とある個性の禁書目録 作:とある作者の狂人編集
角を曲がった。無線で合図。複数の場所から尾行。警察とヒーローは慎重にことを進めていた。
透視ができるヒーローと足音を聞き分けるヒーロー。動員して、ヴィラン・インデックスを追い詰める。
警察の調査網で、ここらに住んでいることは確認できた。脱走時の場所とも近い。潜伏できる場所があるのだ。しかし、今までバレないように追跡したが、途中で見失った。毎回。謎であった。
噂でとある老婆の家に住んでいるという話を聞いた。その老婆はすでに亡くなっていた。住所の場所に行ったが、そこには家はなかった。地面だけ。土地の名簿を確認したが、建物を解体した書類がなかった。ヴィランが家を解体したのか。誰もがインデックスの顔を思い出した。
今回、強硬策に出た。仮面やフードなどを透視する個性のヒーローが調査に応じ、彼女を見つけた。背格好も似ている。下に、あのシスター服を着ていた。顔もまさに本人ということで、呼び止めて顔を見せてもらった。
しかし、違う顔であった。
拠点に無線を入れて、彼女が言っていた「魔術」というものではないかという話になり、尾行することに。
インデックスはいくつか角を曲がり、道を進む。時々止まって、空を見上げたり壁に手をついたり石を蹴っては拾って地面に置いたりしていた。また進む。特に目立った違和感はない。
彼女は公園に入った。木々の生い茂った場所。空からは見えないかもしれない。公園の中央に彼女は立った。そして、空を見上げた。
「出てきたらどうかな? バレバレなんだよ、ヒーローとおまわりさん」
彼らはゾッとした。決して大きな声ではなかった。しかし、見通されていた感じに皆が皆、恐怖を抱いたのがわかる。なぜならこちらには気配を消すヒーローと姿を消すヒーローがいるのだから。
指示を仰ごうとして、無線に喋る。しかし、反応がない。声を掛けるが、まったくない。ノイズのみ。焦る。
「意味ないんだよ」
少女の声。振り向くと、フードを脱いで姿を現したヴィラン・インデックス。
ヒーローは? 下を向くと、血塗れのヒーロー達。隣を見る。事切れた同僚。
「ここらには外界と隔離された結界を張ったんだよ。すでに地理は把握していたから、後は時間と日付で的確な場所に石を配置する。隔離結界って呼んでるけど、それを構築したんだよ。簡易的なものだから、電波類くらいしか遮断できないけど」
「……ど、ぅして」
「ん? なんでいるってわかったかって? それは結界を張る時、人払いのルーン文字シールを張っていたからだよ。誰も近づかないエリアに、入ってこれるのは、私を追っている人のみ」
警察は拳銃を抜いた。撃った。彼女に銃弾が当たった。しかし、潰れた銃弾がことりと落ちた。何発も撃つ。しかし、意味がない。銃弾が切れた。それでもトリガーを引く。
少女はカードを取り出した。それを向ける。警官の頭にカードの角をぶつけた。
警察は真っ二つになった。
〜〜〜〜〜
殲滅した。公園にいたヒーローと警察。警察の拠点の場所も空を飛んでダウジングで発見。全員殺した。そろそろここに居続けるのも現実的ではなくなってきた。
家の魔術は半永久的に維持できるようにしていて、家の場所を特定されることはない。しかし、まったく外に出ないということはできない。その時、エンデヴァークラスのヒーローが来たら、困る。
私は、霊装を整理して懐と袖、裾裏などに十字架やルーン文字カード、タロットカードを隠し、残りは大きめのバッグに入れた。空間拡張の魔術を使っているので色々入れられる。その代わり重さは減らせない。まぁ、聖人の力があれば、魔術で筋力増強・体力増加ができる。問題ない。
さて
「いってきます」
家を後にした。
