喰種は無限龍神に寄り添う 【凍結】   作:-Msk-

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更新が遅れました。
最近睡眠不足でして………申し訳ないです。




四喰目 少年

 クラマが目を覚ましたのは、あれから一夜が明けてからだった。今まででは考えられないほどの熟睡。環境の違いがここまで影響したのだ。

 

 

「クラマ、起きた?」

「うん………久しぶりによく寝れたよ」

 

 

 ふぁぁぁ―――と、あくびをしながらつぶやくクラマ。もぞもぞと起き上がり、キョロキョロと辺りを見回した。

 

 

「あれ? 黒歌お姉ちゃんと白音ちゃんは?」

「下にいる」

「下………木の?」

「ん」

 

 

 先に目覚めていた黒歌と白音は小屋からでて、小屋の建つ木の根本にいるようだ。それを聞いたクラマはというと―――

 

 

「じゃあ今のうちに腕を………」

「ん」

 

 

 ―――食事を済ませようとしていた。

 

 クラマは自分の食性を知らない二人がいないうちに腹を満たして暴走しないようにしようと考えたのだ。

 

 オーフィスに差し出された腕を喰う。まずは指、次に手首、最後は肉の乗った腕。

 

 

「げふっ………ふぅ、ごちそうさま」

「ん」

 

 

 満面の笑みでごちそうさまを言うクラマと、それを無表情で受け止めるオーフィス。ここでクラマの食事の量が大幅に減っているのに気づいただろうか? 

 

 今までは一回の食事につき、人間をまるまる一人喰っていた。だが今はどうだろうか? オーフィスの腕一本にまで減っている。だが、よく考えると当然の結果なのかもしれない。

 

 今まで喰らっていたのは普通の人間。今喰らっているのは無限の龍神。差は歴然だ。

 

 ―――オーフィスの腕一本>普通の人間一人

 

 この式が成り立っている。それだけオーフィス―――無限の龍神はRc細胞の塊だという事だろう。

 

 さらにクラマは次元の狭間で一度、無限の龍神オーフィスの翼と夢幻の龍神グレートレッドの翼を出現させた。僅かだがオーフィスと同じ遺伝子がある故に、同じ遺伝子を少量喰らうだけで済んでいるのかもしれない。エネルギーへの変換効率が凄まじく良いのだろう。

 

 ガタ―――と、ドアを開ける音と同時に黒歌と白音が小屋に入ってきた。二人は目を覚ましたクラマを見つけると、一目散に駆け寄った。

 

 

「やっと起きたにゃん」

「………お寝坊さんです」

 

 

 黒歌がクラマの背中に抱きつきながら、白音はそんな二人の姿を見ながら冷静に言う。

 

 

「うわぁ!? 黒歌お姉ちゃん………苦しいよぉ………」

「にゃはは、ごめんごめん」

 

 

 まったく悪びれた様子がなく、さらにクラマを抱きしめていく。そのせいでクラマはたわわに実った黒歌の母性の象徴に顔をうずめることになる。そして呼吸ができなくなり―――

 

 

「いい加減に………しろっ!!」

「にゃふん!?」

 

 

 ―――黒歌を蹴り飛ばした。

 

 上半身がホールドされているのなら、下半身を使えばいいじゃない♪ ―――という、某国の王妃が如く発想だ。

 

 上半身がホールドされているといるので腕を使っての脱出はできない。残るは下半身―――脚だ。だから黒歌を足蹴りにした。だがここで思い出してもらいたい。クラマは人間ではなく喰種(グール)であると。黒歌は人間の四から七倍の筋力で蹴り飛ばされたのだ。普通なら無事で済むはずがない。はずがないのだが―――

 

 

「もうっ!! 照れ屋さんなんだから」

 

 

 ―――ものともしていなかった。

 

 これにはクラマも顔をゆがませた。だが、それと同時に安心した。蹴り飛ばした黒歌がバラバラになっておらず、五体満足で存在していると。まぁ涎を垂らしそうなほどニヤけきった表情をしている誰でもそう思うかもしれない。

 

 あらためて向き合ったクラマとオーフィスのペアと黒歌と白音の姉妹。それは会話が始まる合図だった。会話の内容は黒歌と白音のこれからだ。

 

 クラマとオーフィスの意見はこのままここに居てもいい。むしろ居てくれ―――というものだった。黒歌の猫耳と猫尻尾を触ることができたが、白音のはまだだ。黒歌のものはかなり触り心地が良かった………また触りたい―――という思いがあったのだろう。オーフィスに関してはクラマが同意したのだからそれでよい。その程度だろう。

 

