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「今日は平和だ」
私は紅茶を飲みながら窓の外を見ていた。
外は小鳥たちがさえずり花が咲き乱れている。
そんな平和なひとときも、
バンッ
「おっはよーうセイアちゃん!」
ミカに壊されてしまった。
「ミカ、入室するときはノックしろとあれほど…」
「ごめんごめん…」
私がくどくどとミカに説教をかますとミカが突然立ち上がった。
「それでね!今日、セイアちゃんの寮に来た理由は!ボランティア活動があって…」
ミカがこちらに走ってきたがその途中には山積みになった本が
「ミカッ!あぶな
ガタッ
ミカは案の定山積みになった本に転けてしまった。
が問題はそこではない。
「ミカ…?」
ミカがこけた勢いで私を押し倒していた。
「セイアちゃん!?いや、これは違くて…」
ミカが赤面になって慌て始めた。
私もミカの奇行に困惑していると、
「ミカさん?セイアさん?」
扉の方で誰かが声を上げた。
ミカに押し倒されながら扉の方を見てみると、ナギサがあんぐりとした顔でこちらを見ていた。
「ナギサッ!これは違
「ミカさんとセイアさんってそう言う関係だったんですね!邪魔してごめんなさい!」
ナギサが赤面になりながら私の部屋を出ていった。
残されたのは私と虚な目をしながらこちらを見ているミカだった。
「セイアちゃん…」
そして二人は……………
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「ハッ!…夢…か…」
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百合園セイアの朝は早い。
最近見るようになった予知夢や明晰夢にうなされるため朝五時に強制的に起こされる。
朝はどうにも起きる気がしないのだ。
しかも髪の毛の手入れや耳のケアをしなくてはならない。
"僕"は当然ケモみみなんて生えていなかったし、そもそも女の子でさえなかったため初めてと言うこともあってかとてもこれらに時間がかかる。
(今日の夢はまた…)
予知夢もこの先の展開や私の運命について見せてくればいいというのに、先ほど見たような変な予知夢ばかりを見る。というか真面目なものを見たことがない。
(しかし…この夢は…)
この夢は見ておいて良かったかもしれない。
このまま行ったらナギサに勘違いをされどうなるかわかったもんじゃない。
私は床に散らばった本を片付けた。
(さて、時間的にも…)
私は扉の方をチラッと見た。
バンッ
「おっはよーうセイアちゃん!」
案の定ミカが元気よく扉を開けた。
「ミカ、入室するときはノックしろとあれほど…」
「ごめんごめん…」
夢で私が言った通りに説教をすると、ミカが突然私のところへ走り出した。
今回は本を片付けているのでコケることはない。
「それでね!今日、ボランティア活動があって、セイアちゃんも一緒にどうかな?」
ミカがそう誘ってきた。
「ボランティアとはどんな?」
「んーとね…学園前の草むしりとか…」
草むしり…ちょっとお嬢様学校のトリニティには似合わない活動だ。 体力も使うし、あまりやりたくはないが、ずっとインドアでいると体が鈍りそうだし、外に出るのも悪くないか。
「…少しだけなら、私も参加しよう」
「ありがとう!セイアちゃん!」
ミカは私の手を握った。
その現場を後から来たナギサに見られ勘違いされかけたのは別のお話…
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「いや〜結構疲れたね、セイアちゃん」
「そうだね…」
私は講義が終わった後、ミカと共に草むしりを終え散歩をしていた。
今日はとても天気が良く、散歩日和とも言える一日だった。
「そうだ!前一緒にショッピングに行ったでしょ?どうだった?」
「ああ、あれか…突然で少しびっくりしたがとても良かったよ」
「ほんと!?ありがとう!」
シスターの仕事をした翌日に何故かミカから急にショッピングのお誘いが来たときただひたすらに困惑したということを覚えている。
確か、私がミカにアクセサリーを買ってあげたらものすごく喜んでいたことが印象に残っている。
そんな思い出に浸っていると(浸るほどの思い出でもないのだが)
ピンポーンパーンポーン
『百合園セイアさん、百合園セイアさん。トリニティの応接室にお越しください。繰り返します…』
何故か呼び出しのチャイムが鳴った。
「セイアちゃん、何か悪いことでもやったの?」
「いや、やってないが…」
応接室ということは私あてに誰か来ているのだろうか。
「とにかく、行って来なよセイアちゃん」
ミカが私にそう言った。
正直ミカは"私も一緒に行く"とかなんとか言いそうだったが意外にそんなことはないようだ。私はミカに見送られながら応接室に向かった。
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私はトリニティの応接室についた。
しかし、部屋の中には誰もいないようで一瞬部屋を間違えたのかと思ってしまった。
私が待つこと十分、ティーパーティの傘下の服を着た先輩が部屋に入ってきた。
「百合園セイアさんですね、今からあなたに会いたいと言う人物がいらっしゃっているのですぐにお呼びします」
先輩は部屋を出てその人物を呼びに行った。
私はその間にいくつか候補を立てていた。
会いたいと言っているくらいなら、百合園家の人物や、シスターの仕事を手伝っていた時のお礼など。
真っ先に候補から外したのは原作キャラだろう。
まず、私は関わりを持つようなことは一切していない。
それに、私とあったところでメリットはないだろうと思ったからである。
ガチャ
扉が開いた。
私は扉の方を振り向いた。
そこに立っているのは大きな翼が生えた…
とかではなく、ゲヘナ特有の角を持った人物だった。
(は?)