ヴィラン連合と合流する方法を考える。まぁ、同じ場所で犯罪を何度かすれば、勘づいて来てくれるかもしれない。もし、現れなければ、私は価値なしと烙印を押されているだろう。もしくはAFOを殺した敵として戦うことになるかもしれない。
一旦神野に行って、そこを拠点に周囲で活動しよう。あそこは隠れられる所が多そうだ。それにヒーローもいる。誰も私が戻ってくるとは予想していないだろう。
脳無の肩に乗って移動しながら、向かう。
到着。一言で言えば、何もない。いや、瓦礫はあるし、建物もある。無傷のビルもある。しかし、見晴らしが良い。これをオールマイトとAFOの戦闘で作り上げたというのが恐ろしい。
焼け焦げた臭い、特に強烈な酸の臭いと溶かされて混ざった色々なものの臭いで鼻を曲げる。建物はほとんどが溶けかけている。コンクリでなければ、形がすぐに溶けてなくなっていただろう。
人はそこそこいる。警察官、自衛隊、ヒーロー、パトカー、救急車、消防車。人命救助とまだ燻る火を消す人達。みんな一所懸命に活動している。その汗水垂らしている行動で、救われる命がどれほどあるだろうか。硫黄の雨は、戦場だけでなく中心街も燃やした。人は生きたまま燃えたはず。一番大変なのは、遺体の身元確認だろう。かわいそうに。他人事。
私は脳無を廃墟となった誰もいないビルの中に置き、報道されている救助行為を見に行く。ちょっと試したいことがあるのだ。
ヒーロー・ウワバミが埋まっている人を捜索していた。CMで何度か見たことがある。他のヒーローも岩を取り除いたり、人を運んだりしている。運んでいる人は死んでいる者が多い。
ウワバミは有名人だ。よく広告やテレビ、ネット配信でも好印象のヒーロー。ちょうどよい。〈観衆から見られているヒーローが殺される〉という魔術的記号がどれくらい魔力を生成するか実験できる。
報道カメラマンがいるので、あれもしたい。いい環境だ。
ウワバミの背後に立つ。カードを取り出す。魔力を込める。
「危ない! ウワバミ! そこを離れろ!」
ウワバミが跳んだ。魔術が発動した。頭の蛇一匹を犠牲に、ウワバミはこちらに顔を向ける。
「一般人の方! ヴィランです! 避難してください!」
どうも個性で場所がバレたらしい。それもそっか、救助活動だ。探索系はいるだろう。私は目隠しと神隠しのルーンを解除した。皆が息を呑む音がした。
「犯人は、現場に戻ってくる、ってね」
私は聖人の脚力で、朝のニュースでよく見た報道リポーターの隣に移動。リポーターとカメラマンがギョッとする。
私は笑顔を向けた。リポーターのマイクを奪う。リポーターが腰を抜かして、尻餅する。カメラマンも尻餅する。しかし、カメラは落とさない。プロ根性だろう。流石。
ちょうどよいから、私はカメラに向かって挨拶する。ここから世界に宣戦布告だ。
「全国のお茶の間のみんな! おはようなんだよ!」
「私は、たぶん知っている人の方が多いかも?」
「インデックス……ヴィラン・インデックスなんだよ!」
おそらく市民に激震が走っただろう。この間の戦闘はおそらく多くの人が見ているはず。オールマイトとエンデヴァー二人がいたのに逃げられた災厄。
リポーターとカメラマンはお漏らししている。私は続ける。
「まずは放送局のみんな。放送中止にしたら、そちらにうかがうかも。注意してね」
まずは釘を刺す。これで利己的な会社は保身に走って、放送するだろう。利他的だった場合は、……本当に殴り込もう。見せしめだ。
「私インデックスは、オールマイトとエンデヴァーの二人いるにも関らず、捕縛も討伐もできなかった存在。ヒーローって一人の美少女も捕まえられない弱小な存在なんだね」
一度煽る。これでヒーロー支持者やヒーローが憤る。ある者は絶望を、ある者は情けなさを、ある者は落胆を。色々な感情を喚起させる。
