異星界の殴りプリースト 〜神は言った、金持ちスローライフを実現せよと〜   作:兵庫人

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第7話

 次の日。アレスとコトリ、ティオの三人はダンジョンの入り口がある島へとやって来た。

 

 島の中央には冒険者組合の建物があってダンジョンの入り口はこの建物の中にあるらしく、アレス達三人がやって来た時にはすでに大勢の冒険者達が建物の前に並んでいた。建物の前に並ぶ冒険者達は昔の物語に登場する鎧を着て腰に剣を差した騎士や戦士のような格好をした者もいれば、最新鋭のパワードスーツを着て銃火器で装備した何処かの星の軍人みたいな格好をした者もいて、昨日冒険者組合のビルで同じ光景を見たアレスだったが、やはり全く外見の雰囲気が異なる者達が集まっている光景に違和感を感じるのだった。

 

「……そう言えばアレス、コトリ? アンタらの武器って何だい?」

 

「……え?」

 

 冒険者達の列に並び順番を待っているとティオがアレスとコトリに尋ね、コトリが意外そうにティオの顔を見る。

 

 ダンジョンに入った以上は、外敵である冒険者を排除することを目的にダンジョンによって作り出された生物「モンスター」との戦闘は避けられない。だから一緒に戦うアレスとコトリの武器と戦い方を聞いてくるティオの質問は正しいのだが、そういった話はもっと前に、一緒にダンジョンに挑もうと話を持ちかけた昨日のうちにするべきではないかとコトリは思った。

 

 元々コトリは自分とアレスでダンジョンに挑むつもりだったし、アレスはダンジョンで戦えるだけの「力」はあるが冒険者の初心者だ。しかし熟練の冒険者であるティオが仲間の武器のことに気が回らないのは、いくらこれから挑むのが長年挑んで慣れたダンジョンだとしても油断しすぎではないだろうか?

 

 そう思ったコトリであったが、今更そんなことを言っても仕方がないと考え直してティオの質問に答えることにした。

 

「……私は、これです」

 

「何だい、それは? 棒? ……いや、そういえば昔クノイチがそんな棒を敵に投げて攻撃していた気がするね? クノイチの投擲武器……確か、シュリーゲンだったっけ?」

 

 コトリがティオに見せたのは一本の掌くらいの長さの先端が尖った棒で、それを見たティオが過去に自分を助けてくれたクノイチの記憶を思い出しながら言うと、コトリは首を横に振った。

 

「……シュリーゲンではなく、手裏剣です。そしてより正確に言うと棒手裏剣です」

 

「棒手裏剣ね……。まあ、とにかくコトリはクノイチらしく偵察とか遠距離戦ができるってことだね。それでアレスのはやっぱり……」

 

「はい。もちろん私の武器はこの無反動砲です」

 

 ティオがコトリの言葉に頷いてからアレスに使う武器について聞くと、アレスは肩に担いでいる無反動砲を左手で軽く叩いて答える。しかしコトリの武器の時と違って、アレスの武器である無反動砲を見るティオの表情は微妙なものであった。

 

 ダンジョンの内部はそのダンジョンによって異なり中にはどこまでも広がる砂漠や密林というダンジョンもあるのだが、そのほとんどが「迷宮」という名前の通り入り組んだ通路の建造物の中だったりする。そしてアレスの武器である無反動砲は確かに遠くにいる複数の敵を攻撃できるという利点はあるものの、それ以上に砲撃の爆風で味方に被害を出したり早々と弾切れになったりするという欠点があって、はっきり言ってダンジョンに挑むには不向きな武器なのである。

 

「ちなみにだけどアレス? その無反動砲意外の武器って……」

 

「ありませんね。大丈夫ですよ。いざとなったら直接殴りますから」

 

「殴る? 拳でってことかい? ……まあいいか。私だってあまり人のことは言えないからね」

 

 アレスに質問したティオは彼の言葉を聞いて首を傾げた後、自分の武器を見る。

 

 ティオの武器、彼女の背丈ほどある大きさの打撃武器もダンジョンのような限られた空間で敵を攻撃しようとしたら誤って味方を攻撃してしまう危険があり、アレスの無反動砲ほどではないがダンジョンに挑むにはあまり向いているとは言えない。その事もあってティオは今まで決まった仲間を作らず基本一人でダンジョンに挑んできたのだが、それでもアレスとコトリを誘うと決めたのは自分の直感を信じたティオ自身であるため、これ以上アレスに言及することを止めた。

 

「とにかく、敵と戦う時はまずアレスが撃って、その後に残った敵を私が倒して、コトリはその援護。そんな感じでいいかい?」

 

「分かりました」

 

「……それでいいです」

 

 ティオがダンジョンで敵と戦う時の基本的な流れを言うとアレスもコトリも異論はないようで頷く。その時にはすでにアレス達の前に並んでいた冒険者達は建物の中に入っていて、彼らも建物の中に入って行くのだった。

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