白狼救済録 作:らんらん出荷マン
――第1小隊ブリーフィングルーム
その室内には、珍しく第1小隊の全員が揃い、整列していた。
小隊長の村正レンが前に出て、これから説明を始める。
「休め」
レンが声をかけると、全隊員が一斉に「休め」の姿勢になった。
「明日は、めでたいことに入学式があるわ。
そして嬉しいことに優秀な子が多い。今年はこの隊にも新入生が配属されるけど――
なんと! その新入生のうち、一人は首席よ!」
レンがそう言った瞬間、室内が歓喜に満ちた。
「うおぉお!」
「レナちゃん天才!!」
「ヒュー!!」
室内の空気が一気に湧き立った。
レンはその様子を一瞬だけ見渡し――
片手を挙げ、声を張り上げる。
「静粛に!」
皆は口を閉じ、レンを見つめた。
「それでなんだけど……レナさん!」
「……はい!」
列の後方から、レナが応じた。
「首席であるあなたには、新入生を代表して、壇上で宣誓をしてほしいの。急な話で申し訳ないけど、あなたなりの言葉で考えてほしい」
「……了解、しました」
(宣誓か……何を言えばいいのやら。
……前に誓ったことは、結局――守れなかった)
その様子を見てレンは、何かを思い出したのか手をポンと叩いた。
「あ、そうだった。当日はクロノスが入るから、テレビ中継されると思うわ。適当なことは言わないでね?」
「……肝に命じておきます」
「それと、大事な式典だから新入生にも、SRTの制服を着てもらうわよ?
いつまでも古巣の格好じゃ、示しがつかないでしょう……ちょっと、全員分の制服を持ってきてちょうだい」
レンは傍にいる部下に、全員分の制服を持って来るよう指示した。
ほどなくして部下が制服を抱え、WOLFチームの前に立った。
その手に抱えられていた制服は――
他の隊員の制服とは、デザインも配色もまったく違っていた。
他の隊員がセーラー服を基調としているのに対し、WOLFチームに支給されたのは、装備を付けることを前提としたのか、丈の短いコンバットジャケットを羽織るブレザーだった。
そして、カラーは黒。ワンポイントに青が入っている。
「……こ、これは」
「連邦生徒会長が、直々に指定した制服よ。特別製でも従来通りの改造は許されてるから、その辺は好きにして」
(制服……というより戦闘服だ。連邦生徒会長……一体どういう風の吹き回しだ)
レンはざっと説明すると、大きな溜息を吐く。
「……はぁ……あなたたち、随分と気に入られてるわね?……ちょっと妬いちゃうわ。レナさんって、会長と仲が良いの?」
「いえ……少々、世間話をしただけですが」
リノが目を輝かせながら制服を手に取る。
「わぁ、かっこいいですね!エリートな雰囲気があります!」
「じゃあ〜それに見合った実力をつけなきゃねぇ~❦」
「確かに、かっこいいけど……背が低い僕に似合うかな?」
制服を眺めたまま動こうとしないWOLFチームにレンは着替えるように促す。
「はいはい、感想を言うのは構わないけど、さっさと着替えてきなさい」
――
着替え終わったWOLFチームが整列する。
「ふーん、結構いいじゃない」
レンは振り向き、後ろの仲間たちの意見を聞いた。
「みんな、どう?」
「あー……いいですね」
「特殊部隊って感じですね」
「何言ってんだ、私たちも特殊部隊だろ」
第1小隊は相変わらず、自由である。
◆
――翌日
SRT特殊学園内――中央講堂
空高い天井。整然と並べられた椅子。
壇上の後ろに掲げられたSRTの校章が、無言の圧を放っている。
今日この場にいるのは、厳しい試験をくぐり抜け、選ばれた優秀な生徒たちであった。
会場内を静寂が包む。
その場にいる者の呼吸さえ重くさせ、厳格な振る舞いを求めた。
(ついに……この時が来たか)
レナはこの世界に来て間もない。
だが、アビドスのために尽くしてきた成果が、今結ばれようとしている。
アビドスと違う制服に身を包んでも、レナの目的はただ一つ。
――帰る場所を守る。
それだけだ。
やがて、最上級生の「SRT特殊学園総司令」が壇上に上がり、言葉を述べる。