「とはいえ、後少しで負ける所だったんだよ。そういう意味ではヒーローは凄いかも?」
ここで希望を見せる。ヒーローが勝てる未来を見る。
「まぁ、逃がしたせいで、逃げ先の人を結構殺したんだけどね。これからも殺していくんだよ」
そして、まさしくこの間のオールマイトのようにカメラに指を向ける。これで人々はよりヒーローを求める。
「次は、君、なんだよ」
ヒッ、とカメラマンが絶望色に染まる。これ、楽しい。私は胸の前で両手を組み、敬虔なキリスト教徒がするように祈りのポーズをした。
「私はインデックス。ヴィラン連合の最高戦力。今までは、ヴィラン連合の協力者的な立ち位置だったけど、……宣言するよ」
「ヴィラン連合リーダー、しがらきとむらをヴィランの象徴にするんだよ。太古の人々は狼に怯えて洞窟の奥に隠れていた。その時代に戻る時が近いかも」
さて、これでいいかな? これで闇が一層深くなった。人々は恐怖に震えて、悲哀して、求める。光を。ヒーローを。
求めた先のヒーローこそ、誰もが尊敬するヒーローこそ、闇が深いためより眩しくなったヒーローこそ、聖人としての魔術的価値が生まれる。
私は指を下ろした。
「もういいよ。カメラマンのお兄さん。殺すね」
カードを向けた。あとは私がカメラを持とう。
「そうはさせないわ!」
ヒーローが飛び込んできた。怪我をしたウワバミがカメラマンを、他のヒーローがリポーターを、そして数人のヒーローが四方から攻撃をはじめた。
私は紐を操るらしきヒーローにミイラにされる。瓦礫を投げる筋肉増強のヒーローと衝撃波を繰り出すヒーロー、針を飛ばすヒーロー。その全ての攻撃を受ける。当然、歩く教会があるため、無傷。
「クッ」
筋肉増強のヒーローがこちらに駆ける。私は魔力を少し体中から放出する。私を拘束していた紐が空中に浮く。その一端を手に取り、雷のルーンを刻む。魔力を込める。叫び声。電気ショックで一人脱落。
ルーン文字カードを取り出す。ウワバミは一般人を避難させようと駆けている。風と剣のルーン。
不可視の刃。それは正確に喉元を捉えている。ウワバミは死ぬだろう。その絶望顔はこちらを肩越しに見ている。が、
「うわぁあああ!?」
カメラマンがカメラを投げた。その反動で、ウワバミは少しバランスを崩して、風の刃を躱す。頭の蛇は全て切り飛ばしたが生き残った。これはなかなか。
私は走ってカメラをスライディングキャッチ。カメラをウワバミに向ける。
「テレビ局のみなさん? もし、放送中止したら、殺しに行くかも」
再びマイクに釘を刺す。カメラを構える。他のヒーローが背後から迫る。または、前に割り込む。一般人を逃がすため。
私は空を飛ぶ。靴に仕込んだ飛翔のルーンを起動させたのだ。私を捕らえようとしたヒーローは立ち止まった。見上げている。パンツが見えそうで少しドギマギした。
そう言えば、さっき来る時に確認したのだが。オールマイトとエンデヴァーと戦った時に撒いたルーンカードがまだそこら辺に散らばっているのだ。
つまり
「
短縮詠唱でこの場を囲うように炎が上がる。ウワバミの逃げる退路を塞いだ。短縮詠唱のため威力は弱い。ヒーローなら生き残れるかもしれない。が、一般人を抱えて走ればその人がどうなるかお察しだろう。
ウワバミは急ブレーキ。カメラマンを見て、判断する。一瞬の戸惑いもなく、一般人を下ろした。ウワバミは私を見上げた。覚悟の顔だった。
私はウワバミにズームした。
「今から、人気のヒーローを、殺すよ。みんな、見るんだよ」
風と剣のルーン。ウワバミは必死で避けている。なるべく敵の目を一般市民から遠ざけるように移動している。
その英雄的行動。まさしくオールマイトと似た覚悟。
もしかしたら神器の触媒になるかも?
