東方、竜と桃色玉の英雄伝 作:プルコギ
「貧乏ゆすりやめてくれない!?ムカつくんだけど!」
「あぁ?ウチは裕福だろうが馬鹿かお前は」
「工事現場みてぇに足ブルッておとたてることを貧乏ゆすりって言うんだよ!」
煮湖海が右手を思いっきり隣に座る犯片にたたきつけると犯片は椅子を倒して大きな音を立てて後ろ側にローリングし壁に背中を打ち付けた
「チッ、まじぃなぁ」
煮湖海の手に持つナイフには赤く染まった白玉のようなものが刺さっていてソレを口に含んでは味に文句をつけた
「ちょっと、気持ち悪いんだけど、食事中にやめてくれる?」
「これも食事だっつーの」
「残破が真似したらどうすんのよ」
煮湖海と純の掛け合いを聞いてふと何か気になった惡殿が妻故子に徐に口を開く
「なぁ、残破は本当に俺とお前の子なのか?」
「そうよ?急に何?」
食事の手を止めて深刻な表情でやりとりをする2人を見てほかの兄弟たちの表情も変わった
「ほら、残破の目を見て?あの金色の瞳はあなたの瞳にそっくりだわ?」
「確かにそうだな……瞳と言えば…純は左右で瞳の色がちがくなかったか?」
「それは成長に伴って変わるものよ、彼女だけではなく、他の子の容姿もガラっと変わるはずよ?」
「そうか……じゃあ、俺が仕事に行っているあいだに産まれた子がなんでほかの兄弟より成長してるんだ?」
「それはあなたの子どもの証拠じゃない?妖怪は成長が早いでしょう?」
残破の成長の早さは純の悩みでもあった
今は問題ないが一時期は残破の方が純より大きかったのだ
さらに見た目だけでなく知能までも成長するもので純一人ではとても手に負えない問題もあったのだ
「ねぇパパ」
「なんだ残破」
「アタシ小学校じゃなくて中学校に行きたいの、周りの子はみんな雑魚だし、授業もぬるくてやってられないの、パパのお金と権力で何とかならないの?」
「……なるほどな、じゃあ俺にお前の実力を見せてみろ、そしたら考えてやる」
しまった、残破がアイツに挑むことになってしまった
「やめな残破、痛い目見るよ!」
「やだー!中学校行きたいー!治壊のばかぁー」
「!!!残破!!」
ん?
「治壊って誰だ?」
でた、犯片だ
右目に手を当てて色素の抜けた髪をかきむしりながら席についた彼は獣の耳を立て不敵な笑みを浮かべながら残破と純を見る
「なんでもないよ、犬っ頃は床でも舐めてな」
「あ?てめぇ年上だからって舐め腐りやがって、ぶっ殺すぞてめぇ」
テーブルを挟んで睨み合う2人
楽しそうに傍観する父
「やめなさい二人とも」
「はーい」
「ババアはすっこんでろ!」
「死ねごラァあ!」
母に暴言を放った犯片の姿が消えた
その代わりに犯片のいたところに立つ禁擲と壁にあいた大穴
「ありえねぇ」
禁擲は不機嫌そうにドスンと席に戻り脂ののった肉の塊をほおばった
人に非難されて育った禁擲にとって実の母でもないのに優しくしてくれる故子は絶対的な存在であった
特に故子に迷惑をかける犯片とは常にぶつかりあっていてしょっちゅう部屋を壊していた
「お兄ちゃん怖い」
「アイツにしか手はあげねぇよ、相当のことがなければの話だけどな」
臓衰はかなりのビビリで禁擲にはかなりトラウマがあった
さらに妹ができたと思ったら自分よりずっと大きくて残破もトラウマである
「こんのクソマザコンがぁあ!!!」
懲りない犯片が壁を突破して食卓に突っ込んできた
全身は黒い毛に覆われ口も前に出て狼のような姿になった犯片は真っ先に禁擲に飛び込む
しかし禁擲はなんの素振りも見せずに料理を口に入れては美味いと賞賛している
一部を除いたみんなは何も気にせず食事を続ける
何故なら彼は静止しているから
「ご飯くらい静かに食べたいかな」
いつもの優しい笑を浮かべながら獣の額に手を当てる黄音
彼は体にぴったりと結界を張ることで相手の動きを止めることを得意とする
彼は事が大きくなる前にこうやって動きを止めてくれるので家では何かと中立の立場をとり更に関係ないところでも意見が通りやすいのだ
うちの勝ち組とでも言おうか
今日も彼のおかげで食事は無事に終わった
夜、残破が父に挑む事になり窓やドアから兄弟が心配そうに見守っていた
「さぁ、お前の力を俺に見せてみろ」
「よぉーし!」
残破が魔力を開放すると父の顔はみるみる狂気に満ちた笑を浮かべた
また、部屋をのぞく兄弟たちは大きく目を見開き黄音、舞紀刃、臓衰は魔力の圧力で吹き飛ばされてしまった
彼女は蒼白い炎を操り右手には炎を集めて清々した葵太刀を手にしている
あの刀は彼女を産みだす時に魂と悪魔を媒介にした生ける刀を模したものだろう
「えい!」
残破が刀をふると物体に触れることなく父の右腕を切り落とした
「なに?お前……」
「次は首ね!」
何処かで見たことがある景色を思い出した
実力を確かめるため試しに残破に殴りかかってみたところ
刀と炎で防がれた
それならこれでどうだと魔術で体の自由を奪ってみたところ
彼女は炎で自身の体を操って攻撃をかわして見せた
「クックッククククク……ぐっはははははははぁ!!!こりゃおもしれぇ!産まれて間もないガキにこんな戦闘センスがあったなんてなぁ、それも俺によく似た…」
「ぅうっ、」
「ぁあ?」
残破が突然苦しみ出した
「おい、まだ終わってねぇぞ?」
「うるせぇな、腹が痛くて死にそうなんだよ」
「ぁ?てめ……なっ!!?」
女の子とは思えない低く冷たい声、同時に起きた赤い波動の波
赤い波は触れたものから力を奪った
父は転移魔法でその場を逃れ、兄弟たちも慌てて部屋を離れた
逃げ遅れたものたちは酷い貧血にみまわれた