とある個性の禁書目録   作:とある作者の狂人編集

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「インデックスちゃぁ~ん、あ~んっ」

「あー、っん。もぐもぐ」

「きゃー、かわいい!」

 

 完全にペットかお人形の扱いだ。まぁいいのだが。

 

「ひみこは、いつも元気だね」

「かわいいインデックスちゃんと一緒だからねぇ。はい、あ~んっ」

「あー、っん。もぐもぐ」

 

 溜息が聞こえた。顔を向けると、死柄木が首を掻いていた。イライラしている時のサインだ。

 

「君達、よく三時間もそうしてられるね。それを見せられる、俺の気持ちも考えてよ」

「えー、それじゃ、弔くんにもしてあげよっか?」

「いらない」

「ンクっ、じゃあ、とむらは見なければいいじゃない」

「なら、静かにしてくれる?」

 

 カウンターには、崩れたトランプタワー。きっと完成前に集中力を失ったのだろう。

 扉が開いた。

 

「おい、そろそろ行くぞ」

「あ、荼毘くん。もうそんな時間?」

 

 すでに準備できていたのか、被身子が立ち上がる。私はパフェのスプーンを受け取って、全員が出ていくのを眺めながら、口にクリームを詰め込む。

 残ったのは、死柄木と黒霧と私。

 

 開闢行動隊。雄英高校の林間学校を襲撃するためのチーム。雄英高校を追い詰める策だ。私には関係ないが。脳無も連れて行くとか。

 

「そうだ。AFO。聞いてるよね?」

「ん? なんだね、君から話しかけてくるなんて珍しいね」

 

 死柄木と黒霧も同じように思ったのか、会話に耳を傾ける。

 

「私用の脳無が欲しいかも」

「ふふ、いいだろう。君用のをいくつかカスタマイズしておこう」

「おっ、太っ腹なんだね!」

「君は協力者だ。本当は組織に入ってもらいたかったが」

「あー。まぁ、最初は入るつもりだったけど、やっぱり、ね?」

 

 最初の出会いで、入る宣言をしたが、どうも肌感覚というか、死柄木があまりにも幼い。それがどうも、組織に入るのを躊躇わせる。

 私はパフェの最後の一口を飲み込んだ。

 

「ごちそうさま! それじゃ、私は出かけるね」

「あ? どこ行くんだよ?」

「ん? まぁ、なんだろ? 旅?」

「「旅?」」

 

 死柄木と黒霧が同時に言った。

 

「なんていうか、……まぁ、別に私ととむらは協力関係なだけであって、仲間じゃないんだよ? 言う必要はないんだよ?」

「……わかった。いつ帰ってくるんだ?」

「わかんない!」

 

 そして、外に出た。

 

 

 

 私はそこはかとない違和感を覚えていた。USJ襲撃事件から。

 何が違和感なのか、正体はわからない。しかし、違和感がある。違和感だけが先行しており、具体的に挙げられない。完全記憶能力者なのに……。

 

 周りを見回しながら、その正体を探る。誰かに見られているというような違和感はない。どちらかと言うと、この世界に対する認識の仕方がよく分からない。

 しかし、具体的に何が違和感なのか分からない。

 

 そういう風にもやもやとした感情が占めていた。神野の市街地をブラブラとしていると、街頭テレビが目に入った。ちょうどオールマイトが出ていた。気さくなジョークを飛ばしているのを、ぼーっと眺めていた。

 

 そこで、はた、と気づく。

 

 そう言えばどうして私は、()()()()()()()()()()()のだ?

 

 警察から、釈放された。なぜ? ちょっと待てよ? なぜ?

 

 今思うと不思議だ。だって、私はオールマイトに自分が孤児院大量殺人の主犯だと言ったのだ。それで釈放はおかしい。なぜ疑問に思わなかったのだ? そもそもどうして、私はその非常識に気が付かなかったんだ? 完全記憶能力保持者なのに……。

 時効? いや、それなら警察からそういう話をされるはずだ。それはなかった。なかったことにされていた。普通は言う。言わないということは時効ではないはずだ。後で法律を調べてみよう。スマホがあれば便利だが、持っていない。

 

 話を戻そう。

 

 そもそもエクトプラズムが来ていたのもおかしい。何回か遠目で見たことがある。ああ、監視しているんだな、と。

 ヒーロー側として犯罪者を警戒するのは常識かもしれない。あの口ぶりから私を警戒していたのがわかる。慎重さもあった。

 だからこそ、意味がわからない。

 警戒するなら、それこそ()()()()()()()()()()()()

 

 そして、何より気味が悪いのが、()()()()()()()()()()()()()()()()()がいることだ。

 

 息を吐く。長く息を吸い、笑顔をつくる。

 

(ま、いっか。強キャラムーブできれば何でもいいよね!)

