無個性のヒーローアカデミア   作:明灯月陽

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ビルボードチャート

 B組教室、古瀬は恋人とやる事について検索している。

 

「取蔭さん、デートっていったい何のためにやるの?」

 

 向かいに座っている取蔭は、少し表情を引きつらせる。

 

「何で私に聞くの?」

 

「取蔭さんは昔よく、こういう相談をされたって言ってなかった?」

 

「言ったけどさあ。仲間内とそういう話ばっかしてたからもう飽きた」

 

「まあそう言わずに、少しだけ相談に乗ってよ」

 

 取蔭は、仕方がないなあ、という態度をとる。

 

「デートォ? そりゃあ話したり、食事したり、どこかに遊びに行ったりすればいいんじゃない?」

 

 古瀬はスマホでテートスポットについて検索する。

 

「水族館とか、遊園地とかが出てくるね。でもこういう場所って、頻繁に行ける場所じゃなくない?」

 

「学生だしねえ。私たちの場合は物理的に遠出が難しいのよね」

 

 その問題もあったな、と古瀬は思い出す。寮生活になって以降、本来は、外出する場合は外出許可証を提出する必要がある。

 

 ルール違反を気にしないのであれば瞬間移動で抜け出す手もあるが、麗日はそういった事をよしとしない人物だろうなと思った。

 

 それに遠出する場合は教員が付いて来る。かと思ったら、生徒だけで遠出しているサイドストーリーもあるせいでよく分からない。案外許可取れば行けるのかもしれない。

 

「近場なら大丈夫かな?」

 

「大丈夫じゃない? ミッドナイト先生なら許可くれそう」

 

 古瀬はスマホから目を話して少し考える。

 

「何というか、寮生活が始まった時は家賃と光熱費がタダだ、って喜んでたけど、こうして暮らしてみると檻だね」

 

「やっと気づいたの? 安全を確保するには、安全な場所に閉じ込めておくしかないって内容よ。そりゃあ親によっては反対するでしょ。家賃も光熱費も、それを受け入れさせるためのただの餌よ」

 

「これを檻と見るか、城と見るか。人によって意見は異なりそうだね」

 

 そりゃあストレスが溜まるし、他科の生徒も不満に思うだろうな、と古瀬は思った。

 

「学校内でできそうなこととなると、一緒に勉強したり、訓練したり、昼食を食べたり、近場に買い物に行ったり、テレビで映画を見たり、遊んだりとかかな?」

 

「まず部屋を片付けたら?」

 

 現在、古瀬の部屋は仙豆を作った時に使った機械で埋まっている。確かにそうだな、と思いながらどうするか考える。

 

「でも一回くらいは二人でどこかに出かけたいな」

 

「好きにしたら?」

 

 古瀬はスマホで、近場のデートスポットを探す。

 

「絶景スポット……景色って見たら一瞬で終わらない? その後って何をするの?」

 

「会話しろ」

 

 誰かと付き合うなんて全く想定していなかったため、古瀬は四苦八苦しながら考えることになった。

 

 

 

 昼休み、古瀬がA組教室に入ると切島に声を掛けられる。

 

「髪切ったか? あ、もしかして振られたのか?」

 

「邪魔だったから切っただけだよ。振られたかは、ご想像にお任せするよ」

 

 そこまで短くなったわけではない。四月初頭の長さに戻っただけである。

 

 それじゃあ、と言って切島とは別の方向に向かう。

 

「お茶子さん、お昼食べに行かない?」

 

「いいよ、行こう!」

 

「お昼か、僕も一緒に行かせてもらおう」

 

「飯田ちゃん、空気読めないわね」

 

 飯田、蛙吹、麗日、古瀬の四人で食堂に向かうことになった。近くにいた緑谷にも声を掛ける。

 

「緑谷くんも一緒に行く?」

 

「オールマイトは常に全力で動いていたわけじゃない。一挙手一投足で全力で動いていたら周囲は暴風だ。そうだよな、そうか。20%は長くは動けないから、瞬間的に、インパクトの瞬間だけに……」

 

 机に向かってブツブツと呟いている。集中しているようで、それ以上話しかけることは憚られた。

 

 廊下で、他三人に古瀬は尋ねる。

 

