「それでね!その時ナギちゃんが…」
「ミカさん…高校生にもなって恥ずかしいですよ…」
「そういうナギちゃんだって私の口にロールケーキを詰め込んだこと、忘れてるわけじゃないよね?」
「それは…」
「…二人とも元気だね」
朝から騒がしいミカとナギサを見ながら私はポツリと呟いた。
側から見れば、ミカとナギサが世間話などをしているところを私が聞くという図になっているだろう。
「そういえば…セイアさんは今日から寮暮らしなんですよね?」
しばらくミカたちの話を聞いていると、急にナギサから知らないワードが飛び出てきた。私が困惑しているとミカが補足をしてくれた。
「えっとね…セイアちゃんは高校から入ってきたでしょ? トリニティは寮が基本だから、今日から寮暮らしなの!」
続けてナギサが言った。
「日用品などはトリニティから支給されます」
つまり、仮にティーパーティに入るとして全員が違う派閥に入るため、放課後以外は会うことができなくなるということだ。
……そんな甘い考えが通じるはずもないことを、この時の私はまだ知らなかった。
「あと、部活もあるよね!セイアちゃんはどんな部活があるかとか知ってる?」
「ああ、確かシスターフッドや救護騎士団、正義実現委員があるという話を聞いたが…」
「そうそう!よく知ってるね!」
ミカとナギサは何部に入るかという話題で話していた。
「セイアさんは何か予定などはありますか?」
「私は…そうだね…」
私は悩んでいるフリをして適当にはぐらかした。
なぜと言われるかもしれないのでこの際だ、正直に言わしてもらおう。
そんな気持ちはさらさらない。
シフターフッド? 正義実現委員? 私が原作を壊しに行ってどうする!
一年とはいえ主役級キャラがゴロゴロいる場所に飛び込んだら、原作崩壊一直線ではないか。結局のところ、帰宅部こそ正義である。
「そういえば…ミカさんはどうするのですか?」
「ああ…私?私はね…」
ミカはにっこり笑って、言った。
「セイアちゃんがいれば、なんでもいいかな」
「!?」
(なぜ!?)
私とナギサは揃って固まった。
「……なーんて、冗談だよ」
「冗談か……本気で言うから焦った……」
「♪〜 ごめんね〜」
心底ホッとした。あれ以上ミカに絡まれたら、私の胃が先に壊れる。
しばらく歩いていると、ミカが急に振り返る。
「それより――学校、着いたよ!」
元気よくそう宣言するミカ。 よかった、これでとりあえずお別れだ。
「では、寮が違いますので。また後ほど」
「バイバーイ、ナギちゃん、セイアちゃん! また後で〜!」
二人に手を振り返す。
流石にあの後でに私は入ってないだろうな…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「これで講義はおしまいです。これからの日程は…」
結局何も聞かなくても問題はなかった。
授業が終わるとある者は友達のところへ向かったり、ある者はスイーツを買いに行くなどそれぞれで自分の青春を楽しんでいるようだった。
…はて、原作キャラじゃないなら友達とか作ってみてもいいのでは、と?
そうだね…私も最初はそう思ったさ。
けれども…
「キャー!百合園さんですわ!」
「聞いた?聖園さんがね…」
私が近づくとどこかに消えていってしまうのだ。
あまり好かれていいないのだろうか…
このまま部屋にまで戻ってもいいが…部屋に戻っても暇なだけなので、周りを散歩することにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「しかし、ここは…」
辿り着いたのは大きな聖堂。つまり…シスターフッドの本拠地ということになる。
シスターといえば神に祈りを捧げ、奉仕の生活を送る人だが…
(神はほんとうに存在するのだろうか…)
といっても、私自身転生している時点で神が存在しないなんて言い切ることはできないのだがね。
(少しセイアと口調が似てきたな…)
自分が日に日に変わっていくのを感じつつ、聖堂から聞こえてくる聖歌に耳を傾けていると、ふと声がかかった。
「あら、あなたは…」
振り返ると、そこに立っていたのは…
「やはりそうですね。こんにちは、百合園セイアさん。五日ぶりですね。」
黒い服に灰色の髪をした、シスターフッドの歌住サクラコだった。
(…あ、そういえば)
私は入学式の記憶を思い出した。 そう、転生しまだ困惑していた頃とはいえ私はサクラコに会っていたのだ。
歌住サクラコ。エデン条約で主役級とまではいかないがかなり出番があるキャラの一人だ。
(完全に忘れていた…)
こんな大事なことを、すっかり忘れていたとは…
私は、せめてもの抵抗として、聖堂を離れようとしたが、サクラコが私を呼び止めた。
「もしかして、セイアさん…」
去ろうとしていたのがバレたのだろうかと思い、何を言われるか覚悟を決めサクラコの目を見ていると、
「聖歌がお好きなのですか?」
(は?)
予想外の質問に驚いてしまった。どうやら、私が聖歌を聴きながら考え事をしていたので、わざわざ聖歌を聴きに来たのだと思われたらしい。
「いや、私は…」
私はどうにか誤解を解こうとしたが、ゾーンに入ってしまった彼女を止めることができなかった。
「セイアさん、もしそうなのであれば」
「シスターフッドに入ってみませんか?」
私の「原作回避計画」が狂い始めた瞬間だった。
七話を一度削除します。
なんか話が噛み合わないからです。
TS転生セイア
帰宅部が一番の思考と考えている。
聖歌は嫌いではない。むしろ好きな方でもある。
歌住サクラコ
唯一、自分のことを怖がらない人と思っているため、何もしていなくてもセイアへの好感度が高い。
聖歌は大好き。
トリニティピンクゴリラ
セイアが避けられてしまった原因。
セイアが自分にしてくれたことを自分の妄想込みで他人に話した結果、トリニティでセイアが女たらしと広まってしまった。
聖歌は好きでも嫌いでもない。
桐藤ナギサ
セイアが女たらしであるという噂を聞き、困惑している。少しまだ警戒中。
聖歌は好きな方。
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