カミテン〜遊戯王TFへ転生してハーレム目指す--でも〜2nd 作:ニョニュム
「……んあ?」
目を覚ましたコナミが発声した一言は戸惑いの感情が混じったモノだった。それも仕方ないだろう。目前に広がる光景をコナミは知らない。気付いたら知らない場所で目を覚ましたというやつだ。
「……なんだ、ここ?」
目を覚ましてからまだ少ししか時間が経っていない為、中々起動してこない頭を叩き起こしつつ、コナミは思考しながら周囲の状況を確認する。
――――そこは白い世界だった。気が遠くなるほど彼方まで白い空間が続いている。自身が立っているのか、座っているのか、上下の感覚すら分からなくなるような錯覚を覚える空間が見渡す限り永遠に続いている。
これまでデュエルアカデミアで色々なトラブルを起こしたり巻き込まれたりした記憶を持つコナミは自身がまた妙な事に巻き込まれた事を理解すると小さく溜息を吐く。
『……どうやら無事、“起動”したようですね』
「ッ!」
自分一人だけがこのよく分からない空間にいると思っていたコナミは突如耳に届いた声に小さく息を呑み、声が聞こえてきた方向へ顔を向ける。正確には顔を上げると言った方がいいだろう。何故なら声の主はコナミの頭上で当然のように“浮上”していたからだ。
コナミが声の主を見て、最初に抱いた印象は戸惑いだった。
声の主が巨大な生命維持装置のようなモノに乗り、言葉では表しがたい姿でこちらを見下ろしている事は驚きこそあるが、戸惑いに値しない。コナミの戸惑いの理由はもっと別の所にある。
「Z-ONE……」
自然と呟いた彼の名前。声の主と初対面である筈のコナミは何故か、彼――Z-ONEの名前がすぐに思い浮かんだ。有る筈のない知識にコナミは戸惑ったのだ。
『……“記憶”の転写も上手くいったようですね。それでは貴方が何者なのか、理解したと思います……』
「それは……」
Z-ONEの言葉を引き金として、稼働してきた思考が何故、自分がここにいるのか。その答えをコナミに理解させる。
伝説の
小波の人格情報がデュエルマシーンに転写された理由はごく簡単なモノである。
Z-ONEの過ごした時代において後世にまで名を残す決闘者は存在する。武藤遊戯・遊城十代・不動遊星の三人は特に有名な決闘者として名を残している。だが、後世に名前を残した決闘者は彼らだけじゃない。彼らにはお互いの実力を競い合う
しかし、小波赤人だけは他の決闘者とは違う所が存在するのだ。それは使用するデッキの多様性である。遊城十代を例に挙げれば、彼はデュエリスト界最強のHERO使いとして有名だ。他の決闘者も様々なカテゴリが存在するデュエルモンスターズの中で一つのカテゴリを極めた実力者ばかりである。だが、そんな彼らと肩を並べる実力者である小波赤人は様々な種類・カテゴリを使い分ける事によって活躍した決闘者として記録されている。
様々なデッキを使いこなす多様性・応用力を持つ小波赤人の人格情報は様々な状況を想定して作られたデュエルマシーンの試作一号機としてこれ以上ないくらい適していたのだ。
自分を支える根幹が作られた虚像である事実。その虚無感から人格の崩壊や暴走を起こす可能性を鑑みて、イリアステルの中でも自分すら英雄に作り替えた第一人者のZ-ONEがコナミの起動に立ち会っていた。
「オレが何者なのか、それは理解した。だけど何故、オレを作り出した? 一体、オレに何をさせようとしている?」
『本当に分からないのですか? 貴方の頭には私達の計画がインプットされている筈ですが……』
「この世界を滅ぼす切掛となったシンクロ召喚の撲滅――――ひいてはその重要拠点であるネオ童実野シティの消滅か……」
『そうです。それが我々、イリアステルの計画です。貴方の中にはシンクロ召喚が生まれ、この世界が崩壊していくまでの知識が身に付いている筈です。我々の計画がどれほど重要なモノなのか、十分に理解して頂けたと思いますが』
「はっきり言って、馬鹿らしい。気に食わないよ、お前達の考えは。オレ以外を再現した所でお前達に協力する奴は誰一人としていない」
冷静にZ-ONEと会話をしていたコナミの声音に苛立ちが混じり、Z-ONEはピクリと眉を動かす。勿論、Z-ONEもこの計画が非道である事は十分に承知している。しかし、誰かがやらねば、この世界はシンクロ召喚によって滅ぼされる運命にあるのだ。汚名を被ってでもやらねばならぬ事がある。
イリアステルが作り出したコナミは人格情報からしてそういった理由を“許容する”ように設計されている。だからこそ、自動AIではなく、過去の決闘者を再現したのだ。だからこそ、コナミの反論はZ-ONEにとって以外であった。
『やはり、後世に名を残すほどの決闘者を御する事は出来ないようですね……』
“許容する”ように設計されていても自分達の計画を否定する。強靭な精神力を持つからこそ、英雄足りえるのかもしれない。
『ですが、我々を否定した所で貴方はどうするつもりですか? 我々は貴方の活動を止める方法を所持しています』
「それがどうした? お前だって、命が欲しいからって命令に従うとは思ってないだろ。だけど、この崩壊した世界をどうにかしたいお前達の気持ちは理解出来るよ。だからこそ、構えな。
