100カノ誕生日エピソード集   作:ゾネサー

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宇佐美椎奈の誕生日——お祝い通知でギチギチ♡

 明日は恋太郎ファミリーに入ってから初めてのお誕生日♪ 楽しみ〜!

 

『うさちゃん先輩! 誕生日おめでとうございます!』

 

 あれっ! いつの間にか0時になっちゃってる。お話しするのが楽しすぎて、もうこんな時間に! どうやら誕生日になった瞬間に送ってきてくれたみたい。

 

『うさちゃん先輩が生まれてきてくれたおかげで毎日が希望で溢れていますし』

 

『愛してるを伝えると二倍の大好きで返してくれて心が満たされますし』

 

『ずっと楽しそうにお話ししてくれるのも耳が幸せですし』

 

「あーん♡ 恋太郎君恋太郎君」

 

 返信する間も無く次々と文章が書き込まれていって、画面いっぱいに埋め尽くされていく。恋太郎君の気持ちが目を通して中に入って……私の一部に……。

 

「わっ」

 

 不意に別の通知が届いた。しかも沢山のお祝い通知が一斉に届いて、ギチギチメーターが満たされて溢れちゃいそうなくらいギチギチに……♡

 

『うさちゃんさん。お誕生日おめでとうございます。友達としてこれからもあなたの人生に彩りを添えられたら、何よりです』

 

『季鞠先生季鞠先生。んー……ちょっと固いかも?』

 

『すいません。ご友人の誕生日を祝うのは不慣れで……』

 

『ううん、嬉しいですよ。ありがとうございます』

 

『皆さんからもお祝いが来るかと思いますが、夜更かしは程々にしなきゃ……』

 

『はーい』

 

『ダメなんだから……』

 

 その後も季鞠先生はダメを連呼しながら、ずっとお話をしてくれた。

 

『ダメなのにどうしてお話を……!?』

 

『はっ……!』

 

 画面越しに季鞠先生の咳払いが見えた気がした。お友達と深夜にお話をする背徳感に釣られてくれたなら嬉しいな♪

 

『うさちゃんさん! 誕生日おめでとうですわ!』

 

『美々美ちゃん美々美ちゃん。こんな時間まで起きててくれたんだ……!』

 

『お肌に悪いので長く起きてはいられませんが、大切なご友人のためならケアの手間は惜しみませんわ!』

 

『あーん♡ 好き好き〜!』

 

 お祝いを兼ねて、夜に長電話しても肌が荒れないようにスキンケアの順番を丁寧に教えてくれた。恋太郎君にも教えてあげよっと♪

 

『うさっち誕生日マジおめでと〜! 明日は皆で騒ぐと思うしー、落ち着いたらまたファンシーショップ行こーねー』

 

『あー子ちゃんあー子ちゃん。もちろんだよ! 明日も明後日も行こうね……!』

 

『べ、別におめでとうなんて思ってないんだからねっ!』

 

『唐音ちゃん唐音ちゃん。嫌も嫌も好きのうちだね♪ 私は好きも好きも大好きのうちだよ。唐音ちゃん大大大大大好き♡』

 

『誕生日おめでとうなのだ! おばーちゃん寝ちゃったけど、いつでもお話をしにおいでって言ってたのだ』

 

『楠莉先輩楠莉先輩。ヤクさんヤクさん。ありがとうございます! そっかー、じゃあ今からは無理ですね』

 

『おめでとうにゃん。アルバイトの休憩時間に来てくれてありがとにゃん。おかげで仕事仲間に合わせずにすんでるにゃん』

 

『タマさんタマさん。こちらこそありがとうございます! 次のシフト出たら教えてくださいね。毎日行きますから!』

 

『おめでとううさ。いつもあっためてくれてありがとう。寒くて死んじゃうアタシと、寂しくて死んじゃううさ。なんだか似たもの同士だね……』

 

『小々枝ちゃん小々枝ちゃん。こっちこそ抱きつかせてくれてありがとー! 私たちずっとくっついてるし、一つの生命体みたいだね♪』

 

『うさおめでとう! 本格的なお祝いは明日なんだから、あんまり夜更かしするんじゃないわよ!』

 

『彗流ちゃん彗流ちゃん。お母さんみたい♪ 約束守れたらまたツインテール被らせてね』

 

『うさちゃんさん。お誕生日おめでとうございます。あなたの純粋さは絶望で満ちたこの世界の救済です。これからもメルヘン道を突き進んでください』

 

『夢留ちゃん夢留ちゃん。嬉しいな♪ いつも読み聞かせ会ありがとね。次もその次も絶対に行くよ』

 

『おめでとううさ。いつもあなたの行動には驚かされてばかりだわ。同じ奇人として負けないわよ』

 

『姫歌ちゃん姫歌ちゃん。ありがと〜! いっしょいっしょ♪ ず〜っといっしょだよ』

 

『数も123だけど、うさも417で誕生日とお揃いか。ちゃんと自分と同じくらい大切にしてあげるんだぞ』

 

『数ちゃん数ちゃん。お揃いお揃い♪ 417も123も一生大切にするよ』

 

『誕生日めでたいどー! この前保護したうさちゃんの写真見たいって言ってたからー、送るどー』

 

『山女ちゃん山女ちゃん。可愛いー♡ こっちからも送るね。私もこのあみぐるみに山女ちゃんって名前つけてるんだ♪』

 

