劇場版クレヨンしんちゃんのお助けヒーロー   作:eeeeeeeei

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『雲黒斎の野望』
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∞──∞──∞

 

 

 

「あー、もったいない事したよなぁ………」

 

 後悔しても、もう遅い。

 次の仕事はまたすぐに舞い込んでくる。

 

 でも、本当に惜しいことした。

 あんな良い女性に出会える事なんて、そうそう来るもんじゃない。

 人生の伴侶として、全くもって申し分ないほどにルルはサイコーだった。

 

 

 とはいえ、可能性は低いが彼女自身【逸脱】しかけている。

 ハブからはその力を回収したので問題ないが、ルルからはシテナイ。

 むしろそんな事を仄めかすことすら手紙に書いてしまった。

 

「仕方ないよな。先輩も、行き当たりばったりだし、アノ人すら先輩には言い返せないみたいだし…」

 

 とはいえ、もしも仮にだが上層部にバレたら……

 

「はぁ〜」

 

 ため息を吐きながらも『特務』と大きく書かれた看板のぶら下がる部屋へと入る。

 この組織に入ったきっかけであるあの二人のことは好きだが、どうにも妖怪ジジババ連中の事は苦手だ。

 

「リング〜、今日はもうあと任せてもう──って、あれ?」

 

 いつものように、後のことは後輩に丸投げしようと思ったが部屋には誰もいない。

 

『スノーストーム隊員は調査に出ています。班長』

 

 そう答えたのは、銀色の卵形の丸のみで構成された棒人間にキャタピラのついているロボットである【ボー】。

 

 そういえば異変と言うのは仕事の前に聞いていたが、こんなにもかかるものかと疑問が浮かぶ。

 同部署内での帰還時間は滞在期間分は過ごしたこととして戻る決まりがある。

 我々の基地は30世紀以上の時代ではあるものの、タイムパトロールという性質上通常の時間軸とは異なる場所にあるので、何時間何分後に戻ろうともタイムパラドックスの影響下に影響を受けないので大した差はないのだが、まさにこう言った帰ってこない、という感覚を失わない為にあるらしい。

 

「長くないか?救難は?」

 

 今回のミッションはやり直し分は除いて、3週間弱はかかった。

 調査で数週間と言うのは聞いた事ないが。

 

『救難信号は一度出ましたが、今は消えています。映像出しますか?』

「頼む」

 

 タイムマシンのアウトカメラに映った映像は完全な暗闇の中。

 インカメラに切り替えてみれば。

 

「リング……」

 

 真っ暗な船内で、コクピットに寄りかかる状態で死んでいるように動かない後輩の姿が映し出されていた。

 

『マイクロマシンの起動も確認。現地生物にリンクしているようです。また、緊急ポッドも射出されていますね』

「うん、知ってた。そもそも何でこうなったか、わかるか?」

 

 調べて貰えば、どうやら調査終了後のタイムホールで攻撃を受けたらしい。

 たまにいる、未来人の時間犯罪のようだ。

 コレに至っては『逸脱』でも『逸物』でもない。

 純粋な未来技術が相手となるので、常に最先端を担っているタイムパトロールからすれば大した相手ではないはずなのだが。

 

『現地生物の犬として、今は16世紀、日本にいるようですね』

「ぷっ!!」

 

 映し出されたその映像では、真っ白でモコモコな犬。

 年頃で、少し姦しいところもある後輩のあの姿に思わず吹き出してしまった。

 

 だが、気になるのはもうひとつ。

 春日部城跡に、まさかのさっき別れたばかりの野原一家とともにいた。

 つくづく、この一家はと思うが、船もなく犬の姿の彼女はたいした道具も持って行けていないだろう。

 武装無し、犬の姿となれば未来武装と戦える訳がない。

 

『セット、完了しています』

「相変わらず気味悪いくらい準備のいいこって。それじゃあ、行ってくる」

『ありがとうございます。ご無事を。班長』

 