 それを聞いた黒歌は迷惑になると言って断った。だがもちろんクラマはそれを良しとしない。猫耳と猫尻尾は僕のものだ!! 何人(なんぴと)たりとも触らせない!! ―――そんな言葉が頭に浮かんだ。

 

 ここで炸裂したのが「お姉ちゃん」と言う言葉だ。クラマに「お願い………黒歌お姉ちゃん」と、上目遣いで言われた黒歌は「もちろんにゃん!!」と、即答した。そんな黒歌と見て「黒歌姉さま………」と呟きながら白音がジト目をしていたのは誰も知らない。

 

 呼吸を整えたクラマが言う。

 

 

「これからよろしくね、黒歌お姉ちゃん、白音ちゃん」

「よろしくにゃん♪」

「………よろしくお願いします」

 

 

 弾んだ声で黒歌が、控えめの声で白音が返事をした。黒歌に関しては性懲(しょうこ)りもなくまたクラマに抱きつこうと、機会をうかがっているようだ。若干頬が赤く染まっており、息づかいが荒いことは気にしないでおこう。

 

 クラマの容姿は幼い。というか、年齢が年齢だ。この世に生を受けて七年余り、まだ二桁にも達していない。そんなクラマを見て頬を染めている黒歌の性癖はとても特殊なものなのだ。いわゆる、ショタコンというやつだ。

 

 ショタコンとは、少年を対象に抱く愛情・執着のことである。またはそのような感情や好みを持つ者のことを指す造語ことだ。ショタコンの好みの対象―――つまり少年は「ショタ」と呼ばれる。

 

 そんな容姿のクラマに対して、黒歌の容姿はとても成熟している。第二次成長期を迎えたその身体にはたわわに実った母性の象徴―――つまりおっぱいが存在している。腰はきゅっとしまっており、お尻も下品ではないほどに大きい。言い方は悪いが、オーフィスや白音のツル・ペタ・ストンの幼女体型とは違う。ボン・キュッ・ボンなのだ。

 

 そんなグラマーな黒歌が少年(ショタ)であるクラマを見て頬を染める………若干犯罪臭がするのは気のせいではないだろう。だが薄い本が夢盛りになるのは間違いない。これは断言できる。

 

 

 

†††

 

 

 夜になった。あれだけ森を照らしていた太陽は沈み、辺りは漆黒の闇に包まれた。今日は雲が多く、星を観測することができない。

 

 日中にしたことと言えば、日常生活に必要な設備が一切ない小屋のリフォームだ。小屋のリフォームは、黒歌が落ち着きを取り戻してから始まった。

 

 まず始めに最低限必要な設備をそれぞれが提案していった。提案されたものは、ベット、ソファ、テーブル、キッチン、トイレ、バスルームだ。

 

 ベット、ソファ、テーブル、キッチンに関しては小屋を創ったときと同様にオーフィスが魔力で創った。ただ、創られた設備全てに蛇の意匠があったことに黒歌と白音は首を傾げていた。

 

 キッチン、トイレ、バスルームに関しては………これまたオーフィスが頑張った。基礎をオーフィスが魔力で創り、水源に関してはオーフィスが創ったパイプを次元の狭間を経由して、住宅街にあるパイプとドッキングさせることで解決した。問題があるとすれば、水道会社のもうけが減ってしまうという事だろう。

 

 その設備を使い、黒歌は夕食をつくってみんなに振る舞った。もちろん、クラマは一口も食べていない。食べらたら吐き出してしまうのだから食べられるはずがない。

 

 クラマが一口も夕食を食べないことに疑問を持った黒歌がクラマに疑問を投げかけた。それに対してクラマは、少し戸惑ったが意を決して全てを黒歌と白音に話した。自分が喰種(グール)という化物だということ。食性が人間に限られていることを。

 

 それを聞いた黒歌の反応はというと………特にこれを言ったものはなかった。それがなにか? 別に関係ありませんけど? ―――そんな感じだった。白音には少し警戒していたが、オーフィスがいることによって自分が捕食対象にならないことを知るとホッ、と息を吐き出して警戒の色を消した。今では普通にクラマを会話やスキンシップをしている。

 

 だが自分が()()()捕食対象にならないという保証はない。それに気づいていないのだろう。黒歌も、白音も。オーフィスがクラマのそばにいる限り、黒歌と白音が捕食対象になることはありえないだろう………多分。

 

 食事に関しての問題は解決されたが、もう一つ問題が浮上した。寝床だ。

 

 オーフィスがベットを二つ創ったのだ。一つはクラマとオーフィスが寝るもの。もう一つは黒歌と白音が寝るもの。これに文句を言う者が現れた。―――ショタコンである黒歌だ。

 

