そんなことよりシスターセイアをみたい。メイドもきたしくるだろ。(切実)
「次の方、どうぞ」
そう言った瞬間、壁の向こうの扉がぎぃ、と開いた。
「……こんにちは、シスターさん」
「はい、こんにちは。今日はよく晴れていい日ですね。――して、この部屋を利用するということは、何かお悩みがあるのですね?」
「……はい」
入ってきた人物は深刻な声で答えた。
「シスターさん……私の犯した罪を、聞いてくださいますか」
「もちろん。神はすべてを許します……」
重苦しい空気の中、私、百合園セイアは"シスター"として活動していた。
(どうしてこんなことに…)
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「シスターフッドに入ってみませんか、セイアさん」
私はその言葉を聞いて、固まった。
私は慌てて口を開く。
「え、えっとだな。私はその……」
必死に断りの言葉を探そうとする私を、サクラコは静かに見つめていた。 その視線は穏やかで優しいが、どこか逃がさない気配がある。
私がそのまま黙っていると、サクラコが少し表情を変えこう言った。
「ご無理は言いません、セイアさん。ただ……」
「ただ……?」
「聖歌を聴いている時、とても優しい顔をされていました」
してないが!?
「それに、聖歌を聴きに来るためにここへ来る方などあなた以外にはいないのです」
私はサクラコの話を黙って聞きながら、彼女から逃げ出す手立てを考えていた。
(普通に断っても…いや、彼女が悲しむところは見たくない。なら別に入りたいところが…いや、後々嘘がバレてしまうだろう。しかもサクラコは後々シスターフッドのリーダー的存在になる。生半可な言い訳では…)
私が試行錯誤しているあいだにも、サクラコは私を期待の目で見ていた。
そして、私は一つの案を思いついた。
「…サクラコ。私を勧誘してくれたこと、とても嬉しいよ。しかし、私は寮に帰ってやるべきことがあるんだ。他の部活も見てみたいしね」
他の部活を見てみたい、これなら何も問題ないだろう。
私はそう思いすぐにこの場を立ち去ろとした。
その時、サクラコの顔が穏やかなものから変化し真顔になった。
「転生」
「っ!」
急にサクラコがこちらに近づいていた。
「セイアさん、あなたは確か入学式の頃私におっしゃいましたよね、自分が転生している、と」
「最近、シスターフッドにそのような話に関する情報が耳に入ったのですけど、他言はいけないルールなので…仕方ありません。また今度の機会で…」
そこまで言うと、サクラコは去っていった。
転生について、それは今私が一番欲しかった情報であった。ここで逃したら二度と聞くことはできないかもしれない。
私は急いで口を開けた。
「体験…ならどうだい?」
私がそう言うとサクラコが立ち黙った。
「シスターフッドも部活なら体験、つまり仮入部があるはずなんだ。それならどうかな」
私がそういうとサクラコは少し考える素振りを見せた後、
「わかりました。今、確認してきますので少々お待ちください」
サクラコは聖堂へ入っていった。
その様子を最後まで見届けた後、私はこう思った。
(しばらく寮に帰れなさそうだな…)
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「では、みなさん。シスターとしてのお仕事を説明しますね」
私はシスターの服に着替え、私と同じ仮入部に来た人たちと説明を受けに来た。
「まず、毎朝聖堂に行き神へ祈りを捧げます。それから聖歌を毎日欠かさず歌い…」
聞くまでもないが結構きつい。
"僕"の頃と比べて、『洗礼を受けないといけない』のような条件はないため、ただ仮入部をすると言えばさせてもらえる。
が、起きる時間が六時とか間食はいけないなどの厳しい決まりがある。
…え?全然厳しくないって?
