ヤミ達が現れた後に、熔解した場所から洞窟内へと入ってきたアーサーとマリエラは着陸した。
アーサーはすぐさま負傷者の元へと光の速さで移動すると治療をした。
「おいアスタ。俺とユノ以外に負けるつもりか?」
アーサーが負傷者を治療した後、アーサーはアスタにそう言った。
「だぁれが負けるかぁぁああああああ!!! 勝つのは俺だぁああ!!」
「ほざけ‥‥」
「っていうか、なんでアーサーとマリエラまで此処に‥‥!?」
「用事が終わったからアジトに帰ろうとした矢先に、魔力を感じてな。きたんだよ」
「えぇ‥‥‥」
「うるせぇぞ小僧ども!」
そんなアスタとアーサーの会話にヤミが一括した。
「彼が混沌の魔導士か」
アーサー達がそんな会話をしていると、[白夜の魔眼]の当主が話し出した。
アーサーはリヒトを見るや少し驚いた。
開いている魔導書の表紙にはユノと同じ四つ葉のマークがあった。
「ユノと同じ四つ葉か‥‥マリエラ。行くぞ」
「そうですね。っと言いたいところですが、負傷者と子供たちがこんなにいては戦況的にこちらが不利です」
「随分と戦況が見えてんな。黒ふわマントちゃん」
(黒ふわマントちゃん?)
ヤミがマリエラに奇妙な渾名を付けられてしまった。
マリエラの着用している黒い毛皮のマントを羽織っている為、その様に言われてしまうのは無理もないが、名前を知っているだろう人物がその渾名はないと思うのだが‥‥
まぁ、ヤミの渾名のネーミングセンスがないという事なのだろう。
「フィンラルさん、マリエラと共に子供達の避難を!」
「わ、わかった」
フィンラルは[白夜の魔眼]当主から溢れ出る魔力に怯えていた。
フィンラルが治療された後のシスター・テレジアを抱え込み、マリエラは子供達を誘導した。
そんなフィンラルとマリエラに当主の光魔法の光剣が襲う。
二人への攻撃にアーサーとヤミがそれぞれ破壊した。
「テメェ。オレのアッシーくんに何してくれてんだ?」
「(アッシーくんって‥)そ、それじゃあヤミさん! 後はお願いします」
「テメェ、ちゃんと戻って来いよ!?」
ヤミは颯爽と負傷者と子供たちを連れて逃げていったフィンラルにそう告げた。
この場に残された魔法騎士団員はヤミとアスタ、そしてアーサーだけだった。
そして敵側は当主__リヒト__とヴァルトス、そしてカルだった。
「[黒の暴牛]‥‥<三魔眼サード・アイ>を呼びますか?」
「いや、闇魔法の彼とは一度戦ってみたいと思っていたんだ」
「では混沌魔法の少年は僕が相手をするよ~さっきから彼が僕を眼殺しそうな程睨んできてるしね~」
ヴァルトスは援軍を呼ぶ事を打診するが、リヒトはそれを拒否。
リヒトがヤミと戦うというのでカルが王都襲撃の際に毒魔法を受けたアーサーはカルを標的にしていた。
「カッケぇぇえええ!! なんで止められるんんですか? その剣なんですか?」
「今聞く事か?」
「うるせぇ小僧。────」
ヤミがアスタに自身の故郷の武器と止めた方法を語ろうとするが、リヒトが光魔法を発動している事に気付き、戦いを見ている様に告げた。
「混沌魔法の少年君~君は僕が相手してあげるよ」
「そうか」
カルがアーサーの相手をすることを告げると、アーサーが刹那の間に<閃光>でカルに近づき、同時に洞窟外へと剣技:デスペッガーで飛ばした。
「親玉の相手はお願いします、ヤミ団長」
「おう、任せな」
アーサーは洞窟外へと飛ばしたカルを追って外へと出て行った。
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アーサーに吹き飛ばされたカルは耐性を立て直すと魔法で空中に浮いた。
「痛いな~突然攻撃するなんて酷いじゃないか~」
カルは攻撃を当てられた鼻の部分を抑えながら文句を呟いている。そんなアーサーは目の前に現れた。
「なにか問題があるか?」
「まったく……痛いのは嫌いなんだよ~」
「なら死ぬといい」
──────混沌魔法"
強力な雷をカルへと落とした。