私は呆然とした。だって彼女は、ただのゲヘナの生徒ではなく…
「その様子なら知っていると思うけど…ゲヘナの風紀委員所属、空崎ヒナよ。よろしく」
後の風紀委員長だったからだ。
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「…して、なぜ風紀員がここに?」
私がそう聞くと彼女が口を開いた。
「前、あなたがシスターの体験をしていた時かしら。あなたも知ってるかもしれないけどうちの学園の問題児がそちらへ侵入したの」
前少しニュースになっていたことを思い出した。なんでも"温泉がある気がする"というだけで侵入した人がいるとか。
「それと何か関係が?」
「その人は侵入したはいいもののどこを掘ればいいか見当もつかなかったから懺悔室に訪れたそうよ」
どうやって聖堂まで行ったんだ。気づかれるだろ普通。
ツッコミを入れる空気ではないため、私は心の中でそう思った。
「懺悔室にいるシスターからのアドバイスをもとに掘ってみたら、見事に温泉を引き当てることができた、と言っていたわ。でも、掘ったところはもちろんトリニティ。ただ事では済まされないわ」
ヒナは淡々と告げた。
シスターを体験しているときに明らかに多学園が紛れ込んでいたことを思い出した。
確かに私は他学園とわかっていながらも彼女に色々なことを教えた覚えがある。
まさかそこまで事件になっていたとは…
「それで、ここに訪れた理由は?」
私が聞くと、ヒナが急に立ち上がり頭を下げた。
「!?」
「今回の事件でゲヘナはトリニティに迷惑と共に損害を与えてしまったことを風紀委員会の名において謝罪する」
ヒナがここへ来た理由は私たちへの謝罪ということらしい。
ゲヘナ側が悪いとはいえ、温泉開発部が起こした事件なのに各所に謝罪するのは風紀委員会しかもヒナのような一年にさせるのはどうかと思う。
やはりそういうところはどんな世界でも変わらないようだ。
「いや、謝らなくていい。悪いのは君ではない」
ヒナはそれを聞いて、少し目を見開いた。だが、言葉が見つからないようで、彼女はしばらく黙っていた。少し沈黙が続いた後、私が口を開いた。
「…お茶でもするかい?ちょうど用意できるものがあるんだ」
「お茶?」
「ああ、君もその隈を見るあたり相当疲れているんだろう?」
私がそういうと、ヒナがピクッと驚いた。
「気休めにはなると思うんだが…どうかな」
私がそう聞くと彼女はしばらく考えた。
「…ごめん、そこまでやる必要は…」
彼女がそう言った瞬間、
ギュルル…
ヒナのお腹がなった。
「朝から何も食べてなくて…ごめんなさい」
彼女は顔を赤らめながら早口でそういった。
「大丈夫さ。すぐに用意する」
私は急いでティーポットを温め、私はカップに紅茶を注いだ。
そして、ミカからもらった高級そうなお菓子を並べた。
「…」
ヒナはじっと私の顔を見た。
「どうしたんだい?私の顔に何かついているのか?」
「いや、そうじゃなくて…」
ヒナは一呼吸置いた後、意を結したように口を開いた。
「正直、珍しいなと思って」
「ふむ、珍しいとは?」
「トリニティの生徒でありながら、なんでこんなに優しくしてくれるの? ゲヘナの生徒だって、私たちにとってはどうしても敵対する存在なのに」
「もちろん、気を遣ってくれてるのは感謝してる、でもどうしても疑問に思ってしまって…」
ヒナは申し訳なさそうに言った。
この世界のトリニティとゲヘナの関係はやはり最悪のようだった。
私はなんて言おうかと考えた末にどこで見たのかは忘れたが一つの名言を思い出した。
「人を助けるのに理由なんているかい?」
「…!」
「トリニティとゲヘナがどんな関係にあったとしても、同じ人なのだからそう疑問に思うことじゃない」
「私が言えることはそれだけだね」
「…」
私がそう言った後、どちらも一言も喋らずにお茶会は終わった。
格好をつけすぎただろうか…と少し後悔してしまった。
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「じゃあ、このくらいでお開きとしようか」
「…そうね」
ヒナと共に二十分ほど静寂な時間を過ごした。
私がカップなどを片付けているとヒナが私の方を見た。
「百合園セイア」
「…なんだい?」
ヒナが静かに声をかけてきた。私はその声に振り向くと、彼女が一歩踏み出してきたことに気付いた。
「ありがとう。トリニティとゲヘナは分かり合えない存在と思っていたけど、そうでもないかもって思えた」
彼女は素敵な笑みを浮かべていた。
「次会えるのはいつかわからないけど、また」
ヒナはそう言った後、扉から出ていった。
残された私は少し心が温かくなるのを感じながら片付けを続けた。
ミカ「なんかセイアちゃんが他の女をたぶらかしてるじゃんね⭐︎」
「人を助けるのに理由なんかいるかい?」は一応実在する名言です。
あと、アンケートの結果"他学園を巻き込もう"という人が多かったので少しそっち方面で書いてみます。
今のアンケートは過去アビドス編までという感じです。
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話をアビドス編まで
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飛ばそう
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飛ばすな