混沌の魔法騎士王(リメイク)   作:森雄

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久しぶりの投稿です。
投稿速度を少しずつ上げていく所存ですので、どうか心待ち願います。


紅蓮の女獅子

 王都襲撃から翌日。

 

 アーサーの空間魔法で[紅蓮の獅子王]団のアジトへと戻ってきた二人は昨日の夜。副団長ランドールに頼み混み、[紅蓮の獅子王]の団員達を呼び集めて貰い、フエゴレオンに起きた事と王都での一件を話した。

 これにより、[紅蓮の獅子王]の団員達はフエゴレオンが負傷し、何時目が覚めるか分からない状態に置かれてしまったへの困惑と、自分達の団の団長をそんな目に遭わせたテロリスト[白夜の魔眼]に対しての怒りが集った。

 

 その際の説明にアーサーはレオポルドに頼んでいた。

 レオポルドはフエゴレオンの弟であり、フエゴレオンがこうなった経緯を二人の中では一番近くで見ていた目撃者である事と、未だにアーサーを良く思わぬ者達がいる為、彼に頼んだのだ。

 

 因みに王都は建築職人が再建築している。

 

 そして、昨日の王都襲撃での一件で臨時戦功叙勲式が行なわれる事になり、アーサーとレオポルドが再び王都に集まる事になった。

 

「行くぞレオ」

「うむ!頼むぞアーサー」

 

 レオポルドはアーサーの肩に触れると王都まで一直線に転移した。

 

 ──────混沌魔法"転移"──────

 

 王都に到着すると、同じく昨日の一件で活躍した者達が集まっていた。

 後からも授与される者達が集まり、臨時戦功叙勲式が終わった。

 

 レオポルドは二等中級魔法騎士に、アーサーは五等上級魔法騎士になった。

 レオポルドの昇級に関して歓喜する者もいたが、アーサーの昇級に納得できない者もいた。

 しかし、少なくともアーサーの実力を認める団員もおり、彼自身が他人の目に関して興味を持たないため、あまりいざこざはなかった。

 

 団長不在の状況下で、副団長であるランドールさんが指揮を執っていた。

 

「休暇……ですか?」

「あぁ。入団してからあまり休めていないだろ。しかも団長が不在の中、団そのものを動かさないわけにはいかない。我武者羅に任務を熟すなど、フエゴレオン団長自身が許さない。英気を養うんだ」

 

 ランドールからそう言われてアーサーは休暇を取る事になった。

 そんな時、ある資料を発見した。

 

「ランドール副団長。この資料はなんですか?」

 

 アーサーが資料を見せながら訪ねた。

 

「それは強魔地帯という(マナ)の強い地域の中に起きている温泉の情報だ。フエゴレオン団長の姉君であるメレオレオナ様がよく強魔地帯に行っては身体を鍛えては、温泉に浸かって癒やしてるんだ」

「フエゴレオン団長にお姉さんがいらっしゃったんですか?」

「そう言えば会ったことがなかったな。何なら行ってみたらどうだ?」

 

 ランドールからの提案をアーサーは受け取った。

 

「わかりました。行ってみます」

 

 アーサーは返事をして強魔地帯「シャプス氷山」へと向かった。

 

 ────────────────────────────

 

 シャプス氷山の麓へとやってきたアーサーは、この氷山地帯の膨大な冷気に寒さを感じていた。

 

「ここに本当にいるんですか?」

「俺はメレオレオナ様を探しに来たんじゃないんだけどな。ていうか……なんでマリエラも来てるんだ?」

 

 アーサーは不思議そうにそう尋ねると、ジト目となったマリエラが睨み付けながら言った。

 

「私が来たら不都合なことでもあるんですか?」

「誰もそんなことは言ってないだろ!?」

 

 二人が口論じみた言い合いをしているが、周囲は荒れ狂う吹雪の音が強まり、風も強くなっていった。

 そんな中、氷山から爆発が起きた。

 