瓦礫に隠れるヒーロー達。持久戦だろう。エンデヴァーが来るのを待っているのか、一般市民の避難の時間稼ぎか。
ダウジングを持つ。カメラは肩に挟む。空中を歩く。反応あり。
ダウジングは石油とか鉱石とかを探知する時に使う魔術。魔力を必要としない魔術だ。これは心に思い浮かべたものが術者の下にいるのか察知できるもの。魔力無しで使える分、探せる対象は魔力を持っていないと探せない。
聖人の力で、生命反応は察知できる。しかし、それはある程度大雑把なものだ。もう少し鍛えるべきだ。それに動いているものでないと、うまく働かない。心臓の動きを止める個性があれば、わからない。おそらく聖人の力は今後精度も威力も上昇するだろう。今はまだ甘い。
ダウジングが反応した場所へイノケンティウスのカードをばら撒く。点火。叫び声。他のヒーローから仲間を呼ぶ声。なるほど、次のはそこにいたのか。風と剣のルーンで狙い撃ち。上半身が泣き別れたヒーロー。
後ろに気配。振り向く。ウワバミがいた。上空にいた。下をちらりと見ると、筋肉増強のヒーローが投げ飛ばしたらしい。躱す。通り過ぎるウワバミ。その手にはウィンプル。不敵に笑っている。歩く教会は機能しなくなった。ルーンを掲げる。
が、針が飛んでくる。上空に行き、躱す。あるいは、聖人の力で魔術の膜を作り弾く。
「イノケンティウス。殺せ」
針使いは燃えた。倒れた。形がなくなるまで延焼させた。
針使いヒーローが消えたので、ウワバミに向く。正確には瓦礫の間に隠れていて、目視はできない。しかし、ダウジング。生き物を思い浮かべた。
場所を当て、イノケンティウスのカードを撒く。燃えた。誰も出てこない。叫び声もない。なぜ? 背後に気配。またか! 上空にウワバミがいた。燃えている地面にいるはずのウワバミがいた。
「賭けだったけど! 私は蛇を操れるのよ!」
なるほど、ウワバミを想像してダウジングで探したが、蛇もウワバミとして察知したのか。ダウジングも、探索できる占い魔術としては確実度が低い。手軽に試せる分、実戦ではあまり意味ないかもしれない。
ウワバミから顔を殴られた。聖人の力でダメージはない。逆にウワバミの手は痛いはずだ。そのまま抱きつかれた。背後に回られ、首を絞められる。ウワバミの服の中から蛇が出てきて、私に噛みつく。聖人の力で蛇の牙が折れる。
毒蛇だ。神経毒だろう。蛇を掴んで引きちぎる。まだ複数の蛇がまとわりつく。面倒臭いな。純粋な聖人の力・
だが、ウワバミは諦めていない。しがみついて離れない。
地面からヒーローが跳んできた。私は跳んできた筋肉増強のヒーローにルーン文字カードを飛ばした。筋肉増強ヒーローは半分になった。ウワバミがヒーローの名前を叫ぶ。
私は地上に降りた。背後のウワバミを力ずくで離した。こういう時、聖人の力は便利だ。オールマイトと互角に戦えるのだ。
ウワバミを地面に放り投げた。カメラにウワバミを映した。
「さて、公開処刑なんだよ」
脳無を呼んだ。すぐ来た。大きめの十字架と槍を背負っている。それにウワバミを磔にするよう言う。ボロボロのウワバミでは脳無の怪力になすすべがない。瓦礫の上に十字架を設置する。瓦礫を移動させ、段数が13になるようにする。そのままウワバミの両手両足を十字架に釘で留めて、磔。用心として四隅の地面に結界のためのタロットカードを置く。結界を張った。ウワバミを下から眺める。
「ゴルゴダの十字架。ロンギヌスの槍。そして、ヨセフの聖杯。今日は金曜日。階段の段数は13」
ウワバミはもう絶体絶命な状況。震えている。痛みを堪えている。涙がこぼれている。が、力強く睨んでいる。
