新しくお気に入り登録していただいた方ありがとうございます。
本編が始まる前に現時点でのタケルのスペックを少しだけ公開します。
名前:安田健(やすだ たける)
種族:人間(転移者)
通り名:悪魔魂葬(エクソシスト)
立場:冒険者
加護:精霊の加護
効果:魔物由来の干渉の軽減
魔法:〈属性魔法〉〈神聖魔法〉〈核撃魔法〉〈上位精霊召喚魔法〉
技能: ユニークスキル:
能力:思考加速、エンチャント付与、デバフ付与
常用スキル:魔力感知、英雄覇気
耐性:痛覚無効、魔法攻撃無効、物理攻撃無効、熱変動無効、精神攻撃無効
…一応これが完成系(仮)です。
戦いは終わった。
ゲルミュッドとベニマル達の死闘は原作にはない歪みを孕みながらも辛うじて収束していた。
「お疲れ様」
「最後まで手を出さないでいただき、ありがとうございます」
「一応いつでも介入できる準備はしてたけど」
軽く言いながら視線を地に落とす。
そこに転がるそれはもはや人の形をしていなかった。頭部は異様に膨張しひび割れ、腐肉のように崩れかけている。
(……良かった繋がってる)
恐らく魔王が仕掛けたであろう視覚を共有する魔法、魔王が自分達を観察している証拠だが同時にそこを辿って逆に魔王達を覗き見ることもできる。
「デバフセット【聴覚無効】【触覚無効】」
デバフをセットしたことで世界から音が消えた。
戦場において致命的な選択ではあるがそれでいい。
これから得る視界のための些細な代償だ。
「エンチャントセット【魔力支配】【魔法支配】【ユニークスキル強化】【視力強化】【演算能力強化】【感覚共有】」
目を閉じ、侵食された視界を逆に辿る。
そして目を開けば水晶越しの光景が、脳裏に浮かび上がった。
(……やっぱりここは原作通りか)
水晶が置かれているであろう机を囲むように4人の魔王が座していた。
その中でもひときわ異質な気配を放つプラチナピンクの髪の少女が、こちらを見て笑った、面白い玩具を見つけた無邪気な子供のように。
指を差して他の魔王にも伝えたのだろうか、
他の魔王達の目が面白いものを見たような雰囲気に変わった。
(……バレたか)
必要な情報は得たので視覚の共有を解除する。
そして戦場へ意識を戻した。
【リムルゲルミュッドの強化の原因は分かる?】
【……分からない。せいぜい原因が頭部に集中してるというくらいだ】
(それで十分だ)
躊躇なく眉間に指を突き入れた。
暖かく柔らかい崩れる感触を我慢しながら内部を探るとお目当てのものを見つけた。指を引き抜くとそれは掌に収まる脈動する球体だった。
【……何だ、それ】
【……さあ?リムルいる?】
【いらない】
即答だった。
だろうなとだけ思いながらそれを握り潰した。
ガラスのように割れ、中からどろりと魔素が漏れ出し霧散した。
「さて……」
立ちあがろうとした瞬間、少しだけ暗くなるのに気づき…
「……ッ!?」
反射的にその場を離れた。
直後さっきまでいた場所に巨大なオークロードが降ってくる。
咄嗟に武器を構えるがオークロードは構わずゲルミュッドを食べ始めた。
オークロードがゲルミュッドを食べて魔王種になるのは原作通り、後はリムルがオークロードを食べさせればいいだけ。
自分は支援に回ればいい。
「エンチャントセット【オーク特攻】【魔王特攻】【人類の敵特攻】【筋力強化】【威力上昇】」
……だからこれは生存本能が働いた結果なのだろう。
エンチャントをかけて力強く踏み込む。
「◼️◼️命◼️【◼️華】」
六つの斬撃がオークロードを切り刻むと、バラバラになったオークロードの身体は鈍い音をたてて崩れた。
「剣は咄嗟に守れたけど腕は無理だったか」
右肩から先を見ると本来ある筈の右腕が消えていた。
先程切り刻んだ時にオークロードの魔力に骨ごと食われたんだろう。
再生は…できないか、やっぱり魂が安定しないと超速再生の対象だと認識されないのか。
(……手加減はしなかったから通常ならこれで死ぬ筈なんだけどな)
オークロードだった肉塊を警戒しながら見ていると、
崩れたはずの肉塊が蠢き始めた。
《確認しました。個体名:ゲルミュッド=ゲルドの魔素量エネルギーが増大しました。魔王種への進化を開始します…成功しました》
「……まさかこれでも生きているとは」
何事もなかったかのように元通り再生した。
周囲に倒れては塵となっていくオークを見るに周囲のオークを食べて再生してるんだろうが…
再生が完了してるのにも関わらずいまだに周囲のオークが塵と化していく…まだ足りないとでも言うように悍ましい魔力が凄まじい勢いで空間を飲み込んでいく。
「タケル様!」
「来るな!!」
右腕を失った僕を心配して近づいてくるベニマル達を静止しながら背後の地面に魔法陣を描く。
「……【精霊召喚】」
自分の背後の地面に魔法陣が現れそこから全身を包帯で幾重にも巻かれている聖女の姿を模した精霊が現れる。
精霊の声なき歌が響き渡り結界が周囲を包み込むと侵食の勢いは弱まった。
(…だけど足りない)
これが誤魔化し程度にしかならないのは分かっていた。
本来ならば個体に付与する加護を空間を対象に捻じ曲げている。
持つはずがない。
耐えられるはずがない。
それでも…時間は稼げる。
【リムル】
【お前、その腕…】
【いいから聞け!】
心配するリムルの声を遮る。
【残念なことに俺があいつを倒すころには侵食の能力を抑えられなくてゴブリン達が死ぬ…だからお前があいつを喰え】
【……俺にそんなことができるのか?】
【できなかったら頼んでない】
【後ろにいる精霊を貸す…そいつが侵食を抑える7から安心して】
【……】
【それにリムルが捕食しやすいように道は俺が切り開く】
すぐに返事はできなかったのか少しの間沈黙が続いた。
【……分かった…信じる、だけど死ぬなよ?】
【ああ】
少しの間悩んだ後に覚悟を決めたようだ。
早速後ろにいる精霊のマスターの権限を一時的にリムルに貸し出す。
その瞬間自分を守る術が無くなった。
ユニークスキルで耐性は付与しているがそれでも身体は徐々に侵食され塵となっていく…最初は薄皮程度であったが段々と速度が増している。
(……これはちょっと想定外だな)
自分を喰らうことで僅かにだが侵食能力が強化されている。
下手したら湿原にいる者達を敵味方関係なく喰らおうとする勢いだ。
流石に対象の空間を広げすぎたのかリソースを割きすぎたため、再生が追いつかない。
それでも止まらない…止まるわけにはいかない。
「……魔物に委ねるとは人間の英雄としては、失格だな」
誰にも聞こえない声で呟き笑った。
「後は任せた……リムル」