「あれは大丈夫なの?」

 

「「「いつもの事だから大丈夫」だ」よ」

 

 いつもの事なのか、と古瀬は困惑する。

 

「やっぱりショックだったんじゃないかしら。オールマイトが活動を休止したのが」

 

 十一月上旬、オールマイトは活動の休止を宣言。これが一時的なものなのか、永続的なものなのかは不明という状況であった。

 

 これには、平和の象徴の引退による影響は大きいため、段階的に公表していくという、公安の方針が大きく影響していた。

 

 オールマイトの残り火は、まだ完全に消えたわけではない。しかしその活動時間の短さから、ヒーローとしての活動は難しいというのが現実であった。

 

 またそれに伴い、オールマイトの代わりの講師として八木が紹介される。学校内でオールマイトは居ることもあれば居ない事もある、という状態の存在だった。

 

「ネットでは療養のための一時的なものや、引退から死亡まで様々な説が流れている。しかしヒーローとして、僕たちは噂に流されず模範的な行動を示していこう!」

 

「そうだね」「そうやね」「飯田ちゃん張り切ってるわね」

 

 彼らは食堂の席に着く。

 

「それでさっきの話の続きなんだけど、どこか行きたい所ってある?」

 

 古瀬は少し前に、どこかに遊びに行かないか、と麗日に連絡を送って、いいよ、と返事をもらっている。

 

「商店街とか。井梨くんはどこ行きたい?」

 

「……展望台とか?」

 

「私も星とか好きだよ」

 

「そこまで遅くは居られないよ」

 

 古瀬に行きたい所は特に無かったが、返答がどこでもいい、はどうかと思った。

 

「恋愛事もいいが、学業が疎かにならないように気を付けたまえ」

 

「そこまで頻繁にするつもりはないよ。訓練を怠ると命に直結するしね」

 

「でも今の時期に外出できるのかしら?」

 

「ミッドナイト先生に確認したけど、近場ならいいって言ってたよ」

 

 現在、オールマイトが活動休止したことで治安が悪化している。

 

「それじゃあ今度の休日に展望台に行かない?」

 

「いいよ。それじゃあ一緒に行こ!」

 

 という事で、展望台に行くことが決まる。展望台は丘の上にある建物で、観光客用のお土産などを売っている。

 

 休日、古瀬はA組の寮に向かう。中に入ると、一階の共同スペースに何人かいる。

 

「おはよう、轟くん。何書いてるの?」

 

「親への手紙だ」

 

「なるほど、寮生となるとそういった物が必要になるのか。轟くんの親って確か、エンデヴァー……」

 

「違う、お母さんへの手紙だ」

 

 そうなんだ、と古瀬は相槌を打つ。しかし轟に火傷を負わせた印象しかないため、むしろ反応に困った。

 

「今日はどうした?」

 

「ちょっとね」

 

 他の人とも話をしつつ待っていると、麗日が下りてくる。

 

「お待たせ」

 

「おはよう、お茶子さん。その服に合ってるね」

 

「そうかな。井梨くんも似合ってるよ」

 

 麗日は今の季節にしてはちょっと厚めの服を着ている。古瀬は当たり障りのない普通の服である。

 

「そろそろ行く? それとも、もう少し待とうか?」

 

「大丈夫。行こ!」

 

 手を繋いで寮から出ていく。それを見ていた瀬呂、峰田、尾白が反応する。

 

「何あれ?」

 

「何なん? あいつら何なん?」

 

「こっちを全く気にしていなかったね」

 

 古瀬と麗日は展望台へと到着する。休日のためか、そこそこに人がいる。

 

「絶景やね!」

 

 まだ昼には少し早い時間のため、食堂に人はあまりいない。

 

 席に座って、二人は昼食を注文する。麗日がラーメン、古瀬が日替わり定食であった。

 

「お茶子さんってラーメンが好きなの?」

 

「違うよ。これはオススメってあったから」

 

「そうなんだ。じゃあどんな食べ物が好きなの?」

 

「私が好きなのは、和食かな」

 

「ご飯とか、お味噌汁とか?」

 

「お餅とか」

 

「そういえば、文化祭でお餅屋さんを提案したって言ってたね」

 