「「っ!?」」

 

 アーサーとマリエラは爆発した所へと視線を向けると吹雪が舞う氷山の強魔地帯に炎の塊が飛び出してきた。

 その炎の塊がこっちへとやってくる。

 

「なんだよアレ!?」

「わかりません。<マナスキン>はできますか?」

「もうやってるよ」

 

<マナスキン>=魔を身体能力向上に使い続けることで魔導士の魔力に磨きがかかり、極致領域に達した状態。マナスキンを使用することで、自分のグリモワールの属性魔力を常時身に纏うことが可能となる。

 

 元よりマナスキンができるアーサーと、元ダイヤモンド王国の暗殺部隊に所属し、ファンゼル・クルーガーの教え子であるマリエラも習得していた。

 強魔地帯による荒れ狂う膨大な魔力の環境場では人は死をも覚悟する必要があり、魔導士はまともな魔法も扱えない場所でもある。

 

 しかし、マナスキンを習得している魔導士は少なからず、その影響下から逃れて魔法や行動することができるのだ。

 

 つまり、アーサーとマリエラはこの強魔地帯を難なく動く事が出来るため、迫り来る膨大な炎の塊がやってきていた。

 

 アーサー達が警戒しながら炎を見ていると、炎の中に人影が見えた。

 

 炎がアーサー達の目の前に降り立つと、熱風が吹き荒れると同時に、人影の正体が現れた。

 

 ボサボサとしたロングヘアーでフエゴレオンとレオポルドと同じ髪色をしたフエゴレオンと変わらない年齢をした野生児みた気配を溢れさせる女性だった。

 そう。ランドールが言っていたフエゴレオンとレオポルドの姉である「紅蓮の女獅子」という異名を持つ炎魔法の実力者。

 

 メレオレオナ・ヴァーミリオンだった。

 

「貴様。面白い魔力をしているな。私と殺り合うとしようか!!!」

 

 そう言ってメレオレオナはアーサーへと襲撃してきた。

 

 ──────炎魔法"灼熱腕(カリドゥス・ブラキウム)"──────

 

 炎を纏った拳で殴りかかるメレオレオナの攻撃にアーサーは<太陽>を使って同じく太陽の力を発揮した拳を使った。

 

 ──────混沌太陽魔法"太陽の剛拳(ヘリオス・フェア)"──────

 

 握り拳に<太陽>の力を集めて殴りつけた。

 

 全てを燼滅する近接戦闘系の炎魔法と炎を越えた火力を持って体内にダメージを強く残す太陽魔法。

 

 二人の違う火に関する力が衝突した。

 

 すると、二人の周囲のシャプス氷山の吹雪が一気に吹き飛んだ。

 

「くっ!?」

「離れてろ、マリエラ!」

 

 あまりの衝撃に吹き飛びそうになるマリエラを心配して離れるように忠告するアーサー。

 そんなアーサーへとメレオレオナが攻撃を続ける。

 

「余所見をするな!!」

 

 同じ魔法を使って殴りに掛るメレオレオナに対して聖剣エクスカリバーを取りだしたアーサーは超一流の達人の動きを以て対応していった。

 

 聖剣エクスカリバーは混沌が封印され、所有者へと混沌を取り込ませる鍵でもある聖剣。

 聖剣には所有者を選ぶほどの力を秘めている。しかし、聖剣エクスカリバーは魔導書に入る以前までは、力を持たない剣であった。

 

 剣を与えたのはクローバー王国から西側の諸国___ハート王国の近くにある強魔地帯には無限の魔力を秘めた魔法の湖がある。

 その魔法の湖の守護神として存在する湖の乙女エレインが、クローバー王国含む四つの国が存在していなかった時代のころに溢れ行く天使と悪魔を天府と冥府へと封印してのけた大英雄カルンウェナンへと与えたただの鉄の剣だった。

 

