「私はヴェロニカ様の望みを叶えるためにここにやって来ました。そして私は当主様を倒さなくてはいけません。」とヴィオレッタさんに言う。
「倒した後、次に当主になるのはヴィオレッタさんです。当主になりたくないと思うのでしたら、私は討ちません。」
「いいえ。倒してください。それがお姉さまの幸せにつながることなのでしょう?」
「...本当にいいんですか?」
私達のやり取りを見守っていたマイサが言った。
「いいのよ。」
ヴィオレッタさんは優しく微笑んだ。
「私からお姉さまを引き離したやつに復讐したいと心の片隅でいつも思っていたわ。」
「当主になりましょう。かわりに私のわがままを一つ聞いてくれる?」
「お姉さまと貴女は今、レインメルク邸にいるんでしょう?そこからこの街に引っ越してきてほしいの。」
「...え?」
そんなことが対価になるだろうか。
「この街は美しい街よ。お姉さまはこの美しさを知ることができなかったの。だからこの街で暮らしてほしい。どうかしら?」
「約束します。」
「ありがとう。」
「お嬢様?」
もう二度と開かれることはないと思っていた扉が開かれる。
ラティアの声に振り向く。
暗がりに光が漏れてくる。この閉ざされた世界に射す光の筋。
「なぁに?」
また私の声が震える。目から頬をつたって埃まみれの床に落ちる。
「お嬢様、私の手を取っていただけますか?」
これまで私に向けられることがなかった優しい笑顔。あなたがやってきてからは何度も見たわ。
「...どうしたの。」
「もういいんですよ。お嬢様はもうどこの国の姫でもありません。」
自慢げな顔をする。
「邪魔者は排除しましたから。だから私と…」
ああ、だからそんなにも服が汚れているのね?ねぇ、私の望みなんて叶えないで、あなたの望みを叶えて頂戴?
「この屋敷から出ていきませんか?」
ああ、その笑顔が眩しい。この部屋がこんなにも明るかったことなんてあっただろうか。
「ラティア。」
「はい。」
「あなたはどうして...」
どうしてこんなにも私の心を動かすの?ねぇ、教えて頂戴?私、分からないの。あなたのことが。だから教えて頂戴ね。
「あなたは立派は反逆者になってしまったのね?」
「いえ。極悪犯罪者を倒しただけです。」
後悔など何一つない笑顔。私もそんな風に笑える日がいつか来るだろうか。
「さあ、私についてきていただけますか?」
ああ、私も光の中で生きてゆくことが許されたのね。
「どうしたんですか?」
心配そうに私を見る。
「望みを叶えてくれてありがとうね。ラティア。」
彼女は満面の笑顔になる。私の望みは私が幸せになることではなく貴女が幸せになる事だったみたいだ。
今度は私があなたの望みを叶えてあげるわ。いくつでも。最期の時まで。
「と言うわけなので、レイメスタンに行きましょう!!」
え?なんで私の出身地に戻るのよ。
おそらく口ぶりからしてお父様を討ってくれたんだろうけど。
「ヴィオレッタさんと約束したので…。私が当主様を倒したことでヴィオレッタさんが当主にならなきゃいけなくなります。それで、その代わりにヴェロニカ様にレイメスタンで暮らしてほしい、と約束したので。」
ヴィオレッタ…。いつでも私をお父様から庇ってくれた。彼女は強い魔力の持ち主だから手を出せなかった。それを利用して私の前に出て、いつも庇ってくれていた。
「ヴィオレッタさん、ヴェロニカ様に会いたがっていましたよ?というか妹様がいたんですね。」
「ええ。そうよ。」
「じゃあレイメスタンへ向かいましょう。取り敢えず城に転送できるようにしてもらっているので早速行きましょう!」
とラティアが私の手を取る。
読んでいただきありがとうございました!
オリジナルは初なので設定がガバガバだったと思います。