 

 おそらく何らかの個性が関係しているのだろう。怪しいのはAFOだ。私を洗脳しようとした、とか? じゃあなぜ今解けた?

 あるいは、魔術的な何か。特にインデックス。そして、とある世界。『とある魔術の禁書目録』では、世界を作り変えることも可能な敵がいる。別次元を行き来できるやつもいる。それがここにいる?

 しかし、私をターゲットにする理由はない。それにこんな回りくどい方法を使う理由がない。だから、この可能性は低い、と思う。

 

 確証はないけど、しばらくはAFOから離れていた方がいいだろう。

 

 私は電車に乗った。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 私は新幹線に乗り継いだ。

 やはり、ここは考えるべきだ、と。純粋に「強キャラムーブできれば何でもいいよね」とか言っているのがおかしい。おかしいはず。たぶん……

 おそらく10万3000冊の影響だと思う。

 

 こんな常識外があってたまるか。何か裏があるはずだ。私が釈放された理由。

 強キャラムーブができるだけでは、いけない。自由でなければ、いけない。この違和感に縛られるのは不自由な証拠だ。

 

 だから、行動する。

 

 まずは雄英高校に潜入する。なぜこんな状況になっているのか、情報が足りない。だから、探す。

 

 

 

 静岡県の雄英高校の前に来た。夜。

 片手にはワインボトル。中身は赤ワイン。アメリカのカベルネ・ソーヴィニヨン種。おそらく一番安いもの。ついでに入手方法は、バーからくすねてきた。

 窃盗してもよかったが、まぁいいだろう。

 背中にはリュック。小麦粉が入っている。

 

「さて、行きますか」

 

 玄関に入ろうとする。すると、ブザーが鳴って壁が迫り上がる。

 そして、想定内。ワインを一口飲んだ。

 

「にっが。……優先する。壁を下位に。インデックスを上位に」

 

 そして、壁抜けした。ブザーは鳴りっぱなしだ。未成年飲酒? 気にするな。

 

「ふむ。透明になる方法ってなかったかな? やっぱり黒霧の力を借りればよかったかな? いやいや、AFOの力は借りない」

 

 そうブツブツ言いながら奥へと進む。数人の警備員が出てきた。

 

「止まれ!」

 

 さすまたを持っている。拳銃ないのか。銃刀法違反か。まぁ無視する。ワインを一口飲む。

 

「優先する。さすまたを下位に。インデックスを上位に」

 

 取り囲まれ、さすまたで挟まれる。ということもなく、スルリと抜ける。警備員同士のさすまたが喧嘩し、私は素通り。

 

「クッ! 待て! くっそ! ヒーローを呼べ!」

 

 警備員の一人に肩を掴まれた。ワインを飲んだ。背負ったカバンから小麦粉を一握り。

 

「優先する。人体を下位に。小麦粉を上位に」

 

 小麦粉を彼ら彼女らにかけた。血が飛び散った。

 

「うわぁあああああ!?」

 

 数名が顔に大怪我。のたうち回る。他の警備員は恐れて後ずさる。

 

 原作『とある魔術の禁書目録』。敵、左方のテッラ。光の処刑、とかいう魔術。

 簡単に言えば、『優先順位』や『強弱』などを入れ替えるような技。壁を下位にして、人体を上位にすれば壁抜けできる。人体を下位にして、小麦粉を上位にすれば、人体を切断できる。

 

 

 

 廊下に出た。相変わらずブザーが煩い。警備員室に向かう。警備員がどんどんと出てくる方向へ向かう。警備員が動揺している。警備員室についた。

 正確には、警備員室じゃないのかもしれないが、監視カメラと警報管理をしていそうな場所だった。

 扉? 当然、通り抜けたよ

 

「ヒーローはまだか!?」

 

 おそらく多くの警備員がここに集まっている、はず。いや、十数人くらいは、出入り口の強化をしているかもしれない。まぁ、どうでもいいのだが。陽動でも、先遣でもないからね。

 やることは変わらない。

 

 警備員一人一人に小麦粉をかける。以前、詠唱の有効時間を計ったが、持続時間は3秒だった。それまでの間は、無敵。

 

 阿鼻叫喚。地獄絵図。一人だけ残し、分かりやすくナイフを突き出す。

 

「ブザーを止めるんだよ。さもないと、……同じ目に合うよ」

 

