白狼救済録   作:らんらん出荷マン

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戦闘シーン書くの難しすぎません……?

あと多機能フォームとやらも使ってみました。


第3話 ツーマンセル

 

「なぁ…」

 

「ん?なんだよ」

 

「3!」

 

「流石に静かすぎやしないか?留守にしてるんじゃ……」

 

「それじゃ困る!今日も飯抜きはゴメンだよ!!」

 

「2!」

 

「でもあのほわほわした緑髪が見当たらないし、ピンクも出てくる気配が無い…」

 

「仲良くショッピングにでも行ってるかもな!」

 

一向に出てこないホシノ達にヘルメット団は気を緩めつつあった。

 

「1!」

 

「おい!そろそろクルマからRPGを持ってこい!」

 

「おう!」

 

「0!」

 

ヘルメット団10人のうち2人が隊列から離れた瞬間、ピンク色の影が猛スピードで飛び出すのが見えた。

 

「うわっ!出てきた!このタイミングで!?」

 

「いつから居たんだ!?分からなかったぞ!?」

 

急な奇襲に隊列が乱れる中、「赤いヘルメット」を被ったリーダーが叫ぶ。

 

「オメェら、狼狽えんな!こっちにゃ新調したピッカピカのAKがあるんだ!さっさと撃て、頭を押さえろ!!」

 

「「「おう!」」」

 

リーダーは隊から離れた2人にも指示を飛ばす。

 

「オメェらはそのままRPG取ってこい!なる早でなぁ!!」

 

リーダーの鼓舞で迅速に態勢を立て直し、ホシノに銃撃を開始した。

 

(――くっ!迎撃が速い。2人下がって前衛は5人。でも注意を引けた。第一段階は成功です……頼みましたよ、レナさん。)

 

――撃って来た!!

 

5丁のUZIが一斉に火を吹くが、回避を優先したホシノには掠りもしない。

 

勘付かれぬよう、数発の散弾を放ち、先程まで一緒に居た”自称記憶喪失”に期待を寄せる。

 

「――よし!!前に出ろ!!追い詰めるんだ!!」

 

見事に釣り針に引っ掛かった団員は校庭中央へ前進した。

 

「さあ、かかってこい……格の違いを教えてあげますよ」

 

応戦を開始したホシノは、小柄な体躯を活かし、バリケードを巧みに利用し、まるで蜃気楼のように神出鬼没だ。

 

「右に動いた!回り込む気だ!」

 

「こっちに来る気か!?やってやる!」

 

ヘルメット団は全くついて行けてない、隙を見て散弾をお見舞いする。

 

――ズガンッ!!

 

「アーッ!目が!!目が!!」

 

不用意に近付いた一人のヘルメットを撃ち抜きバイザーを粉砕する

 

「ミーちゃん!?やりやがったな!このチビ!」

 

 

聞き捨てならない言葉だった。ホシノのボルテージが一段階上がる。

 

 

 

 

 

◆

 

一方レナは、視界に入らないよう腰を低くし、ホシノとは反対側から徐々に近付いていた。

 

(アレが、小鳥遊ホシノ。……速い)

 

敵の意識は完全にホシノに向いていた。

 

激しい弾丸の応酬と硝煙。そして走り回る音が続く。

 

それを尻目に地べたを這うように進む。

ようやくハンドガンの有効射程まで近付いたレナは、バリケードから顔を覗かせる。

 

目と耳を動かしながら周囲の情報を探る。

距離はおよそ15m――ヘルメット越しに頭を狙うのは愚策。

 

冷静に分析していたが、クルマで何かを漁っている2人を見て身の毛がよだつ。

 

(……クソ、RPGか!?時間が無い――まずは手前の奴を無力化し、指揮官を確保する!)

 

 

 

 

――

 

8人相手に大太刀を振るうホシノも、RPGを見て背筋が凍る。

 

 

(レナさん、急いで下さい!)

 

シェルを込める手に力が入る――

 

 

 

――

 

即座にプランを立てる。

後衛の3人はホシノに弾を当てようと必死で、近くにレナが潜んでいることなど知る由もない。

 

 

機会を伺っていると遠くで――ホシノが大きく飛び出すのが見えた。奴らはそれに釣られ、向きを変える。

 

(いいぞホシノ!背中がガラ空きだ……今しかない!)

 

真紅の眼光を光らせたレナは飛び出して一気に踏み込む。

 

――地面が爆ぜた。

 

 

身体が軽い。華奢な見た目に反し、この体は強烈だ。

 

そのままスピードを上げ、一番近い後衛の一人に襲い掛かる。

 

「なっ伏兵!?」

 

気付いた彼女は構えようとする。

 

――させるか!

