無個性のヒーローアカデミア   作:明灯月陽

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闇バイト

 一年が巡り、古瀬は中学校へと進学する。そのままぼうっと生きる人間が多い中、何人かは既に高校への進路を決め始めていた。

 

「金が欲しい」

 

 古瀬の唐突な発言に、周りの人間は顔を見合わせる。場所は道場で、今いるのは黒瀬や楽田、その他四五人がその場に居る。

 

「突然どうした?」

 

「俺って一応進学希望だろ? もし受かったら学費が必要だろうから、その時のために金を稼ぎたい」

 

 古瀬は一応、雄英高校を志望している。周りも一応その事を知ってはいるが、受かる可能性は低いだろうというのが基本的な見方だった。

 

 そのためこの発言を聞いて、周りからは、気が早すぎる、受かる前提かよと、内心失笑を買っていた。

 

「金が欲しい理由は分かったけど、何か当てはあるの?」

 

 黒瀬は少し呆れた様子で、考えはあるのかと確認する。何か考えがあって協力を求めているのか、それともそれとも方法を求めているのかが知りたかった。

 

「バイトでもすればいいんじゃない?」

 

「中学生で? 雇ってくれるのか?」

 

「じゃあ無理じゃん」

 

 周りのメンバーは口々にそう話す。古瀬は胡坐を掻きながら、同じことを思っていた。

 

「何か当ては?」

 

「無い。バイトはしてもいいけど、時間を取られるのがなあ。志望する高校を考えると、できるだけ訓練に時間を使いたいんだよなあ。何かサクッと、大金を稼げる方法を誰か知らない?」

 

 そんな物は無い。解散解散、と言って他のメンバーは離れていく。

 

 そちらとは別に、黒瀬と楽田は横で、小声で何かを話し合っていた。周りが離れた後に、黒瀬は古瀬に話しかける。

 

「簡単に金を稼げる方法は無くも無いけど、ちょっとグレーな方法だけどそれでもいい?」

 

 それを聞いて、古瀬は首を傾げる。そんな方法を二人が知っていることが少し意外だった。

 

 古瀬、黒瀬、楽田の三人は電車に乗って少し遠出する。二人に案内されたのは、どこかのクラブのようだった。

 

 色々な人が酒を飲んで踊っている。まるで人の顔を隠すような暗さがあり、日常とは切り離されたような異質さがあった。

 

 古瀬は初見さんらしく、辺りを見回しながら歩いていた。その顔ぶれを見ながら、後ろ暗い事をしている人たちなのだろうかと思った。

 

 黒瀬と楽田はカウンターで足を止める。そこにいる店員に、何か仕事はあるかと尋ねつつ、名刺のような黒いカードを見せる。

 

 それを見せてから、二人はさらに奥へと向かう。先程の場所の喧騒が嘘のように、通路の先は静かだった。

 

 ある部屋の前で、二人は足を止める。そのドアを開くと、中には一人の男がいる。

 

「ちょっとお金に困ってるんだけどさ、何か仕事ある?」

 

 前歯の欠けた男性で、服装はスーツ姿、口には煙草を咥えている。その手には拳銃が握られており、それを見て古瀬は眉を顰める。

 

「ちょっとこいつに、仕事を紹介して欲しいんだけど」

 

 紹介されてしまった以上、後ろに隠れてはいられない。怖気づいていると思われないように、古瀬は二人の前に出て、じっと相手の様子を観察する。

 

「どんな個性を持ってる?」

 

「無個性だ」

 

「なら、できるのは運び屋くらいだな」

 

 そうなのか? と、古瀬は視線を後ろへと向ける。黒瀬は「ならそれで」と返事をしていた。

 

「ここには無個性もよく来るのか?」

 

「悪いなクソガキ。俺は客の情報は漏らさない主義だ。おっと、紹介が送れたな」

 

 男は拳銃の引き金を引く。古瀬は一瞬怯むが、その先から弾が発射されることは無く、代わりに小さな炎が灯った。

 