 涙目。しかし、ブザーを止めないようだ。仕方ないので、耳に小麦粉を振りかけた。耳が切断された。絶叫。

 

「早くしてほしいかも。面倒臭いんだよ」

 

 しかし、警備員は首を振る。面倒臭い。傍らを見る。倒れて蹲っている警備員。痛みで意識を失っているようだ。

 

「じゃあ、こっちの人を殺そっかな」

 

 明らかに動揺した。小麦粉を倒れている人の首にかけた。首から血が噴き出た。

 もう一人、近くにいたので、そちらに移動した。

 

「ブザーを止めるんだよ。さもないと、死人がもっと出るかも」

 

 警備員は泣いている。そして、コンソールに向かって、ブザーを切る。

 

「じゃあ、ばいばい」

 

 小麦粉をかける。叫び。苦痛で横になった警備員。静寂の夜が訪れた。

 

 

 

 警備員室を出る。さて、職員室はどこかな、と見渡す。すると、違和感に気づいた。警備員がいない。奥から足音。

 

 振り向く。陰で全身が見えない。少しずつあらわになる。足、脚、腰、腹。筋骨隆々。スーパーマンのような服装。

 

 オールマイトだ。

 

「君が、今回の首謀者か……」

「自己紹介はいるかな?」

「インデックスだろ? 以前、USJ襲撃事件に参加していたヴィラン」

 

 覚えているようだ。ここまでは大丈夫らしい。

 さて、どう聞こう。顎に手を置く。考えてもまとまらないだろう。まどろっこしいのはダメだ。直球で聞く。

 

「……アグネスタ孤児院大量殺人」

「……ああ、痛ましい事件だった」

「……あれは、()()()()()()()()()?」

 

 これが仮説の実証だ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 確定だ。オールマイトは、私の発言を覚えていない。

 

 そうなんだよ。おかしいと思っていた。オールマイトが言わないはずがない。犯罪者を見逃すとは思えない。

 つまり、何らかの個性あるいは魔術があの時発動していた。オールマイトも私も、何かしら記憶や思考をいじられていた。おそらく、あの生徒三人も。

 

「はぁ……まぁ、気持ち悪いのが取れてホッとしたんだよ」

「君は、アグネスタ孤児院の出身らしいな」

「うん、そうなんだよ!」

「ヴィランから危険にさらされたのに、君はなぜ! ヴィランになった!」

 

 だってそのヴィランが私だから、というのはややこしくなる気がした。まぁ、情報はなるべく秘匿にした方がいいかも。変に思い出して、術者にバレても嫌だ。

 それっぽいことを言って煙に巻こう。

 

「ヴィランというのは、自由の象徴なんだよ」

「……何?」

「私は自由になりたかった」

 

 嘘ではない。前世の頃から。たとえ10万3000冊に汚染された脳みそだとしても、自由を欲したのは事実だ。

 そして、前世で憧れた強キャラムーブこそ、まさしく自由。

 

「強くなければ、自由になれない」

 

 私はいつの間にか、胸をさすっていた。鈍い痛みがあった。気のせいだと手を払った。ワインを飲む。

 

「優先する。ヒーローを下位に。小麦粉を上位に」

 

 カバンを投げた。小麦粉が舞う。オールマイトを襲う。が、

 

「ふんっ!」

 

 勢いよく息を吐いた。一気に小麦粉を吹き飛ばした。私は小麦粉だらけになった。歩く教会がなければ、落とすのに時間がかかっただろう。

 煙の中にいた。私は後ろを向いて逃げる。

 が、煙を抜けた先にオールマイトがいた。風圧で小麦粉の煙が晴れる。

 急ブレーキで、5mくらいの距離。

 

「すまないが、眠ってもらう」

 

 首チョン。だが、歩く教会を着ている私には効果がない。

 ちょっとよろけた。身体をひねって、回転してナイフ。オールマイトはすぐに距離を取った。

 

「オールマイトって、街を破壊しながら戦うイメージだったけど、見直したよ」

「あれは、やむを得ず……」

 

 ちょっと尻すぼみ。私はワインを飲む。

 

「優先する。壁を下位に。インデックスを上位に」

 

 走り、壁をすり抜ける。逃走。何度もワインを飲む。壁抜けする。しかし、オールマイトは壁を突き破ってきた。

 

「校舎壊すんかい!?」

「アハハハッ!! そっちの口調が本来の君かい?」

「……うるさいんだよ」

 

 最短距離で外に出た。ちょっと足がふらつく。くっそ、酔った。度数低いのにしとけばよかった。

 サイレンの音がする。

 

