不死鳥ノ帰還   作:タツカッツォ提督

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なんとか弍話を書き終わりました。
自分はACから入った人なんですが、金欠とイベント報酬が去年と同じだったりしたのでブラウザ版に移ることにしました!
ブラウザでも響に会いたいなぁ、加賀さんにも会いたいなぁ、時雨にも、榛名にも、ローマにも、会いたいなぁ…
べ、別に浮気とかじゃないですよ、まぁなんでいうか、その、ね…


第弍話 告白 帰還 不死鳥

エレベーターに乗って、3階まで上がる。

自室の前で響を片手で抱き抱えてもう片方の手で鍵を開ける。

鎮守府の提督の寝室よりも広いが、あっちの方が居心地がよかった。

響からは潮の香りがしていたから一瞬躊躇したが、ベッドに寝かせることにした。

シャワーを浴びて、夜食の肉じゃがを作る。

最近になってやっとロクなものが作れるようになってきた。

頭痛がひどい。多分、あまりにも非現実的なことが続いたからだろう。

ぼーっとしたまま肉じゃがを胃のなかに流し込む。

一瞬冷蔵庫の中の缶ビールに手を伸ばしたが、なんだか面倒くさくなってやめた。

廊下のドアのドアノブに紐を結びつけ台所の方に伸ばし、ガラスのコップに紐の反対側を結びつけて冷蔵庫の上に置いておく。

外着に着替えてから歯を磨いてソファに横になる、バスタオルを掛け布団にして眠りについた。

 

ガシャンッいう騒々しい音で目が覚める。

元々眠りが浅い俺を眠りから引き上げるには十分だ。

玄関のドアがギィィィィという不協和音を奏でる。

俺は飛び起きて靴を履く。

玄関の扉を開けて東の空がうっすら明るい早朝の冷気を肺に吸い込み、廊下を走る。

エレベーターを待つのがもどかしく、外階段を駆け降りる。

一瞬だけ道の角からたなびいた銀髪が見えた。

息が切れても走る、早朝の車通りが少ない堤防沿いの道路の赤信号を突っ切る。

朝日が差す砂浜を走る。

すると人影が見えてきた銀髪、裸足の白い足、細くしなやかな腕。

こちらに気がついた彼女の瞳は紅玉のような透き通った紅蓮だった。

彼女の美しさとその瞳から一目で彼女が人ならざるものであることがわかるが、俺は足を止めるどころか足を早める。

彼女は一度止まって呆けたようにこちらをみてから、少し俯いて波打ち際に歩みを進める。

「おい、待ってくれっ響!」

彼女は振り返らない。

「響、少し待ってくれ!お前に話したいことがたくさんあるんだ!」

「おい、お前響なんだろ、指輪も嵌めてるし。なぁ、響だって、そう言ってくれよ…なんで俺から逃げようとするんだ。せめて、もう一度抱きしめさせてくれよ…」

俺の確認はやがて涙と共にすがるような祈りとなって吐き出される。

彼女は振り向くとその無表情に僅かにめんどくさげな表情を浮かべ、ため息をつく。

「…しつこいなぁ。私は確かに駆逐艦娘、響だったよ…沈む前はね。けれど今はもう響じゃない。私に名前なんてない。あるのは最深部指揮棲姫という肩書の呪いだけだよ。」

「やっぱり響だったんだな。」

「何度も言わせないでくれないかい。私は深海棲艦で最深部指揮棲姫だって言ってるでじゃないか、いい加減理解してくれよ。」

「元は響だったんだよな…なぁそうなんだろ?」

「……それは否定しないけれど。」

「じゃあ、お前が始めて着任した時に鎮守府の中で迷ったこと覚えてるよな?初陣でボコボコにされて天龍に抱えられて泣いてたことも覚えてるだろ?始めてMVPとって俺が褒めたことも、始めて南方に行ってイルカ見たことも、暁が着任して四姉妹全員揃って喜んだことも、改造して強くなったことも、猫に帽子取られたことも、俺にロシア語を教えたことも、全部覚えてるんだよな?」

「………」

「鎮守府の門の前の桜が満開になったから一緒に花見に行ったことも、真夏に一緒にビーチに行って泳いだことも、一緒に七輪で秋刀魚焼いて食べたことも、真冬の深夜に執務を放り出して一緒に鍋食べたことも、覚えてるだろ?」

「………」

「朝起きて、一緒に朝ごはん食べて、お前は出撃して、俺は見送って、次の日に帰ってきたら出迎えて、一緒にご飯食べて休んで、のんびりしすぎて夜に一緒に急いで執務済ませて、寝る。こんな鎮守府での日常も忘れてないだろ?」

「……確かに私が響だった頃の記憶はある。けれど、それは前の私、今の私じゃない。」

「違う。全部覚えてるんだったら見た目が変わっても中身は変わってない。改二になった時と何も変わらない。響が海の底の方が気に入ったんだったら、戻るなとは言わない。でも、最後に抱きしめさせてくれないか?戦争中は俺は司令官でお前は部下だったからどんなに好きでも、愛し合っていても抱き合ったり、お前に触れることができなかった。だから、最後に愛している人に触れたい。」