「義爛だ。よろしくなぁ」

 

 古瀬は表情を歪めるが、階段から降りて義爛へと近づく。後ろの二人もそれに続いて部屋へと入る。

 

「具体的に、何をすればいい」

 

「渡された荷物を指定された場所まで運べばいいだけだ。簡単だろぉ?」

 

 相手の挑発するような態度に、古瀬は深く息を吐いて感情を落ち着かせる。確かに行うことだけを聞けば、簡単そうだとは思った。

 

「報酬は?」

 

「時によって違うが、一回数万。手数料として、そこから三割を引かせてもらう」

 

 古瀬には相場が分からないため、手数料が高いのか低いのかは分からなかった。しかし無個性のガキ一人、騙した所で文句しか返ってこないのだ。普段より高くても、別に不思議じゃ無いだろうなとは思った。

 

「運び屋以外には、どんな仕事があるんだ? 何か戦闘系の仕事ってないのか?」

 

「おいおい、無個性のガキができる仕事じゃねえぞ」

 

「いいから、何かないのか?」

 

 馴れ馴れしく、古瀬は机に手をついて身を乗り出す。義爛の手元にある資料を見ようとするが、すぐに隠される。

 

「それならヒーロー狩りでもやったらどうだ?」

 

「ヒーロー狩り?」

 

 古瀬は首を傾げる。アニメでステインがそんな風に呼ばれていたことは知っているが、おそらくあいつの事ではないだろなとは思った。ちなみにステインは『ヒーロー狩り』ではなく『ヒーロー殺し』。

 

「表の世界じゃ華々しいヒーローも、裏の世界じゃ賞金がかけられてんだよ。狩って引き渡せば、それなりの金が手に入る」

 

「生かして引き渡すことが前提なのか?」

 

「基本は生かしたままだな。生死問わずの場合もあるが、殺すと受け取れる金額が大きく下がることが多い」

 

「ふーん……」

 

 オール・フォー・ワンが賞金を懸けているのだろうか。成功すれば個性が手に入るし、失敗しても自分の手は痛まない、みたいな感じで、と古瀬は予想する。

 

「これが賞金リストだ」

 

 義爛がヒーローの賞金リストを古瀬に渡す。後ろから、黒瀬と楽田が覗き込む。

 

「一位はまあ、オールマイトか……」

 

「国家予算みたいな額だな」

 

「エンデヴァーは、格落ち感がひどい。何人かの他のヒーローにも負けてるし」

 

 エンデヴァーの個性はいらないのだろうか。炎系って多いし。そう古瀬は思うものの、この中ではそれでもトップクラスの額である。

 

「この金額ってどうやって決まってんの?」

 

「色んな人間が出した金額の合計だ。ヒーローってのは、それだけ恨まれる職業ってこったな」

 

 楽田の疑問に対して、義爛は脅すように言う。しかし古瀬は冷静に、オール・フォー・ワンの興味の大きさだろうなと思った。

 

「それでどうする。やんのか? 賞金でも手数料は頂くぜ」

 

「金取るってか」

 

「自分で換金できるなら好きにしな」

 

 楽田は賞金まで三割取られるとは思っていなかったようで不満を言うが、義爛はそんな相手を楽しげに嘲笑う。

 

 古瀬はリストを義爛に返す。机に置いてそのまま差し出した。

 

「これでもヒーロー志望なんでね。ガチ犯罪はちょっと」

 

「運び屋だって似たようなものだろ」

 

「何を運んでいるかは知らないから。指定された場所に運んで、ちょっと高い金を貰うだけだから」

 

「うーん、このグレーゾーン」

 

 古瀬の言い訳に、黒瀬と楽田は呆れる。古瀬は二人から、顔を逸らした。

 

「それなら、ヴィラン狩りはどうだ?」

 

「ヴィラン狩り!?」

 

 古瀬は素っ頓狂な声を上げる。ヒーローを狩らないか、と言われた後に、ヴィランを狩らないか、と百八十度方向性が違う提案をされて驚いた。

 

