親愛なる貴方達へ   作:マアブルゥ

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 思ったより話がゆっくりと進んでる気がしてきました。
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魔鉱と交渉

「ありがとうな! おかげで助かったよ!」

 

 アーマーサウルスを討伐すると、鉱山夫たちから感謝されたというよりほとんどもみくちゃにされた。

鉱山で汗水流して働く男たちに囲まれ礼を言われながらガシガシと頭を撫で回されるのはありがたいのはありがたいが、正直かなり困る。

どうにか人の輪から抜け出して息をついていると、リムルがこちらへ近づいてきた。

 

「あ、タケル。この人たちが腕のいい職人を紹介できるかもしれないって」

 

 僕が警備隊と報酬や回復薬の費用について話し合っている間に、リムルは助けた三人組の鉱山夫に、職人を紹介してくれないか頼んでいたらしい。

 

 うーん…

この三人、どこかで見た覚えがある気がするんだけど……思い出せない。

 

「よし、とにかく早速その職人に会ってみよう」

 

 

 

「入るよ」

「お邪魔しま〜す!」

「失礼するっす!」

 

 三人のドワーフに連れられてやってきたのは、こぢんまりとした鍛冶屋だった。

店の中に入ると炉の前に座り黙々と作業を続けているいかついドワーフの姿が目に入る。

 

「おぉお前たち帰ってきたのか。すまなかったな、昨日連絡しようと思ったんだが忙しくてそれどころじゃなかったんだ」

 

 その姿を見た瞬間、僕は思い出した。

原作にも登場していた、かなり腕の立つ鍛冶師のドワーフだ。

 

「すまない親父。魔鉱石を取りに行くはずだったのに、魔物に襲われて思ったより採れなかった」

 

 魔鉱石というのは、魔素の密度が高い場所で生成される特殊な鉱石だ。

武器や防具の素材としてはかなり貴重である。

というのも魔鉱石を加工することで持ち主に合わせて成長するユニーク武器を作ることができるからだ。

 

 ただし、魔鉱石が採れる場所は魔素の密度が高いということはそれだけ強力な魔物が生まれやすい場所でもある。

実際、さっき仕留めたアーマーサウルスもその一例だ。

 

「まあ、お前たちが無事でよかったよ! うまく逃げられたんだな。怪我がなくて何よりだ!」

 

 ドワーフは豪快に笑う。

だが三人は少し気まずそうに顔を見合わせた。

 

「いや、それがな……逃げたわけじゃないんだ」

「魔物はタケルが倒してくれて、怪我はリムルっていうスライムが回復薬で治してくれたんだ」

 

 三人が僕とリムルを指差す。

炉の火を見つめていたドワーフの視線が、ゆっくりとこちらへ向けられた。

 

「ほう……?」

 

 ドワーフは立ち上がり、こちらへ歩み寄ってくる。

近くで見るとかなり迫力がある。筋肉の塊のような体格に、歴戦の職人といった鋭い目つきは多分人によっては怖がると思う。

 

「アーマーサウルスを倒したってのは、本当か?」

「まあ……僕からすれば、あの程度のトカゲは大したことないけど」

「なるほどな。確かに噂通りの実力はありそうだ」

 

 僕を品定めするように眺めたあと、ドワーフはニヤリと笑った。

 

「俺はカイジン。この鍛冶屋の主だ」

「俺はリムル。スライムのリムルだ! よろしくな!」

 

 リムルは体の一部を触手のように伸ばし、カイジンと握手をする。

 

「なぁ、頼みたいことがあるんだがいいか」

 

 早速リムルが本題に入ろうとすると、カイジンは申し訳なさそうな顔をした。

 

「すまねぇが……頼みごとは今は無理かもしれん」

「この人たち、俺たちの恩人なんだ! どうにか助けになれないのか?」

 

 三人のドワーフも説得に加わるが、カイジンの表情は思い詰めたままだ。

 

「できたら俺だってそうしたいんだがな」

「何かあったのか?」

 

 リムルが尋ねると、カイジンは大きくため息をついた。

 

「武器の大量注文が入っちまってな」

「大量?」

「国からだ」

 

 その一言で、空気が少し重くなる。

……まあ、相手が国なら仕方ない。

 

「東の帝国と戦争になるかもしれねぇって話を真に受けた馬鹿がいてな。それで襲撃に備えるため、武器を大量に作れって依頼が来たんだ」

「それって良い話じゃないのか?」

「普通ならな」

 

カイジンは頭を掻いた。

 

「だが量が量だ。期限も短すぎる。俺たちだけじゃ絶対に間に合わねぇ」

「断ればいいんじゃ?」

「国の依頼を簡単に断れると思うか? しかも、クソ大臣のベスターの野郎が『この程度の仕事もできないんですかな?』って国王の前で言いやがってな」

 

 どうやら、ベスターはカイジンの弟分に家の建築を断られた腹いせに嫌がらせをしているらしい。

そのとばっちりが、兄貴分であるカイジンにまで及んだというわけだ。

 

「それで銅製の槍は二百本まで作った。だがロングソードは二十本中、完成したのは一本だけだ。残りは素材が足りねぇ」

 

「そう、それで魔鉱石を取りに行ったと」

「ん? ここにもロングソードはあるが違うのか?」

 

 リムルが部屋の隅に置かれた剣を指差す。

 

「あぁ、それはただの鋼のロングソードだ」

「芯を魔鉱にすることで成長する武器にできる。そこにある鋼の剣より、遥かに優れた武器になるんだ」

「ほへぇ……」

 

 リムルが感心したように呟く。

魔鉱石に余裕があったら買いそうな感じだな。

 

「仮に素材があったとして、期限に間に合うのか?」

「いや……一本完成させるのに一日はかかる。十九本をあと五日で完成させるのは無理だ」

「だってよ、リムル」

 

 そうしてリムルに説得のチャンスの合図だとバトンパスする。

リムルは直ぐに意図を理解できていなかったのかしばらく黙ってこちらを見つめていたが、突然魔鉱のロングソードを自分の体の中へ飲み込んだ。

 

「…は?って、おい! ようやく完成させた一本しかない剣を食うんじゃない!」

 

ドワーフたちは一瞬固まったが慌ててリムルを止めようとする。

しかしリムルはそれを無視し、鋼のロングソードまで飲み込んでしまった。

 

「なぁ、お前ら……俺たちの村に技術指導として来る気はないか?」

 

慌てるカイジンたちをよそに、リムルは平然と勧誘を始める。

 

「な、何言ってんだ。俺は……」

「魔鉱のロングソードのことなら気にしなくていい」

 

 その瞬間、リムルの体から、二十本のロングソードが飛び出した。

剣はリムルの前に綺麗に並べられる。

しかも、さっきまでただの鋼のロングソードだったけんまでもが、純度の高い魔鉱を芯にしたロングソードへと変わっていた。

 

「無理強いするつもりはない。でも、前向きに検討してほしい」

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