二次創作の連載は初めてなんですが、よろしくお願いします。
いろいろありまして、匿名投稿を解除しました改めてよろしくお願いします。
仕事が終わり、堤防の上をのんびり歩いているとなんとなく砂浜を歩いて帰りたくなった。
多分、大切なあの人が2年と半年前にここから水平線を超えた遥か遠方で沈んでしまったからだろう。
無意識に指にはめた指輪のひんやりとした質感を確かめる。
真冬の冷たい潮風が頬をなでる。
かもめのつがいが飛んでいく。目で追っていくと彼らは少し先の砂浜に降り立った。
「ん?……なんだ、ありゃ。」
砂浜に沿って30メートルほど向こうの波打ち際に変なものが落ちている。
ゆっくりと近づいてみるとそれは人のような形をしている。
さらに近づくと銀髪で帽子を被った小女に見える。
鼓動が早くなる、自然と砂を蹴って踏み出す足も早くなる。
「おいっ、大丈夫か?」
駆け寄ってうつ伏せになっている少女を仰向けにする。
少女の顔にかかっていた銀髪がさらりと流れ落ちる。
鼓動が強く、速くなる。
「やっぱりお前なのか、やっと会えたな、響。」
深海棲艦、今から約15年前突然現れれた謎の生命体。
人類に明確な敵意を持っており、船舶などを攻撃してシーレーンを崩壊させた。
通常兵器は謎の力により無害化され、役に立たなかった。
そこで日本政府が極秘に開発したのが艦娘。
彼女らは第二次世界大戦で沈んだ軍艦の魂?のようなものを人工的に生成した人間の女性の体に定着させることで艦娘として生まれ変わったらしい。
彼女らの攻撃は不思議と深海棲艦に有効打を与えることができた。
俺は2年前まで5年ほど前に鎮守府という場所で提督、又は司令官として直接戦闘をしたわけではないが、艦娘を指揮して深海棲艦と戦っていた。
2年前の冬、戦いを終わらせるべくして最強にして全ての深海棲艦の発生源、最奥部艦隊指揮棲姫に総力を尽くして挑んだ。
なんとか轟沈を出さずに瀕死まで追い詰めたが、我が軍も攻撃可能な艦が一隻も残らない状況に、ここで沈めることができなければ深海棲艦特有の強力な自己治癒能力で全てが振り出しに戻る状況で駆逐艦娘響、正式にはヴェールヌイは、魚雷は全て着弾すれば轟沈させられるが、着弾する前に全て撃破されてしまうと悟り、積載量の限界まで魚雷の炸薬を背負いこみ、駆逐艦の素早さを生かし着弾の水柱に紛れ込んで敵に接近し、自爆攻撃を仕掛けた。
自爆するために響がかけだしたという無線が耳に入った瞬間、俺は国全体いや、人類の勝利よりも自爆は失敗して響は生き延びることを願った。
次の瞬間無線が切り替わりヘッドホンから聞き慣れた優しく落ち着いた声がノウズ混じりに聞こえる。
愛してるよ司令官。幸せにね
最後の子音が聞こえた瞬間キィィンと甲高い音の後に無言で全てを悟らせる冷たい雨音のようなノイズが耳に傾れ込んでくる。
指揮通信船の窓から戦闘区域の方角を見ると大きなキノコ雲が上がっていた。
最奥部艦隊指揮棲姫撃破の無線報告が耳に入っていく代わりに涙が目から流れ出た。
残党がりの数ヶ月の間も、人類を救ったヒーローとして讃えられる間も、自分がなんのために生き残っているのか考えていた。
特攻するのは響じゃなくて船に乗った自分でも良かったんじゃないか、こんな自分より響が生き残って幸せになる方がどれだけ良かったか。
やり場の無い怒りと、悲しみと、悔しさのようなドロドロとした負の感情だけが心の風穴の中で蠢く。
艦娘は人間ではなく兵器だからといって、退役金を出すことを渋った艦隊のお偉いさん言葉で負の感情は吹き出し、椅子にすわってふんぞりかえるお偉いさんたちの顔面を順番にぶん殴った俺の退役金は減額された。
そのうちほとんどを艦娘たちへの仕送りに使うとしたら残りの金では普通の会社員と同じような生活しかできなくなった。
こうして、響とカッコカリだとしても結婚をした、そのうちの片割れの俺に残ったのはお揃いの指輪の片割れと、幸せだけれども思い出すともうあの時には戻れないという気持ちからくる吐き気がする思いでだけだった。
そして今、腕の中にもう片割れの指輪をはめた俺のもう片割れが収まっている。
そのまま彼女を抱き上げる。
軽い。
そして、俺はこの軽さを知っている、執務室で俺の仕事を手伝っているうちに寝てしまった響を抱き抱えて宿舎棟の部屋へ連れて行った時と同じ軽さだ。
普段なら思い出すと吐き気がしてくるあの頃の記憶も何故か今日は純粋に懐かしいと思えた。
冬の冷たい潮風のおかげなのだろうか。
いや、違う。
腕の中に収まるこの赤眼銀髪の少女から漂う安心感のせいだろう。
俺は白い息を吐き出し砂を踏み締め家へ向かう。
なんとか1話を書くことができました。
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