“のじゃロリ”が体に住み着き、TS魔法少女に……!? 作:雪山崇一
「ふぇええええ~!」
ノクスの拠点にて、魔王にボッコボコにされたアリファは泣きべそをかいていた。
見事に“わからせられた”戦闘から数日後。
慈悲はない――と言っていたメイナだったが、それはあくまでお仕置きに関してだ。
命を取るまではしない。上手い具合に手加減をしていた。
「ワニちゃん! ワニちゃ~ん!」
「おう、アリファ! わかる、わかるぞ~!」
あの戦闘によってアリファはメイナが完全にトラウマになってしまったらしく、なんとか帰ってきたアリファは真っ先にワーニスに泣きついた。
『ドビャアアアアア!! ワ~ニちゃーーーん!!』
『うおおおおおおおー!! アリファあああ!!』
まだ何が起きたか説明されてなかったのに、トラウマを持つ者同士、心が通じ合ったかのように抱き合って泣き崩れていた。
そして今も、
「ほらよ! コレでも食って元気だしてくれ!」
「ぅ……うぅ……ワニちゃんの、カレー……」
料理が好きという意外な一面を持つワーニスのカレーを頬張りながら、ずっと考え事をしているミアに不満を飛ばす。
「ねぇ、ミーちゃん(涙)……なんであの時助けてくれなかったの……? ほんっとうに怖かったんだよ?(涙)」
「……お前のやり方は目にあまるところがあったからな。
――まぁ、丁度いい薬になるか――って思って、無事を祈って先に帰って来てた」
薄情者ー! という言葉を聞き流し、ミアは再び思考に浸かる。
(……魔法少女とは違う何者か、か――)
アリファのやり方に思うところはあるが、実力の程はよく知っている。
ほぼ何でもありの『幻の具現化』という魔法。
それを使いこなすアリファが手も足も出ない程の相手……
「何者だ、ソイツは――?」
◆
「――ほれ彩李、あ~ん♡」
こういうヤツです、ミーちゃん。
「メ……メイナぁ――」
フードコーナーの一角で人目も
最近ノクス組に脅威として認定され初めてきた彩李とメイナだ。
そもそも何で二人がこんな事をしてるのか……それは今朝の事――
◆
『(前の試運転で、肉体が安定して活動できる事がわかったからな……今日は息抜きをかねて
朝ごはん中にそう提案されスープを吹き出してしまった。
「あ、逢引って……デートのことだよな!?」
みるみる内に顔を赤らめていく彩李。
そんな彩李に対して『ふふっ――♪』と笑いを溢して、
『(そうじゃ……君とのデート、こうして認識し会えるようになってからやってみたかったのじゃ。
異論はあるかえ?)』
未だにわたわたしている彩李は目をぐるぐるさせながら、
「いや、だってその……俺たち、女同士だし……」
『(好きであることに性別など関係なかろう。
私は君が好きで、そんな君と娯楽の限りを尽くしたい、ただそれだけじゃ)』
ド直球に感情を伝えられ、さらに顔が赤く熱を帯びていく彩李。
『(というか君、女同士だからとかは聞いたのに、私とデートすることには抵抗がないのじゃな?)』
「……そ、それは……」
――だって、前世の時には親と同じくらいに自分の事を思ってくれたし。
今世でも、からかいながらだが自分の事を支えてくれて……それに、嬉しそうに微笑みかけてくれる。
メイナが幸せそうにしてると、自然と心が暖かくなるというか――――
「お前と一緒だと、俺も元気になるし……性別は関係ないっていうなら、お前と……遊んでも、いい……よ――」
『(遊ぶ、か……。
ふふっ――デートと言え、デートと♪)』
「ッ――! あ、あぁ……! もう――!」
頬を冷ますようにパタパタと手で扇いでいると……思考が段々と混乱していくのを感じた。
(――わ、わぁ~……わぁ~! で、でで、デート!? こんな俺が? 前世じゃ機械みたいで、今世でも恋愛経験なんてない俺がぁ!?
ど、どうしよう……デートって何するんだろう!?
良い服あったっけ? 俺っておしゃれに
乙女よりも乙女してる考え方に軽いパニックを引き起こす彩李。
…………ちなみにこの思考は全てメイナに聞かれており、後で弄られる事となった――。
◆
差し出されたクレープを恥ずかしがりながら一口食べる。
食べる際にメイナから香るほのかな甘い香りや、美少女としか言いようがない彼女の『ふっ』とした笑みに近づいたため、終始ドキドキしながらクレープを食べた。
「ん……美味しいな。フルーツのクレープは初めて食べたけど好きになりそう」
「そうかえ? 君の口にも合ったそうでなによりじゃ。
っ……、彩李よ、頬にクリームがついておるぞ」
「え? ……あぁ、いま食べた時についたのかな」
言われ、頬を拭おうとして――
「――――ん」
――
それよりも早く頬についたクリームを、まるで口づけするようにメイナは
「ひゃああああああああーっ!?」
心臓が飛び跳ねるほどビックリして椅子から転げ落ちてしまう。
――まだドキドキしている心臓を感じながら、顔を見るだけで恥ずかしくなってしまうメイナを見上げて、
「~~~っっっ!! な、なな、何すんの――!?」
「何って、クリームを取ったんじゃが?」
何か問題でも? と、薄く笑いながら自身の唇をなぞる。
「と、取るにしたって……ふ、普通に手で取るとか――」
「――このやり方はお気に召さなかったかのう?」
「――――っ」
………………ずるい。
その問いかけは、本当にずるいと思う。
お気に召さなかったか、だって?
そ、……そんな、の……
「ぁ――え~、と……その……。
……すっごく……ドキドキ、しま……した(小声)」
必死に振り絞って嘘偽りのない感想を口にする。
だって、
い……一緒にいて楽しい女の子にこんな事されて嬉しくないわけがない。
だから、頑張ってそう伝えた。
だというのに――、
「ん~~~? すまぬ、聞こえなかったのう? もう一度申してくれぬか?」
明らかに“わかった”上でからかってきやがった……!
こ、こいつめ~~~!
「あ、あ~~~もう! 言った、俺はもう言ったから!
ほら! 俺のも食え! ――そしてどうかこれで今の話に頷いてくれ!」
チョコレートクレープを差し出し、赤面しながら
「ま、よかろう。間接キスで手を打とう」
「――――、あ」
ぱくっ、と。
彩李が食べていたところにメイナは思いっきりかぶりついてきた。
「ふむ、ふむ。チョコレートも良いのう。甘さもほどよく、何度でも食べたくなる味じゃ」
冷静に感想を述べるメイナだが、彩李の方はそれどころではない。
「あ、ぁ――あ」
メイナが食べたところと、メイナ本人を何度もチラチラ見る。
「なんじゃ? この程度はいいじゃろ?」
「あ……う、うん、そうだな――別に……いい、かも?」
二人でかじったクレープで顔を隠しながら、メイナの行為を全然嫌がっていない自分を何処かに感じながら返答した。
『攻め』はメイナ。『受け』は彩李。
次回はデートの続き!