「ヴィランを狩って、ここで引き渡すのか?」

 

「よく分かってんじゃねぇか」

 

「えぇ……ヒーローもヴィランも引き渡せるのか。どうなってんだここ?」

 

 困惑しつつも、古瀬はヴィラン狩りの具体的な内容について尋ねる。

 

「ヴィランにも賞金が懸っているのか?」

 

「懸っている奴もいるが……おっと。ここから先を聞くか? 悪い事をするのが嫌なら、知らないままでいることもできるぞ?」

 

 悪辣な笑みを浮かべる義爛を見て、古瀬は少し呆れる。何というか、引いても押しても相手の術中だなと思った。

 

 答えは沈黙、なんて実際には存在しない選択肢か。だとすれば相手を揺さぶるか、相手の手の中で踊って様子を見ようと古瀬は思った。

 

「もちろん聞きましょう。これから行うのは悪い事ですから」

 

 そう笑うと、義爛はつまらなそうな顔をする。古瀬は、捕まえたヴィランはどうなるのか尋ねる。

 

「捕まえたら分かることだから言うが、ヒーローに売るのさ」

 

「ヒーローに?」

 

 オール・フォー・ワンにでも引き渡すのかと思っていた。意外な答えに、少し混乱したので、古瀬は頭の中を少し整理する。

 

「ヒーローがヴィランを買うのか?」

 

「結構いるのさ、そういう奴が。成果を出せない奴、虚栄心を満たしたい奴、ガキにちょっといい所を見せたい奴」

 

「ヒーローって言っても、いろんな奴がいるからな」

 

「ガキにちょっといい所を見せるために、そのための成果を金で買うのか」

 

「割と珍しくないと思うよ。専業じゃないヒーローも多いし」

 

 義爛は皮肉っぽく笑う。みんなを助けるヒーローが悪事に手を染めて、その結果悪が栄えていることを笑っている。

 

 古瀬としては、そのヒーローたちがどんな人でも、捕まった側からすれば、人体実験の材料にされるよりはましかなと思った。

 

「そういったヒーロー様のために、証拠があるなら普通の犯罪者でもうちは引き取るぞ」

 

「普通じゃない犯罪者がいるのか?」

 

「ヴィランの事だろう。個性を使用して複数回犯罪行為を行った人間がヴィラン指定される、だったか? つまり最初の一回でも、証拠があれば引き取るってことで合っているか?」

 

 木っ端ヒーローが凶悪ヴィランを捕まえたら流石に怪しい。だから程々の、バレない程度の身の丈に合った犯罪者に対する需要もある。

 

「というか、バレないのかそれって。ヒーローの証言と犯罪者の証言が食い違わないか?」

 

「その辺りはこっちでうまく調整するさ。お前たちが気にする事じゃない」

 

 個性か何かで『説得』するのだろうか。それとも、交渉によって証言を合わせるのだろうか。いずれにせよ、下手な詮索はしない方がよさそうだと古瀬は思った。

 

「じゃあ、まずは運び屋と犯罪者の捕縛を一回ずつやってみたい」

 

「連絡先を寄こしな。指定先で荷物を受け取って、教えられた場所に運べ」

 

「犯罪者の捕縛は?」

 

「自分で見つけろ。捕まえたら連絡を寄こせ」

 

 一方的な物言いに、古瀬はため息を吐く。やれやれ、といった様子で肩をすくめる。

 

「俺に名刺はくれないのか?」

 

「欲しけりゃまずは信用を稼ぐことだな」

 

 古瀬は振り返り、黒瀬と楽田を見て、こいつらどれだけここに入り浸っていたんだと少し呆れた。

 

「はいはい。それじゃあ、頑張らせてもらうよ」

 

 そう言って、古瀬は部屋から出ていく。黒瀬と楽田もその後に続いた。

 

 三人は店から出て、夜の街を歩く。人気が無い場所に差し掛かった所で、古瀬が振り返って口を開く。

 