美しく強い人だ。殺すのは勿体ないかもしれない。少し逡巡した。
「今なら命乞いして仲間になると言うのなら、助けてあげてもいいんだよ?」
唾を飛ばされた。顔にかかる。
「するわけないでしょ! このアバズレ!」
……なるほど。この女、目が腐ってやがる。どんな状況でもインデックスの顔は可愛い美少女だ。女性だった私ですら、好きだったキャラクターだ。その見た目を貶すなら、眼科に行くべきだ。
……まぁ、冷静になれ。インデックスを一番貶しているのは、私だ。ロールプレイが苦手だから、こんなことになっているのかもしれない。そうすると、ウワバミに同情心が湧く。
「じゃあ、殺すね」
私は後ろを見た。カメラマンが絶望顔で見ている。
「あなたの後に、あなたが守ろうとした人を殺すよ」
「なっ! その人は関係ないでしょ!」
「イエスは最後、神を恨んだ。なぜ見捨てたのだと」
ウワバミが悔しげに顔を歪めた。両手の皮が引っ張られ、首が締まっているだろう。言葉も出なくなった。窒息死で死ぬ。それがイエスの死。神を信じていたイエスが神に疑問を呈するシーン。絶望。魔術的な意味を十字架に付与できる感情。十字架はオリーブの木でできている。
ウワバミの顔が赤くなる。何とか釘で固定された足を伸ばして窒息を免れている。
磔刑は酷く残忍な死刑だ。最長で48時間苦しみの中で生き続ける。しかし、それは足場がある場合だ。足場がなければもっと早い。足場というのは、足に打ち付けた釘のことだが。
今回はイエス・キリストの伝承に沿って、ウワバミの脚を脳無に折らせる。呻き声。これでは脚が伸ばせない。より首が絞まったはず。
ウワバミの顔が赤から青になった。
私はウィンプルを探した。瓦礫の上にウィンプルがあった。跳んで拾う。
再びウワバミの前に来た。顔が青から土色になっている。もう少しで死ぬだろう。折角だ。カメラマンをウワバミの前に移動させよう。
カメラマンに向いた。怯えた。近づいて、首元を掴んでウワバミの前に引きずった。
「あなたを守った存在はあなたの不信心で死ぬ」
その時、轟音がした。そろそろ来たか、と思った。上空から、エンデヴァーが業火を伴って拳を振り上げた。
しかし、結界に阻まれて、炎を面で受ける。ピラミッド型の結界。事前に四隅に魔術のタロットカード。これで結界を張ったのだ。
「ぐ、ぐぬぅ……っ!」
さがるエンデヴァー。もう一度憤怒の顔で飛び掛ってくる。が、結界に阻まれる。
「無駄なんだよ。結界を張ってるんだよ? オールマイトでなければ突破できないかも」
何かより睨まれた。怖い。何度もパンチを放つが、結界には何の影響もない。私は無視して、磔の十字架を見る。ウワバミは涎を垂らしている。白目をむいている。おそらく死んだ。
脳無に指示を出し、準備をさせる。私は聖歌を唱える。結界の外はエンデヴァーの炎しか見えない。カメラはこちらを映している。隔離結界ではないので、電波は届いているはず。炎でどうなっているか不明だが。
脳無がウワバミの横腹を槍で刺す。ドバッと血が溢れ地面に置いた聖杯に注がれる。ウワバミからの反応はない。完全に死んでいることが確かめられた。聖歌を歌い終わる。聖杯を手に取る。十字架を触る。槍に触れる。
「……なるほど。少しは魔術的な符号がついた感じかな? でも、オリジナルと比べると、太陽系とミジンコくらいのレベルで差があるかも」
ただし、仮説はおそらく実証された。とりあえず、試したいことは終わった。十字架を脳無に背負わせて、槍を持たせ、聖杯を飲み込ませる。
私はエンデヴァーへ向く。