 カルンウェナンはただの鉄の剣を振るい、現代の人間を遥かに超えた魔力量で中位~下位悪魔や天使を相手に幾度となく切り伏せていき、剣聖と呼ばれたのだった。

 しかし、人間の寿命は約80年ほど……

 

 剣聖は寿命に敵うことなく天命を全うするかと思われたが、思わぬ行動を取った。

 それは与えられた鉄の剣で自らの心臓を貫いた。

 

 つまり、自害したのだ。

 

 カルンウェナンを初めとした幾数多の剣士が鉄の剣を使って功績を挙げていき、寿命尽きる際に必ずその剣にて自害したのだった。

 

 度重なる剣聖・剣豪達の自害によって吸い取られた剣聖達の血から突如として剣はとある力を秘めてしまい、同時にその力を振るえる者がいなくなった。

 アーサーが現れるまでは……

 

 アーサーが手にする聖剣エクスカリバーが入っている魔導書には剣聖達の意志が憑依しているといってもいい。

 そんな魔導書に……剣聖達に選ばれたアーサーは剣聖達の剣技を難なく振るうことが出来る英雄であると同時に、剣聖達に認められた英雄達の王でもある。

 

 そんな英雄達に選ばれし王たるアーサーは迫り来るメレオレオナの攻撃を紙一重で回避しながらも剣聖達の剣技を放つ。

 

 流麗が如き一閃を放つもメレオレオナは獣のごとく回避しては"灼熱腕"を放ってくる。剣聖の剣捌きにて回避しながらも幾度となく突きや斬撃を繰り広げた。

 

「ハハハッ!貴様、なかなか戦るな!」

「随分と戦闘狂だな、アンタは」

 

 どうしたものかとアーサーが考えていると、マリエラがやってきた。

 

「マリエラ!?」

「邪魔をするな、小娘!」

 

 メレオレオナがマリエラを退かそうと炎の塊を出した。

 マリエラは氷魔法で炎を防ごうとするが、燼滅を宿した炎魔法が一瞬で溶かした。

 

 アーサーはマリエラを<閃光>で掴んでメレオレオナから離れた場所へと移動した。

 

「なに考えてるんだ!?」

 

 アーサーにそう言われたマリエラだったが、彼女はこう言った。

 

「私も戦います」

「相手はお前より強いんだぞ」

「わかってます。ですが、貴方が言ったんじゃないですか。殺した数以上の命を助けろと……だから、戦います。自身の命に代えてでも」

 

 嘗てアーサーがマリエラに言った言葉。彼女はもはや生きるために自首しようとした魔導士ではない。命を助ける為に戦うクローバー王国の魔法騎士団員だ。

 

 そんなマリエラの発言にアーサーは目を丸くしたが、彼女の意志を尊重することにした。

 

「わかった……マリエラ、混沌の魔力の一部をお前の氷魔法に与える。受け取ってくれるか?」

「……はい!」

 

 決意が固まっているマリエラにアーサーは唇を合わせた。

 唇から流れるように混沌の魔力の一部がマリエラへと浸透していき、彼女の氷魔法にまで影響を与えた。

 

 ──────混沌付与魔法"混沌の従者"──────

 

 神々しい神聖な光と禍々しい漆黒の闇を思わせる輝きがマリエラから溢れ出す。

 

 二人の唇が離れるとマリエラの瞳の虹彩が白と黒に別れた完全虹彩異色(ヘテロクロミア・アイリス)に変わっていた。

 

 そんな時、アーサー達を追ってきたメレオレオナがやってきた。

 

 メレオレオナはマリエラが先程以上に雰囲気が変化していることに気付いた。

 

「ほう。随分と変わったな」

 

 メレオレオナは興味深そうにマリエラを見つめた。

「アーサー。これが新しい私です。見ていて下さい」

「あぁ」

 

 アーサーは聖剣をしまい、マリエラが前に出た。

 

