親愛なる貴方達へ   作:マアブルゥ

40 / 40
 良い感じのタイトルが思い浮かびませんでした。
新たにお気に入り登録と高評価してくださりありがとうございます。
ここまで読んでくださった方でお気に入り登録や星9以上の高評価、感想がお済みでない方はしていただけたら励みになりますのでよろしくお願いいたします。


束の間の休息

「知ってる天井だ……」

 

 本当なら、気絶から目覚めた時に言いたい台詞ランキング堂々1位(他は知らないが)『知らない天井だ』を口にしたかった。

だが残念ながら、見慣れた自室の天井だったため断念した。

 

 それにしても、よく生きていたものだ。

まあミリムが直撃寸前で威力を弱めていたし、慌てたリムルあたりがフルポーションでもぶっかけたのだろう。

とはいえ生命力の消耗は激しく目覚めなかったため布団に寝かされたんだが。

 

「……そういえば、この布団使うの初めてだな」

 

 睡眠が不要であるため一度も使っていなかったせいか、やたら新品特有のふかふか感がある。

 

 いや、感心してる場合じゃない。

窓の外から差し込む日差しを見る限り、少なくとも一晩は経っている。

リムルがいるとはいえ、あまり心配はかけたくない。

そう思って起き上がった瞬間、部屋の扉が開いた。

 

「し、失礼します……た、タケル様!? 目を覚まされたのですか!?」

 

 様子を見に来たゴブリンが目を丸くする。

しかもその声が大きかったせいで、次々と人が集まり、数分もしないうちに部屋が満員になった。

流石にこんだけ集まられても迷惑なので一度解散させる

 

 そして現在俺は布団の上に正座させられ、向かいには腕を組んだリムルがいた。

 

「でタケル…一応弁明は聞こうか?」

「むしゃくしゃしてやった、今は反省している」

「だまらっしゃい!!」

 

 スパンッ、と軽快な音が響いた。

どうやら命を削って戦った件について怒っているらしい。

 

「まったく……俺たちを守るためとはいえ、無茶すんなよ」

「以後気を付けると思う」

「絶対だからな?」

 

 じろりと睨まれる。

……どうやらミリムは“縛り”について話していないらしい。

もしバレていたら、こんな空気では済まなかっただろうし。

 

「話は終わったのか?」

 

 部屋の隅で蜂蜜を舐めていたミリムが口を挟んできた。

 

「……ミリムとは和解できたのか?」

「うむ!ワタシとリムルは親友(マブダチ)になったのだ!!」

 

 満面の笑みでそう宣言する。

ほっぺを軽くつついてみると、不満そうに唸られた。

こうして見ると、ただの可愛い女の子なんだけどな……。

 

「で?リムル、何か言いたげだけど?」

「ロリコンかよ」

 

 は?開国祭で頭の中ではといえルミナスにセクハラ発言するような奴に入れたくないんだが?

 

「シオンに対して無反応なのにミリムに対してデレてただろ」

「僕に冤罪におとしえれようとするとは良い度胸だ…喧嘩なら買うぞ?」

「む?喧嘩はよくないぞ!」

 

 一触即発の雰囲気になりかけたがミリムが宥めたことでおさまった。

それを見てリムルが「ロリコンじゃねえか」って呟いていたので拳骨をかましておいた。

 

「という訳で、そんなお前にミリムの相手を頼みたい」

「どこからどう話が繋がったのか知らないけど、別にシュナでよくない?」

「いや……ミリムがな、しばらくここに滞在するらしくてな。仲良くしてやってほしい」

 

 随分と言葉を選ぶじゃないか。

素直に『負担を減らしたい』と言えばいいのに。

 

「用事あるんだろ?行ってきな」

「……助かる」

 

 そう言って部屋を出ていくリムルを見送り、改めてミリムへ向き直る。

 

「ん? どうしたのだ? 蜂蜜はやらんぞ?」

「いらないよ。そんなに気に入ったのか?」

「うむ!こんな美味いもの滅多に食べられないのだ!」

 

 嬉しそうに笑う姿は、どこか親戚の妹みたいだった。

 

「そのうち“砂糖”というものを見つけて、甘いお菓子をいっぱい食べるのだ!」

「砂糖か……そういえば、どこかでテンサイを見た気が……」

「天災!?それと砂糖に何の関係があるのだ!?」

 