「…そして、皆様には一つ仕事を体験してもらいます」
説明していた先輩が指を刺した方向には電話ボックスの3倍程度の大きさをした個室だった。
「あの個室は懺悔室といい、日々の悩みや罪を犯してしまった方達が訪れる場所です。皆様にはその方達の話を聞き、神の赦しを与えます」
なるほど、映画で見たことがあるが実際に見ることは初めてだった。なんでも懺悔室は相手に見えないように設計されているようで少し安心した。
「では1時間で一人ずつ交代していくので、まずはあなたから」
指名されたのは耳にチェーンピアスをつけていて、少し…というかかなり胸がでかい人だった。
「は、はい!頑張ります!」
彼女はそう言うと懺悔室に入っていった。
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あれから三時間ほど経っただろうか。
最初に懺悔室にいった彼女はひどく疲れたような様子で帰ってきた。
「お次は…そこのあなた」
おっと私が指名されたようだ。
懺悔室へ向かう途中、例の彼女がこっそり耳打ちしてきた。
「どうか……がんばって……!」
(なにがあった!?)
少し不安を抱えつつ、懺悔室へ入る。
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十分ほどして、扉の向こうから声がした。
「あの……よろしいですか?」
「はい、どうぞ」
相手の顔は壁で見えない。
「それで、今日はどういったご用件で?」
こんな感じでいいのだろうかと思いながら質問すると、彼女が意を結したかのように少し大きめの声で喋った。
「私は…どれだけダイエットをしようとしても間食がやめられないのです!」
「…」
飛び込んできた回答はかなり平和なものであった。
「ダイエット…ですか…」
「はい。自分では気をつけていても同僚の誘いであったり、お店で売っているものを見るとつい…」
正直その類の相談はその同僚に言えばいいだろうと思ったが彼女の声色的にすごく悩んでいるようだったので、少し頭を働かせた。
ダイエット、と言われても"僕"の頃では無縁のことだったためあまりイメージが湧かない。
一般的にはやはり運動するのが一番といわれているが…野菜を取るのも大事だろうか…
色々考えていくうちに何個かの案が思いついた。
「わかりました。今考えたものですが少し助言をしましょう」
「本当ですか!ありがとうございます!」
「運動や筋トレ、間食を控えるなど色々ありますが……大切なのは“自分の生活に合ったやり方を選ぶこと”だと思います」
「…なるほど」
よかった。納得してくれたようだった。
「…わかりました。一度家で計画を建ててみます。今日は本当にありがとうございました!」
「いえ、大丈夫です。あなたに神のご加護が在らんことを…」
彼女はどこかへ去っていった。
そして気がついたが、今のは神が必要だったんだろうか。
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「…ごめん、今大丈夫かな?」
「…どうぞ」
今日は人が多いのだろうか、一分も経たないうちにもう一人来た。
先ほどの人と比べとても聞き覚えがあるような…
「ちょっと相談したいことがあって」
「はい、お聞きします」
ここは相談所ではないのだよ。
相談ならもっと他を当たりたまえ。
「最近友達ができたんだけど、その子と距離を縮めたいっていうか…」
なんだその恋人みたいな相談は。
「色々試してみたんだけど…失敗しちゃって…」
「…失敗とは?」
「その子の家のドアとか窓を壊しちゃって…」
野蛮すぎないか、君。
「…つまり、アプローチしようとしても空回りしてしまう、と言うことですね?」
「うん…そうなの」
なんというか…その、空回りとかその次元じゃないと思うんだが私が同じ境遇なら怒り狂っていただろう。
「なるほど、話はわかりました。ちなみに最終的にはその方とどう言う関係になりたいのですか?」
「う〜ん…友達以上恋人以下?」
何だその微妙にわかりにくい例えは…
「なら自分の思いを直接話すのはどうでしょう」
「直接?」
「はい。自分の思いを相手に伝えることで誤解が解けるかもしれませんし何より、あなたがどう思っているかと相手も知りたがっているはずですよ」
その瞬間、壁越しでもわかるくらい顔が明るくなった。
「そうだね…ありがとう!シスターさん!私頑張ってみるよ!」
「はい。応援していますよ」
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その後も懺悔室を続けた。
「ヒェッヘッヘッヒヤアアアアア!!!」
