親愛なる貴方達へ   作:マアブルゥ

58 / 58
 新たにお気に入り登録と感想をありがとうございます。
ここまで読んでくださった方でお気に入り登録や星9以上の高評価、感想がお済みでない方はしていただけたら励みになりますのでよろしくお願いいたします。


ブルムンド王国到着

 色々とトラブルはあったが、なんとかブルムンド王国に辿り着いた。

この国はジュラの大森林と隣接しているためか、建物はかなり頑丈な造りになっている。

冒険者と思しき人達が街を警備しているし、治安については特に心配する必要もなさそうだ。

 

「やっぱりシオン達は連れてこなくて正解だったな」

 

 これだけ魔物に対して警戒しているとなると、素性の知れない強力な魔物が街にやって来たとなればパニックになるのは目に見えている。

そう考えると3人が快く案内を引き受けてくれたのは助かった。

 

「仮面のお嬢ちゃん、焼きたてのパンはいかが?」

「いくつか買うとしようか」

 

 焼きたてのパンは美味しいし、パンを焼いていた女将さんも笑顔が素敵で優しい人だった。

……この国、結構いい国だな。

 

 

 

 

「そういえば、イングラシア王国には何の用事があるんだ?」

 

 近くの食堂で食事をしていると、カバルがそんなことを聞いてきた。

 

「ああ……そういえば言ってなかったな。

夢の中で出会った子供達に会おうと思ってるんだ。

シズ先生の心残りだったし、会ってみようかなと思ってな」

「心残りということは、何か良くないことがあるんすかね?」

「だとしたら、なんでタケルさんはその子供達に何が起きているのか、リムルさんに教えなかったのかしら?」

 

 言われてみれば、エレンの言う通りだ。

タケルは最低限必要だと思えばこちらに情報を提供してくるはずだ。

それなのに警告はしてきたものの、あの子達の現状については何も触れていなかった。

 

 助けたくないわけではなさそうだし、何も情報を得ていないわけでもなさそうだ。

……もしかして、今持っている情報を俺に与えても意味がないってことか?

 

 タケルが持っている情報を教えても参考になるどころか、先入観として邪魔になる可能性がある。

だとしたらまあ納得できなくもない。

 

「とにかく、タケルは俺ならあの子達を助けられると判断したんだ、なんとかしてみせるさ」

「そうっすね!リムルさんならやってくれるはずっす!!」

 

 ……やたらと3人からの信頼が強いような気がするが、まあいつも通りか。

 

「だとしたら、うちのギルマスに紹介状を書いてもらうといいんじゃない?」

「一応、身分証明のためにギルドを訪れるから、その時にフューズに会っておこうとは思ってたんだが……何かあるのか?」

「イングラシア王国にはギルドの本部があるんだよ。ギルドの本部で一番偉い立場にいるグランドマスターっていうのが、ユウキ・カグラザカというシズさんの弟子らしい」

 

 ユウキ・カグラザカか……。

シズさんの夢にも出てきた男の人だ。

 

 これから会う予定の子供達とは違うが、シズさんが気にかけていた2人のうちの1人でもある。

因みに、もう1人は女性だが……正直、会うのは少し気が重い。

俺に心を開いてくれるのか、分からないような目をしていたからな。

 

「それだったら、なんでタケルはギルマスへの紹介状を書いてなかったんだ?」

「さ、さあ?なんでですかね?」

 

 わざわざタケルがギルドの力を頼らせるということは、子供達はギルドと何かしらの関係があるのだろう。

 

 なのに、本部とは関係ない話なのか?

そもそもタケルが推薦状を出したのは、子供達がいるイングラシア王国とは別の、ブルムンド王国にある支部だ。

……意図が見えないな。

 

「ただ純粋に、頭から抜けてたんじゃないっすか?」

「いや、流石にそれはないだろ」

 

 わざわざギルドへの推薦状を書いてまで根回しするほどなんだぞ?

それなのに一番重要そうなグランドマスターへの根回しを忘れるなんて、あの男ならしないはずだ。

 

「もしかして、ブルムンド王国と国交を結んでこいってことか?」

「な、なんで一気に話が飛躍してるのよ」

 

 たしか、フューズは国の大臣ともかなり親しい関係にあったと聞いている。

 

 フューズが魔物の国の主がブルムンド王国に来たということを、大臣に伝えないはずがない。

そうなると、国王との面会を求められる可能性は高い。

 

 そして、その面会の話を俺に伝える役割はフューズが担うはずだ。

そこで了承する代わりに、グランドマスターへの紹介状を書いてもらう。

 

 つまり何が言いたいかというと……

交渉の練習をしろ、ということか?

