有馬の中心で愛を叫ぶ 作:メジロのババア
伝説的名馬 ディープインパクト、予後不良により亡くなる。その文字通り衝撃なニュースが世に出て数日後。ディープインパクトのお別れ会に2人の女性が参列していた。
「うぅ…速すぎるよ。亡くなるのまで速すぎなくて良いよ…子供の頃見た宝塚記念で大好きになったのに…」
「仕方ないよ。まあ、幸せだったんじゃない。馬って商業動物だからね。世の中には満足に走ることも出来ず、産まれた段階から馬肉になることが決まってるサラブレッドだって居る。種牡馬として大成功したんだから、ディープインパクトは幸せだったよ」
涙を流す女性は、友人の言葉である「種牡馬として大成功したんだから」という言葉を聞いて頷く。確かにディープインパクトは他の馬と比べて、幸せだったかもしれない。だって、他の馬はレース中の事故で亡くなり、そのまま忘れ去られたり…中には産まれた時から馬肉となることが決まってる馬だって居るのだ。そんな馬達と比べると、幸せだったかもしれない。
だが、考えてほしい。種牡馬というのは相手も選べず、お金の為だけに、人間の夢とロマンのために、望まぬ子作りを強制されるのだ。しかも若い子から老馬まで選べずにである。ゴールドシップのように「種付け?行く行く!!さあ、行こうぜ光の彼方へ!!」とやる気MAXで種付けに向かう種牡馬も存在する。
ゴールドシップは種付けの回数は少なめだが、ディープインパクトの子供達はデビューした競走馬だけで約1800頭以上なのだ。そう、デビューした競走馬だけで約1800なので、デビュー出来なかったり、その種付けで妊娠出来なかったり、流産したりも含めると…その数はもっと多く…僅か12年の間にとんでもない数の種付けを行ったのだ。
「ちょっとまって。ディープインパクトって子供何人居るの?」
「無事にデビューした子だけで、1800は超えてるかな?」
「そうか…ふぇ!?1800!?デビューした子だけで1800!?妊娠しなかったり、流産やデビューしなかった子も入れたらもっと居るんだよね!?そんなに種付けしたらさ…もう拷問じゃない!?」
「しょうがないよ。馬は経済動物だからね。貴方だって牛肉とか豚肉とか良く食べるでしょ?彼らだって、生きたかったの。そんな彼らと比べたら、優秀な子供達も産まれてるし、幸せよ」
馬は経済動物。これは変えることの出来ない現実であり、種付けし過ぎで可哀想と思う人も居るが、馬肉にされる子より幸福だったと色々と思うところが有るだろう。
「神様。お願いします。彼に来世が有るなら…自由に走らせてあげてください。恋する自由をあげてください。そして、経済動物ではなく人間基準としての幸せを掴めるようにお願いします」
『おけ』
だが、このディープインパクトのことを思ってお祈りしたファンの言葉が世界を飛び越えて、ウマ娘世界でとんでもないことが起きるのだった!!
ウマ娘の世界。中山競馬場のウィナーズサークル。
有馬記念を優勝した衝撃の英雄は、車椅子に乗った1人のウマ娘の少女ラインクラフトの前に片膝をついて、彼女の手を握った。
「本気です。お互いに18歳になったら、結婚してください!!」
衝撃の英雄、中山競馬場のど真ん中で愛を叫ぶ。URA創設以来、まさかのサプライズ告白に世間が驚き、一切聞かされてなかったシリウスとアスケラの両メンバーは仰天してしまい、ゴールドシップは赤飯を炊いて配るのだった。
どうしてこうなったの?最初に出てた女性の祈りを神様が受信しちゃった結果。