 

世界の時間がゆっくりと流れる。騒音、渇いた空気、五感が研ぎ澄まされ、風で巻き上がる砂の一粒が鮮明に見えた。

 

 

確実に当てる――そう確信した。

 

 

だが。

 

 

黒いヘルメットの少女にハイパワーを向けた瞬間、前世の記憶と重なった。

引き金に触れた拍子にノイズが走る。

視界が滲み、手は汗ばむ。

 

1秒に満たない硬直。

 

――パン!

 

「ッ……!痛ったぁ!!!」

 

(クソ、外した!?抑えろッ!)

 

乱れた呼吸を殺し、再度構える。

 

――パン!パン!

 

再度レナが放った弾丸は、寸分の狂いもなく機関部に命中し、AKは沈黙。ヘルメットの少女は、夢か現実か区別がつかなかった。

 

「……じょ……冗談じゃ!?」

 

二人の影が重なり、砂が舞い上がる。

即座に壊れたAKを走った勢いのまま蹴り飛ばす。

 

「うあっ!」

 

衝撃で相手がたたらを踏む。

懐に潜り込み、重心を低くして畳み掛けた。

 

「……オラッ!!」

 

「――ぐぇ!!」

 

前世仕込みのCQC。強烈な掌打を顎に受け、体は糸が切れた人形のように崩れ落ちる。

 

レナはすぐにクルマへ視線を向ける。2人がRPGに弾頭を装填しようとしている。

 

倒れた少女に一瞥だけくれ、走り出す。

 

 

――時間が無い

 

 

 

 

◆

 

ホシノも遠目からRPGの発射準備が整いつつあるのを見た。

 

不味い。撃たれれば校庭ごと更地だ。

 

散弾の有効射程は40mほど。

仮に撃っても前衛が邪魔で届かない。

 

 

だが――ショットガンはあらゆる弾薬を使用できる柔軟性がある。

 

チャンバーから弾を抜き取り、代わりに「スラッグ弾」を込める。

 

 

スラッグは一発の塊だ。ライフル弾には劣るが、狙えば届く。

 

 

時間を稼ぐだけでいい、隙間から狙い一発。

 

 

――ズガンッ!!

 

 

――ヒュン!!

 

 

「うぉッ!弾が飛んできた!」

 

 

外した。もう一発。

 

 

――ズガンッ!!

 

 

「ぐう!?痛ったい!!」

 

「大丈夫!?……あいつ、囲まれてるのに当ててきた!」

 

 

よし、足並みが崩れた。

 

 

時間は稼いだ。

 

あと少し――粘ればいい。

 

 

 

 

 

 

――

 

 

レナは砂を蹴り、本命へ疾走する。

 

あと5m!

 

 

「……クソが!!」

 

 

2m!!

 

 

リーダーはようやく気付いた。

尋常ではない速度で近付いて来る白い影を見て驚愕の表情に染まる。

 

血に飢えた獣がすぐ側まで来ている。

 

その瞬間、悟った。

 

 

――狩られる。

 

 

レナはホシノに勝るとも劣らない動きで間合いを詰める。

 

銃口が顔面へと迫り――それを弾く。

 

 

――バァンッッ!!

 

マズルフラッシュが頬を掠め、轟音が鼓膜を殴打する。

だが気にはしない、前は砲撃の中を彷徨ったこともあるのだ。

耳が聞こえなくなるのは当たり前だった。

 

 

「なんだテメェは!?……クソッ」

 

目の前にあるハンドガードを掴んで、力任せに手繰り寄せ体勢を崩す。

 

マガジンを鷲掴み、引き千切る。

 

過剰な力で金属が上げる悲鳴と共にボルトを引き――チャンバーの弾を吐かせた。

 

レナに詰められたリーダーの顔は恐怖に歪み。AKを手放し後退る。

 

――この白いの、人間ではない。

 

 

敵は武器を奪われ、戦意を喪失した。

 

だがここは戦場だ、容赦はしない。ストックが唸り、ヘルメットを叩き飛ばす。

 

「ぐぅっ……」

 

膝を崩させ背後へ回り、露わになったこめかみにハイパワーの銃口を押し付ける。

 

その流れるような仕草は、身体に染み付いた無駄の無い、殺しの技術だった。

 

 

 

「……全員動くな!!!」

 

 

 

 

銃声は鳴りを潜め、全てが凍り付く。

風が撫でるサラサラとした砂の音が戦場を支配した。

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