『正気ですか? 貴方が今、持っているデッキを用意したのは私です』
「ああ、それがどうした? 何回も言わせるな。言葉を交わすより決闘した方が早い」
コナミが今、所持しているデッキはZ-ONEが用意したモノである。それはつまり、Z-ONEはコナミのデッキ内容を知っている事だ。その情報アドバンテージは計り知れない。
デュエルディスクを構えるコナミを見て、Z-ONEは小さく溜息を吐くと自身のデュエルディスクを起動させる。
『…………いいでしょう、その決闘を受けます』
「『
◇
「先攻はオレのようだな。ドロー!」
戦いの鐘が鳴り、その火蓋を切って落とす事になったのはコナミ。コナミはデッキからカードを引き抜くと手札に加え、手札の確認を行う。Z-ONEの言った通り、このデッキを作った人物は自分ではなくZ-ONEである。Z-ONEならばこのデッキを手足のように扱えるだろうがデッキ構成を頭に直接インプットされているだけのコナミがすぐに扱うのは難しい。それでもこのデッキの特徴は十分に理解出来ている。
「オレは表側守備表示でマッシヴ・ウォリアーを召喚!」
コナミの言葉に従い、岩石を思わせるがっしりした巨体を持つ戦士がコナミのフィールドに現れる。
マッシヴ・ウォリアー☆2地 ATK/600DEF/1200
効果・このカードの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる。
このカードは1ターンに1度だけ、戦闘では破壊されない。
「オレはカードを1枚伏せてターンエンド」
とはいえ、最初のターンに動き出すのは危険過ぎる。Z-ONEはコナミのデッキ内容を熟知しているがコナミはZ-ONEのデッキがどのようなモノなのか全く知らない。相手の出方が分からない以上、守備を固める事ぐらいしかコナミには出来ない。
そんなコナミのプレイングを余所にZ-ONEはコナミのフィールドを確認して感心する。コナミが伏せたカードが何か分からない以上、確実な判断は出来ないがコナミの持つデッキの中でもマッシヴ・ウォリアーは相手の出方を窺うのに適したモンスターだ。マッシヴ・ウォリアー1体を倒す為には最低でも2体のモンスターが必要となる。
それだけのモンスターを用意する為にこちらもそれ相応の動きを見せなければならない。それによりデッキの傾向を見抜く。それがコナミの狙いなのだろう。
――――しかし、それは並の決闘者ならばの話だ。
『私のターン、ドロー。そして私はカードを1枚伏せてターンエンド』
そんなコナミの戦略を見通しているZ-ONEはカードを1枚伏せるだけの沈黙でコナミにターンを譲る。
「ったく、意外と性格悪いな、お前。まあ、いいや。それならこっちから動くだけだ。オレのターン、ドロー!」
不気味な沈黙でコナミを迎え撃つZ-ONEにコナミは顔を顰めると小さく毒を吐く。明らかにこちらの攻撃を誘っているが動かなければ何も始まらない事も事実。動くなら全力で。中途半端が一番危険な事をコナミは承知している。
「オレは手札から調律発動!このカードはデッキから「シンクロン」チューナー1体を手札に加えてデッキをシャッフルする。その後、自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送る。このカードの効果でオレはデッキからチューナーモンスター、クイック・シンクロンを手札へ。そしてデッキからカードを1枚墓地に送る」
コナミはデッキから呼び出したクイック・シンクロンを手札に加えず、そのままデュエルディスクへセットする。
「オレはクイック・シンクロンの効果発動!」
クイック・シンクロン☆5風 ATK/700DEF/1400
効果・このカードは「シンクロン」チューナーの代わりとしてS素材にできる。このカードをS素材とする場合、「シンクロン」チューナーを素材とするSモンスターのS召喚にしか使用できない。
(1):このカードは手札のモンスター1体を墓地へ送り、手札から特殊召喚できる。
「オレは手札のレベル・スティーラーを墓地へ送り、クイック・シンクロンを特殊召喚!」
コナミが手札を墓地へ送った事を切掛にカウボーイハットを被ったガンマンがコナミのフィールドへ姿を現す。赤いマントを風に靡かせ登場する姿から荒野に一人立つ幻覚すら見えてくる。
「そしてオレは墓地へ送ったレベル・スティーラーの効果発動」
レベル・スティーラー☆1闇 ATK/600DEF/0
効果・このカードが墓地に存在する場合、自分フィールド上のレベル5以上のモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターのレベルを1つ下げ、このカードを墓地から特殊召喚する。このカードはアドバンス召喚以外のためにはリリースできない。
「オレはクイック・シンクロンのレベルを5から4へ下げる事で墓地に存在するレベル・スティーラーを特殊召喚!」
クイック・シンクロン☆5→4
