東方、竜と桃色玉の英雄伝   作:プルコギ

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家族

 

 

「静かにしてるんだよ?」

「うん…」

「それじゃあ行ってくるね」

 

 

 

私は産まれて間もない彼女をこっそりと作った地下室に住まわせた

彼女はいつもいつも私のいいつけを守り、本当は外へ出たいのに狭い地下室でひっそりと過ごしている

だから私は時間を見つけてはひたすら地下室を改築して彼女が楽しく過ごせるように努力をしていた

 

私が中学校に向かう途中、後ろから誰かが私の方を叩いた

 

「純姉さん、アンタ、何かとんでもない隠し事をしていないか?」

「なんのこと?」

 

金色の髪をした彼は知ってしまったのだろうか

だとしたら…

最悪、殺さなければならない

私の子を、私の妹を、もう一人の私を守る為に

 

「大丈夫、誰にも言っていない」

 

「回りくどい言い方して悪かった、残破をどうするつもりだ?いつバレるかわからねぇぞ」

 

知っていた、彼は彼女のことを…知っていた

でも彼はわたし達の味方をしてくれた、私は彼を信じる事にした

 

初めは自分が自由を奪われた時の依代として創り出した存在だった

でも今は何よりも愛おしい存在

絶対に彼女を死なせはしない、彼女のためにも死ぬわけにはいかない

 

この命が憎くて憎くて仕方なかった

産んだ親が狂っていた

でも本当に狂っていたのは自分

私はアイツの血を引いている

 

でも今はあの子がいる

死んではいけない

 

 

 

「ただいま」

 

数多の魔術と陣を駆使して作った地下への入り口を開くと太陽のように明るい笑顔の彼女が駆け寄ってきた

 

彼女の成長は恐ろしいほどに早かった

彼女が私の言うことを聴かなくなるのは時間の問題…

 

「なおかと…あなたはだぁれ?」

 

しまった

 

つけられた

 

此処に来れるのは私と特殊な才能を持った彼と

私たちなんかよりはるかに膨大な力を持つアイツに違いない

 

「大丈夫、誰にも言わないわ、もちろん彼にも」

 

つつみ込むような優しい声、私を後ろから抱きしめる細くて白い腕

体が溶けるように伝わる温もり

 

「お母さん…」

「純、どうして隠していたのかだけ聞かせてくれる?」

 

私はなんて愚かなんだ、もっと早くから話しておくんだった

こんなにも優しい母が彼女の存在を知って殺すわけ無い

私は包み隠さず彼女のことを話した

 

「そう、わかったわ、じゃあこうしましょ?この子はサプライズのつもりで黙っておいた子、彼が仕事出いないあいだに産んだことにすればいいわ、そうすればあなたがこの子を産んだ理由は分からない」

 

このことを知っているのは私と母と彼だけ

 

母は父が帰ってくる前にほかの兄弟に“サプライズ”の話をした

 

 

「よぉ、帰ったぜ」

 

「おかえりなさい」

 

いつもは優しい父であった、でも本当は違う

アイツはただのケダモノだ

妻がいるのに他の女と子どもを作って帰ってくる

ここにいる兄弟はみな半分しか血のつながってない兄弟

顔も種族も何も全く兄弟

 

みんな一体何者なのか誰もわかっていない

 

 

「実はあなたにすごいお知らせがあるの、あなたが仕事にいっているあいだにもう一人、あなたの子どもが産まれたの」

「おお、お前と俺の子か、名前は?」

「残破って言うの」

「えー、不味そうな名前だな」

「純が決めたのよ」

「純がぁ?なんでこんな不味そうな名前にしたんだよ」

「食べ物の名前は学校で弄られるからよ、とくにうちの場合はおでんが給食に出る度にね」

「……そうなのか?」

 

「当たり前でしょ!!恥ずかしい!!」

「今更かよ!!!!!!!」

「後の事考えろよな!!!」

「あまりにも変わった名前だと他の子の親御さんや教師にも変な目で見られるのよ?分析データだってあるわ」

「パパの馬鹿!!」

「ネーミングセンス皆無」

「無いわ」

 

兄弟は次々に叫んだ

 

「お前らはなんで年順に物を言うんだ?」

 

「アンタの教育でしょ!!!認知症にでもかかったの!!?」

 

煮湖海の強烈な言葉が連続で飛ぶ

煮湖海と禁擲はこの家で一番口が悪い

特に禁擲は学校ですぐに問題を起こして今ではここらのヤンキーをまとめあげる程だ

優しい彼の表の顔は漫画の主人公だ…モテるし

 

その弟の犯片は名前の通り犯罪を起こすのではないか心配だ

なんて言ったって生まれながらのロリコンなのだ、筋金入りどころではない、コイツはきっと父親の血が濃いんだろう

 

その妹の水菜は電脳だかなんだかでずば抜けて頭がいい

そのせいで幼稚園の頃から先生を論破する恐ろしい存在になってしまった

小学二年生の頃には先生の悪口を書いた作文で金賞を取るほどだ、そのあと小学三年生で大人気微エロホラー小説

霧雨の止む頃に、を出版した

 

その弟の黄音は名前は聞いた感じ悪くないが一部からは大根、すなわちだいこんと呼ばれている

彼は現小学三年生にして世間が見習うべき優男である

 

それにくらべて弟の舞紀刃は妖精の血を引いているのにかなりのひねくれもので借りパクを得意としている

きっとこいつはピクシーだ

 

末っ子の臓衰は体が弱く、父に殺されかけたのだが

彼はやられたことを倍で返す事ができるらしく逆に父の方がミンチになった

 

そして行方不明のままの長女の糸蒟姉さん

 

 

彼女は禁擲が父の記憶を炙り出して封じられていることを知った

 

 

姉さんは必ず救い出す、だから今は学校で戦いを学ぶ

そしていつか父の信頼を得て寝首を掻くのだ

 

正面からぶつかりあって勝てる相手じゃない

 

卑劣な手で倒すしかない

 

 

 

 

 

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