 小さく呟いたつもりだがミリムにばっちりと聞かれてたみたいだった。多分ニュアンス間違えられてるけど。

 

「砂糖の原料になる野菜だよ。搾り汁を煮詰めると砂糖になる」

「それは本当ですか!?」

 

 一番最初に食い付いたのはシュナだった。

さらにシオンまで迫ってくるあたり、やはり甘味への執念は凄まじい。

 

「ならばそのテンサイとやらを探しに行くのだ!!」

「嫌だよ。面倒くさい」

 

 一斉に非難の視線が突き刺さる。

 

 いや、だって場所覚えてないし。

大量に自生してた訳でもないし。

品種改良とか絶対面倒だし。

 

 ……うん、リムルに任せよう。

 

「むぅー! 甘いお菓子が食べたいのだ!!」

「じゃあ町を散歩するか。ミリムの知らない美味い飯くらいはあるかもしれないぞ」

 

 俺は食べないから知らないけど。

 

「よし! なら早く行くのだ、タケル!!」

「はいはい」

 

 勢いよく腕を引っ張られながら部屋を出る。

 

「タケル様も町のお料理を楽しんでくださいね?」

 

 後ろからシュナが微笑ましそうに声をかけてきた。

 

 ちなみに後日。

屋台で適当に買った牛串を一口食べただけで、店主に泣いて感謝され、なぜか『タケル様おすすめの店』として繁盛したらしい。

……いや、本当に僕は何もしてないんだけど。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

転生したら吸血鬼だったんだけど何か違う件(作者:五月雨と狐)(原作:転生したらスライムだった件)

▼ とある高校生「進藤凪沙」は幼馴染を庇って死んでしまった!▼ 気づいたときにはそこは洞窟で!?▼ 作者の思いつきで作られた二次創作!▼ いつまで続くか分からないぞ!▼ ※追記 もうよく分かんないけど1万UA越えました。マジでありがとうございます!▼ しかし作者今年受験のため時々書けない時があります▼ そこらへんは許してください……▼ あと大まかな流れできた…


総合評価:1639/評価:8.73/連載:16話/更新日時:2026年05月17日(日) 22:44 小説情報

リムルに喰われる悪魔に転生してしまった……(作者:てきとーでいこう)(原作:転生したらスライムだった件)

原作知識を持っている主人公(前世は男)は転スラの世界に悪魔として転生した。▼死の間際に手に入れたスキルを検証として利用すると自身がリムルに喰われてエネルギーにされてしまう役割の悪魔であると知る。▼転スラ好き(もちろんリムルも好き)な原作知識を持った悪魔はこの状況でどうするのか。


総合評価:4592/評価:8.28/連載:22話/更新日時:2026年04月16日(木) 23:30 小説情報

転生したら糸目キャラだった件(作者:朝昼晩昼夜逆転)(原作:転生したらスライムだった件)

 転スラ本編において、ハクロウに首を斬られて死んだキャラこと橘恭弥。▼ そんな彼に、とあるバカが憑依転生した。▼ そのバカは、恭弥が糸目キャラだというだけで暗躍する系の強キャラだと思い込み、物語を壊さないために暗躍を開始する!!!▼ これは、勘違いに勘違いを重ねたバカの物語である。▼ アンチ・ヘイトタグは保険です。


総合評価:856/評価:8.62/連載:7話/更新日時:2026年05月09日(土) 20:57 小説情報

英雄にしかなれない男、転スラに行く(作者:ちゃがまくら)(原作:転生したらスライムだった件)

とあるRe:ゼロから始まる異世界生活好きが転スラに転生する話▼*ラインハルトと同じ加護、体質を持っているだけの一般人です(予定)▼ここの設定違うよ、とかあったら遠慮せずコメントにどうぞ


総合評価:2656/評価:7.12/連載:47話/更新日時:2026年05月13日(水) 09:53 小説情報

一番星は消えない(作者:ディバル)(原作:推しの子)

▼児童養護施設で暮らす少年・天城彼方は、推しの星野アイと出会い、この世界が【推しの子】の物語だと知る。彼女に待つ残酷な未来を変えるため、彼は“運命”に抗う………一番星は、消えない。▼アニメ勢の方はネタバレ有りなので注意。


総合評価:2359/評価:8.27/連載:71話/更新日時:2026年05月20日(水) 19:20 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>