コナミのフィールドに佇むクイック・シンクロンの身体から小さな星が零れ落ちるとコナミのフィールドで大きな星の模様を持つテントウムシが姿を現す。
「これで用意は整った! オレはレベル4となったクイック・シンクロンにレベル1のレベル・スティーラーをチューニング!」
クイック・シンクロンは目前に現れた6個の的が存在するルーレットから目にも止まらぬ早撃ちで1つの的を撃ちぬくと空へ飛びあがり、4つの星となり弾け飛ぶ。その弾け飛んだ星の中心をレベル・スティーラーが通り抜けると4つの星はレベル・スティーラーの周囲をグルグルと回転する。星の軌跡と共に輪郭を残して薄れていくレベル・スティーラー。光となった2体のモンスターが溶け合い、新たな姿を浮かび上がらせる。
「シンクロ召喚! 現れろ! ジャンク・ウォリアー!」
コナミの叫びを引き金に光の中から1体の戦士が舞い降りる。
青色のボディーを輝かせ、赤いレンズの瞳が相対するZ-ONEを見抜く。白いマフラーを靡かせ、空へ飛翔する。特徴的なのは鍛え上げられた右腕と肩に背負ったブースターと翼だろう。
ジャンク・ウォリアー☆5闇 ATK/2300DEF/1300
効果・このカードがS召喚に成功した場合に発動する。このカードの攻撃力は、自分フィールドのレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計分アップする。
「ジャンク・ウォリアーの効果発動! フィールドに存在するマッシヴ・ウォリアーの攻撃力分、攻撃力をアップする! パワー・オブ・フェローズ!」
ジャンク・ウォリアーが突き上げた右腕に隣接するマッシヴ・ウォリアーから漏れ出した光が宿る。
ジャンク・ウォリアー ATK/2300→2900
マッシヴ・ウォリアーの力を借り、闘志を燃やすジャンク・ウォリアーの姿を見届けたコナミは闘志を向ける矛先を宣言する。
「攻めなきゃ何も始まらないよな! 行け、ジャンク・ウォリアー! Z-ONEへダイレクトアタック!スクラップ・フィスト!」
その宣言と共に肩のブースターを駆動させたジャンク・ウォリアーは上空へ飛び上がるとがら空きのフィールドを超えた先にいるZ-ONEを見据えて、ブースターで再加速。振り上げた拳をZ-ONEへ叩き付ける直前で1枚のカードがZ-ONEとジャンク・ウォリアーの間に立ちふさがる。
『私は手札からトラップ発動、女教皇の錫杖。このカードは相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事が出来る。相手モンスター1体の攻撃を無効にし、 相手ライフに500ポイントダメージを与えます。そしてバトルフェイズを終了します。自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、 このカードは手札から発動する事ができる』
ジャンク・ウォリアーの攻撃に晒されたZ-ONEを守護する為に現れた厳粛な雰囲気を纏った艶麗な婦人であり、気高き心を持つ女教皇はその手に持った錫杖を掲げるとZ-ONEの前に堅牢な魔法陣を展開させる。
破壊的な膂力を持つジャンク・ウォリアーの拳と莫大な魔力が込められた魔法陣の激突はフィールドへ凄まじい衝撃を生み、その衝撃がコナミを襲う。
「グッ!」
コナミ LP4000→3500
自身の攻撃から生まれた衝撃がコナミを襲った事に気付いたジャンク・ウォリアーは目前まで迫ったZ-ONEを一瞥すると一旦、コナミのフィールドへ帰還する。
「オレはカードを1枚伏せてターンエンド」
絶好の好機にダメージを与えられる事が出来なかったコナミはその事を特に気にした様子もなく、淡々とターンをZ-ONEへ譲る。コナミが現在、扱っているデッキの構成からZ-ONEの決闘者としての実力は十分に推し量れる。コナミの記憶に眠る彼らに匹敵――――凌駕しかねない実力者だ。これぐらいの事で驚いてはいられない。それにマッシヴ・ウォリアーからなる鉄壁の布陣と仲間の力を得たジャンク・ウォリアーを倒すのは記憶に眠る彼らでも至難の業だ。
『私のターン、ドロー。貴方は私に闘志を見せた。ならば、私もそれに応えなければなりませんね……』
デッキからカードをドローして、手札へ加えたZ-ONEは呟く。
『初めて使う筈のデッキでここまでの布陣を作り上げる実力は感嘆に値します。ですが、その程度で私の決意を揺るがすつもりだったならここで終わりです――――』
瞬間、コナミはZ-ONEから発せられた気配を気取ると知らず知らずの内に小さな笑みを浮かべてしまう。何が起こるのかは分からない。しかし、Z-ONEという決闘者の強さが自分を襲うという事だけは察した。
『私はフィールドに伏せていたトラップ――――虚無械アインを発動します。虚無械アインの効果は自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、レベル10以上のモンスターをリリース無しで召喚する事が出来ます。ですが、代わりに自分フィールド上のモンスターの攻撃力は0となります』
「ッ、レベル10以上!」
