親愛なる貴方達へ   作:マアブルゥ

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 えー前回の話でゴブタの存在を完全に忘れてました。
書き直した方がいいかなと思いましたが、警備員に知らぬ間に取り調べを受けてたことにしました。

 あと2人の方が高評価してくださるとバーに色をつけられるので評価してもいいよという方は是非高評価のほどお願いします。


村への帰還

「なぁ?俺に何か言うことがあるんじゃないのか?」

「僕の身代わりとして国際問題を解決してくれてありがとうね!君の勇姿は忘れないよ!」

「この野郎!」

 

 国外追放されたリムル達を迎えに行った結果、開口一番で文句を言われた。

まあ、どう見ても冤罪だから文句の一つや二つ出るのも無理はない。

 

 それでも自分が表に出て裁判にかけられていれば、解決不能なレベルの国際問題に発展していた可能性が高いから避けないといけなかった。

そう考えれば、この形が最善だった。

 

「それで、ドワーフの王様はどうだった?」

「なんというか……凄い王様だったな。あそこまで危機感を覚えたのは、お前に殺されかけた時以来かもしれない」

「へぇ……まあ、国王様に認めてもらえたなら良かったよ」

「よくねえよ!」

 

 抗議は無視して、次の手を考える。

王とリムルは引き合わせに成功した。

国外追放で済んでいるのも、おそらく利用価値ありと判断されたからだろう。

 

 ドワーフ側の暗部については…今すぐ対処する必要はない。

 

「それじゃ、そろそろ村に戻るとしようか」

 

 周囲のドワーフ達は嵐牙狼に怯えきっている。

【安心感】を付与して落ち着かせつつ、嵐牙狼にも威嚇しないよう軽く注意する。

不満げに鳴くが、頭を撫でるとすぐに機嫌を直した。

 

「タケル、帰りなんだけどさ。俺の背中に乗っていくか?」

 

 リムルが黒嵐星狼へと変身しながら言う。

提案に乗ることにしたが、横でランガが露骨にショックを受けていたので村に着いたら乗せると約束して、なんとか宥めた。

 

「さて、何か忘れてる気がするけど――村に帰r「ひどいっすよ!リムル様!タケル様!」」

「「あっ……」」

 

 ゴブタを忘れていた。

どうやら人混みではぐれて迷子になったところを裏通りで警備隊に捕まり、取り調べを受けていたらしい。

 

「ま、まあとにかく無事全員揃ったということで帰ろっか」

 

 

 


 

 

【自由連合ブルムンド支部長フューズ】

「……その報告は、間違いないのか?」

「信じられないかもしれないけど、本当なんだ!」

 

 ジュラの大森林への調査を終えて帰還した三人の冒険者の報告を前に、フューズは沈黙した。

 

 内容は理解できる。

ヴェルドラの消滅に続いて起きた嵐蛇の消滅。

どちらも起こり得ない話ではないのだが

 

(……何かが、噛み合わない)

 まるで重要な前提が一つ抜け落ちているような違和感。

 

「タケルとは合流していないのか?」

「タケルって……あのタケルさんですか!?」

「洞窟で誰かと会った記憶はないな」

 

 その瞬間、違和感が形を持った。

 

(あり得ない)

 

 タケルが、この三人に気づかないはずがない。

見落とし? 偶然?

いや、彼はそんな初歩的なミスをする男ではない。

 

(ならば――)

 ()()()()()()のではなく、

 ()()()()()()()()()

そう考えた瞬間、背筋に冷たいものが走る。

 

(理由が見えない)

 

 いや違う、理由ならいくつでも思いつく。

嵐蛇を倒せるような別の脅威の調査を優先しため、単独行動を選んだ。

そしてその情報は周囲の国家に秘匿する必要があった。

 

 どちらも正しいのではあるのだが…決定打がない。

 

(……読めない)

 

 タケルという男は、

それら全てを同時に成立させる選択を平然と取る。

だからこそ、読めない。

 

 机の上に置かれた報告書に視線を落とす。

これはタケルから毎日送られてくる報告書だ。

内容に不備はない。むしろ、完璧すぎるぐらいだと感じている。

そしてその報告書にはまるで問題が起きていないかのように書かれていた。

 

(そんなはずがあるか)

 

 ヴェルドラが消え、嵐蛇が消えた。

それだけの事象が起きていて、何も書かれていない。

あり得るとすれば一つ。

 

 “書く必要がないと判断した”

 

 つまり…

(……あいつの中では、もう終わった話だというのか)

理解はできる、だが納得はできない。

そのズレが、不気味だった。

 

(あいつは、報告を怠らない)

 

 彼は義務は果たす男だ、だがそれはこちらが理解できる形で共有するとは限らない。

だからこそ一瞬だけ、考えてしまう。

 

(……本当に、同じ人類側に立っているのか?)

 

 すぐにその思考を切り捨てるが、1度芽生えた疑念は簡単には消えない。

理解できないものに対する、本能的な警戒が残る。

 

「……よし。お前たちに三日間の休暇を与える」

 

 こうなったら直接会った時に確かめるしかない。

彼が三賢人の1人だとかは気にしてる余裕がない。

 

「その後、再び森の調査に向かえ。洞窟は不要だ。周辺を徹底的に調べろ」

「えぇ……」

「タケルから合流場所をしめす地図を預かっている。そこへ向かい、合流しろ。

では、行っていいぞ」

 

 

 

【カバル】

 

「“行っていいぞ”じゃねえよ!」

 

 ギルドを出た瞬間、思わず叫ぶ。

 

「それ、さっき言ってほしかったでやす」

「無茶言うな……!」

 

 相手はギルドマスターに加え、世界屈指の英雄だ。

 文句など言えるはずがない。

 

「はぁ……三日後にはまたあの森か」

「短すぎる休暇っすね」

「言うな……余計に辛くなる」

 

 そんな愚痴の最中に背後から声がかかる。

 

「失礼。君たちはジュラの大森林へ向かう予定か?」

 

 男性とも女性ともとれない中性的な声。仮面で顔は見えないが、艶やかな黒髪と佇まいから女性だと分かる。

 

「ああ、そうだが……何の用だ?」

 

 警戒を滲ませて問うが相手は意に介さない。

 

「私はシズ。もしよければ、同行させてもらえないだろうか」

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