて単に恥ずかしがり屋なだけですね。シャイボーイですねぇシャイボーイ。

 試しに握手をお願いすると恥じらいながらも手を握ってくれた。あ、手のサイズも全然違いますね。すっぽり収まってしまいました。

 

 ──そんなことをしているうちにどうやら初戦の対戦相手が決まったようだ。ヒーローチームがデクくん・麗日さん。敵チームは天哉くん・バクゴウくんではっきり言えば敵チーム有利のマッチ。ただデクくんは頭柔らかそうなのでヒーローチームの戦略勝ちもありえますね。

 

「敵チームは先に入ってセッティングを! 5分後にヒーローチームが潜入でスタートする。他の皆はモニターで観察するぞ!」

「「はい!!」」

 




 主人公のコスチュームは細部は異なりますがリンバスのドンキホーテがモデルです。オリ主を作るときに少し参考にしました。とは言ったものの1章しかクリアしてません。

 感想お待ちしてるますですだ。

 今日のポンコツ日記:ちょっとグロいですが右耳の軟骨のピアスを通すの失敗して「ブツッ」っていう変な音が鳴りました。普通に痛い。耳たぶならこうはならないのに!

 明日も1話投稿する予定です。しばらくは週末更新となります。

オリ主のイメージ像欲しい?(絵下手な奴がマウスで描いた)

  • 寄越せ
  • いらん
  • どけ!私が描こう
  • 自己補填できてるので大丈夫です
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