『ええ、そして私は虚無械アインの効果で手札から時械神サンダイオンを召喚!』
Z-ONEのフィールドへ召喚された時械神の姿にコナミは言葉を失う。その姿は名の通り神を連想させるように幻想的であり、発せられる力の放流も普通のモンスターのソレとは比べ物にならない。
時械神サンダイオン☆10光 ATK/4000→0DEF/4000
効果・このカードの効果及び戦闘による破壊を無効にする。表側攻撃表示のこのカードのプレイヤーへの戦闘ダメージを0にする事ができる。このカードが戦闘を行った場合、相手ライフに4000ポイントのダメージを与える。このカードが自分フィールド上に存在する場合、自分はモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚を行えない。自分のスタンバイフェイズにこのカードはデッキに戻る。
『時械神サンダイオンでジャンク・ウォリアーを攻撃。そして時械神サンダイオンの効果で貴方に4000のダメージを与えます』
時械神サンダイオンはコナミを守ろうとしているジャンク・ウォリアーへ鎧から生み出した光球で牽制しつつ、光の剣を生み出すとコナミに向けて投げつける。巨大な光の剣が迫りくる中、コナミはフィールドへ伏せた1枚のカードを発動させる。
「ッ! トラップ発動、くず鉄のかかし! このカードは相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる! その攻撃モンスター1体の攻撃を無効にする。発動後このカードは墓地へ送らず、そのままセットされる。この効果でジャンク・ウォリアーとの戦闘は起きず、時械神サンダイオンの効果は無効!」
牽制の為に放たれた光球は突如現れたくず鉄のかかしが全て受け止めると自由となったジャンク・ウォリアーがブースターをフルスロットルで稼働させ、コナミへ迫る光の剣を仲間との絆が宿った拳で打ち砕く。光球を受け止め、ボロボロとなったくず鉄のかかしはその役目を終えると姿を消す。
「そう簡単にやられてはやらないぜ?」
『そのようですね。私はカードを2枚伏せてターンエンド』
表情を強張らせ、同時に楽しそうな笑みを浮かべているコナミを一瞥し、Z-ONEはターンを終了する。
「それじゃあオレのターン、ドロー!」
デッキからカードを引き抜き、手札へ加えるコナミ。手札の内容とフィールドを一瞥したコナミは1枚のカードをフィールドへセットする。
「オレは手札からチューナーモンスター、ジャンク・シンクロンを召喚! そして、墓地に眠るレベル・スティーラーの効果発動。ジャンク・ウォリアーのレベルを1つ下げ、レベル・スティーラーを特殊召喚!」
橙色の鎧を纏った戦士が純白のマフラーを靡かせ、レベル・スティーラーと共にコナミのフィールドへ姿を現す。
ジャンク・シンクロン☆3光 ATK/1300DEF/500
効果・このカードが召喚に成功した時、自分の墓地のレベル2以下のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。
『――――合計レベル8』
「悪いがまだ、その期待には応えられないな」
一瞬だけ警戒の色を見せたZ-ONEにコナミは笑う。確かにエクストラデッキから発せられる鼓動を感じるがソレを解放するには少し早い。
「オレはレベル3のジャンク・シンクロンにレベル1のレベル・スティーラーをチューニング!」
ジャンク・シンクロンはレベル・スティーラーの前に躍り出ると背負ったエンジンからリコイルスタータを引き、エンジンへ火を入れる。爆音を奏でるエンジンから光を生み出し、ジャンク・シンクロンは星になって四散する。
3つの星に囲まれたレベル・スティーラーはその姿を星へ変え、4つに並んだ星は新たな姿を浮かび上がらせる。
「シンクロ召喚! 現れろ、アームズ・エイド!」
コナミのフィールドへ現れたモンスターは赤い5本の爪を持つ籠手に似た姿をしていた。
アームズ・エイド☆4光 ATK/1800DEF/1200
効果・1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとしてモンスターに装備、または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚できる。この効果で装備カード扱いになっている場合のみ、装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。また、装備モンスターが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
「オレはアームズ・エイドの効果発動。アームズ・エイドをジャンク・ウォリアーへ装備する」
ジャンク・ウォリアーATK/2900→3900
鍛え上げられた右腕にアームズ・エイドが装備され、爆発的な力をジャンク・ウォリアーは手に入れる。
「そしてオレはジャンク・ウォリアーで時械神サンダイオンを攻撃!」
『正気ですか? 時械神サンダイオンの効果を忘れた訳ではないですね』