 そうなんだなあ、と思いながら古瀬は相手を見ている。

 

「井梨くんは何が好き?」

 

「……何だろう。栄養価が高いものとか?」

 

 古瀬は人生が割とサバイバーで、食べられれば割とそれで十分だった。聞かれて、自分に好きな食べ物が無い事に気付く。

 

「ウナギとか?」

 

「どちらかと言うと、南瓜とか野菜系かな」

 

 そうこう話していると、頼んだ料理がやって来る。しばらく二人はそれを食べる。

 

「そういえば、お茶子さんの誕生日っていつ?」

 

「来月の27日。井梨くんは?」

 

「4月1日のエイプリルフールだよ。12月27日だね、憶えておくよ」

 

 昼食後、二人は建物内を見て回る。小規模ではあるが、売店などがある。その棚にあるオールマイトグッズが割引きで売られている。

 

「オールマイトが大安売りやね」

 

「今後は売れなくなるって判断なのかな?」

 

 麗日はその店の、他の棚を見る。

 

「ミルコグッズが多いね。ミルコ推しなのかな?」

 

「店長の趣味か、店の方針か。お茶子さんはどんなヒーローが好きなの?」

 

 そんな話をしながら、建物内を見て回る。そうしていると、ガラスが割れる音と共に強盗事件が発生する。

 

「ちょっ、おいヒーロー、捕まえてくれ!」

 

 こんな場所で? タイミングが悪い。他に任せられそうなヒーローはいないか。古瀬が周りの状況を確認しながら一瞬迷っていると、麗日が飛び出す。

 

 古瀬は麗日の援護をすることにした。今の探知によって、強盗犯は逃げている三人だけではなく、もう一人いると分かる。

 

 犯人たちは入り口の軽トラックで逃げようとするが、麗日がそれを浮かせて足止めする。

 

「井梨くん!」

 

 驚いた犯人たちを、古瀬がトラックに飛び乗って氷漬けにする。

 

「気を付けて、もう一人いる!」

 

 後ろから襲い掛かって来るもう一人を、麗日はGMAで取り押さえる。

 

「怪我人は一人、軽症。救急車は、うーん、どうだろう?」

 

「怪我が悪化するかもだし、呼んどこう」

 

 麗日が拘束している一人を連れて、二人が建物へと戻ると歓声が上がる。インターンの時の記事を見た何人かが、二人のヒーロー名を呼ぶ。

 

「ありがとうございます。何か縛るものありませんか?」

 

「これを使ってくれ」

 

 この場にいた一人が、個性でロープのようなものを作って渡す。本当はよくないが、緊急時だしまあいいかと古瀬は思った。

 

 麗日が捕まえている一人を拘束した後、氷を砕いて一人ずつ拘束していく。それから十分ほど経って、警察が到着する。

 

「こいつらは、この近辺で強盗を繰り返していた集団だな」

 

「君たち雄英生か。お手柄だったね。後はこっちに任せてくれればいいから」

 

 古瀬はお願いします、と笑顔を作る。警察は犯人たちを連れて行く。

 

「お茶子さんは迷いなく動いたね。僕は動くかどうか一瞬迷ったよ」

 

「でもその分、井梨くんは視野が広かったよ。周りの被害も、その後の事も全部考えながら動いてるって感じで」

 

「そんな風に前向きに考えられればいいんだけどね」

 

 帰る途中、お菓子屋に寄ってもいいかと古瀬は尋ねる。

 

「この中に、好きなお菓子ってある?」

 

「これかな」

 

 指さしたお菓子を買って麗日に渡す。

 

「はい、プレゼント。今日頑張ったヒーローへ」

 

「井梨くんも頑張っとったやないかい! ……ふふっ、ありがと」

 

 その後、二人は寮へと帰る。今日の予定を言っていないため、古瀬は戻ってもB組の生徒に何も言われなかった。

 

 

 

 バイトも辞めてしまったし、このままだと資金が減るだけだし、デート用の資金が欲しいので、金策しようかなと古瀬は思った。

 

 金を稼ぐにはどうすればいいか、ガラクタから物を作って、それで商売を始めるのはどうかと古瀬は思った。

 

 会社を経営して利益を上げるとなると、それなりに時間を取られることになる。でもできれば訓練の時間を減らしたくはない。

 

 そこで古瀬は考えた。AIを作ってそれに会社を経営させればいいのでは? 