「もうすぐ、警察が来る。君は終わりだ」

 

 もうそんなに時間が経っていたのか。仕方がない。懐から小さな十字架を出す。が

 

「ちょい」

「あ」

 

 手をチョップで叩かれた。十字架を落とす。ナイフでオールマイトを払う。腕を取られる。そのまま、片手で立ったまま拘束される。ナイフを落とされ足で遠くに蹴られた。痛みがあるが、酔いのせいであまり気にならない。

 

「ちょ! 君、酒臭いよ! 未成年だよね!?」

「うるさいんだよ! って、離してほしいかも! 痴漢なんだよ!」

「はいはい。大人しくしててね」

 

 ウィンプルを取られた。ひやりとした。失態だ。歩く教会の効果が薄くなる。ウィンプルも含めて、【歩く教会】という魔術が完成するのだ。

 

「返してなんだよ! 大事なものなんだよ!」

 

 弱点。バレなければ問題ない。相手は科学信者の現代人だ。魔術など信じないだろう。

 

「なるほど。このフードが()()なんだね? 君のその鉄壁の防御は」

 

 さぁっ、と血の気が失せる。気づかれてる。舐めプしてたのは、私の方だった。パトカーが来た。

 

 

 

 婦人警官に持ち物全部奪われて、歩く教会も代わりの服に着替えさせられて、手錠と足枷。完全無防備状態となった。南無三。核シェルターっぽいのに入れられる。確か個性犯罪者とかが入れられる檻だ。

 

 入れられて、車が発進したのか、ドンドコドンドコ揺れるシェルター内。どこかに連れて行かれる。正直、酔った。酒とシェルター酔いで吐く。汚ねぇ

 

 活路はどこか。魔術しかない。ただし、魔術も万能ではない。

 手足を拘束されている状態で使える魔術などたかが知れている。思考誘導は勘付かれていないが、それも時間の問題だろう。強制詠唱(スペルインターセプト)は警戒された状態では、効果が薄れる。そもそも対象相手がいない。

 つまり、魔力を使う魔術しかない。しかし、道具は一切取り上げられた。魔術は道具があってこそ、発動できる。いや、道具がなくても使える人はいるが、それはほんの一握り。聖人とか呼ばれる種類の人間だけだ。

 つまり、インデックスボディでは、使えない。

 

 チートと思ったんだけどなぁ。これぞまさしく転生特典って感じで良かったのに。神様には会っていないけど、おそらくインデックスと10万3000冊は神様が授けてくれたものだ。くそったれな、神様だ。もっと使いやすい、そして強い転生特典がよかった。

 

 …………ん? 転生特典? 転生? 死んで、生き返る。…………

 

 ……私は、こんな単純なことにも気づかなかったようだ。

 この世で死んで生き返った者は誰か? 聖書では、イエス・キリストしかいない。つまり、私は

 

「聖人と同じ」

 

 聖人とは。以前、類感魔術の話をした。姿形や役割、行動などが似ているものをレプリカとして、オリジナルと紐付ける。

 原作『とある魔術の禁書目録』での聖人は肉体的に【神の子】と似ているものを指す。それすなわち、神の子の力・所謂天使の力(テレズマ)をオリジナルから少し分けてもらえる、ということ。

 魔力とは、神秘的作用のある文字や行動などで生成される。つまり、【神の子】という神秘を肉体的な記号で持っているということは、それだけ莫大な魔力を持つことになる。

 転生は、死んで生き返ること。それは【神の子】と同じ。肉体的な符号はないが、【魂】に符号されている。

 

 活路。見えた。

 すっと心を澄ませる。魂を感じるためだ。私の魂を把握して、この魂と私の肉体とが共鳴できるようにする。そのため、まず魂の把握。

 感じる。魂の脈動が。あまりにも大きすぎる魔力・天使の力(テレズマ)があった。目をつぶっているし、暗闇なのだが、目が焼けそうになるほど、強い光。

 魂の把握ができた。あとは、魔術の流し方だけ。身体の隅々まで把握しろ。そして、その箇所に最適な魔力量と流し方。また、物理的肉体的な力の入れ方。筋肉の隆起。全て計算しろ。最適な聖人へと、聖人の魂と少しでも共鳴できるような肉体にならなければならない。

 

 カチリ

 

 魂と肉体が共鳴した。鍵が鍵穴に入る感じ。瞬間、莫大な魔力が身体から溢れ出す。おお、これは、成功した。いや、成功しすぎた。

 おさえ、きれない。やば、ばくはつ、する

 

 光が見えた。

 

 

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