響の作っていた無表情が崩れて紅蓮の瞳に大粒の涙が浮き出てくる。

「っ私も司令官に触れたい……ぎゅってしたいし、されたい。手繋いだり、撫でてもらったり、…キスしたり、その…えっちなこと、とかもしたい。本当は、私も…司令官に触れたい。

だけど、私は、深海棲艦…バケモノなんだよ、私はあなたに触れることが怖い。

あなたまで、汚して、壊してしまいそうだから。

最初はあなたを一目でも見ることができればそれで満足できると思った、だけどあなたを見てると触れたくなる。

だから、私はもう帰った方がいいよ、海の底に。

ありがとね拾ってくれて、やっぱりあなたはとっても優しいよ。その優しさを他の誰かに注いであげて欲しい。

さようなら、私の愛する司令官。」

そう言って響は波に足をひたす。俺は咄嗟に駆け出す。響のもとへ駆け寄りその細くて白い手を掴む。そのまま顔を手で包み響の桃色の唇に自分の唇を重ねる。響は一瞬戸惑った後。抵抗しようとするが、俺はそのまま響を砂浜へ押し倒し口づける。10分ほど経っただろうか、響は抵抗しなくなった。さらに時が経つと俺は響の唇の隙間に舌を滑り込ませる。すると少しためらうように暖かい舌が俺の舌に絡みついてくる。

真冬の気温の中、彼女の体温が口移しで伝わる。

響はゆっくりとその非現実的なほどに細く、白く、美しい腕を俺の体に巻きつけてくる。

互いに満足した事がなんとなくわかる。

俺はゆっくり唇を離す。

「ねえ、あなたは怖くないのこんな瞳の私のことが。」

「全く。恋は盲目っていうだろ。それに汚してしまうかもって言ってたけどな、もう、お前とキスしたんだから汚れるとしたらとっくのとうに汚れてるだろ。だから俺は手遅れなんだからもうお前に触れても問題ないだろ。」

「……本当にめちゃくちゃだねあなたは。……でもすごく嬉しいよ。じゃあ、あなたに聞くけど私は司令官に触れてもいい?」

「いいに決まっていんだろ、好きな人に触れられたら嬉しいに決まってんだろ。」

「愛してるよ、司令官。」

「俺も愛してるぞ。」

顔を赤らめた響が起き上がったと思いきやいきなり押し倒されてキスされる。

急に積極的になり出したな、まあ可愛いから問題ないが。

けれど人が増えて来そうだ、俺がロリコンの変質者だと思われて通報されにうちに帰らないと言えない。

「さあ、帰ろう俺たちの家に、朝ごはん食べるぞ。」

「俺たちの家って?」

「何言ってんだ一緒に暮らすに決まってんだろ。」

「いっ一緒に暮らすってつまり……」

「つまり?」

「…するってこと?…その、なんというか、あれとか」

「ああ、あれか、『せ』から始まるやつか……お前はしたいの?」

「っ………司令官となら、した…いかも……」

「ふーん、じゃあ帰ったらするか。」

「帰ってすぐは、その…急すぎるよ…心の準備が……」

「何言ってんだ?俺の部屋だいぶん散らかってたから整理整頓しようと思ってな。整理整頓に心の準備なんていらないだろ。何考えてるんだ響?」

響のほおが薄紅に染まる。

「……なんでもない。」

「ふーん、ていうかそもそも未成年には手出さないに決まってるだろ。」

「うーん…司令官に出会った時が肉体的には12、3歳ぐらいで、そこから5年経ってから私が一回沈んで、それから2年半でしょ、つまり7年半経ってるから艦娘は魂が半分船だから肉体の成長がほぼないけど多分私は19歳ぐらいだと思うよ、ほぼ成長してないけど。つまり、」

「つまり?」

「つまり、多分私は合法だよ!というか、大体1932年進水だから90歳以上だよ、合法に決まってるじゃないか。」

こっちを見上げて謎のドヤ顔でこっちを見てくる。

「多分が怖すぎるんだが…まぁ別にしたいならしてもいいし、嫌ならしないでいいだろ。お前はどうなんだ?」

「ごめん、もうちょっと考えさせて……」

「お前真っ赤になって可愛いな。」

「うぅ、いじわる」

「ほれっいくぞ。」

「待って、手。手を繋いでくれないかい?」

「いいぞ。お前の手はちっちゃくてあったかいな。」

「あなたの手は力強くて優しい手だよ。あなたの手、ペンだこができてる。私たちや、たくさんの人を守った手だよ。」

「これからは、お前と幸せになるためにこの手を使っていかないとなぁ。」

「ねぇ、司令官……愛してるよ。」

「おう、知ってるぞ。俺もだよ。」

こうして俺たちの新生活が始まった。

第弍話 艦

 




これからは、二人の日常を中心に書いていこうと思います。
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