落雷と共に落ちた場所の大地が煙が発生したが、少しすると煙が晴れる。
「随分と変わった姿になったな」
カルを睨み付けていたアーサーがそう告げた。
アーサーの眼に映ったのは、炎を思わせる悪魔の角を右頭部に生やし、左腕だけが炎を思わせるようにメラメラと脈動していた。
「悪魔憑きを知ってるかな~?」
カルの声にも何かが加わったような曇った声だった。
「悪魔憑き……か。悪魔を身に憑依でもさせているのか?」
「当たらずとも遠からずだね~。冥府に存在する悪魔と現世にいる人間などの種族が契約をすることで、その存在に契約した悪魔の力を使えるんだよ~。だから~……」
──────魔炎魔法"獄炎鳥"──────
禍々しい魔の炎によって出来た火の鳥が現れた。
カルがアーサーへト指差すと、火の鳥がアーサーへと襲う。
──────混沌魔法"
巨大な爆弾の火炎弾が火の鳥を襲う。
しかし、火炎弾が火の鳥によってかき消された。
「炎すら燃やすのか!?」
アーサーは驚きながらも魔炎魔法を解析しながらも太陽魔法を行使した。
──────混沌太陽魔法"
小さな太陽を創り出して火の鳥へと飛ばした。
太陽と火の鳥が衝突すると火の鳥は太陽の破壊力に抗えず消し炭になった。
「驚いたな~。まさか概念すらも燃やす魔炎魔法すらも燃やすなんてねぇ~」
カルは本気で驚いていた。
「どんどん火力を上げていこうかな~」
「上げても無駄だってことを教えてやるよ」
「ハハッ!出来るといいね!」
──────魔炎魔法"火魔の追手"──────
魔炎で出来た無数の手がアーサーを襲うが、聖剣を抜いたアーサーの剣閃が魔炎魔法を切り伏せた。
それと同時に刀身に禍々しい闇の炎が纏われた。
──────混沌魔力魔法<
「ハァッ!!」
アーサーの振るった渾身の巨大な斬撃が振るわれる。
カルは命の危険性を感じて回避一択を選び、回避しながらも毒魔法と魔炎魔法を行使した。
──────毒×魔炎魔王"腐屍の灰燼竜"──────
腐食性のある猛毒を秘め、灰にまで燒き盡くす竜がアーサーを襲うがそれ以上に大きな光の鮫を創りだして放った。
──────混沌魔法"ヨナの受難"──────
大きな光の鮫が腐食性のある灰燼の竜を呑み込むと同時に浄化して見せた。
「ハハハハッ!!!楽しいねぇ~!」
「楽しんでんじゃねぇぞ!」
──────混沌魔法"スペースサクリファイス"──────
レーザー砲を放ったアーサー。
そのレーザー砲がカルの半身に当たると、当たった半身が何処かへと削り取られていた。
空間ごと削られていて、当たった半身の削られた部分が魔力の断壁でも出来ているのか淡い光で区切られている為、出血することはなかった。
「これで終わりだ」
──────混沌魔法"
神聖な光と禍々しい闇を持った魔力砲が周囲一帯を殲滅せんとする勢いでカルを飲み干した。
カルを呑み込んだ巨大な光と闇によって大きく陥没した大穴ができたのだった。
アーサーはカルを倒したと思った。
「さて……洞窟に戻るか」
そう言ってアーサーは洞窟内へと戻った。
──────────────────────────────
カルを倒したアーサーはヤミ達がいる同区内へと降り立とうとした時、眼前に光魔法の巨大な光線が襲ってきた。光を弾いたアーサーが洞窟へと降り立つとそこには倒れたリヒトと岩を背もたれにして気絶したヴァルトスがおり、リヒトの前には[黒の暴牛]が四人集まっていた。
「あっ。アーサー!」
「こっちも片は付きました」
「おー。戻ってきたか。こっちも終わった所だ」
アーサーの報告にヤミが受け答えをしている最中、倒れているリヒトが無理に顔を上げてゴーシュに視線を向けた。
「君を……傷つけるわけには……いかなかった」
「あ?なに言ってやがる」
意味不明な発言をされた事にゴーシュが理解出来ない中、ヤミも知り合いなのかと尋ねた。
「あれ?知り合いだったの。ボコっちゃってゴメンな」
「そんなわけないでしょう。知りませんよこんな奴」
「いずれ……わかるよ……」