『おめでとうございます……! この前はあみぐるみを引き取っていただき、ありがとうございました。お礼と言ってはなんですが、恋太郎君のを作ってみました。気に入ってもらえると嬉しいです』

 

『愛々ちゃん愛々ちゃん。すごい似てるね……! しかも等身大サイズ! ありがとう♪ 恋太郎君の手が空いてない時は、この子に相手してもらうね』

 

『お誕生日おめでとうございます♪ こちら恋太郎君のセクシーブロマイド集になります。存分にお使いください』

 

『羽香里ちゃん羽香里ちゃん。わぁ……! 恋太郎君がギチギチに……♡ 共有してくれてありがと♪ 私からもこっそり撮った秘蔵写真を送るね』

 

『ういー。やってる? このファイルなー、羽香里との交換日記で特に使えたやつを入力してあるから。楽しんでくれよな〜』

 

『百八先生百八先生。わぁ……! 恋太郎君にギチギチに……♡ ありがとうございます♪ お礼に恋太郎君と布団に入った時の録音を送りますね』

 

『……なぜかゔーって言わなきゃいけない気がするんですが、誕生日ですし無礼講ということで。おめでとうございます。これからもよろしくお願いします』

 

『知与ちゃん知与ちゃん。こちらこそ距離感を詰めすぎた時に注意してくれてありがとね。最近はだいぶマシになってきたから、ゔーって言わせることはないと思うよ!』

 

『ナウでも宇佐美ガールとデステニーハローをしたタイムをメモリーライジングマース。あのタイムはサプライズオーマイガーマーシタ。ですが素晴らしいフリーダムデース! ナウアフターもアメーリカに行くデース!』

 

『ナディー先生ナディー先生。私も最初先生の言葉を聞いた時はビックリしました! もっと自由に生きていいんだなって学んだので、抑えていた自分を出していこうと思います!』

 

 息継ぎをする暇もないような怒涛の通知ラッシュ……! 忙しいけど、皆に包まれてるみたいで幸せ〜! でもさすがに勢いが収まっちゃった。恋太郎君は詠唱を続けてくれてるけど、皆はもう寝ちゃったのかなー。温度差でさみしくなってきちゃった……。あっ、いいねスタンプが届いた。

 

『寧夢ちゃん寧夢ちゃん。こんな時間まで起きて……? あ、そっか! 夢でお祝いだね♪ 私もいつもファミリーの夢を見てるから、寝ても覚めても皆のこと考えてるよ〜』

 

 皆本当に大好き♡ 尊くって人類進化論だよ〜! はぁ……会いたくなってきちゃったな。人肌が恋しいよ。

 

『たまにうさぎ形態になってるのも可愛らしくて脳の汁が出ますし……! ……ずっとうさちゃん先輩のこと考えてたら、会いたくなっちゃいました! 今から行ってもいいですか!?』

 

「……ごめん。恋太郎君」

 

「えっ……」

 

 窓を開けると、恋太郎君が首が捩じ切れる勢いで振り向いた。

 

「我慢できなくてこっちから来ちゃった♪」

 

「うさちゃん先輩っ……!」

 

「会いたかったよう……!」

 

 最後に別れてから六時間は経ってるから思いも一入(ひとしお)だった。男の子らしいゴツゴツとした手が不思議と柔らかく包み込んでくれる。あーん♡ 好き好き〜!

 

「——それでね。美々美ちゃんが肌のケアの仕方を教えてくれてね。こんな感じで、擦るんじゃなくて泡を押し込むようにして……あっ」

 

 頬を押さえ込んで顎クイしてるみたいになっちゃった。目を細め合って、唇を重ねた。ああ……恋太郎君と私、一つになってる……。

 

「好きです……」

 

「私も……。……ね、恋太郎君。初めて会った時のこと、覚えてるよね」

 

「もちろんです!」

 

「あの時恋太郎君は『ファミリーに入りたいから』じゃ、私と付き合う資格はないって言ったけど、そうは思わなかったんだ。恋太郎君の方が断るならともかく、ね」

 

「えっ……!? どうしてですか?」

 

「ファミリーは恋太郎君が一人一人を幸せにしようとして、皆が受け入れて、初めて成り立ってるからだよ。どっちかだけじゃダメだもん。恋太郎君はどこかで、皆で分かち合うことを選んだんだよね」

 

「……はい。茨の道なのは分かってました。それでも幸せにすると誓ったんです。俺を愛してくれる人の全てを」

 

 たまに疑問に思うことがある。私にとっては世界で一番素敵な恋の形だけど、一対一じゃない恋は世間一般から見れば普通じゃない。そうじゃない場合のほとんどは、影でこっそりと……なんじゃないかな。普通じゃない恋を選んだのには、何か理由があるのかなって。でも私はそれがどんな理由だっていい。だって——

 

「そんな恋太郎君だから、私はもう好きになっていたんだよ……!」

 

「うさちゃん先輩……! 俺もそんなうさちゃん先輩が大好きです!」

 

「あーん♡ ギチギチ〜♡」

 

 今度は思い切り抱きつかれて、私も目一杯の力で抱き返した。まるでファミリー全員の気持ちを込めるように。そのまま私たちは目を閉じて、夢の世界へと旅立った。恋太郎君も見てるよね。ファミリーとの夢を。送られてくる通知が皆の姿になって、私を抱きしめてくれる。一対一の恋よりも確かにある、沢山の幸せ。それはまさしく夢見心地だった。

 

 こうして私は最高の誕生日プレゼントに包まれたんだ。

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