喰種は無限龍神に寄り添う 【凍結】   作:-Msk-

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久しぶりの更新です。
やっとパソコンを購入しました。

長かった初期設定。
ものすごく長かったデータディスク作成。
イライラした対ウイルスソフトのインストール。

やっと終わった………ッ!!
ただキーボードの配置が若干変わったことによってタイピングの速度が減少。
慣れるしかないんだけどね。


五喰目 悪魔

 一夜が明け、目が覚めたクラマは現在の惨状を見て溜息を吐いた。

 

 右隣ではオーフィスが胸の上で手を組んで死人のように眠り、左隣では黒歌が腕に抱きついて眠り、その黒歌の隣りでは白音が小さく丸まって眠っている。身動きが取れない―――それが一番初めに思ったことで、次に黒歌が自分の手を太ももで挟んでいるのに疑問を持った。少し手が湿っているような気もする。

 

 

「にゃあぁん………んんっ………ぁんっ」

「……………………………………」

 

 

 黒歌の喘ぎ声を聞き取ったクラマは無言で動き出した。起きてる―――そう確信したのだ。

 

 左腕を極力動かさずに黒歌のマウントを奪う。そして右手で―――

 

 

「うりゃー!!」

「にゃにゃっ!?」

 

 

 ―――黒歌の腋をくすぐった。

 

 たまらず声を上げる黒歌。だがそれでやめるほどお人よしではない。しばらく腋をくすぐり続け一息つき、次は脇腹に手を出した。

 

 クラマ(ショタ)特有のプニプニな手で脇腹をくすぐられた黒歌は苦しい半分嬉しい半分。くすぐられて笑っているのとは別に、クラマからスキンシップされて嬉しくて笑っているのだ。

 

 クラマのくすぐりは黒歌が過呼吸気味になったところで終わりを告げた。黒歌は少し残念そうな視線を向けるが、クラマはそれを無視する。―――いや、気づいていない。もともとクラマの目的は黒歌の太ももから自分の右手を救出することだ。それが完了した今、黒歌に反応する必要ななかったのだ。

 

 

「クラマ、無事?」

「うん………どうにか」

 

 

 いつの間に起きていたオーフィスがクラマに声をかける。クラマは苦笑いしながらそれに答えた。

 

 

「黒歌姉さま………またクラマくんをいじめてたんですか?」

「い、いじめてないにゃん!! 今回はいじめられた側にゃん!!」

「………それなのにうれしいんですね」

「うっ………」

 

 

 白音も起きていたようで、クラマと黒歌のやりとりを見ていたようだ。

 

 妹の白音に先ほどのやりとりを―――しかもいじめられて喜んでいるところを見られた黒歌はうめき声を上げながら目を反らした。

 

 黒歌は決してMに目覚めたわけではない。ただクラマに自分の身体を触れられたのが嬉しかっただけなのだ。だから黒歌はめげない。めげずにクラマにスキンシップを―――おもにボディタッチを仕掛けるのだ。

 

 黒歌がクラマの身体をまさぐろうと動き出した時だった。

 

 

「オーフィス………一人?」

「ん。悪魔だと思う」

「悪魔………昨日のブサイクな人たちの仲間かな?」

「わからない」

 

 

 オーフィスからしてみれば、悪魔などどいつもこいつも同じなのだ。ただ魔力を使って攻撃してくるだけ。ただそれだけの存在で、気にする必要がない塵芥なのだ。中には飛びぬけて力のある者もいるが、それだけ。オーフィスが気に留めるような存在じゃない。

 

 オーフィスが現時点で認識しているのは、クラマ、朱乃、朱璃、黒歌、白音、グレートレッドだけだ。むしろこれだけいることが異常だ。ちなみにバラキエルを認識していない理由は、クラマに敵意を持って接していたからだ。クラマを敵視する奴を認識する必要は無いということだろう。

 

 クラマに出会う以前はグレートレッドしか認識していなかったのだ。それが今はグレートレッドを合わせて六人。クラマの影響は凄まじい。

 

 くるりとオーフィスの方から黒歌と白音の方へ向き直る。顔に映し出されていた表情は無だった。

 

