やはりお気に入り登録してくれる方がいらっしゃると嬉しくて筆が捗ります。
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あと、今後もオリ主に関するネタバレの都合上。リムル視点が増えていきますのでご理解のほどお願いいたします。
「えぇと……何この状況?」
村に帰ってきた俺は、リグルドから「客が来ております」と聞いた時は、正直そこまで大事だとは思っていなかった。
俺に会いに来る客なんてそうそういないし、いてもせいぜい2、3人程度だろうと高を括っていたのだ。
だが、実際に案内されてみればこの有様である。
装飾品を身につけ、比較的整った装いのゴブリンが数匹。
その背後には、明らかに護衛と思しきゴブリンが数匹。
ざっと見ただけでも複数の集団…つまり、いくつもの村の代表が来ていることは一目で分かった。
(……これ、嫌な予感しかしないんだが)
そう思った次の瞬間、彼らは一斉に地面へと頭を擦りつけた。
「「「お初にお目にかかります、偉大なるお方! 何卒、我等の望みをお聞き届け下さい!!!」」」
「うおっ!?」
あまりに唐突すぎて、思わず固まる。
やはりただ事ではないらしい。落ち着いて話を聞いてみると彼らの目的は配下に加えて欲しい、という至ってシンプルな要望だった。
かつて森の均衡を保っていた存在である暴風竜ヴェルドラの消失がしだ影響で各種族間の力関係は完全に崩れてしまった。今や覇権争いが激化しつつある。今までは小競り合いで済んでいた争いも、いずれは大規模な戦へと発展するだろう。
そして、彼らのような弱小勢力はただ蹂躙される側になる。
だからこそ、生き残るために恥を忍んで狼族を打ち破った俺のもとへ縋りに来たというわけだ。
(なるほどな……理屈は分かる)
人手は足りていないし、裏切らないなら受け入れる理由はない。むしろ歓迎すべき申し出だ。ただ問題があるとすれば。
(タケルがどう出るかなんだよなぁ)
思わず、隣にいるタケルへと視線を送る。
彼は腕を組んだまま無言でゴブリンたちを見下ろしていた。その表情からは何も読み取れないのでそこ知れぬ恐怖を感じる。
しばしの沈黙の後――タケルは小さく溜め息を吐いた。
「……リグルド、カイジン。ついてきて」
それだけ言うと、踵を返してその場を離れていく。
去り際に「開拓がどうの」と呟いていたのが聞こえたので、おそらくは問題ないのだろう。
(……たぶん)
完全に安心はできないが、とりあえず今は目の前の問題だ。
「話は分かった。この村に来たい者だけ来ればいい。俺たちは人手を必要としているから拒むつもりはない」
そう告げると、ゴブリンたちは感極まったように何度も頭を下げた。
そして後日。
「……ちょっとゴブリン、多くね?」
思わず本音が漏れた。
いや、多い。多すぎる。
代表者を一度帰した時点で嫌な予感はしていたが、まさかここまでとは思わなかった。村の周囲にはすでに大量のゴブリンが集まり、簡易的なテントや荷物でごった返している。
これでも全員ではないらしい。反対派は別の地へ向かったというのだから、なおさら恐ろしい。
現在タケルとカイジンを中心に開拓を急ピッチで進めているとはいえ、この人数を収容するのは流石に無理がある。
(…引っ越し、するしかないか)
ちょうど立地自体にも限界を感じていたところだ。いい機会と言えばいい機会かもしれない。
そう考え、隣にいたリグルドへ引っ越しをすることを伝えると。
「それでしたら、タケル様が既に新たな候補地を見つけておられますぞ!」
「……は?」
「現在、開拓作業も進めているとのことです。元は不可侵領域ではありましたがリムル様とタケル様がいれば問題ない、と」
(あらやだ、すごく有能)
思わず内心で呟く。
事前に教えてほしかった気もするが、結果的に問題は解決しそうだ。ならば、俺がやるべきことは一つ。名付けである。
正直、これが一番面倒だ。
だが、進化してもらわないと戦力的にも運用的にも困る。覚悟を決めて、一体一体に名前を与えていく。
…とはいえ、数が数だ。
途中から若干雑になったのは否定しない。
それでも一応「ちゃんと考えてますよ」感は出しておいたので多分バレてない。いや、タケルだけはジト目で見てきたからばれてるとは思うが気にしない。
そして名付け開始から2日後
「さて、お前たちには、これから俺の配下としての位を与える」
名付けを終え、進化を遂げたゴブリンたちの前に立つ。
目の前に並ぶのは、かつて各村で族長を務めていた者たちだ。
「リグルド。お前をゴブリンキングへ昇格させる」
「はっ!」
「そして空いたゴブリンロードの座は……お前たち四人に任せる」
指名された元族長たちは、息を呑んだ後…
「「「ははぁッ!! 謹んでお受けいたします!!」」」
次の瞬間、地鳴りのような歓声が上がった。
空気が震える。熱気が渦巻く。
それは確かな“始まり”の音だった。
ふと、タケルの方を見る。
いつもよりわずかに…ほんのわずかだが、機嫌が良さそうに見えた。
それが何を意味するのかは分からない。だが…
「……ようやく、俺たちの物語が始まったって感じだな」
そう呟くと、胸の奥に静かな高揚が広がった。
この先に待つものが、希望か、それとも…
それはまだ、誰にも分からない。