Go! トラブルメーカー!  〜雑草は花園で咲く〜   作:ナッパー

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物語を保管する、または箸休め的な感じで小話を書いていきたいです、後々オリキャラのプロフィールも小話として書いて行きたいです


(小話)コレクションの行方……吸っちゃダメって誰が決めたんだ?

小話

 

 「だはぁ! 生き返るわぁ」

 

 ソファに深く沈み込み、きららから貰ったドーナツを齧りながら、あったけぇ紅茶を啜る。

 甘さと温かさが、酷使した体に染み渡っていくぜ。

 窓の外はすっかり日が暮れて、夜の静寂が学園の談話室を包み込んでいた。

 周りを見渡せば、はるかがパフとじゃれ合い、きららはファッション雑誌を真剣に読みトワがアロマと何か話し込んでいる。

 平和だ。

 昼間に泥の化け物と戦ってたのが嘘みてぇだぜ。

 

 「……ま、こういう夜も悪くねぇか」

 

 柄にもなくそんなことを呟いた、その時だった。

 

 「そういえば……春海さん」

 

 対面のソファで優雅にハーブティーを飲んでいたみなみが、ふと思い出したように、しかし明確な意図を持って口を開いた。

 

 「ん? なんだよ」

 

 俺はドーナツを口に入れたまま、気楽に応じる。

 もう隠し事もねぇし、これ以上怒られるネタもねぇはずだ。

 みなみはカップをソーサーに置くと、ポケットからある物を取り出し、テーブルの上にコトッ……と置いた。

 それは、クシャクシャに潰れた四角い箱。

 見覚えがありすぎるパッケージ。

 

 「げっ……」

 

 それを見た瞬間動きが止まった。

 心臓が嫌な音を立てる。

 親父の書斎からくすねてきたあのタバコだ。

 やべぇ、昼間校舎裏で落としたっけか? いや、ポケットに入れてたはずなんだけど……

 

 「これは……何かしら? 春山さん」

 

 みなみの声のトーンが、絶対零度まで下がった。

 さっきまでの仲間を受け入れる優しい顔はどこへ言っちまったんだ……今は完全に風紀を取り締まる生徒会長の顔になってんじゃねぇか。

「あ、いや、これはその……拾ったっていうか、コレクションっていうか……」

 

 「言い訳は無用よ。……あなたを保健室へ運ぶ際、ポケットから落ちそうになっていたのを、私が預かっておいたの」

 

 「え、あ、預かって……」

 

 オワタァ……

 助けてもらった恩がある手前、強く出れねぇ。

 それに、状況証拠が真っ黒すぎる。

 

 「未成年の喫煙は法律で禁止されています。それに、健康にも害があるわ。……あなたが目指してる強さとは逆行する行為だと思わない?」

 正論が痛い。

 みなみの視線が、俺の肺まで貫いてきそうだ。

 

 「それに、匂いも付いているわ。……まさかとは思うけれど、吸ってはいないわよね?」

 

 「す、吸ってるわけねぇじゃん!  火をつける前に邪魔が入ったんだよ!」

 

 「邪魔……?」

 

 「あ、いや、なんでもねぇ!」

 

 オワタ、墓穴ほってもうた。

 冷や汗をダラダラ流しながら、助けを求めるようにはるか達を見た。

 だが、きららは……。

 

 「うわぁ……ダッサ」

 

 と呆れ顔、トワは……。

 

 「煙草……こちらの世界では毒草の一種と聞きますわ」

 

 と真顔で怯え、はるかは。

 

 「春山くん、ダメだよぉ!」

 

  プンプン怒ってる。

 だーめだこりゃ、四面楚歌だ。

 もうここまで来たら……開き直るしかねぇなを

 生徒会長モードのみなみの方を向き直しニヤリと口角を上げる。

 

 「へっへっ……バレちまったらしょうがねぇっすね ……どうすか? みなみぱいせん、アンタも一本吸ってみるか? ……大人の味がするぜ? 多分」

 

俺は震える手で、テーブルの上の箱に手を伸ばそうとするフリをした

 ここまで来たら道ずれだ。

 海堂みなみさん……共犯者になろうぜ。

 

 だが――。

 

 そんな俺の手をパシッと冷たく払い退けると、タバコの箱をグシャりと握りしめた。

 

 「……謹んで、お断りさせていただくわ」

 

 「あ」

 

 ダメだこの人……顔は微笑んでるが目は笑ってねぇ。

 

 「これは、生徒会預かりとして没収・処分します。……異論は、ないわよね?」

 

 「ちょ、ちょ待てよ! 俺の唯一の癒やしが!」

 

 「癒やしなら、他にあるでしょう?」

 

 みなみは没収したタバコを懐にしまうと、ふわりと優しく、しかし有無を言わせぬ圧で微笑んだ。

 

 「甘いお菓子と、温かい紅茶。そして……私たちとの勉強会がね」

 

 「……ほへ?」

 

 思わず間抜けな声が漏れだした……何? 勉強会って、聞いてないんだけど……。

 

 「あなたの編入条件の一つに学業において一定の成果を出すことが含まれているのよ。……来週は定期考査よ。わかっているわよね?」

 

 「…………あびゃあ」

 

 俺はとろけちまった。

 タバコを取り上げられ、逃げ場を塞がれ、トドメにテスト勉強かよ。

 おかしいな……さっきまでいい感じだったじゃん。

 どこで選択ミスった? ねぇ、俺どこで間違ったの?

 だが現実ってのは無情だ……そんなトドメを刺された俺なんて気にせずに、みなみさんの口からは無慈悲な一言が発せられる。

 

 「明日から放課後は、生徒会室で特別指導を行います。拒否権はないわ」

 

 「ひ……ひぃっ……! 勘弁してください! みなみ様〜」

 

 女みてぇな声をだして机に項垂れる俺。

 それを見たみなみ含む周りのヤツらは全員くすくすと笑ってやがった。

 俺のノーブル学園生活は、始まったばかりでこの始末……はてさてここからどうなる事やら。

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