コナミの命令に従い、ジャンク・ウォリアーは巨大な姿で立ち塞がる時械神サンダイオンを見据え、ブースターで空へ飛翔する。そんなジャンク・ウォリアーを嘲笑うように時械神サンダイオンは光球を生み出してジャンク・ウォリアーの進撃を阻みつつ、強大な光の剣をコナミへ向けて投げつける。光球を華麗に避けていたジャンク・ウォリアーは刹那の間にコナミへ視線を移す。コナミは自身へ迫り来る光の剣を見据えて不敵に笑っていた。
だからこそ、ジャンク・ウォリアーは後ろを見る事を止め、時械神サンダイオンの巨体へ様々な想いが込められた右腕を叩き込む。
「ああ、だからこそのコイツだ。オレは手札のシンクロン・キーパーを墓地へ送る」
シンクロン・キーパー☆5闇 ATK/1500DEF/1000
効果・自分が効果ダメージを受ける場合、このカードを手札から墓地へ送る事でダメージを0にする。その後、自分の墓地からこのカードとチューナー1体を除外し、レベルの合計が等しいSモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。この効果で特殊召喚したSモンスターの効果は無効化される。
ジャンク・ウォリアーと時械神サンダイオンの激突を見届けたコナミは目前に迫る光の剣を一瞥すると1枚の手札を墓地へ送る。その瞬間、コナミを守るように現れた緑色の身体を持ち、巨大な口を持つシンクロン・キーパーがコナミへ迫る光の剣を飲み込み、その力を身体に宿しながら墓地へ消える。
「シンクロン・キーパーの効果発動! 墓地に眠るレベル5のシンクロン・キーパーとレベル3のジャンク・シンクロンを除外してレベル8のシンクロモンスターを召喚する!」
『――――合計レベル8』
2体のモンスターはその姿を星へ変え、8つの星が新たな軌跡を描き、具現する。咆哮がフィールドを揺るがし、白銀の翼でコナミのフィールドへ飛来した。
「ああ、そうさ。今度は見せてやるよ! オレはスターダスト・ドラゴンを攻撃表示で特殊召喚!」
『スターダスト・ドラゴンッ!』
スターダスト・ドラゴン☆8風 ATK/2500DEF/2000
効果・(1):フィールドのカードを破壊する魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードをリリースして発動できる。その発動を無効にし破壊する。
(2):このカードの(1)の効果を適用したターンのエンドフェイズに発動できる。その効果を発動するためにリリースしたこのカードを墓地から特殊召喚する。
星屑龍の降臨に今まであまり感情を見せなかったZ-ONEが初めて戸惑いや躊躇いに似た感情をコナミへ見せる。
『ですが、ジャンク・ウォリアーの攻撃が通り、スターダスト・ドラゴンで攻撃してきた所で時械神サンダイオンの効果から逃げ切る事は出来ませんよ?』
「本当にオレがそんな事で退くと思っているのか?」
ジャンク・ウォリアーと時械神サンダイオンの激突から生まれた衝撃がZ-ONEへ迫る中、刹那の間に行われたコナミとのやり取りとコナミのフィールドに伏せられたくず鉄のかかしではないもう1つの伏せカードから発せられる気配に本気で自分に勝つつもりだと察したZ-ONEは1枚のカードを発動させる。
『――――トラップ発動、ガード・ブロック。相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキからカードを1枚ドローする』
デッキから飛来した1枚のカードがZ-ONEへ迫る衝撃を全て受け止めるとその役目を終え、Z-ONEの手札へ加えられる。
「……まあ、そんな上手くはいかないか。オレは1枚カードを伏せてターンエンド」
ジャンク・ウォリアーの攻撃を受け止めきったZ-ONEの姿に残ったスターダスト・ドラゴンを一瞥するとコナミは苦虫を潰したような顔を浮かべ、残った最後の手札を伏せ、ターンを終了させる。
『私のターン、ドロー。そして時械神サンダイオンの効果、時械神サンダイオンはデッキへ戻ります』
数ターンの間ながらコナミを苦しめた時械神サンダイオンがデッキへ帰還した事を確認したZ-ONEは目前に広がるフィールドを確認する。一見、フィールドを制しているのはモンスターを大量展開しているコナミであり、フィールドの状況だけで言えばコナミが有利なのは事実である。しかし、コナミには手札がなく、モンスターの軍勢とそれを守護するくず鉄のかかしをどうにかすれば手札という可能性を持たないコナミは一気に追い詰められてしまう。ならば、一手ずつコナミの希望を取り除いていけばいい。
『そして私は虚無械アインの効果で時械神メタイオンを召喚!』
再びZ-ONEのフィールドへ降臨する時械神。時械神サンダイオンと比べたらその身体は小さく見えるが時械神メタイオンから発せられる気配は時械神サンダイオンに負けず劣らずだ。
時械神メタイオン☆10火 ATK/0→0DEF/0