 

 ちなみにヒロアカ世界はAIが過去に反乱を起こしている。口が悪いのはその名残らしい。

 

 というわけで、古瀬はサポート科の工房へと向かう。会社の経営を任せるためのロボットを作ることにした。

 

「何にしようかな。反乱を起こさない良心回路を搭載したロボット。あれにするか」

 

 サポート科の知り合い何人かに作成を手伝ってもらい、古瀬は三日かけてそのロボットを作成する。その製造速度にサポート科の生徒は、怪訝な顔をしていた。

 

 首と胴体を切り穴した状態で、そのロボットを起動させる。

 

「どうも初めまして、ぼくドラえもんです」

 

 青いネコ型ロボット、ドラえもんを作成した。

 

 足はザ・クロウラーの個性を部分的に再現して浮かせている。手は峰田のもぎもぎから着想を得たもので、球体の手で物を掴むことができる。

 

 四次元ポケットは搭載されていない。何れは作ろうと思っている。

 

「ドラえもんには会社の経営をお願いしたいんだけど、できるかな?」

 

「僕には経営科の授業内容が全てインプットされています。まかせなさい」

 

 後ろでサポート科の生徒が、それだけで大丈夫か、と何とも言えない表情をしている。想定通りの受け答えに、古瀬はよしとする。

 

 勝手に商売を始めて後々問題になっても困るし、オールマイトに少しは周りに相談しろと言われた事もあり、古瀬は会社を作ってもいいか学校に聞いてみることにした。

 

 ドラえもんを連れて校長室へと向かう。そこで根津校長に、こういった事をしたいと説明する。

 

 このドラえもんは模造品なので、ネズミを怖がらない。そう反応するように設定することもできるが、話が面倒になるので止めておいた。

 

「ちょっとタイムなのさ」

 

 という事で、職員会議の議題の一つとして話し合われる。

 

「何ですか、これ? ロボットによる校外での商売を認めるかどうか?」

 

「古瀬くんがロボットを使って校外で商売をしたいと言っているのさ」

 

「やればいいんじゃないですか? 我が校は自由が売り文句でしょう?」

 

「問題はそのロボットを監督する人間がいない事、校外ゆえに監督が難しい点だ。当人にその意思が無くても問題が発生する可能性は十分に考えられる」

 

「これを発案したのが経営科の生徒なら、まあ、やりたいというのも分かります。でもこれをやりたいと言ってるのが、ヒーロー科の生徒なんですよね」

 

 古瀬の写真がその場に投影される。

 

「古瀬井梨、自由な我が校でも、かなり自由気ままな問題児か」

 

「良くも悪くも行動を起こすタイプの人間ではありますなァ」

 

「無個性ながら独自の異能を編み出してヒーロー科でも中位の順位、実力だけならプロにも引けを取らないレベルです。加えて、技術面でも高い才能を示しています」

 

「得意なものは得意、苦手なものは苦手と長短がはっきり分かれているタイプですが、才能だけで見るなら突き抜けていますね」

 

「個性が無いだけの超人か。経営でも普通に才能を見せそうですよね」

 

「開発、ヒーローの才能と経営を流石に同列には括れないと思いますが。その辺りはどうなんですか、パワーローダー先生」

 

「くけけ、何で俺に聞くんだ」

 

「だって工房の使用を許可しているじゃないですか」

 

「断りにくいだろう。『パワーローダー先生みたいな戦闘も開発もできるヒーローになりたいんです』何て言われたら」

 

 当然、許可を貰うための発言で本心からの言葉ではない。説得するためにそれなりの演技力は発揮した。

 

「ただ、訓練の時間を削らないために管理をロボットに任せる、というのは合理的ではあります」

 

「ヒーロー、サポート、経営、この学校から得られる全てを得ようとするその貪欲さは嫌いではないのさ」

 

「校長はどのようにお考えなんですか?」

 

「僕は許可してもいいと思っているのさ」

 