「どうやって知ったんだあんな場所」

 

 黒瀬と楽田は苦笑しながら視線を逸らす。言うつもりは無さそうだった。

 

 黒瀬が古瀬に店の事を話さなかったのは、雄英志望であると知っていたため、あまり後ろ暗い事には関わり合いになりたくないかな、と思ったためである。

 

「それじゃあまずは、配達行ってくるか」

 

 特に何事もなく配達は終わった。問題は何も起きなかった。

 

 続いて、古瀬は犯罪者探しを行う。二人と合流して、建物の上から何か問題を起こしている人間がいないか探す。

 

「いないな……」

 

「いないな」

 

 この世界の犯罪率は高いが、だからといって都合よく事件が起こるわけでもない。二時間半が経過した頃、三人はやる気を失いかけていた。

 

「ヴィランってどこに潜んでんだろ」

 

「ヴィランを探すつもりか!? 俺たちがヴィランに勝てるわけがないだろう。死ぬわ」

 

 その言葉に楽田はむっとした表情をする。彼は気を使えるようになって、自分がそれなりに強くなったつもりでいた。

 

「じゃあ何を探してたんだよ!」

 

「普通の犯罪者だよ。コンビニ強盗とか、何かそんな感じの」

 

 その言葉を聞いて、楽田は鼻で笑う。この世界で起きる犯罪からすれば、あまりにも規模が小さすぎた。

 

「そんなショボい犯罪を捕まえて、金が貰えるかよ」

 

「でも今の俺達には、それくらいがお似合いだよ」

 

 今の自分たちは無個性より少し強い程度でしかない。古瀬は自分の強さの程を、正確に理解しているつもりでいた。

 

「お前だって個性持ちに勝てるとは思っていないだろう。治らない怪我や、死んでしまうことだってあるんだ。安全を最優先にして動くのが一番だよ」

 

 楽田は口を噤んでしまう。何も起きないまま、さらに時間が過ぎる。

 

「場所が悪いのかな?」

 

「いや、むしろこの場所しかないでしょ。ヒーローが来なくて、ヴィジランテもいない場所なんて限られてるよ」

 

「目的が対立しているからな。姿を見られても困るし、上手くヒーローたちを撒いて、この場所に犯罪者が逃げ込んでくれないと捕まえられないんだもんな。狙える獲物がそもそも少なすぎる」

 

 などと話していると、下で強盗が発生する。ドラッグストアから、三人組が金を奪ったようだった。

 

「えぇ……こんな場所で強盗が起きるの? 治安悪すぎだろ。今日一日目だぞ」

 

 人気が無いため、強盗が起きるのは自然である。ただ犯罪者の探索を始めて一日目で見つけるとは思わなかった。

 

「ちょっと行ってくる」

 

 古瀬はヘルメットを被って、屋根から下へと飛び降りる。三人組に後ろから近づき、その内の一人の頭を掴んで壁に叩きつける。

 

 残る二人はそれに気付いて振り返るが、行動を起こす前に、古瀬は左の男の脇腹に拳を叩きこむ。よろめく相手の腕を掴んで引き寄せ、顔を殴り飛ばした。

 

 残る一人に視線を向けようとすると、炎が迫ってくるのが見えた。古瀬は後ろに転がってそれを躱す。

 

 相手は体に空いた穴から炎を吹き出す個性のようだった。炎のせいで近づくことができず、互いにじりじりと距離を取り合う。

 

 波動拳を撃ってみると相手が吹き飛んだため、距離を詰めて鳩尾、胸を蹴り、最後に回転蹴りで気絶させた。

 

 古瀬は三人を担いで、人気のない場所へと連れていく。義爛に連絡して、捕まえた人間をどうすればいいのか聞いた。

 

 車を送るとのことだったので、それを待つことにした。古瀬は三人組を見ながら、今回の感想を述べる。

 

「何というか、効率が悪い」

 

「犯罪者を捕まえるより、運び屋をやった方が簡単に稼げるんじゃないか?」

 