 クラマの纏う空気が―――変わった。普段のほのぼのした雰囲気から、(しょくりょう)を喰らうソレへと。

 

 

「黒歌お姉ちゃんと白音ちゃんはここにいてね。―――片付け(たべ)てくるから」

「わ、わかったにゃん」

「………わかりました。気をつけてください」

 

 

 少しどもりながら黒歌が、いつも通りに白音が言う。それを確認したクラマは一人で小屋から出て行った。オーフィスはついて行こうとしなかった。

 

 オーフィスが小屋から離れると、黒歌と白音を護る者が誰一人いなくなってしまう。それをわかっていてクラマは一人で悪魔を喰らいに行き、オーフィスはそれを理解して小屋に残った。

 

 オーフィスだって本当はついて行きたいのだ。自分の居場所をつくってくれたクラマの手伝いをしたい。隣りにいてクラマに降りかかる攻撃を全て自分が受けて傷つけたくない。だがクラマに頼まれたのだ。それを違えるわけにはいかない。だからオーフィスは小屋に残った。

 

 

 

†††

 

 

 

 小屋の外に出たクラマは、木の上から悪魔の力量を測っていた。

 

 気配を周囲と同調させ、相手に自分の存在を気づかれないうちに後ろから喰らう―――この方法でクラマは今まで人間や喰種(グール)を喰らってきた。

 

 今回はその応用だ。気配を周囲と同調させ、相手に自分の存在を気づかせない。そして相手の力量を測る。オーフィスやグレートレッドよりも弱いのは確実だが油断はできない。

 

 そこにいたのは、無駄に豪華な装飾がつけられたマントを羽織っている男だった。顔に張りつけられた表情からは、好戦的なものが見て取れた。

 

 クラマは懐からマスクを取り出して被った。

 

 マスクは、喰種(グール)が捕食行動の際に着用する仮面のことだ。身元を隠し、日常生活を守るために使用する。喰種(グール)捜査官に遭遇する可能性がある場合は必須だ。一般的には口元を露出させたドミノマスクが基本であるが、あんていくという喫茶店のメンバーは口元まで覆っているタイプを着用しているものが多い。本来の目的と矛盾した個性的なマスクが好まれており、喰種(グール)対策局でもマスクの目撃証言を元に呼称を付ける例も多く見られる。

 

 クラマの被ったマスクは狐面を模したものだ。白を基調とし、ところどころに紅や金などで意匠が施されている。使用する赫子かぐねが九本の尾赫びかくなので、九尾の妖狐のようだ。事実、クラマは喰種グール捜査官に『フォックス』と呼ばれていた。見たそのままだが、何よりもクラマを表している。

 

 マスクを被り終えたら木から飛び降り、男の前に佇んだ。目の前にクラマが現れたことによって、男の纏う雰囲気が、探索を主に置いたものから戦闘を主に置いた物へと変質する。それに応じてクラマも尾赫びかくを一瞬で生やせるよう準備をした。

 

 

「ここに何しに来たの?」

「貴様………()()?」

 

 

 男はクラマに「何だ?」と問う。「何者だ?」と問わなかった理由は、男が今まで出会った種族のどれにも当てはまらなかったからだ。人型をしたナニカ―――それがクラマへ対する第一印象なのだ。

 

 神、天使、堕天使、悪魔―――エトセトラエトセトラ。今まで出会ったありとあらゆる種族を思い返しても目の前にいるクラマに当てはまる種族が見つからなかった。

 

 

「質問してるのは僕だよ。何しにここに来たの?」

「ガキが………殺されたくなければ―――」

 

 

 男が質問に答えないと察した瞬間、クラマは尾赫(びかく)を一本生やした。そして尾赫(びかく)を男に向かって伸ばす。

 

 

「―――ッ!?」

 

 

 自分に向かって伸びてくる尾赫(びかく)を見て息を呑んだ男。当たり前だ。初めて見る得体のしれない赤黒いものが自分に向かってくる―――警戒しないはずがない。

 