「じゃあ許可すればいいじゃないですか。何なんですかこの時間」

 

「周りの意見を聞かずに勝手に許可するのはどうかと思ったのさ」

 

 というわけで、古瀬は学校から商売してもいいという許可を得た。思い付いた考えが上手くいくかどうか、経営科の生徒に相談してみる。

 

「個性の発現以降、それまでの大量生産、消費文化は衰退していったんだ」

 

「体の構造そのものが、人によって大きく異なったわけだね」

 

「六本腕や四本腕、しかもそれらも人によって構造や特徴が違うわけだ」

 

「共通規格が無いって事? でもたまにセールとかやってるよね」

 

「ある程度広い幅に対応できる商品を作るか、オーダーメイドで作ることも多いね」

 

 古瀬と経営科の生徒が話していると、サポート科の生徒が通りかかる。

 

「何だ、今度は経営科の授業を受けるのか?」

 

「ちょっと話を聞いているだけだよ」

 

「ククク、俺たちみたいに完全に上を行かれないといいがなあ」

 

「単に君たちが片手間の作業に劣るってだけじゃないのかい?」

 

「ククク、ぬかしおるわ。じゃあな」

 

「うん、また今度」

 

 サポート科の生徒は手を振って去っていく。古瀬も軽く手を振った。

 

 その後、古瀬は経営科の生徒からアドバイスを貰った。

 

 取り敢えず初めは、仙豆を売ってみようかと古瀬は思った。具体的にどのような方法で売るかについては、ドラえもんに任せる。

 

 その後は安い土地を買って、製造拠点を作ろうかと考える。サポート科の工房で、製造、整備、荷物の運搬や建築など、ドラえもんのサポートを行うロボットを作成する。

 

「名前は言える?」

 

「はいはーい。多脚自立思考戦車、タチコマだよ。よろしくね! まあ、武装はまだ搭載されてないんだけどね」

 

 後ろにいたパワーローダーは若干、困惑している。

 

「何で戦車なんだ?」

 

「参考にしたキャラが戦車だったからです」

 

 なるほどなあ、とパワーローダーは返事をする。この程度なら、そこまで珍しいとは思わなかった。

 

 その後、古瀬はタチコマにタチコマの作り方を覚えさせた。

 

 

 

 十一月中旬、ヒーロービルボードチャートJP下半期が発表される。

 

 B組寮、彼らは一階共同スペースでビルボードを見ている。古瀬は訓練中で、この場にはいない。

 

「ビルボードチャートか。でも活動休止しても、オールマイトが一位になるんじゃない?」

 

 しかし拳藤の予想に反して、ランキングにオールマイトの名前は無かった。

 

『これはどういう事でしょうか。ビルボードに、オールマイトの名前がありません』

 

『オールマイトがいないという事は、引退が決まったという事でしょうか!』

 

『一言お願いします』

 

 公安委員会会長がマイクの前に立つ。

 

『オールマイトのランキング不在は、活動を休止している自分の存在が他のヒーローの邪魔になってはいけないという、本人の意向によるものです』

 

『オールマイトが引退したというのは本当でしょうか!』

 

『会長、オールマイトの今後の活動について、一言お願いします』

 

 テレビを見ながら、凡戸が口を開く。

 

「オールマイト一色だねぇ」

 

「誰もランクインしたヒーロー見てねえ」

 

「ワタシたちも他人事ではいられまセン。次代を担うのはワタシたちなのですカラ!」

 

 いいこと言った、と鉄哲が同調する。骨抜はランキングを確認する。

 

「エンデヴァー、ホークス、ベストジーニストがトップ3か」

 

「どうなるのかしらね」

 

 どことなく不安そうな声が漏れる。それに対して拳藤が元気付けるようなことを言う。

 

『次を担うヒーローたちはここにいます。彼らと共に平和な社会を目指していきましょう』

 

『次という事はやはりオールマイトは引退ですか?』

 

『発言の意図をお聞かせください!』

 

「これから治安は悪くなりそう」

 

 そんな不安の声と共にテレビは消された。

 

 その数日後、エンデヴァー対ハイエンドの戦闘が発生する。結果はエンデヴァーの勝利、負傷しつつも始まりのスタンディングを行った。

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