親愛なる貴方達へ   作:マアブルゥ

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おかげさまでお気に入り登録者が50件を超えました。
まだまだ至らないところはあると思いますが感想などで良かった点やここ改善した方が良くなるよとかあれば気軽に書いてください。

 …ふと思ったんですけど、うちのオリ主って原作知識より自分で得た情報を当てにしてるから原作知識を持ってる要素活かしきれてない…きがします?


ガビル登場!

 リザードマンの使者が来たと聞き、村の入り口へ向かう。

だが、そこにいたのは一体だけだった。

……いや、違う。

 

 少し離れた場所に、複数のリザードマンの魔力反応。

何をしているのかと思っていると、そのうちの一つがこちらへ近づいてくる。そして次の瞬間…

 

 ズドドドドド……と地響きが響いた。

現れたのは、巨大なトカゲに跨ったリザードマン。

そいつは村の入り口を突っ切ると、そのまま高く跳躍し、空中で前方に回転…綺麗に着地を決めた。

 

「我が名はガビル! お前らにも吾輩の配下になるチャンスをやろう!」

 

 ……うわ、出た。

その直後、後ろから現れたリザードマン達が、扇子のような物と紙吹雪で囃し立てる。

 

 いや、何その演出。

この世界、紙そんなに普及してなかったよな?

どこから調達してきたんだ?

最早一周回って怒るより先にどうでもいい疑問が浮かんでしまった。

 

「そうそう、ここに牙狼族を従えた者がいるそうだな。そいつは幹部に取り立ててやる。連れてこい!」

 

 原作知識があるから「ああ、こいつこういう奴だ」で済むが、周りはそうはいかないのか明らかに空気がピリついている。

特にシオンがやばい、今にもリムルを抱えたまま両断しかねない感じになってる。

 

 あとゴブリン達は自分達の怒りよりも俺が怒った時への恐怖が強いのか終始顔色を窺っている。

 

「タケル様……こいつ、殺して良いですか?」

「うん、いいよ」

「NOOOO! ストップ! ストップ!」

 

 ベニマルが満面の笑みで物騒な許可を求めてきたので俺も同じテンションで返したのだが、必死に止めようとするリムルの絶叫が響き渡ることになった。

 

「待て待て待て待て!! なんで今ので成立した!? 会話三秒だぞ!?」

「え、ダメなのか?」

「ダメに決まってるだろ!!」

 

 そこへ、すっと影が差す。

 

「……リムル様」

 

 低く、冷たい声…シオンだ。

 

「このような無礼者、生かしておく理由がどこに?」

「あるよ!? 今まさに外交イベント中だからね!?」

 

「ほう…では…拷問して情報を引き出してから処理でもするか」

「悪化してる!!」

 

「じゃあ半殺しで」

「段階踏んでるだけで何も改善してない!!」

 

「それだったら腕一本で」

「部位指定するな!!」

 

「しょうがないシオンに任せるか」

「一番ダメなとこに委託するな!!」

 

 シオンが一歩前に出る。

 

「ご安心ください。骨は残しますので」

「基準そこ!?最低ラインそこなの!?」

 

 ……収拾がつかない。

というか、ちょっと楽しくなってきた。

 

「なあリムル」

「なんだよ! 助け求める顔でこっち見るな!」

「どこまでならセーフなんだ?」

「えっ」

 

 リムルが固まる。

 

「殺すのはアウト、半殺しもアウト、拷問もアウト、部位破壊もアウト……じゃあ威圧?」

「それはセーフだよ!! 最初からそれにしろ!!」

 

 即答だった。

 

「では威圧で」

「はいそれで解決!!」

 

 ようやくまとまった。

……かと思ったが。

 

「……ですが」

 

 シオンが呟く。

 

「威圧だけでは、怒りが収まりません」

「知らんがな!! そこは我慢しろ!!」

 

 リムルのツッコミは、もはや悲鳴に近い。

その様子を見ていたゴブリン達は、

(あ、今日はこのパターンか)

と妙に落ち着いた顔で頷いていた。

 