効果・このカードの効果及び戦闘による破壊を無効にする。表側攻撃表示のこのカードのプレイヤーへの戦闘ダメージを0にする事ができる。このカードが戦闘を行った場合、バトルフェイズ終了時に相手フィールド上に存在するモンスターを全て持ち主の手札に戻す。その時、戻したモンスター1体につき300ポイントのダメージを相手プレイヤーに与える。このカードが自分フィールド上に存在する場合、自分はモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚を行えない。自分のスタンバイフェイズにこのカードはデッキに戻る。
『時械神メタイオンでジャンク・ウォリアーを攻撃します』
「だが、くず鉄のかかしがある限りバトルは成立せず、時械神メタイオンの効果は発動しない!」
ジャンク・ウォリアーへ迫り来る時械神メタイオンとの間にくず鉄のかかしが出現して、戦いを阻む。
『私はこの瞬間、トラップ発動、トラップ・ジャマー。このカードはバトルフェイズ中のみ発動する事が出来ます。相手が発動した罠カードの発動を無効にし破壊します』
Z-ONEがカードを発動させた瞬間、、時械神メタイオンを阻むくず鉄のかかしの周りに魔法陣が浮かび上がるとその効力によってくず鉄のかかしはつぎはぎ部分から崩落を始め、破壊されてしまう。
『これでバトルは成立――――』
「――――させるかよ!」
破壊されたくず鉄のかかしが墓地へ送られるのを見届けたコナミは今にも戦闘を始めそうな両者の間に1枚のカードを滑り込ませる。
「トラップ発動、シンクロ・バリアー! このカードは自分フィールド上に存在するシンクロモンスター1体をリリースして発動する。次のターンのエンドフェイズ時まで、自分が受ける全てのダメージを0にする! オレはスターダスト・ドラゴンをリリースして攻撃を防ぐ!」
『……ですがそれは時械神メタイオンの効果を防いだ事にはなりませんよ』
「ああ、分かっているよ……」
ジャンク・ウォリアーと時械神メタイオンが激突し、コナミを襲う衝撃をスターダスト・ドラゴンが阻む。時械神という神との戦いはただ衝撃を生むだけでなく、コナミのフィールドへ並ぶモンスター達は時械神メタイオンの前に呆気なくその姿を消し去られてしまう。
『首尾よくスターダスト・ドラゴンを墓地へ送ったようですが、形成は逆転しました。だから言ったのです。貴方のデッキでは私には敵いません。』
Z-ONEの言葉通り、Z-ONEの一手でコナミが数ターンを要して築いてきたフィールドはカードを1枚残すのみとなった。発動しなかった以上、伏せられたカードは攻撃の起点となるカードだったのだろう。しかし、コナミのフィールドからモンスターが消え、手札は守りの要となったマッシヴ・ウォリアーだけである。攻撃の中心となるカードではない。
『私はこれでターンエンド』
「…………」
Z-ONEからターンを譲られたコナミは無言でデッキへ手を添える。この結果は最初から予想していた事だ。Z-ONEの実力はコナミと対等かそれ以上であり、デッキもZ-ONEが作り上げたモノ。デッキの癖すら理解しているZ-ONEに対して、初めてデッキを扱うコナミ。勝利出来る事の方が可笑しかった。今まで健闘していた事自体、奇跡に近い。シンクロという可能性を秘めたデッキもZ-ONEの前では無力なのだ。
しかし、最初から負けるつもりで決闘する決闘者はいない。そしてコナミは諦める事を止めた――――正確には諦める事を止めた
コナミは記憶の中に刻まれた
言ってしまえば、コナミは小波赤人の人生を知っているだけの部外者だ。偽物として作られたがコナミは小波赤人を演じるつもりなど無い。小波赤人を演じるつもりが無い以上、コナミの存在意義は無いに等しい。
――――――――だが、それでいいのだ。
コナミは小波赤人から不屈の意志と可能性を掴む闘志を学んだ。偽物とか本物とか、コナミには関係が無い。小波赤人は決闘者でコナミも決闘者だ。小波赤人に学ぶ事があったとしてもコナミはコナミという決闘者でしかない。
気付いた時、コナミはデッキから手を離し、トレードマークの赤帽子を深く被り直していた。そうしなければ、自身から溢れてくる感情が、デッキから発せられる鼓動が、コナミを決闘者として形成する全ての始まりであるドローを長く楽しめなくなってしまいそうだから。
早くドローをしたい、という感情と共にデッキから伝わってくる鼓動に込められた想いに耳を傾ける。シンクロを消そうとしているZ-ONEが何故、どんなデッキでも使えると言われていたコナミにわざわざシンクロが主体となったデッキを渡したのか。理由は簡単だ。Z-ONEは数多の試行錯誤の末、シンクロ召喚を滅ぼす事にした。人類とシンクロ召喚という可能性を天秤に掛け、その上で人類を取った。しかし、Z-ONEはシンクロ召喚という可能性を知っている人間だ。本人も気付かないような心の奥底でシンクロ召喚を信じている。裏切られたからこそその可能性を否定した。
「そっか、そうだよな。お前達は俺のデッキでも俺の仲間でもない。アイツの組んだ、アイツのデッキだ……」
でも、だからこそ――――これだけのデッキを作り上げたZ-ONEが心の底からシンクロを否定している筈が無い。