「ほう、今度は貴様が私の相手をするのか」

「えぇ。私が相手です」

「面白い。貴様らの強さを見せてみろォオ!!!」

 

 そう言ってメレオレオナは炎の魔力を灯した。

 

 ──────炎魔法"灼熱腕(カリドゥス・ブラキウム)"──────

 

 燼滅の炎を有した拳がマリエラへと振るわれる。

 

 ──────混氷創成魔法"理外氷剣"──────

 

 氷で出来た聖剣風の剣を召喚したマリエラが腕に切りつけた。

 すると、燼滅の炎が一瞬にして凍結した。

 

「ほう。私の炎を凍らせるとはな」

「これが今の私の魔法です」

 

 そこから夜遅くまで二人の戦いが行なわれた。

 マリエラは身体に火傷を負い、メレオレオナは一部を炎すらも凍結させてしまう氷で凍傷を負いながら、二人は地に背を預けていた。

 

「……ハッハッハ!……中々に……楽しめたぞ」

「本当に……化物……じみて……ますね」

 

 二人は息を切らしながら話していた。

 

「大丈夫か?」

 

 アーサーがマリエラに近づいては回復魔法を掛けた。

 治療を受けたことで二人は立ち上がった。

 

「クアハッハッハッ!気に入ったぞ貴様等。そろそろあの氷山の頂に温泉が出来る頃だ。貴様等も入れ!」

「「はい!?」」

 

 突然のメレオレオナの発言に二人は顔を赤面しながら困惑した。

 その日の夜。酒を飲みながら温泉に入るメレオレオナの強行によってアーサーとマリエラも同じ様に温泉に浸かることになり、二人は背中を向けながら距離を取って視認が難しい場所で温泉に浸かっていた。

 そんな二人など気にも止めずに酒を飲んで笑うメレオレオナがいたのだった。

 

 翌日。

 

 温泉を浸かり終えたアーサー達はアーサーが創りだした混沌の家にて一拍してから[紅蓮の獅子王]団へと帰って行っていた。

 

「……」

「……」

 

 アラクドを召喚して移動していたアーサーとマリエラに関しては今だに頬を赤くして気まずそうな雰囲気であるため、二人ともいたたまれない状態だった。

 

「……き、昨日は……何も見てないから……安心してくれ」

「え。えぇ……」

 

 甘酸っぱい雰囲気が彼等を包み込んでいると、近くの洞窟内から強力な魔力を感じ取った二人だった。

 

「「!?」」

「今のは……」

「この下の洞窟からですね」

「行くぞ……!」

「はい!」

 

 アーサーはアラクドに指示を出して火球を吐かせて洞窟に穴を開けた。

 アラクドによる攻撃に驚く[白夜の魔眼]とアスタ達。

 しかし、その驚愕の隙に、アスタの背後へと回った光魔法の使い手であり、[白夜の魔眼]のリーダーであるリヒトが左手に光魔法を凝縮してアスタを殺そうとしていた。

 

(死────)

 

 アスタは死を覚悟した時、彼と光魔法の間に入る様に突如現れた空間魔法から[黒の暴牛]団長ヤミ・スケヒロが登場し、魔法を光魔法を防いだ。

 

「マジか‥‥!?」

「や、ヤミ団長!?どうして此処に!?」

 

 アスタと、[黒の暴牛]のローブを羽織った左目を覆うような前髪をしている男性が突如現れたヤミ・スケヒロに驚愕していた。

 そして、彼をここまで送った空間魔法の魔導士___フィンラル・ルーラケイスもちゃっかりとヤミの斜め後ろにて立っていた。

 

「どうしてって、決まってんだろ」

 

 ヤミは咥えてた煙草を左手の人差し指と薬指で挟み、口から離して副流煙を吐き出すと、告げた。

 

「ただの迷子です。ちょっと道教えろや」

 

 右肩に乗せるように刀の刀身の峰を当てながら言った。

 

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