 男は魔力弾を五つクラマに向かって放つ。だがその魔力弾は鞍馬に届く前に尾赫(びかく)薙ぎ払われた。―――というよりも捕食された。それを見て目を見開く男。まさか魔力弾が喰われるとは思わなかったのだろう。いや、誰も魔力弾を喰うなどとは考えない。当然の結果か。

 

 

「もう一回だけ聞くよ。ここに何しに来たの?」

「………オーフィスの力を貸りるために来た」

「残念だったね。オーフィスは力を貸してくれないよ」

「ガキが………ッ!! 黙って従っていると思っていい気になるな!!」

「はぁ………いい加減帰ってよおじさん。じゃないと喰うよ?」

 

 

 そう言った瞬間、クラマの纏う雰囲気が変わる。今までのポワポワとした柔らかいものから、ヒヤリとした鋭いものに。話を聞くことをやめ、相手を喰うために。一切の容赦をせず、一方的な捕食をするために。

 

 尾赫(びかく)の数が一本から三本に増えた。それは死刑執行―――いや、捕食実行の合図。三本がそれぞれ独立して男目がけて伸びていく。一本は下から地面を抉るように、残りの日本は右斜め上と左斜め上から。

 

 男はそれを見て驚くが、すぐに対応をし始めた。地面の抉るように迫ってきたものを足で蹴り飛ばそうと、足を振るった。―――が、それは悪手だ。

 

 少し前のやり取りを思い出してもらいたい。放った魔力弾は尾赫(びかく)触れた瞬間、喰われたことを。それと同じことが今度は魔力弾ではなく男の足で起きる。尾赫(びかく)を蹴り飛ばそうと振るった足は尾赫(びかく)に触れた瞬間喰われた。膝から下がなくなったのだ。

 

 脚を失った膝からは血が滝のように流れている。あと数分経てば血の水溜りができるほどだ。

 

 

「ぐ、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

 たまらず叫び声をあげる。当たり前だ。誰だって身体の一部を喰われれば、痛みが全身に走って叫ぶだろう。だが、そんな男の姿を見ても一切手を緩めないのがクラマだ。

 

 いつもそうだった。自分の命が危うくなると態度をコロッと変えて命乞いをする。そして見逃すとすぐに攻撃をして命を奪おうとしてくる。故にクラマは戦闘中、敵対した者に一切の慈悲を絶えない。敵対したら最後、完全に喰いきるまで尾赫(びかく)を振るう。

 

 だから―――

 

 

「ま、待て!! 降参だ!! 今すぐ帰―――」

「うるさい」

「―――ぎゃああぁぁぁぁぁ!?」

 

 

 ―――降参する、今すぐ帰る。そう言った男目がけて尾赫(びかく)を振るう。

 

 最後の抵抗とばかりに魔力弾の乱れ撃つが………それも無意味だ。魔力弾は尾赫(びかく)に触れただけで喰われる。そして魔力弾がなくなれば残るのは男だけ。結果、男に尾赫(びかく)が突き刺さり、喰われた。その様子は掃除機がゴミを吸い取られるようだった。

 

 男を喰ったクラマは首をかしげながら言う。

 

 

「なんでこの前食べたブサイクよりおいしいんだろ………同じ悪魔なのに」

 

 

 なんというか………喰種(グール)特有の感想だ。

 

 前回食べた悪魔より美味だったのは、魔力の質が関係してくる。前回食べた悪魔は上級悪魔とはいえ下の下だ。いわば、最底辺の上級悪魔だ。家柄がいいだけで大した能力もない。その上魔力の質も量もゴミ屑ときた。そんな悪魔が美味いはずがない。

 

 対して、今回食べた悪魔は最底辺の上級悪魔とはわけが違う。上級悪魔でも最上級。悪魔たちを()()()()()()()()血筋。その血筋特有の魔力の質と量。これだけの条件がそろって美味いくないわけがない。

 

 クラマが喰った男の名はクルゼレイ・アスモデウス。―――()()()の一人だ。

 

 

 

†††

 

 

 

 後始末を終えたクラマは小屋に戻ってきた。ただ、黒歌に抱きかかえられて身体中をまさぐる―――もとい、検査されていた。傷が一つもないことを確認したらすぐに開放するかと思いきや、自分の膝の上に座らせて後ろから抱きしめた。クラマも特に反抗せず、なされるがままだった。