「人類に。デュエルモンスターズに絶望しているアイツをどうにかしたいよな。だったら俺に力を貸せ! 俺がアイツにデュエルモンスターズの可能性を見せてやるよ!」
デッキの意思を表現する人間がいなかった。でも、今は違う。Z-ONEをどうにかして救いたいというデッキの意思とそれを汲み取る事が出来るコナミ。コナミという表現者を得たデッキは、デッキの意思を理解したコナミは、無限の可能性を生み出す事が出来る。
「オレのターン、ドロー!」
コナミとデッキの意思が重なり合い、輝きを放つデッキからコナミは運命を手繰り寄せるカードを手札に加えるとカードをデュエルディスクへ勢いよく叩き付ける。
「オレは手札からワン・フォー・ワンを発動! このカードは手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。オレはマッシヴ・ウォリアーを墓地へ送り、デッキからアンノウン・シンクロンを特殊召喚!」
墓地へ送られたマッシヴ・ウォリアーは最後の力を振り絞るとアンノウン・シンクロンをデッキからフィールドへ呼び出し、墓地へ向かう。マッシヴ・ウォリアーの意思を背負い、コナミのフィールドへアンノウン・シンクロンが姿を現す。球体の身体はお世辞にも戦う為のモノではない。
「続けてオレはトラップ発動、ロスト・スター・ディセント! 自分の墓地に存在するシンクロモンスター1体を選択し、自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、レベルは1つ下がり守備力は0になる。また、表示形式を変更する事はできない。オレが選ぶのは勿論スターダスト・ドラゴン! そして墓地のレベル・スティーラーの効果、スターダスト・ドラゴンのレベルを1つ下げ特殊召喚!」
スターダスト・ドラゴン☆8→7→6風 DEF/2000→0
再びコナミのフィールドに降臨するスターダスト・ドラゴンとレベル・スティーラー。力を封じられている筈のスターダスト・ドラゴンから溢れてくる鼓動にコナミは笑う。
「正直、お前の悩みはオレには分からん。けど、お前が前に進む覚悟をしたならオレはお前を連れて行く――――それが決闘者だ」
スターダスト・ドラゴンを召喚したコナミにしか分からなかった違和感。沢山のモンスターがコナミへ手を貸し、闘志を燃やす中、スターダスト・ドラゴンだけ闘志を感じられなかった。だからこそ、躊躇いなくスターダスト・ドラゴンを墓地へ送った。
スターダスト・ドラゴンが他のモンスターとは違う特別なモンスターである事はコナミも理解している。コナミのエクストラデッキに眠るスターダスト・ドラゴンを含めた複数の龍はかつてシグナーと呼ばれた決闘者と共に戦った龍の
しかし、それはさっきまでの話だ。デッキの鼓動がコナミへ伝わるように、コナミの意思もデッキへ伝わる。偽物である事を認め、コナミという決闘者を確立させたコナミの魂にスターダスト・ドラゴンは惚れたのだ。シグナーの龍という肩書はいらない。
コナミという
その覚悟を決め、フィールドへ再び降臨した。
「それじゃあ、行こうか。オレはレベル1のアンノウン・シンクロンとレベル1のレベル・スティーラーでチューニング」
2つの星が溶け合い、1つの可能性を作り出す。
「シンクロ召喚! 希望を繋げ、フォーミュラ・シンクロン! そして効果発動!」
フォーミュラ・シンクロン☆2光 ATK/200DEF/1500
効果・(1):このカードがS召喚に成功した時に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。(2):相手メインフェイズに発動できる。このカードを含む自分フィールドのモンスターをS素材としてS召喚する。
コナミのフィールドに現れたフォーミュラ・シンクロンはその役目を理解している様子でコナミへ頷き、身体を車の状態に変えるとデッキからカードを1枚引き抜き、コナミへ渡す。
「――――これで繋がった! オレはスピード・ウォリアーを攻撃表示で召喚!」
スピード・ウォリアー☆2風 ATK/900DEF/400
効果・このカードの召喚に成功したターンのバトルステップに発動できる。このカードの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで元々の攻撃力の倍になる。
パワードスーツに身を包み、風を切り裂きながら風の戦士が現れる。
「さあ、行くぜ、Z-ONE! 勝手に絶望なんてしてんじゃねえ! 俺が見せてやるよ。お前の知らない――――可能性を!」
フォーミュラ・シンクロンとスターダスト・ドラゴンを見据えて、コナミは叫ぶ。
「オレはレベル2のフォーミュラ・シンクロンとレベル6となったスターダスト・ドラゴンでチューニング!」
フォーミュラ・シンクロンが風を切り裂き、スターダスト・ドラゴンが空を舞う。フォーミュラ・シンクロンはその身体を星に変え、スターダスト・ドラゴンを導く道標となる。新たな輝きを放つスターダスト・ドラゴンにコナミは新たな名を与える。
「集いし祈りが新たな可能性を切り開く! 光を超えたその先で降臨せよ!
