混沌の魔法騎士王(リメイク)   作:森雄

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王都襲撃

 アスタの魔法帝になる宣言に呆然とする者が多くいた。

 そんなアスタの言葉にアーサーとユノは対抗心と、いつも通りのアスタの言葉に笑みを浮かべていた。

 

「「「笑わせるなッ!!」」」

 

 しかし、そんなアスタの言葉に怒り、魔導書を開き、アスタに魔法を放つシルヴァ姉弟とアレクドラ。

 ソリドの水拘束魔法とネブラの霧拘束魔法、そしてアレクドラの砂魔法がアスタを襲うが、アスタが反魔法の剣で斬りつけ無効化する前に、ある人物の息の吹きかけで三つの魔法が吹き飛ばされ、魔法を発動した三人は後方の壁に衝突死、壁は破砕され、三人は体内の空気を全て失うかのように吐き出した。

 

「「「ガハッ‥‥‥!!?」」」

「「「なっ!?」」」

 

 その光景にクラウスとミモザ、ノエルが驚いていた。

 他の者も声を出しはしなかったが目を見開き驚く者もいた。

 

 そんな三人を壁に吹き飛ばしたのは先も言ったが、アスタではない。

 では誰なのか? 

 アスタへ向けられた魔法に対して動いたという事は、アスタに近しい人物という事になる。

 そう考えると、先ずクラウスとミモザ、ノエルは当然のごとく、魔法属性が違うため、風で吹き飛ばす事は出来ない。

 次ぎにアスタのライバルであるユノならば、吹き飛ばす事は可能だが、彼の現魔力量では息を吹きかけるだけで魔法を吹き飛ばす事は出来ない。

 つまり、消去法でいくと、もう一人のライバルであるアーサーによってもたらされたという事になる。

 

「何を言ってるんだアスタ。魔法帝には俺がなる」

「いいや!俺だァァァアアア!!」

 

 アーサーがアスタに向けて、対抗心を向けて発言するが、アスタも対抗心剥き出しに大声で発言した。

 そんな二人に苛立ったのか、壁に衝突して、ヨロヨロと立ち上がったソリドが睨み付けながら、前に出ていく。

 ソリドは新たなページを開き、巨大な水の弾丸を作り出した。

 

「下民が図に乗ってんじゃねぇよォォ!!!」

 

 ───水魔法"聖水の凶弾"───

 

 巨大な水の弾丸がアーサーとアスタへと襲ってくる。

 アーサーは息を吹きかけようとするが、アスタが目の前に出てきて、レブチを倒した際に使っていた"断魔の剣"を取り出して、剣脊で弾き返した。

 

 弾き返された水魔法はソリドへと襲い掛かり、ソリドは片手に魔力を集めて"聖水の凶弾"を防いだ。

 しかし、自身の魔法の威力と、アスタによって弾かれた事による速度によって後方に飛ばされ、膝を付いた。

 

「このオレに‥膝を付かせたなァァ。この下民風情がァァ──!!」

 

 ソリドは更なる怒りに燃えて、なおも戦いが続けられそうになるかと思われたが、とてつもない重圧がこの部屋を襲った。

 

 誰もがその重圧へと視線をやると、そこにはノゼルが冷たい威圧を放ちながら歩いてきた。

 

「ソリド」

「ノゼル‥兄様‥!」

「下民ごときにそう容易く魔法を使うな‥‥!」

 

 その威圧にアスタは内心冷や汗を流していた。

 

(何だ‥‥この寒気────ヤミ団長とはまた違った冷たい威圧!! これが、王族のシルヴァ家の長男で銀翼の大鷲団長の‥‥!)

「王族に逆らいし下民。どう裁いてやろうか────」

「裁く?」

 

 ノゼルの言葉に反応する様にアーサーが言葉を口遊む。

 だが、次ぎに出た言葉はノゼルの言葉を一笑した。

 

「くだらないな」

 

 その言葉と共に溢れたノゼルの魔力の約5倍以上の膨大な魔力量と重圧に、この室内にいる全ての魔導士に重力の如き圧が襲った。

 大小違いはあれど全員が少なからず地に膝を付いていた。

 

 特に重圧が大きく受けているノゼルやネブラやソリド、アレクドラが地に這い蹲っていた。

 

「王族に逆らったからと言って、裁けるとでも思ったのか?」

『ぐっ‥‥ぁ‥』

 

 あまりの加重にネブラやソリド、アレクドラは特に言葉を話すことすら出来ずに地に這い蹲られていた。

 そして、残り一人であるノゼルは地に膝を付いた状態で耐えてはいるものの、その重圧に表情は苦しみに染まっていた。

 ノゼルは強化魔法で自身の身体能力を向上させて立ち上がろうとしながら、魔力を放出した。

 その魔力は大鷲を形取り、アーサーに威圧する。

 アーサーのコップ一杯分から二杯分へと変わった放出量に、ノゼルは両手を地に着けて耐える事しかできずにいた。

 しかも、その魔力からは大鷲を掌に収めたかの様な白き光輝を放つ女神と、黒き暗闇を放出する魔王の幻影が、第三者に視えていた。

 

「『下民ごときに容易く魔法を使うな』だったか? ではこっちも言ってやるぞ。王族如きに魔法を使う必要があると思ったか?」

 