意味深な笑みを浮かべてそう呟くリヒト。
「なんかよくわかんねぇけど……これであの熱血真面目大王も浮かばれんだろ」
「いや!まだ死んでないっすよ!」
「勝手にうちの団長を殺さないでください」
合掌するヤミにアスタとアーサーがそう告げるが「うるさい」と言って闇拘束魔法を使ってリヒトとヴァルトスを拘束しようとした時だった。
突如として別の場所から新たな魔力を感じて視線を向けたアーサー達。
そこには見覚えのある空間魔法から三人の男女が現れた。
「いくら面倒くさがりなウチでも、マブ達は助けないとな」
そう言った主な黒髪の中に数カ所白髪が交じった中年の男性が欠伸をした後、ヤミの前に突如として現れた。
「へ~変わった柄だな」
「っ!?」
(チッ! コイツも光速移動を‥‥)
アーサーが聖剣エクスカリバーを抜剣して斬りかかるも黒髪男に回避された。しかし、続ける様にヤミが抜刀して"闇纏い・無明斬り"を放つ。
闇魔法の斬撃が黒髪男の左後方へと回避するが、間合いを間違えたのか。または闇魔法の引力によるものか左腕に軽症ながらも攻撃をうけてしまう。
「痛って!クソ面倒いなもう……まぁ、このくらいすぐに治せるからいっか」
黒髪男はそう言って怪我した右腕を光回復魔法による光粒子が治していく。
「あの魔法は……っ!?」
それを見てアスタは困惑した。なぜならその回復魔法はリヒトが使っていた魔法。
同じ属性はあれど、魔法は魔導書によってオンリーワンな事象として起きる。同じ魔法名であり、魔法効果を持つ魔法など起こせないのが常識だ。
「来てくれたんだね。すまない。私一人では及ばなかった」
「リヒト……痛い?」
「ファナ。君が来てくれたから……」
「もう大丈夫」
──────炎回復魔法"
リヒトを覆うようにファナと呼ばれた女性が炎で出来た不死鳥の羽衣が傷ついたリヒトを癒やす。
「君達が来たなら安心だ」
「あ?随分と嘗められたものだな」
「紹介しよう。彼等は[白夜の魔眼]でも最強の存在」
リヒトが三人の紹介を始めた。
クローバー王国がその名の通り、クローバーを象徴しているのに対して、クローバーの三つの名の対となる名を有した三人。
ヤミの魔導書に触れた黒髪男こと誠実の対となる《不実》のライア。
リヒトを守る様に立っていた毛皮マッチョの大男こと希望の対となる《絶望》のヴェット。
そしてリヒトを癒やしている愛と対となる《憎悪》のファナ。
この三人は首領であるリヒト以上の実力者であり、<
「彼等は魔法騎士団長以上の実力の持ち主だよ」
リヒトの発言を聴いたアーサーは誇張しているようにも感じた。
カルという悪魔憑きがいたからだ。彼以上の魔力量を持っていない彼等が最高幹部とは思えなかった。
(まぁ。あのカルが悪魔憑きであることを秘密にしていた可能性もあるか……)
そうアーサーは自己解決して目の前の敵を相手にした。
「なんだかよくわかんねぇが……<三魔眼>ね。大層な名前をつけたようだが、名前だけじゃ強いかどうかわからねぇな」
そう告げるヤミにライアが言った。
「それじゃ証明しようか。面倒だけど」
ライアが右手に闇魔法で出来た刀を持っていた。
「あれは……」
「ヤミ団長と同じ……」
アスタ達がライアの闇魔法の刀を見て驚愕と困惑に襲われた。しかし、ライアにはそんなことは関係なく光速移動で近づいたライアは左手に刀の峰を乗せるような構えを取ると魔法を使った。
──────模倣魔法"闇纏い・無明斬り"──────
「《不実》のライアとか言ったか。テメェ、人の魔法を勝手に使うんじゃねぇ!著作権で訴えるぞ!」
ヤミはそう言いながらも同じ魔法で相殺した。
そんな二人の戦いの中でヤミに近づいたヴェットに<閃光>で近づいたアーサーが斬りかかる。
「ほう。我の動きに反応したか。だが、その程度で希望を持つな!」
──────獣魔法"ベア・クロウ"──────
熊の爪の名を冠した魔法名通りの魔法がヴェットの両腕から放たれるが、アーサーは紙一重で回避すると同時にヴェットの目の前に大きな三枚刃の手裏剣を思わせるマークを作りだした。