「じゃあ、私は用事が終わったから立ち去」
後ろで何かが動く音がした。私は背後に風のルーンを飛ばす。知らないヒーローの腕が飛ぶ。倒れたヒーローが叫ぶ。
「結界の弱点! 四隅にあるカードを破れば! 解ける!」
もういっちょ風の刃を飛ばして殺す。しかし、周囲に突然人が出現する。何かの個性か。今まで気が付かなかった。
出てきたのはヒーロー達だ。結界の四隅へ殺到する。タロットカードは結界の内外に跨ってある。破るのは簡単だ。
同時に四隅へ仕掛けられた。これは結界を捨てるべきだ。脳無に目隠しと神隠しのルーンを起動させようと手を伸ばす。
ピキリッ
何かにヒビが入る音。咄嗟に背後へ水のルーンと聖歌を唱えた。結界が割れる音。炎が迫った。水と炎の衝突。水蒸気爆発。地面ごと抉られ吹き飛ばされる。脳無と離される。
さっき取り戻した歩く教会と聖人の力があるので無傷だが、脳無は明らかにエンデヴァーより弱い。私は飛ばされた先で地面を蹴って聖人の力で脳無へと跳ぶ。しかし、エンデヴァーが煙から出てきた。
足場がない状態で殴られた。ダメージはないが吹っ飛ぶ。私は叫ぶ。
「脳無! 逃げろ!」
私は瓦礫に激突。すぐさま体勢を立て直す。しかし、エンデヴァーが目の前。火炎とともに顔面に拳。瓦礫が消し飛ぶ。
私は結界のあった地面を見る。なるほど、結界が破れたのは四隅のタロットカードが燃えたからだった。
「よそ見を、するな!」
火炎。地面から舞う。いや地面が舞う。ルーンカードや十字架を取り出そうにも、取り出した瞬間燃やされる。靴に仕込んだ飛翔のルーン文字カードを使っても爆風でコントロールが効かない。距離を取ろうにも地面ごと飛ばされて行きたい方向へ行けない。
戦闘経験が浅い私では、負けはしないが逃げられもしない状況。千日手。
私の勝利条件は脳無を逃がすこと。聖人の感覚機能から脳無の生命反応は遠ざかっている。私は逆へ行くか、そうでなくてもエンデヴァーを止めれば良い。
なら、このままエンデヴァーを足止めした方が良い。さらに、エンデヴァーを倒せれば、こいつも神器の触媒にすれば良い。
そう、逃げられないなら勝てば良い。
「!」
体を空中で反転させ吹き飛んだ瓦礫を足場に、聖人の脚力で、跳ぶ。エンデヴァーの目の前に迫る。五本の指をエンデヴァーの目に突き刺そ────
腕を掴まれた。
「貴様は舐めすぎだ」
空へと投げられた。高く高く。飛翔のルーンを起動。空中で立て直した。空へと投げたことを後悔させてやる。
しかし、すでにエンデヴァーは目の前にいた。回避は不可能。腕を十字に組んだエンデヴァーと激突する。そして、彼は叫んだ。
「プルスウルトラ プロミネンスバーン!」
万物を溶かす炎が見えた。避けられない。あ、これはヤバ──────
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ありがとうございます。励みになっております
この作品はノープロットかつその場の即興で書いている小説です
私が気づいている中でも、すでに多くの粗と矛盾が生じているのが現状です
そして、ご指摘いただいても、作品に反映しません。あるいは、少し反映するかもしれません
しかし、批判やご指摘を拒絶するという訳でもなく、マイルドに仰っていただければ、反映できるかどうか考慮します
まぁ、ほとんどは無理でしょうが、それでも良いという方は、どんどん仰ってください
もちろん、先程も言いましたが、反映しないことが多いです
さらに、感想欄なので、作品への指示や提案、ネタ潰しになる可能性のあるものはなるべく控えてください
ご了承ください