「一応戦闘経験を積めるから俺はやるけどさあ……」

 

 何とも決まりが悪い結果となった。やりはするが、戦闘能力が低い今は運び屋をやった方が良さそうだと古瀬は思った。

 

 二人はこの仕事にうんざりしたようで、これ以降、犯罪者探しで古瀬に同行することは無かった。

 

「運び屋をやるにしても、犯罪者を探すにしても、索敵能力が必要だな」

 

 ヒーローに見つからないために、犯罪者を探すために。個性持ち相手だと、どう足掻いても見つかる時は見つかるが、それでもその時に相手の位置を把握しているというのは、大きなアドバンテージになる。

 

「気の探知を覚えるか」

 

 古瀬は、もう少し実力を身に付けてから活動しようと思った。

 

 

 

 古瀬たちは舞空術と気の性質変換の習得を目指して、様々な検証を行うが、なかなかこれはという成果は得られなかった。

 

 彼らは我武者羅な特訓によって模索する、という部分が無かったわけではないが、論理立てた実験や検証によって模索する部分もあった。

 

 仮説を立てて、それが正しいのか薬液や機械を使って検証する。間違いも多く、数式やグラフを使って、何度も討論が行われた。

 

 いくつもの方向から模索し、半年以上の時間を経て、何人かが微々たる成果を得る。数センチではあるが空を飛び、気を別の物へと変換することが可能になった。

 

 この時、古瀬は気を炎と電気に変換することが可能であった。彼にとって重要だったのは電気。雄英高校の入学試験がロボットを使った模擬戦闘であると知っているため、最優先で習得しておきたかった。

 

 他にも、気を氷や水に変換することが可能であることが判明する。ただ未だ習得者は少なく、出力もまだ全員が低かった。

 

 気の性質変換を習得するのが、その頃の彼らの日課だった。その日は、古瀬も威力を上げるための練習をしていた。

 

「雷光波動脚!」

 

 片足に気と電気を帯びさせて、回し蹴りを放つ。ストリートファイターの技を色々と参考にして使っている。

 

「井梨って水と氷の性質変換は使えないのか?」

 

「使えるよ。キグナスダンスを踊れば」

 

「キグナスダンス? 何だそれは?」

 

 キグナスダンスとは、聖闘士星矢に出てくるキグナス氷河が技を放つ前に行う動きの事である。白鳥が羽ばたくような動作を行い、全身で白鳥座を表している。

 

 ただしその動きはかなり奇抜で長い。なぜかは分からないが、その動きを行うと氷の性質変換が上手くいった。

 

 見せてほしいと言われたため、古瀬は実際にその動きをやって見せる。

 

「ダイヤモンドダスト!」

 

 見せてほしいと言った少年は、その奇抜な動きと、性質変換に成功していることに、二重の衝撃を受ける。

 

 古瀬が揶揄うために行っているとも考えられるが、冗談で作ったにしては、その動きはあまりに優雅すぎた。

 

「これを使えば俺も性質変換を使えるのかな?」

 

 錯乱したのか、その少年はそんな事を思った。真似ようとするが、一度でその動きを憶えることはできず、何度も動き方を教えてもらう。

 

 やがて完全にその動きを模倣し、その直後に拳を放つことで、氷を生成させることに成功する。それを見ていた周りもこぞって真似し始める。

 

 道場内で全員がキグナスダンスを踊るという、異様な光景がそこにはあった。そしてその動きを行うことで、氷の生成が容易になることが判明する。

 

「特定の動きを行うことで、性質変換の成功率を上げることができるのかな?」

 

 彼らは至って真剣に、体の動きと気の流れの関連性を研究し始める。その結果、いくつかの動きを行うことで技の威力を上げられることが判明する。

 

 ただしその動きは奇抜なものが多く、使うにはかなりの猶予が必要だった。

 

 古瀬も実戦でキグナスダンスを踊るのは無理、と考えており、だから練習でも使ってはおらず、聞かれるまで誰も知らなかった。

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