 

 ただ、そんな和やかな時間も長く続かなかった。

 

 

「また………?」

「ん。さっきと同じくらい」

 

 

 クラマのつぶやきにオーフィスが反応する。そのまま玄関扉を見ながら言った。

 

 

「そこにいる」

 

 

 瞬間、オーフィスが右手を掲げた。そしてその右手から魔力でできた蛇が生まれ、玄関扉の方へスルリスルリと音を立てずに近づき―――

 

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!?」

 

 

 ―――玄関扉の外にいた女を捕縛した。オーフィスが右手をクイッとすると、蛇が女を捕縛したままオーフィスのもとへスルリスルリと動く。女をオーフィスのもとに届けたのだ。

 

 女を見ながらオーフィスが言う。

 

 

「クラマ、殺す?」

  

 

 オーフィスがそう言った瞬間、蛇に捕縛されている女が「ひっ」と短く悲鳴を漏らした。

 

 

「うーん………とりあえず話を聞いてみようよ。今度のお姉さんはさっきのおじさんとは違って話してくれそうだし」

「わかった」

 

 

 クラマとオーフィスのやり取りを聞いていた女はホッ、と息を吐いて安心した。

 

 

「お姉さん、なんでここに来たか教えてくれるよね?」

「も、もちろんです。私より先に男が来たと思うのですが―――」

 

 

 女が話し始めたのを確認すると、黒歌はクラマのことを後ろから抱きしめた。それを羨ましそうにオーフィスが見ていたとかなんとか。

 

 クラマからしてみれば女の話は心底どうでもよいものだった。

 

 女―――グレイフィア・ルキフグスは魔王の一人、サーゼクス・ルシファーの妻であり『女王(クイーン)』だ。『女王(クイーン)』というのは悪魔が作り上げた転生システム―――『悪魔の駒(イービル・ピース)』の駒の一つの名だ。

 

 チェスの駒を模した『悪魔の駒(イービル・ピース)』はそれぞれ『(キング)』が一つ、『女王(クイーン)』が一つ、『戦車(ルーク)』が二つ、『騎士(ナイト)』が二つ、『僧侶(ビショップ)』が二つ、『兵士(ルーク)』が八つある。それぞれの駒にあった能力―――例えば『戦車(ルーク)』なら攻撃力と防御力の底上げ。『騎士(ナイト)』なら速度の底上げ。『僧侶(ビショップ)』なら魔力の底上げをできる。

 

 駒の持ち主である『(キング)』の潜在能力高ければ高いほど駒の価値は上がり、眷属にできる者の強さ変わってくる。それに加えて、一人当たりに使う駒の量も変わる。

 

 極稀に『変異の駒(ミューテーション・ピース)』という、一つで数個分の駒の役割をする駒が現れる。―――が、そんなことは滅多にない。一つで持つことができたら御の字だ。

 

 魔王であるサーゼクスの『女王(クイーン)』ともなれば、かなりの実力者なのがわかる。だがそんな実力者でも無限の龍神であるオーフィスの前では無力だ。玄関扉の前であっけなく拘束されたのがいい例だろう。

 

 グレイフィアが小屋に来た理由は、旧魔王の魔力が大量に放出されたのを確認したからだ。旧魔王派は現魔王派へクーデターを仕掛けようとしている。それを防ぐため―――でもあるが、『(キング)』であるサーゼクスに、捕縛を頼まれたのだ。

 

 捕縛をしようと魔力を感知したこの場に来てみれば件の人物はどこにもいない。あるのは木の上にポツンと建っている小屋。ここで何があったのか聞くためにこの小屋に来たというわけだ。そして玄関扉の前でオーフィスに拘束されて今に至る。

 

 グレイフィアの話を聞き終えた皆の反応は全員違っていた。

 

 オーフィスは相変わらずの無表情。黒歌は少し震えながらクラマを抱きしめている。白音は何のことだからわからないようで、キョロキョロと皆の表情をうかがっている。そしてクラマはというと―――

 

 

「ふーん………まぁ僕には関係ないね。はやく帰ってお姉さん」

 

 