 

 その言葉に手を挙げるだけで答え、既にセットしてくれているらしいタイムマシーンに向かった。

 

 

 

∞──∞──∞

 

 

 

「三人と一匹の勇士が現れ、危機を救う〜?」

「そうだ。だが、この言い伝えには春日家の当主しか知らない話があってだな」

 

 戦国時代、この滅ぼされた春日部城の跡取りであった吹雪丸(ふぶきまる)という少年は、野原一家とシロの姿をしたリングを襲った忍者を退けると、4人に向かって語った伝説。

 その伝説を語り、同じく伝えられたと言う【第七沈々丸(ちんちんまる)】を掲げると、その三人と一匹の勇士として現れた、ひろし、みさえ、しんのすけ、シロ(リング)こそが、まさにそうであると話した。

 だが、まさか自分たちがそうだとは思わないひろしは胡散臭いと言う態度を全開にして聞き返したのであった。

 

『それは、どういった話ですか…?』

 

 緊張した面持ちで、リングはそう質問した。

 喋ると言う事で驚いた話は少し前にしたので今更吹雪丸はツッコまないのであった。

 

「本当は、数えられることのなかった“四人目”がいる。との事だが、その者は一緒ではないのか?」

「四人目…そんなのいるように見えるかよ!」

「そーよ!そんなこと言われても、私たち以外に人なんていないじゃない!」

 

 身に覚えのないもう1人の話をされても、野原夫妻はただでさえ追いついていない状況なのにと、語気を荒げていた。

 

『落ち着いてください!数えられなかったと言う事は、後から合流するんじゃないでしょうか?ひとまずは、吹雪丸さんの話を聞きましょう!』

 

 確証はなくとも心当たりのあったリングは、そう言ってひとまずはこの場を納めることにしたのであった。

 

 

 

──

 

 

 

「うんこくさ〜〜い」

 

 

 吹雪丸さんが話してくれた伝説と、自身の城を滅ぼした敵の話をしてくれた。

 しんのすけくんは春日部の城を滅ぼした敵の首領、【雲黒斎(うんこくさい)】の名前を知り、まさに子供さながらの態度。

 

 まぁ、私もそう思ってしまったのだから仕方がないけど…

 

『雲黒斎…怪しい術……沈々丸……うーーーん、雲黒斎……』

 

 思わず口に出して考え込んでしまっていた。

 そして、野原夫妻は微妙な顔を浮かべてこちらを見ていることに気づいた。

 

「あまり、口に出したくない言葉ね」

『そうですね…』

 

 恥ずかしい。

 この手のことでからかわれるのは先輩だけで十分。

 そう、引っかかったのも、まさにその先輩が理由。

 

 先輩の持つ未来武装こそ、試作ではあるものの、その名を【央鎮沈丸(おちんちんまる)】という。

 卑猥な名前とマークは置いておいて…あれは確かに強力な武器だ。

 あんなものを振るえる者がいるのかと上層部と共に技術局が特務班に来た時、先輩は 逃げ出していたことを思い出す。

 きっと、四人目と言うのは先輩なのだろうとあたりはつけたけど、特務班の班長でやり手な彼はまた呼び出されているかもしれない。

 だけど、半ば確信に近いものがあった。

 

 吹雪丸さんの持つ、【第七沈々丸(ちんちんまる)】は先輩の持つ央鎮沈丸の後継なのだろう。

 開発部でも、その名に見覚えがあるものの、それは第六のはずだ。

 第七など、その一つ前すら研究段階で完成もしていないはず。

 このままではタイムパラドックスが…

 

 先輩、央鎮沈丸…第七沈々丸……先輩の持つ央鎮沈丸……第七の開発……

 

「どーしたんだーシロ〜?だらしない顔してるゾ〜?」

 

 ──は!!!???

 

『し、してません!!』

 

 

 この時代に限らず、ネーミングセンスのない人ばっかりでもーやだー!!

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