スターダスト・ドラゴンを思わせる姿でありながらその姿は全くの別物で、発せられるチカラの本質も変化している。しかし、守るという本質だけは何も変わらない。
効果・1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して発動できる。選択したカードは、このターンに1度だけ戦闘及びカードの効果では破壊されない。この効果は相手ターンでも発動できる。
『――――私の知らないスターダスト・ドラゴンッ!』
沈黙してコナミを見守っていたZ-ONEが初めて驚きの感情を露わにする。
「こんな所で止まるかよ! オレは墓地からトラップ発動、ブレイクスルー・スキル! このカードは相手フィールド上の効果モンスター1体を選択して発動できる。選択した相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。また、墓地のこのカードをゲームから除外し、相手フィールド上の効果モンスター1体を選択して発動できる。選択した相手の効果モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できず、自分のターンにのみ発動できる! オレは時械神メタイオンの効果を無効!」
『そのようなカードをいつの間に――――』
「少し考えれば分かるだろ?」
『……なるほど、3ターン目に使用した調律の効果で墓地へ送ったカードですね。ですが何故、このタイミングで……。他にも使用するタイミングはあった筈です』
「ん~、勘だな」
『……そうですか。純粋に決闘者としての実力は貴方の方が上だったようですね』
「嘘つくなよ、Z-ONE。お前は本気で戦ってくれたが全力じゃない。オレだってそれぐらい分かるぜ。今度は全力本気のお前と決闘したいな。けど、今回はオレの勝ちだ」
コナミは満面の笑みを浮かべ、宣言する。
「行け、閃珖竜スターダスト!時械神メタイオンを攻撃、
圧倒的な力を封じられた時械神メタイオンに閃珖竜スターダストのブレスが直撃する。時械神メタイオンを破壊したブレスは威力を減退させることなく、Z-ONEへ直撃する。
Z-ONE LP4000→1500
「そして、スピード・ウォリアーで攻撃! あ、効果を説明する必要は?」
『ありませんよ……』
スピード・ウォリアーATK/900→1800
わざとらしく確認するコナミの姿にZ-ONEは知らない間に小さな苦笑を漏らす。
「ソニック・エッジ!」
Z-ONE 1500→0
スピード・ウォリアーの鋭い蹴りがZ-ONEを襲い、決闘が終了した。
◇
「ほら、これはお前のデッキだろ」
決闘が終了した途端、コナミはデュエルディスクからデッキを取り出すとZ-ONEへ投げる。
『ですが、貴方のデッキは……』
「そんなの自分でカードを集めて作るに決まっているだろ。他人のデッキで決闘するなんてもうやりたくないよ。それにお前だって、そいつらの意思が分からないような決闘者じゃあないだろ?」
コナミから渡されたデッキの鼓動はZ-ONEにも感じる事が出来た。同時に違う鼓動も感じたZ-ONEは鼓動を感じたエクストラデッキへ視線を向ける。そこには覚醒を果たした閃珖竜スターダストを始めとした数枚のカードが鼓動している。
『……そうですか。しかし、貴方こそ彼らは受け取ってくれますね?』
そう言ってZ-ONEから差し出されるシンクロモンスター達を見て、コナミは困った様子で頭を掻く。
「ったく、見る目が無いモンスター達だな。Z-ONEの方がよっぽどお前達を使いこなせると思うけどな。いいよ、よろしく頼む」
Z-ONEからカードを受け取ったコナミはデッキケースへ収納する。鼓動するカード達にコナミは苦笑する。
「んじゃ、オレは行くよ。最初からそのつもりだったんだろ? 勿論、オレはオレのやり方だけどな。また、お前とやり方がかち合ったら決闘で決着を着けるだけだ」
『分かりました。向こうにいる仲間にも最低限のサポートをするようにお願いしておきます』
「おう、よろしく頼むぜ」
◇
「さて、何処だ、此処?」
コナミは周囲を見渡し、状況を確認する。大きなコンクリート建築に囲まれた裏路地の片隅に出たようである。
「それにしても凄いな、このDホイール」
コナミの近くには言葉に出来ない凄さを持つDホイールと本当にデッキを作るカードを購入するだけで終わってしまうだけのDPが入金されているPDAが転がっている。
「イーヒッヒッ! コナミさんでよろしいですね」
「やれやれ、こんなんじゃあ、満足出来ねえぜ」
コナミは自身を知る人物が声を掛けてきた事に小さく溜息を吐いた。
コナミのDホイールはなんかすごい奴(笑)(TF原作設定)