 黒歌は全員一緒に寝ることを想像していたらしい。クラマにあんなことやそんなことをする想像をしていたらしい。―――顔がニヤけて、よだれが垂れかかっていることからわかる。

 

 オーフィスはクラマの隣りで寝れるのなら問題ないと言った。白音は黒歌と寝れるなら問題ないと言った。そして肝心のクラマはと言うと―――

 

 

「い、イタズラしないんならいいよ」

「―――ッ!!」

 

 

 息を―――呑んだ。上目遣いで自分を覗き込みながら言われたのだ。ショタコンの黒歌からしてみればごちそうだ。意識が飛びかけたが、それを必死にとどめた。

 

 

「わ、わかったにゃん………」

 

 

 かろうじて黒歌は返事をすることができた。だが内心はクラマの上目遣いを脳内フォルダに保存するのに必死だった。また………すばらしいものを見てしまったようだ………

 

 黒歌はオーフィスに頼み、二つのベットを一つに融合してもらった。手をベットにかざして魔力を放出するだけの簡単な作業―――だがそれはオーフィスがやるからであって、普通の者はそうとはいかない。

 

 食事も終えた、ベットメイキングもした。残るのは―――湯浴みだ。

 

 クラマは前回と同じようにオーフィスと一緒に入ろうとした。だがそれに待ったをかけた者がいる。―――黒歌だ。もういい加減にしてもらいたい。

 

 

「私も一緒に入るにゃん!!」

「えー………いいけど―――」

「やった!!」

「―――でも!! 白音ちゃんも一緒じゃないとダメ」

「もちろんそのつもりにゃん」

 

 

 何事もないように黒歌は即答した。それにはクラマも拍子抜けしてしまったが、特に気にせずバスルームへ向かった。

 

 

 

†††

 

 

 

 ザー、とシャワーから水が放水される音がバスルームに響く。だがそれ以上に響いているのがクラマと黒歌の声だ。

 

 

「えへへ、えへへ、ぐへへへへぇ♪」

「ひゃぁっ!? ちょ、黒歌お姉ちゃん!! や、やめてよぉ!!」

 

 

 黒歌が下品な声を出しながらクラマの身体をまさぐっている。プニプニの頬、プニプニの二の腕、プニプニの脇腹―――どこもかしこもプニプニだ。

 

 その少年(ショタ)特有のプニプニな身体をいじくりまわす黒歌の肌はものすごくツヤツヤしていた。顔はだらけきっており、その表情から黒歌の心境は簡単に読み取れた。

 

 だがクラマは限界だった。

 

 

「いい加減に―――」

 

 

 クラマが黒歌の腹を殴って気絶させようとした時だった。遂に………遂に無限の龍神が動いた。先に身体を洗い終え、白音と一緒に湯船につかってクラマと黒歌のやり取りを見ていたオーフィスが行動に出たのだ。

 

 悟られないように湯船からぬるっと立ち上がり、右腕ほ引き絞って―――前に突き出した。拳の先には黒歌の腹があった。

 

 

「うにゃぁっ!?」

 

 

 水月に拳を打ち込まれた黒歌は悲鳴を上げて壁にもたれかかり、ズルズルと背中を壁に擦りながらしゃがみこんだ。

 

 クラマの蹴りはクラマへの愛がある故に無効化できたが、オーフィスの拳は無効化できなかったようだ。

 

 

「な、なにする、にゃん………オー、フィス」

「クラマ、嫌がってた。だから止めさせた」

 

 

 そう言ってぺたんこの胸を張るオーフィス。

 

 オーフィスの胸がぺたんこなのはオーフィス自身がそうしているだけであって、天然物ではない。天然物のぺたんこな胸の持ち主は白音である。まぁ第二次成長期を迎えてないのだから仕方ないだろう。

 

 オーフィスはぬるっとしたどうさで湯船につかり、白音の近くにすり寄っていった。そんなオーフィスを迎え入れて、頭を撫でる白音。その姿はよくやってくれたと部下をねぎらう上司のようだった。

 

 黒歌の魔の手から抜け出すことができたクラマは、手早く身体についている泡をシャワーで流し、オーフィスと白音がつかっている湯船に入った。

 

 

「ありがとね、オーフィス」

「ん」

 

 

 お礼を言われながらクラマに抱きつかれるオーフィス。その表情は少し笑っているように見えた。

 




次の話はバトルになるのかなぁ(白目)

2015/01/21 
「普通の人間一人=オーフィスの腕一本。」→「オーフィスの腕一本>ふつうの人間一人」に変更。
「無限の龍神は力の塊だと―――」→「無限の龍神はRc細胞の塊だと―――」に変更。

2015/02/06 誤字修正。
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