 ―――相変わらず興味がないことにはとことん冷たかった。

 

 クラマの返答を聞いて焦ったのはグレイフィア。ここまで理由を話して収穫ゼロでした、というわけにはいかないのだ。わざわざ冥界から、しかも魔王の傍から離れてまで人間界に来たのだから。

 

 

「ま、待ってください!! せめて私が追っている男の行方だけでもお教えいただけないでしょうか?」

「もう喰べちゃった。これでいい?」

「は………? た、喰べた?」

 

 

 目をパチクリさせて聞き返すグレイフィア。それに対してクラマはお腹をさすりながら言う。

 

 

「そう。お腹のなか。最高――までとはいかないけど、なかなかおいしかったよ」

「…………………………」

 

 

 無言でクラマの顔を見つめるグレイフィア。その頬には冷や汗が一筋の跡をつけている。

 

 確かにクラマのことを何も知らない悪魔が、悪魔と食べました―――と目の前の少年に言われたらこういう反応になるだろう。………まぁ黒歌や白音という例外も居るが。

 

 

「もう帰ってくれるでしょ?」

「はい―――と、言いたいのですが最後に一つだけ」

「なに?」

「なぜオーフィスがここに居るのでしょうか?」

 

 

 無限の龍神であるオーフィスがこんなところで何も理由がなく少年少女と一緒に暮らすはずがない。グレイフィアはそう考えたのだ。

 

 クラマが口を開こうとしたのを手で制し、変わりにオーフィスが言った。

 

 

「クラマ、我の帰る場所。大切」

「帰る場所ですか………次元の間はいいでのすか?」

「ん。次元の間より暖かい。楽しい。」

「そう、ですか………なら―――」

 

 

 グレイフィアは何かを決心したような表情で続けた。

 

 

 

†††

 

 

 

 話を終えたグレイフィアが小屋から出ていったのを確認し、黒歌はクラマを改めて抱きしめた。その身体は恐怖からか少し震えていた。

 

 グレイフィアが出した提案―――それは住居、戸籍、生活資金の提供だった。小学生や中学生に値する年齢の少年少女にこの環境は辛い。今回の襲撃の件の礼の意味を込めて、というわけではない。

 

 今回の一件を通してオーフィスとコネクションを持てればという思惑があった。こんな得体は知れないが、こんな少年にそこまでは読めないだろう―――そう高を括ったのだ。だが甘い。

 

 今まで散々ドロドロと黒いモノが渦巻く世界で生きていたクラマが、()()()()()()()に気づかないはずがない。もちろん申し出は拒否した。まず前提として、黒歌と白音をあれだけボコボコにしていた悪魔を信用できるはずがなかったのだ。

 

 拒否されたのが予想外だったのか、一瞬ビシッと固まったグレイフィアだったが、すぐに立て直した。何とか表情を取り繕って小屋を後にした。

 

 それを見送ったクラマたちはというと―――

 

 

「クラマは相変わらずにゃん♪」

 

 

 ―――とりあえず黒歌がクラマの正面に回ってクラマを抱きしめていた。

 

 クラマも今回は甘んじてそれを受けていた。正直、眠いのだ。興味のない話をグダグダと聞かされ、質問され、腹黒さを見せつけられたのだ。イラついているのだ。黒歌もそれを察したのか、抱きしめるのをやめてクラマを横抱きにした。そしてそのまま別途まで連れていき寝かせ―――その隣に自分も横になった。

 

 それを見たオーフィスの行動は早かった。無限の龍神の規格外な脚力を使って跳躍し、見事クラマの隣に着地。そのまま横になり、クラマの腕を抱きしめながら眠りについた。

 

 白音はおとなしいもので、静かにベットに近づいて、静かに黒歌の隣に横になった。

 

 部屋がシーンと静まり返った。聞こえるのはクラマたちの寝息のみ。しばらくは寝息しか聞こえなかった。

 




二人目のお姉さん、なんとなく予想できますよね?
今話を経て物語は原作入りします。

ただこの作品、そこまで長編にならなそうです。
二桁章いくのかな………?

2015/02/06 文章修正。

2015/02/07 脱字修正。

2015/02/09 加筆修正。
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