“のじゃロリ”が体に住み着き、TS魔法少女に……!?   作:雪山崇一

10 / 14
第一章(10)彩李を弄るのが魔王だけだと誰が言った?

 初めての気持ちになったクレープを食べ終わった後、メイナに連れられた彩李は洋服売場へと来ていた。

 メイナ曰く――私がいくつか見繕うてやろう――とのこと。

 そうして差し出された服装に次々と着替えていったのだが、

 

「……メ、メイナ?」

 

「ん?」

 

 プルプルと震える着替えた彩李を眺めるメイナに、彩李はついに問いかけた。

 何度も何度も差し出される服――その方向性(・・・)について。

 

「なんでさっきから持ってくる服が『メイド服』とか『婦警』とか『アニメキャラのコスプレ』とかなんだよっ!?

 お前、服を選んでくれるんじゃなかったのか!?」

 

「だから選んどるじゃろ……どの服を着れば君が一番恥ずかしがってくれるのかを見ながら、じゃが」

 

「服を選ぶとか乙女な一面もあるんだなと思った俺がバカだった――!」

 

「……にしてはちゃんと『着てから』文句を言う辺り、君は芸人としてもやっていけるのう」

 

 カッシャアーッ!! と、試着室のカーテンを勢いよく閉め、魔法少女ものの『敵』のコスプレから自分の私服へと着替えた彩李は外に出て、

『もっと見ていたかったのう……』とほざくメイナにコスプレ衣装を押しつける。

 

「元あった場所に返してこい! そろそろ帰るぞ!」

 

 強制的に着せ替え大会を終わらせた彩李は試着室から離れ――

 

「わっ――!」

 

「あっ――と……!?」

 

 物陰から現れた小柄な女の子とぶつかりそうになり踏み留まる……が、女の子の方は急停止した際に後ろに倒れてしまい、そのまま倒れそうになったところを間一髪で彩李が支える。

 

「ご、ごめんね……! 大丈夫?」

 

「は、はい……大丈夫です。こちらこそすみません」

 

 茶髪のショートヘアーを揺らし、紫の瞳で見上げながら女の子は答えてくる。

 

「――あ、いた。恵弥(めぐや)ちゃん!」

 

 支えている女の子――恵弥という女の子を追いかけてきたのは、白髪(はくはつ)の少女だった。

 そして……、

 

「な――!」

 

「ほう、世間というのは狭いのう……」

 

 その少女は彩李たちにとっても馴染みのある少女だった。

 

夢華(・・)さん――!」

 

 恵弥が元気よく返事を返した少女は晴風(はるかぜ)夢華(ゆめか)

 最近、彩李が一方的にではあるがよく会うことのある魔法少女だ。

 夢華と恵弥の二人を交互に見ていると、夢華は恵弥に近寄り頭を撫でながら、

 

「えっと……私たちがどうかしたかな?」

 

「あ――いえ、その……!」

 

「――とても仲が良いと思っての」

 

 言葉に詰まった彩李にメイナが助け船を出すと『仲が良い』という言葉に反応するように微笑んで、

 

「うん。私にとって妹みたいな子なんだ。

 私、晴風夢華。この子は新芽(にいめ)恵弥(めぐや)。キミたちの名前、聞いてもいい?」

 

「は、はい……俺は夜釖彩李です」

 

「私はメイナじゃ、よろしくのう」

 

 一通りの自己紹介が終わるが、この後どうするべきか……。

 会う度に顔は隠していたのだから向こうはこちらの事を知らない。ならばおどおどするのは逆に変だ。

 ここは冷静になって――

 

「――――お、」

 

「?」

 

 夢華の口からそんな一文字が溢れ、ふと夢華を見上げてみれ/――ガシッ(・・・)

 

「へ……っ!?」

 

 突如として夢華にガシッ! と両肩を掴まれ、掴む両手を見た後にその顔を凝視してしまう……彩李の両肩を掴んだ夢華は、何故か両目を輝かせており……、

 

「あ、あの~?」

 

「お、お――――」

 

 何故か興奮していた。

 どうしてか目が輝いていた。

 それらの理由を一つも理解できないまま、彩李は次の一言を叫ばれた。

 

「――――俺っ娘(・・・)!?

 キミ、(おれ)()なの……!?」

 

「……………………………………、ん?」

 

 予想外の反応に体が固まり、メイナは面白いものを見つけたように『くつくつ』と笑いながら一歩引く。

 

「あ、あの……?」

 

「私、俺っ娘初めて見た! ギャップがすごーい! 実在してたんだっ!!」

 

 まるで暴走したかのように言葉を並び立ててくる。

 そしてそれは言葉だけに留まらず、

 

「ちょ、ちょっと! 夢華さ――んぐ!?」

 

 口を塞ぐように、ぎゅうー! と抱きしめてくる夢華。

 

「彩李ちゃんの可愛い容姿と声から放たれる『俺』はインパクト強すぎるよ~!

 というか彩李ちゃん小柄だねー。これはファンも多そう!」

 

(この()、こんな一面があったのか……!

 いや、どっちかというとこっちが素なのかな……というか若干ある胸が柔らかい――じゃなくて!)

 

 グイ! と首を捻り、後方のメイナに助けを求める。

 

「め、メイナ……! た、たしゅ、け――」

 

 彩李が助けを求めた先には――

 

 

 

 

 

「メイナさん、これは何ですか……?」

 

「これはコスプレと言ってな。アニメや漫画のキャラになりきる人が着用するものじゃ。

 このお店には以外にもこういったものが多くてのう」

 

「へー……、あ! この服、わたしの好きな魔法少女アニメの服装だー!」

 

「む? 知っておるのか?

 ぬっふっふ……実は先ほど彩李にこの服を着させたんじゃが、トンでもなく可愛かったんじゃぞ♪」

 

「え~!? いいなー! お姉さんたちズルい~!」

 

 

 

 

 

 …………なんか意気投合してた。何ならメイナも恵弥のコト可愛がってる。

 

「メイナァアアアアアアアアアーッ!!」

 

 怒りの叫びもなんのその、恵弥の頭を撫で続けるメイナ。

 二人の声が聞こえたのか、夢華はホールドを解かないまま顔を上げて、

 

「え? それ本当なのメイナちゃん!?」

 

「ホントじゃぞ。なのに彩李の奴、もう終わったと言わんばかりに『そろそろ帰るぞ!』などと」

 

「それは勿体無いよ彩李ちゃん――!」

 

「そ、そろそろ離してくださーい!」

 

「わかった、離すよ! その代わり――」

 

 ストッ――とようやく離される。

 彩李は一息つこうとして、

 

「――――え?」

 

 離された場所が、更衣室の中(・・・・・)という事に気づいた。

 

「さあ! メイナちゃん、恵弥ちゃん! もう着たコスプレ衣装から新たなコスプレ衣装までじゃんじゃん持ってきて!」

 

「よくやったぞ夢華!」

 

「やったー! 彩李さん、コレ着てくださーい!」

 

 ロリコン疑惑の夢華、

 無邪気に着せ替えさせてくる恵弥、

 まだ彩李をからかえると喜んでいるメイナ、

 

「やーめーろぉおおおおおおー!?」

 

 彩李の決死の叫びも届かず……、

 矢継ぎ早に送り込まれてくるコスプレ衣装と共に彩李の姿は更衣室の中へと消えていった。




 この後、彩李ちゃんは最初こそはイヤイヤだったものの、バニー服を着せられた辺りからヤケクソになったとさ。

          ◆

 ――え? タグに『曇らせ』が追加されてる?
 ――――それはもうすぐ曇らされる子がいるからだよ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。