──────混沌閃光魔法"
マークの中心から極太の破壊光線がヴェットを襲う。
──────獣魔法"ライノセス・アーマー"──────
犀を思わせるような魔力の鎧を纏ったヴェットが軽傷ながらもアーサーの前に立っていた。
「やるな」
「貴様もな!」
強敵だと認識したアーサーとヴェット。そんなヴェットに横からヤミが切りかかるもヴェットはヤミを見ることなく回避した。
(コイツ、俺の氣を読みやがった)
ヤミが驚く中、アーサーが魔法を放った。
──────混沌魔法"
大地によって出来た二本の岩石の拳がヴェットを挟む様に殴りにかかる。しかし、ヴェットが魔法で対抗した。
──────獣魔法"ライオン・ロア"──────
獅子の咆哮が迫り来る岩石の拳を粉々に吹き飛ばした。
「まだ絶望するには早いぞ」
獣染みた笑みを浮かべるヴェットに更に魔法を放とうとしていたアーサーとヤミ達に向けて炎が襲ってきた。
炎がアーサーを呑み込むも、アーサーが<大海>で生み出した防御魔法で回避した。
──────混沌大海魔法"聖海の護園"──────
聖なる海によってできた楽園があらゆる攻撃から守り抜いた。
アーサー達が炎が襲ってきた方向へと視線を向けると、そこにはファナの肩に小さな火の蜥蜴がいた。
──────炎精霊魔法"サラマンダーの吐息"──────
「憎い。許さない。殺してやる」
憎悪に染まった目で睨み付けてくるファナ。
「サラマンダー……火の精霊か」
「《憎悪》のファナって言ったか?ヒステリックな女はモテねぇぞ(チッ!まだ未発達みてぇだが、四大属性の火の精霊ってまじか)」
リヒトが自分よりも強いと口語しただけあって、三人が厄介な相手であることは間違いなかった。
「さてと、じゃあ」
「覚悟するんだな」
「リヒトの受けた痛み、何倍にもして返してあげる」
そういうと三人が同時に襲ってきた。迫り来る三人の攻撃にヤミとアーサーが対処していた。しかし、少しずつだが二人の身体に切り傷が増していった。
「ヤミ団長!アーサー!俺も……」
「坊主。まさか俺を心配してんのか?十……いや百年早ぇな。そこで見てろ。俺が限界を超えるのを……」
「無駄だよ。彼等は魔法騎士団長より強い」
「だからなんだ。騎士団長より強ければ俺より強い理由になると思ってんのか?」
三人がトドメと言わんばかりに同時攻撃を仕掛けた。ヤミとアーサーが絶対的窮地に追い込まれる中、二人と三つの魔法攻撃の間に光が出現したと同時に突風が起きた。
「面白そーな戦いやってんじゃねーか、ヤミぃぃ。ちょっと混ぜろや……!!」
現れたのは三人の団長。
[蒼の野薔薇]団長シャーロット・ローズレイ。[銀翼の大鷲]団長ノゼル・シルヴァ。[翠緑の蟷螂]団長ジャック・ザ・リッパーだった。
「テメェら、魔法騎士団長より強いんだって、そりゃあいい。試してやるぜ!」
ジャックが腕に生えたナイフを舌舐めずりしながらそう言った。
「……あ~ぁ。もう少しでオレの何かが覚醒しそうだったのに……何してくれんのこの腐れ縁団長共」
ヤミは尻餅をつきながらもジャック達に文句を言っていた。
「その様でよくそのような言葉が口から出るな……貴様はいつか私が処刑してやるから首を洗って待っていろ異邦人」
「何だテメー、変な前髪しやがって」
ノゼルはそんなやみにきつい言葉を告げるが、ヤミは喧嘩口調で啀み合う。
「まったく男のくせに情けない」
「相変わらずオレに厳しいな、お前は」
辛辣な事を言うシャーロットにヤミがそう言った。
「魔法騎士団長が三人か」
「ハン!何人……いや、何匹現れようが我々の敵ではない」
「リヒトを傷つける奴は殺す。絶対に」
現れた団長三人を見ながら、<三魔眼>はそう言った。
「さてと、殺ろうじゃねぇか。八つ裂きにしてやるぜ」
「[白夜の魔眼]とやら」
「貴様等には聞きたい事が山ほどある」
団長三人と<三魔眼>が睨み合い、彼等の間に緊張感が襲った。