 

「うーん、タケルさんは割と何を考えているのか分からない方だけど……流石に考えすぎじゃないかしら?」

「いやいや、あいつがそんな初歩的なミスをするはずがないだろ」

 

 たしかに紹介状をその場で書いて渡してきたりと、慌ただしい感じはしていた。

それでも、あいつがユウキのことを忘れるなんてことはないはず……だよな?

 

「だからと言って、タケルに確認するわけにはいかないからな。

もし忘れてるわけじゃなかったら悪印象をつけられかねないし」

 

 それに、どちらにせよ俺がグランドマスターと会うのは相応しくないと思われたのなら、会うことはできない。

今さら気にしたって仕方がないだろう。

 

「むう……それもそうよね」

「さてと……そろそろ食事も済んだことだし、ギルドに行くか」

 

 この国を観光したい気持ちはある。

 

 だが、さっさと冒険者になって、イングラシア王国にいる子供達のところへ行かないといけない。

このポンコツ3人組でも問題なく……問題なく?冒険者として活動できているんだ。

俺もちゃんと合格できるといいな。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

転生時の要望が違う形で受け取られた件(作者:篠白 春夏秋冬)(原作:転生したらスライムだった件)

「転スラ」に「蜘蛛ですが」の主人公を参考にしたオリ主を転生させる話。▼見た目は蜘蛛子を男性化したようなものだと考えていただければと思います。▼スキルに関しては筆者の解釈をもとに構成したので誤解釈等あるでしょうが、そこには目をつぶってください。▼タグは随時更新していきます。▼投稿に使用しているPCが起動不可となりました。▼代替としてBluetoothキーボード…


総合評価:3225/評価:8.03/連載:119話/更新日時:2026年09月20日(日) 01:30 小説情報

転スラ世界に転生して砂になった話(作者:黒千)(原作:転生したらスライムだった件)

 原作知識あり転生(前世は男)主人公。砂の魔物(無性)に転生し、性能はリムルの下位互換。リムル、ヴェルドラと三体同格となり、ブラコンスライムと親バカ暴風竜の庇護を受けまくるポジション。周りからもリムルと同等の扱いで、チヤホヤされます。▼※当小説はほぼ転スラ漫画版に合わせて更新していますが、書籍版で明かされた内容については漫画化していない部分でも描写する可能性…


総合評価:28108/評価:9.18/連載:202話/更新日時:2026年08月12日(水) 23:56 小説情報

転生したら吸血鬼だったんだけど何か違う件(作者:五月雨と狐)(原作:転生したらスライムだった件)

▼ とある高校生「進藤凪沙」は幼馴染を庇って死んでしまった!▼ 気づいたときにはそこは洞窟で!?▼ 作者の思いつきで作られた二次創作!▼ いつまで続くか分からないぞ!▼ ▼ 


総合評価:2437/評価:8.61/連載:36話/更新日時:2026年09月23日(水) 09:11 小説情報

転生先がゴブリンだった。(作者:ひまなめこ)(原作:転生したらスライムだった件)

地球と言う星の日本と言う国にある青年がいた。▼作中では生前の名前が明らかになることのないモブオブモブの平凡な男。▼そんな彼はある日突然目を覚ましたら、ジュラの森と言う広大な森林のある小さな集落でゴブリンの村長(後のリグルド)の娘として転生していた。▼彼にはチートと呼ばれる者は無かった。▼厳しいジュラの森の環境によって次々と死んでいく仲間達を見て、自分の弱さを…


総合評価:899/評価:8.32/連載:11話/更新日時:2026年05月19日(火) 21:46 小説情報

【転スラ】 〜双星の智慧と新たなる理想郷~(作者:Hyades)(原作:転生したらスライムだった件)

【過去を救い、未来を護れ。次元を超えた「双星(ふたり)のリムル」が、仕組まれた運命に立ち向かう。】▼終末宣言から5年後。最強の存在となったリムル=テンペストは、突如として過去の世界へと送り込まれる。▼意識の底で鳴り響くアラームと共に目覚めた彼に提示された帰還条件は、二つ。▼「歴史をより良い結末へ改変すること」▼そして──「歴史の果てに待ち受ける強敵に、再び勝…


総合評価:831/評価:8.88/連載:71話/更新日時:2026年09月16日(水) 19:01 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>