「日本語を喋りたまえ!!」
「私の子供たちが行方不明で…」
「子供…とは…?」
「温泉があまり掘れなくて…」
「他学園は帰りたまえ!」
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「……ふぅ。やっと、終わりかな」
最後の一人が去った後、私は懺悔室の椅子に深く背を預けた。 たった一時間。しかし、トリニティという学園の「悩み」の多様さに翻弄され、頭の中はすっかりかき乱されている。
外に出ると、聖堂の中はオレンジ色の夕刻の光に満たされていた。 静寂が戻った空間の奥、祭壇の前に、一人の女性が背筋を伸ばして立っている。サクラコだ。
彼女は私が部屋を出たことに気づくと、静かにこちらを振り返った。
「お疲れ様でした、セイアさん。……体験初日、いかがでしたか?」
「……言葉にするのも難しいよ。まさか、あんなに多種多様な……その、個性的な方々が来るとは思わなかった」
私が答えると、サクラコは少しだけ口角を上げ、慈微笑みを浮かべた。
「ここは、心の重荷を下ろす場所ですから。……ですが、中から聞こえてきたあなたの言葉は、どれも真剣で、救いに満ちていたように感じましたよ」
「……買い被りだよ」
私は歩み寄り、彼女の隣で足を止めた。 高い天井を見上げると、ステンドグラスを通り抜けた光が床に複雑な模様を描いている。
「サクラコ。……これで終わりだろう? ならば、約束通り……君が言っていた"転生"についての情報を聞かせてもらいたいんだが」
私が核心を突くと、サクラコは視線を祭壇へと戻した。
「ええ、分かっています。ですが……あいにく、その情報が記された書庫の鍵は、大司教の承認が必要でして。まだ全ては確認できていないのです」
「そうか……」
「しかし、ちゃんと約束は守ります。それがシスターフッドと言うものですから」
私はサクラコのその言葉を聞いた後、自室に帰った。
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サクラコはその場を後にしてもなお、先ほど耳にした言葉を頭の中で反芻していた。
「……テンセイ、ですか」
彼女の口から零れたその言葉は、冷え切った廊下の空気に溶けて消えた。 シスターフッドの長として、数多の神学書や禁書に目を通してきた自負はある。だが、その文脈で語られた言葉は、彼女が知る「魂の救済」や「輪廻」といった教義的な意味とは、決定的に何かが異なっているように感じられた。
もっと異質で、もっと……この世界の理そのものを揺るがすような響き。
サクラコは胸元に手を当て、目を閉じる。もしそれが文字通り「別の生」を意味するのであれば。そして、その断片がこのキヴォトスの地に現れているのだとしたら。
「……いえ。今はまだ、推測の域を出ませんね」
彼女は小さく首を振った。 サクラコは静かに歩き出し、ステンドグラスから差し込む光に目を向けた。その横顔には、未知の事態に対する不安と、真実を追い求めようとする強い意志が同居している。
今はまだ、その輪郭すら見えない。 けれど、彼女は直感していた。この件は、いずれ自分たちが向き合わねばならない大きな運命の欠片であるということを。
「また今度、何か分かったら教えることにしましょう。 ……それが、私にできる誠実な対応ですから」
そう自分に言い聞かせるように呟くと、彼女は聖堂の奥へと消えていった。 彼女がその「転生」の真実に辿り着き、驚愕に震えることになるのは、もう少し先の話である。
TS転生セイア
頭脳の良さが評価された。
間接的に多くの原作キャラと出会っているのだが、彼女はまだ知らない。
なぜか翌日にミカかあお出かけのお誘いを受けた。
歌住サクラコ
セイアはシスターフッドとしての才能があるため勧誘した。
胸がでかい同級生
セイアと同じ目にあった。それでもシスターフッドには入ろうと思っている。
実はセイアを慕っている。
Hさん
ダイエットに勤しんでいる正義実現委員会。
シスターさんの助言で体重が改善されたためまた感謝を言いに行きたいと思っている。
Mさん
友達以上恋人以下の友達にどこかに出かけようと提案した。
Tさん
「自分から人が遠ざかって行くのはなぜか」と相談した。
Uさん
図書館の本ははセイアの助言で見つかったらしい。
Mさん
他学園に侵入したことでトリニティに捕まったらしい。
誤字報告助かってます!
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話をアビドス編まで
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