 …一方ガビル達はというと、さっきまでの尊大な態度が嘘のように、微妙に引いていた。

 

 

 

 

 

「え、えっと……牙狼族を従えたのは俺とタケルなんだけど」

「はあ? 下等なスライムと人間が? 証拠を見せてみろ」

 

 空気を立て直すように、リムルが話を戻す。

……まあ、妥当な流れだな、ということはつまり…

 

「じゃあ証拠、見せるか」

 

「おいタケル、やめろ! 死人が出る!」

「出さない出さない」

 

 軽く手を振って制し、周囲を見渡すとちょうどいところにゴブタがこちらにやって来た。

結構ぼこぼこにしたつもりなんだが、早く復帰してきたな。

ちゃんと動けてそうだし…問題ないだろう。

 

「ゴブター! ちょっと来い!」

 

 呼ばれてやってきたゴブタは、状況を見て一瞬で嫌そうな顔をした。

 

「なんか嫌な予感がするっす……」

「気のせいだ。あのリザードマンと戦ってこい」

「やっぱり!!」

 

 逃げようとする肩をがっちり掴む。

 

「勝ったらクロベエに武器作らせてやる」

「マジっすか!?やるっす!」

「そのかわり負けたらタケル式ブートキャンプな」

「絶対勝つっす!!」

 

 単純で助かる。

それはそれとしてすぐ近くで手を合わせてるリムルとベニマル、ゴブタが負けたらお前らも強制参加だからな。

 

「ゴブタ! 絶対勝て!俺はまだ死にたくない!」

 

 おっ、嫌な予感を感じたのかリムルが全力応援を始めた。

 

「じゃあ審判は僕がやるから、始めの合図で開始して」

 

 ゴブタは腰を落とし、槍を構える。

対するリザードマンは完全に油断しきった様子で後頭部を片手でかいていた。

 

「――始め!」

「ふっ、偉大なるドラゴンの末裔である我らリザードマンが、ホブゴブリンごときに――ぬおおお!?」

 

 開幕、ゴブタは槍を投擲。

本来なら防がれるか避けられる一手。

だが、相手は油断して独り言をしていた。

 

 結果、大慌てで大きく回避せざるをえなくなる。

 

「おのれ小癪な!」

 

 いや、油断し切っていたお前が悪いだろ。

反撃に出ようとしたリザードマンの視界から、ゴブタの姿が消える。

 

「馬鹿な、消え――」

「とうっす」

 

 気づいた時には遅い。

リザードマンの背後の地面に伸びる影から飛び出したゴブタが、回転蹴りを叩き込んだ。

 

 完全な死角からの一撃である。

リザードマンはそのまま崩れ落ち、気絶した。

 

「はい、勝負あり。勝者、ゴブタ」

 

 周囲が静まり返る。

さっきまでの空気とは違う意味で。

 

「……見ただろ」

 

 淡々と告げる。

 

「協力は考える。だが、配下になる気はない」

 

 リザードマン達が言葉を失ったまま頷く。

そのまま引き上げようとしたが、

その前に確認したいことがあったのを思い出した。

 

「……待て」

 

 声と同時に、スキルで足を止める。

振り返るリザードマンに、問いかけた。

 

「そいつ……名前を持っていたけど、誰が名付けた?」

 

 一瞬の沈黙。

そして、どこか怯えたような声で答えが返る。

 

「え……ええと……首領は名前を持っておりませんので……確か…」

 

 言い淀み。それでも、口にする。

 

「ゲルミュッド様から、頂いたはずです」

 

 …その瞬間空気が、凍りついた。

さっきまでの喧騒が嘘のように、誰も口を開かない。

そして背後から、濃密な殺気が溢れ出す。

 

 ベニマルやシオン…

そして、他の者達も。

理由は、分かる。だが…

 

「……行け」

 

 静かに告げる。

 

「今はまだ、確証が足りない」

 

 視線だけで、背後の殺気を制する。

リザードマン達は、何度も頷きながら後退し…そのまま去っていった。

残ったのは、重い沈黙だけだった。

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