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「知ってる天井だ……」
本当なら、気絶から目覚めた時に言いたい台詞ランキング堂々1位(他は知らないが)『知らない天井だ』を口にしたかった。
だが残念ながら、見慣れた自室の天井だったため断念した。
それにしても、よく生きていたものだ。
まあミリムが直撃寸前で威力を弱めていたし、慌てたリムルあたりがフルポーションでもぶっかけたのだろう。
とはいえ生命力の消耗は激しく目覚めなかったため布団に寝かされたんだが。
「……そういえば、この布団使うの初めてだな」
睡眠が不要であるため一度も使っていなかったせいか、やたら新品特有のふかふか感がある。
いや、感心してる場合じゃない。
窓の外から差し込む日差しを見る限り、少なくとも一晩は経っている。
リムルがいるとはいえ、あまり心配はかけたくない。
そう思って起き上がった瞬間、部屋の扉が開いた。
「し、失礼します……た、タケル様!? 目を覚まされたのですか!?」
様子を見に来たゴブリンが目を丸くする。
しかもその声が大きかったせいで、次々と人が集まり、数分もしないうちに部屋が満員になった。
流石にこんだけ集まられても迷惑なので一度解散させる
そして現在俺は布団の上に正座させられ、向かいには腕を組んだリムルがいた。
「でタケル…一応弁明は聞こうか?」
「むしゃくしゃしてやった、今は反省している」
「だまらっしゃい!!」
スパンッ、と軽快な音が響いた。
どうやら命を削って戦った件について怒っているらしい。
「まったく……俺たちを守るためとはいえ、無茶すんなよ」
「以後気を付けると思う」
「絶対だからな?」
じろりと睨まれる。
……どうやらミリムは“縛り”について話していないらしい。
もしバレていたら、こんな空気では済まなかっただろうし。
「話は終わったのか?」
部屋の隅で蜂蜜を舐めていたミリムが口を挟んできた。
「……ミリムとは和解できたのか?」
「うむ!ワタシとリムルは
満面の笑みでそう宣言する。
ほっぺを軽くつついてみると、不満そうに唸られた。
こうして見ると、ただの可愛い女の子なんだけどな……。
「で?リムル、何か言いたげだけど?」
「ロリコンかよ」
は?開国祭で頭の中ではといえルミナスにセクハラ発言するような奴に入れたくないんだが?
「シオンに対して無反応なのにミリムに対してデレてただろ」
「僕に冤罪におとしえれようとするとは良い度胸だ…喧嘩なら買うぞ?」
「む?喧嘩はよくないぞ!」
一触即発の雰囲気になりかけたがミリムが宥めたことでおさまった。
それを見てリムルが「ロリコンじゃねえか」って呟いていたので拳骨をかましておいた。
「という訳で、そんなお前にミリムの相手を頼みたい」
「どこからどう話が繋がったのか知らないけど、別にシュナでよくない?」
「いや……ミリムがな、しばらくここに滞在するらしくてな。仲良くしてやってほしい」
随分と言葉を選ぶじゃないか。
素直に『負担を減らしたい』と言えばいいのに。
「用事あるんだろ?行ってきな」
「……助かる」
そう言って部屋を出ていくリムルを見送り、改めてミリムへ向き直る。
「ん? どうしたのだ? 蜂蜜はやらんぞ?」
「いらないよ。そんなに気に入ったのか?」
「うむ!こんな美味いもの滅多に食べられないのだ!」
嬉しそうに笑う姿は、どこか親戚の妹みたいだった。
「そのうち“砂糖”というものを見つけて、甘いお菓子をいっぱい食べるのだ!」
「砂糖か……そういえば、どこかでテンサイを見た気が……」
「天災!?それと砂糖に何の関係があるのだ!?」
小さく呟いたつもりだがミリムにばっちりと聞かれてたみたいだった。多分ニュアンス間違えられてるけど。
「砂糖の原料になる野菜だよ。搾り汁を煮詰めると砂糖になる」
「それは本当ですか!?」
一番最初に食い付いたのはシュナだった。
さらにシオンまで迫ってくるあたり、やはり甘味への執念は凄まじい。
「ならばそのテンサイとやらを探しに行くのだ!!」
「嫌だよ。面倒くさい」
一斉に非難の視線が突き刺さる。
いや、だって場所覚えてないし。
大量に自生してた訳でもないし。
品種改良とか絶対面倒だし。
……うん、リムルに任せよう。
「むぅー! 甘いお菓子が食べたいのだ!!」
「じゃあ町を散歩するか。ミリムの知らない美味い飯くらいはあるかもしれないぞ」
俺は食べないから知らないけど。
「よし! なら早く行くのだ、タケル!!」
「はいはい」
勢いよく腕を引っ張られながら部屋を出る。
「タケル様も町のお料理を楽しんでくださいね?」
後ろからシュナが微笑ましそうに声をかけてきた。
ちなみに後日。
屋台で適当に買った牛串を一口食べただけで、店主に泣いて感謝され、なぜか『タケル様おすすめの店』として繁盛したらしい。
……いや、本当に僕は何もしてないんだけど。