 アーサーの傲岸不遜な発言に苛立ちを浮かべるシルヴァ家三人とアレクドラ。

 

「その辺にしておけアーサー、シルヴァ家の者達よ」

 

 雰囲気が悪く、一人対四人の戦慄状態を止めたのは、アーサーが入団している団の団長、フレゴレオンだった。

 フエゴレオンの言葉に流していた魔力を止めた。

 

 アーサーの魔力放出の停止によって地に着いていた者達は、足で直立し直した。

 

「ユリウス殿がこの場にいることを許した者だ。下民といえど多少は認めても良いのではないか?」

「‥‥まさか王族の者からその様な言葉が出るとはな‥‥ヴァーミリオン家もお優しくなったものだ。天空を舞う鷲が地を這う虫ケラをどう認めろというのだ?」

「その虫ケラに足をもがれて、立つこともままならなかったのは何処の家畜だ?」

「なんだと‥‥?」

 

 フエゴレオンとノゼルの会話にアーサーがそう言うや、先程の一件も加わってノゼルは最大の殺気をアーサーに向けながら魔力を放出するが、それに対して自身の団員とライバルを収める為に獅子を形取った魔力を放出する。

 しかし、王族で団長にまで上り詰めたこの二人の魔力を足しても、アーサーの魔力には足りなかった。

 実際にアーサーは嘗て、レブチの魔力封じの鎖から脱出した際に思いあまって、溢れた魔力がクローバー王国全土に重圧として与えてしまっていた。

 

 そんな彼と、国一つに重圧を与えられない二人の魔力量が足された所で遠く及ばず、圧倒的で膨大な魔力量を持つアーサーからすれば、その魔力を当てて威圧されても、威圧にすら感じていない。

 しかし、それでアーサーが有頂天になっていると思っている者がいるのならば、それは間違いである。

 

 魔力を一切持たずに生まれたアスタが魔力無効化を持つ(アンチ)魔法に選ばれた事などから、魔力の大きさなど意味が成さないのは、ライバルの一人に彼が含まれている事で、膨大な魔力量で、生まれを理由に馬鹿にする愚者(ゴミ)共の様にはなっていない。

 

 その点では、混沌魔法の魔力を有するアーサーと、四つ葉に選ばれる程の魔力量と潜在能力を持つユノは恵まれているというべきだ。

 慢心しない事を身につけているからだ。

 

 とまぁ、そんな事は置いておくとしよう。

 何故なら、彼等の事を説明するよりも、大事な事が王都に起きているのだから‥‥

 

「たっ‥‥大変です!!」

 

 慌てて入ってくる宮廷の魔導士の言葉に、魔力を放出していた二人が魔力を収め、報告を聞いた。

 

「‥‥どうした?」

「王都が‥‥王都が襲撃されています!!!」

 

 報告内容は王都が襲撃による被害を受けている事であった。

 

 ────────────────────────

 

 王都襲撃される数分前‥‥‥

 

 クローバー王国外にて、岩に腰を下ろした男が背後に立つ存在に向けて言いはなった。

 

「なぁ~? オカシイよなぁ!? 何でこの俺様が追い出されなきゃなんねぇんだよ、なぁ俺様は王族以上の魔力をもってんだぞ‥‥!?」

「‥‥‥‥」

 

 左目に目の意匠が付いた黒い布帯状の眼帯で左目を隠している男の不満・憎悪・悪意が籠もった言葉だった。

 しかし、彼の言葉に背後にいる者は一切言葉を出そうとはしなかった。

 

「この世界は魔力が全てだろぉが‥‥‥なぁ!?」

 

 男の話し掛けに一切返答しないのも無理はない。

 何故なら、彼が話し掛けていたのは、ただの死体だったからだ‥‥

 

「フザケやがって‥クソがぁ!!!」

「‥誰に向かって喋っている‥‥」

 

 しかし、この場には先程から喚き散らす男と死体しかいない。

 にも関わらず第三者が話しに加わり、独り言をしている男に尋ねていた。

 しかし、その問いにすら、独り言をしていた男は八つ当り気味に問うてきた姿無き声に反応する。

 

「俺の力、教えてやるぜ‥‥‥! 魔法騎士団」

 

 男が立ち上がると、彼の背後には無数の動く死体の軍団がいた。

 

 ────────────────────────

 

 そして、アーサー達が王都襲撃の報告を受けた時。

 王都では、先程の男が死体を操り、王都の五ヶ所で家や人々を襲っていた。

 

「ハハハハハハハハハ。壊せ壊せ壊せ壊せぇぇ!!!」

 

 狂ったロボットの如き発言を繰り返す男の言葉に反応し、破壊を続ける動く死体の軍団。

 それに恐怖し、逃げ惑う一般人と、死体に攻撃を行なう防衛を行なう複数の魔導士達。

 

 しかし、死体に魔力弾で致命傷を与えようと、所詮は死体。

 苦痛など受けるはずもなく、体に穴を開けられようと、気にせずに魔導士達に襲っていく。

 その様に恐れる魔導士達。

 奮闘しようとする魔導士もいたが、死体を操る男の魔力に結局は怯えて死亡した。

 

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