「これより、SRT特殊学園入学式及び新入生成績上位者の宣誓式を行う……総員!起立!!」
その掛け声とともに、会場内の全員が立ち上がった。
「本日、ここに集まった新入生諸君、まずは入学おめでとう――」
総司令の淡々とした祝辞が続く。
使命、責任、希望。
ありふれた言葉だが、どこか威厳に満ちた総司令の言葉を、レナは一語一句逃さず聞いていた。
(総司令は信頼に足る人物のようだ。彼女がいる限り、暴力装置のSRTは秩序を保ち、キヴォトスの守護者であり続けるだろう)
そして式は進み――
新入生の呼名が始まる。
一人またひとりと呼ばれ、短い返事が続く。
「大上レナ!」
その名が呼ばれた瞬間、誰かが息を呑む音がはっきりと聞こえた。
「……はい!」
レナが立ち上がると、小さなざわめきが起きた。
「……首席だ」
「……あの子があの試験を?」
レナは壇上に上がり、総司令の前まで行って一礼する。
顔を上げると、一瞬だけ総司令の視線が鋭くなった。
(なんだ……今のは)
「大上さん。期待しているぞ」
「はっ、最善を尽くします」
レナは席に戻り、着席する。
その後も呼名は続き――
「続いて、宣誓式を行う!まずは次席、七度ユキノ!」
「はい!」
呼ばれて立ち上がったのは、試験の時に好成績を出していた狐耳の生徒だった。
(……あの時の狐か……!)
彼女は壇上に上がり、マイクを取る。
「私、七度ユキノは!」
「SRT特殊学園の生徒としてここに宣誓します!」
ユキノは背筋を伸ばし、周りを見据える。
「私は、規律を重んじ。組織の一員として最善の限りを尽くします!」
淀みなく、自信に溢れた表情で続ける。
「私は、命令と状況を正しく理解し、ここキヴォトスに貢献します!」
誰もが頷く、素晴らしい内容だ。
「仲間とともに歩み、頼られる存在として、SRTの名に恥じぬ行動を心がけることを、ここに誓います!」
ユキノは言い切り、辺りは静まる。
その直後、大きな拍手が会場を包んだ。
ユキノは壇上を降りた。
「首席!大上レナ!」
(……さぁ、俺の番だ。)
「……はい!」
レナは壇上に上がり、会場全体を見渡す。
すると奥の方で、大きなカメラを操作している生徒が目に入った。
(……嫌な視線を感じる)
辺りは物音一つ立てず、静まり返っている。
大きく息を吸う。
「私は、大上レナ」
冷たいマイクを握りしめる。
(俺が誓うのは、未来じゃない――仲間だ)
◆
――アビドス高等学校
「ホシノちゃん!始まったよ!」
「……ッ!今行きます!」
ホシノがテレビに駆け寄り、ユメと二人で中継を見る。
――
《SRT特殊学園の生徒として……ここに宣誓する》
《私は決して任務を放棄しない》
《どのような危機的状態でも、決して判断を放棄しない》
《私は……仲間の命を最優先とし、自身を投げ打ってでも守り抜く》
《そのために必要な行動を、選択する》
《私は必ず、仲間を無事に返す》
《そのために、私は迷わない》
《その誓いを今、ここに立てる》
――
中継を観ていた二人は、言葉を失った。
ユメは震えた声で、なんとか言葉を紡いだ。
「……あの時の目に戻ってる。行かせるべきじゃ……なかった」
「自己犠牲」――その誓いは、決して称賛されるものではなかった。
だが戦場では、確かに「必要な誓い」だった。
――彼女は称賛など求めてはいない。
もう誰かが死ぬのは、見たくはなかった。
◆
連邦生徒会――生徒会長室
《その誓いを今、ここに立てる》
「花丸です、レナさん!私が見込んだだけはありますね!」
やっと主人公のビジュアルが揃いました。
イメージしやすいようにAIさんに画像を出してもらうことも考えてます。
なのでアンケートを取ります。
大上レナのイメージ画像
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イメージ画像ほしい
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自分のイメージを壊したくないからいらない